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黒猫現る 少しの夢を見させる 青年編

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「社長、もう原料に混ぜ物をするのを止めませんか。店舗当たりの客足もだんだん落ちてきているんですよ。このままじゃ」

「何を言っているんだ。大町君。指定原料をちゃんと使っているじゃぁないか。売上だって伸びているし、第一、あそこの原料だけじゃあ、もう足らなくなるんだぞ」

「しかし、確実にお客様の声としては、味が前に比べておちたという意見が多いのです。リピート率が下がる一方です」

「客足が落ちているのは、他に原因があるのじゃあないかね。それを防ぐのが君の仕事じゃないか。最近の新商品に魅力がないせいもある」

 俺は、直談判にきたのだが、とりつく間もなかった。それに、麗子との離婚のこともあって、印象も悪かった。

 その日の午後、辞令が貼りだされた。予期していたが、早すぎる。全店の中で最低の売り上げを記録する店への移動だった。しかも、今の倍の売り上げにしろとのおまけ付きだった。まわりの仲間たちは、同情と励ましを言ってきた。麗子との離婚のこともみんなは知っているので、あまり、深入りはしないだろう。だけど、この状況は以前にもあったような気がしていた。

 とにかく、独りで会社を出て、居酒屋で考え込んでいた。「間違ったのか、俺は。どういう立ち回りが良かったのか」
 理恵のことも考えていた、どうして昨日から一緒にいるんだろうと。その居酒屋を出て何軒かまわったと思う・・それで、この公園にきたのだが・・・

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 黒猫がどこからか現れて
「夢を見てきたか、それを現実にして、これからも生きていくんだぞ、新しい日常が待っているからな」

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エピローグ

俺は、寝込んでしまっていたみたいだ。

「新一さん、新一さん、大丈夫? 起きて! 探したわよ。こんなところで寝込んでしまって。赤松社長から私に連絡があって、中野社長に辞表を出させるって、あの件のことよ。それで、明日、紳一さんを連れてこいって。会社のことはあなたに全部まかせるつもりだって。社長は親会社の赤松社長が自分がやるんだって。私にも、執行役員としてサポートしろだって。それと、私達、早く結婚しろ、仲人してやるからってだって、良かったわね」

 一気にしゃべってこられて、あんまり理解できなかったが、理恵とは、まだ、 俺は  結婚してなかったのか あの猫も夢だったのか

 完
 
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