『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
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かくしてウィステリアは、結成する
前書き
こんにちは、クソ作者です。
筆が乗っている今のうちにサクッと書いちゃうことにしました。
クソ作者の中にも気まぐれというか…なんか色々あるんすよ。
あ、今日は外伝『赤』の気分だなーとか。
今日は本編がめちゃめちゃ書けそうな気がする…!とか。
日によって様々です。
で、今がその外伝『紫』がめちゃめちゃ書けそうな気がする状態なわけですよ。
というわけでこのまま、アイドル対決編をさっと書ききれたらいいなと思ってます。
あまりお待たせするのも、読者の皆様に申し訳ないっすからね。
まぁどれくらいの方が待ってるのかは聞かないでくださいませ。
それでは本編、どうぞ。
葵と紫式部が自主練に励んでいる頃。かの八百万ソフィーはどこにいたのかと言えば、廃墟にいた。
まだ人の手の入っていない、世界崩壊時そのままの廃墟。
かつては賑やかな繁華街であっただろうその場所には人一人おらず、ビルなどの建物には植物がびっしりと生え、人工物と緑が共生する不思議かつ穏やかな空間を作り出し、たまに不思議な鳴き声の鳥が飛び去っていく。
そこを、八百万ソフィーは難しい顔をしながら歩いていた。
「おかしい…変だ。」
2人のレッスンをしようと思ったその時、へカーティアにこう言われた。
「最近活発になっていた半グレ集団が何かおかしい。調べに行って欲しい。」と
神社の近く、廃墟にはそこを拠点とする半グレ集団がいたことは知っていた。
何も知らない女性を善意と見せかけて攫って強姦したり、通りかかった人を殺して金品を巻き上げたりしているという悪い噂ばかりの集団だ。
いずれ退治しようとは思っていたのでちょうどいいやと現地に赴いたのだが、何かがおかしい。
「静かすぎる…。」
静かなのだ。
ここは確かに半グレ集団の拠点と聞いた。
しかし、あまりにも音がしない。
人の、気配がしない。
「…。」
「悪い奴らの心境を覗くのにはうってつけだと言われましたが…これでは来た甲斐がありませんね」
と、ソフィーの隣にいた小さな少女がそう言葉を漏らす。
赤いチューブで繋がれた目玉を懐に浮かせている、いかにもただものでは無い少女の名前は古明地さとり
人の心を読む能力があり、半グレ集団の心理を見抜いて更正の余地があるかどうか見極めるため呼んだのだが、まず人がいないのでは意味もなかった。
「ごめんさとり。わざわざペットと遊ぶ時間を割いてまで来てくれたのに…。」
「かまいませんよ。こうして地上を散歩するのもたまにはいいものですから。」
赤い目玉がギョロりとソフィーを見、そしてまた前を向く。
「心から謝っている…あなたは本当に正直な人ですね。」
「さとりを前に嘘なんてつけないからね。じゃ、もう少し調査をしてみようか。」
そういい、辺りを見回すも人影らしきものも見当たらずどうしたものかと思った時、
「?」
何かを踏んだ。
よく見れば足元には大量の紙が散らばっている。
引きちぎられたようなそれを集めてみると、それは本だったようだ。
「これは…?」
「本だ。陰陽師…安倍晴明…。」
破られたページ達から読み取るに、どうやら安倍晴明についての本だった様子。
さらに少し歩くと表紙だったものも見つけ、拾い上げる。
端にはシールが貼られており、そこにはこう書かれていた
『葵紫図書館貸出本』と。
「どうしてこんな所に…こんな状態で?」
葵紫図書館は葵と紫式部の運営する図書館。
そこで貸し出されている本が何故かここで破り捨てられている。
誰かが借りた?いや、半グレ集団みたいな輩が本なんて借りるだろうか。
それも、文字ばかりの難しいものを。
それともバカなりに考え、安倍晴明をサーヴァントとして呼び出すための触媒として借りたのか、それもまだよく分からない。
ともかく、この本は関係ないかもしれないので調査に戻ることにした。
しかし、
「何してるの?」
「…!!」
ゾクリと、背筋に寒気が走った。
人の声。高さからして女性。
反射的に振り返るとそこには、さっきまで居なかったはずの女性の姿があった。
「…キミは?」
「私?森川真誉。陰陽師!あなたは?随分と変わった格好してるけど…?」
「ボクは八百万ソフィー。博麗神社の巫女だよ。」
「古明地さとりです…。」
名乗られたら名乗り返すのが礼儀だが、
そもそもどうしてこんな危険な場所に女性が一人でいるのか。
格好からして、まずこんなところに来るような服装でもない。
「ともかくここは危ないよ。この辺りは半グレ集団が潜伏してるみたいだから君みたいな格好の獲物は」
「ああそれ?倒したよ。」
危険だからここから立ち去った方がいい。
そう言おうとしたが、真誉という少女はとんでもない事を言った。
「たお…した?」
「うん。言ったでしょ?私陰陽師って。こう、ズバババーってやっつけちゃった。」
「…。」
と、ニコニコしながら剣を振り回すようなジェスチャーをしながら答える彼女。
この子が?どうやって?とソフィーの頭の中は疑問でたくさんだ。
「ふっふっふ〜すごいでしょ〜♪」
ご機嫌な彼女はそのままステップしてソフィーの横を通り過ぎ、何も気にすることなく本の紙片を踏み潰して曲がり角へと消えていった。
「キミ!待っ…」
考え事をしていてぼうっとしていたが、彼女には聞きたいことがある。
そう思い、呼び止めようと後を追って同じく曲がり角を曲がったのだが…
「いない…?」
そこに彼女の姿はなく、静寂のみであった。
「まったく…不思議な子だなぁ……?」
彼女の追跡は諦めるとして、調査を続けることにした。
だが、
「さとり?」
振り向けば、何やらさとりの様子がおかしい。
「どうしたの!?何かされた!?」
「いえ…何も。特に問題はありません…。」
そうは言っているものの、彼女は震えている。
なにかに怯えるように、足はすくみ、身体はガタガタと震えていた。
「ただ、問題は私にでは無く先程の子に…。」
「先程の…あの真誉ちゃんって言ってた子?」
「…はい。」
ふと目をやると、心を読むための赤い目玉が固く閉じられている。
ギュッとその目を瞑り、まるで見たくないとでも言うかのように。
「あれは…危険です。心の中に渦巻く恐ろしいものが見えました。」
「恐ろしいもの…?」
「生かしていてはならない。何をしでかすか分からない…。彼女は滅びを望んでる。この世の何もかもを恨み尽くして、全てを呪い殺すほどに…。」
そういえば、あの女の子に会ってからさとりは黙ったままだった。
話さないのではない。話せなかったんだ。
あの子の心の中を見て、恐怖を抱いていたから。
「あの子が…?」
あんな人畜無害そうな子がそんなことを考え、実行しようとしている…?
最初は信じられなかった。
けど、さとりがここまで怯えながら言うんだ。
きっと本当に違いない。
「大丈夫?もう帰ってていいよ。」
「ええ…ではお言葉に甘えるといたします。」
これ以上の行動は無理だろう。
そう判断し、ソフィーはさとりを幻想郷へと帰還させる。
「…へカーティアに報告しよう。それにまだ何かあるかもしれない…!」
さっきまで不思議かつ穏やかな雰囲気の漂う廃墟だったが、彼女と会って寒気を感じてからは何やら不気味で薄ら寒い。
だが、まとわりつく恐怖を振り払いソフィーは調査を続けることにした。
⚫
「んーっ、つかれたぁ…。」
あれから。
香子とあたしの自主練は日が暮れても続き、満足する所まで行ったあと、あたしはこうして湯船に浸かってうんと身体を伸ばしている。
ちなみにここは葵紫図書館に併設された大浴場。
2人で入るにはあまりにも広すぎる場所であり、シャワーだっていくつも付けられていたりとこれはもはや銭湯だ。
けど、こんなところを2人きりで貸し切られるというのは最高の贅沢かもしれない。
運動して思い切り汗をかいたのなら尚更だ。
「葵様も、だいぶ歌が上手くなって参りましたね。」
隣に寄り添う香子が、そんな私を見てそう話した。
「香子もね。足取りもけっこう良かったよ。リズムにだって追いつけてたし、順調じゃん。」
「いえ、葵様に比べれば私なんて…。」
言葉の続きを紡ごうとしたが、人差し指を唇に当てて遮る。
「…あ、葵様?」
「そういうことは言わない。あたしと香子、2人でアイドルになるんだからさ。自分のことは下げずに互いに褒めあっていこうよ。」
「…そう、ですね。失礼しました。」
手はそのまま、ゆっくりと香子の顎へと添える。
「葵様?」
「疲れてるでしょ。それに、シてないなぁってのもあって。」
香子もそれは察してる。気付いてる。
その気になれば私の手を払うことも出来るのに、それはしない。
「ソフィーもまだ帰ってきてないみたいだし。ここにはあたしと2人きりなんだからさ。」
横を向かせ、あたしもまた顔を近づける。
ムシャクシャしたり、とにかく疲れた時、
そういった時は香子にぶつける。
感情を全部リビドーに変えて、彼女に全部ゆだねる。
そうしてキスしようと、もうすぐそこまで互いの唇が触れようとした時だった。
「…。」
「…。」
誰かが、見てる。
視線を感じてキスの直前で停止。
目だけを動かし気配のした方に向けると…
「あら、いいのよ続けて。」
「!!!!」
いつの間にかそこにはバスタオル一枚のへカーティアとソフィーが。
慌ててあたしと香子は距離を取るも、彼女はクスクスと笑っている。
「いっ、いつから!?」
「さっき。ごめんね…ただいまって言おうと思ったんだけど…来てみたら言うに言えない雰囲気だったから…。」
「にしてもおアツいのねぇ。聞いたソフィー?二人の時は”香子”と呼ぶそうよ。」
やめろ、恥ずかしい。
「ほら、続けて。私達もそのうちおっぱじめるかもだから。」
「続けられるか!!しかもおっぱじめるって何!?」
「何って、ナニにきまってるじゃな〜い♡」
と、問答無用でソフィーのそこそこ大きな胸を後ろからわしづかむへカーティア。
「ひゃあ!?やめてよへカーティア!!葵さん達が見てる!!」
「いいのよん。あっちがその気ならこっちだって存分に見せつけてあげましょ?」
「そ、そういうのはお風呂場じゃなくベッドで…あっ、あぁぁっ♡♡♡」
…。
「…葵様。」
今にも始まりそうな雰囲気の中、香子がトントンと肩を叩いてきた。
「…上がりましょうか?」
「うん、あがる。」
へカーティアがソフィーを押し倒し、尻目に、あたし達は何を言うことも無く出ていった。
行為を途中で邪魔されるものほど、萎えるものは無い。
逆に冷静になったあたしは、香子と共に何も話すことはなく、普通に着替えて普通に出ていった。
⚫
今日来てくれたエリザベートのマスター、麻美さんがちょうど猪の肉をお詫びに持ってきてくれたので、今晩は体力をつけるという意味を込めぼたん鍋にする事にした。
とはいっても、あたしに料理なんて難しいことは出来ない。
なのでここにいる、前に宮本のアヴィケブロン先生に作ってもらった式神ゴーレムに作ってもらう。
大体の料理データは入っているそうだ。彼女らは難なくしてぼたん鍋を完成させた。
そこまではいい、いいのだが
「あらぼたん鍋!夜も頑張っちゃおうかしら!」
「なんで来た。」
お風呂上がりだからか、妙に肌がツヤツヤしたへカーティアとソフィーが当たり前のように席に着いていた。
「なんでって…別に食べていいでしょ?私たちだって今日すっっごく疲れてるの。」
「…。」
実はこうしたレッスンが始まってから、二人がここにいる時間が段々と長くなっていった。
最初のうちはやっぱり、レッスンが終われば神社に帰って行った。
けど次第にどんどんいる時間が伸び、
「それじゃ、いただきまーす♡」
「いただきます。」
こうして半ば同居しているような形となってしまった。
「ところでアイドルとしてはどう?」
「まぁ…ぼちぼち。」
「ソフィーがいない間も二人で自主練してたみたいじゃない。アイドルとしての自覚が芽生えた証拠ね。私プロデューサーとして嬉しいわよん。」
「は?」
食べようとしていた具材が思わず箸から滑り落ちる。
「は?ってアイドルにはプロデューサーがいなきゃダメじゃない。」
「いやそうだけどさ…。」
「ほら、遠慮なくへカーティアプロデューサー。略してヘカPとお呼びなさい。」
とは言うものの、この人は何かしたろうか?
あたし達にレッスンをしてくれたのは幻想郷の皆様。
それを呼んだ、もとい斡旋みたいな事をしてくれたのはソフィー。
…。
見事になにも、していない。
「あらあら?まるで私を名ばかりプロデューサーとでも言いたげね。」
「実際そんな気がするんだけど。」
「しょうがないよ。だってへカーティア何もしてないもん。」
「まぁ!ソフィーまでそんなこと言うの!?」
まさかの仲間からのダメだし。
しかしここでへカーティアは素直には頷かず、少し腕を組んで考えると自信満々に言った。
「そう言われると思って、二人のユニット名を考えてきたのよ!!」
絶対今考えたやつだ。
「ふふ…聞いて驚きなさい。源 葵、そして紫式部。今日からあなた達二人は…”ウィステリア”としてデビューするのよん!!」
「…。」
「うぃす…てりあ、とはなんでしょうか?」
横文字にはイマイチ弱い香子。
ウィステリア…確か日本語で言うと
「藤の花…だっけ?」
「そ。藤の英名よ。なんでそうしたかと言うとね…あなた達二人を見てこれだ!ってビビって来たの。」
…本当だろうか?
「葵様。」
「うん?」
「藤の花言葉はご存知でしょうか?」
何故藤の花?
そう思っていると香子が話す。
花言葉…小さい頃からおばあちゃんに教わったから、大体のは分かる。
「『決して離れない』とか、『恋に酔う』とかでしょ?」
「そう!正解!あなた達二人、絶対に離れたりしなさそうだもの。それにさっきもお互い相手に酔ってそうだったしこれこそうってつけだと思ったのよん!!」
と、自信満々に言い放った。
ものすごく説得力のあるネーミングセンスだ。きっとこれは今考えたものではなく、前々からあたし達の為に色々悩んで考えてきたものなんじゃないだろうか?
だとしたら、少し申し訳ない。
「すごいやへカーティア。」
「ふふん!もっと褒めてもいいのよん。それに他にも『優しさ』や『歓迎』。アイドルとしてはピッタリの花言葉でしょ!ウィステリア!!」
【土壇場にしてはとてもいいものだと自負している。これなら今その場で考えたことなんて絶対にバレないだろう。】
「へカーティアからなんか出た!?」
「紫式部のうっかり泰山解説祭だ!」
前言撤回。
やっぱりその場で考えたものだった。
それからぼたん鍋を4人で美味しくいただき、めでたくあたしと
香子はアイドルユニット、”ウィステリア”としてデビューする事にした。
その場で考えたにしてはいいものだったんだ。
香子もとても良いと思いますとの事でユニット名はそれで決定した。
でだ、
「葵さん。」
片付けを済ませ、軽くボイストレーニングをしようかと思った時、ソフィーが話しかけてきた。
「どうしたの?」
「実は、葵さんにお渡ししたいものがあって。」
真剣な表情で話しながら渡されたもの、それは…。
「これって…あたしのところの!?」
破られた本だった。しかもここの。
表紙を見ればここ葵紫図書館の所有する本である証拠に貸し出し本のシールが貼ってある。
タイトルは…『陰陽師・安倍晴明』…。
「どうしてこれを…?」
「実は廃墟に調査に行った際、これが落ちていたんです。なるべくページは集めたんですが…おそらく半分くらいは風でどこかに…。」
「うん…いいよ。」
ソフィーが復元するべく、なるべく集めたらしいがほとんどのページは欠落している。
さて、この本なのだが…
「どこにあったの?」
「廃墟です。半グレ集団の拠点近くなんだけど…。」
そう言われ、あたしの脳内に最悪のビジョンが浮かぶ。
この本を借りたのは、あの森川真誉という女性だ。
自称陰陽師とのことだが、この世の中でサーヴァントを連れておらずたった1人というのは危険この上ない。
そしてこの破られた本があったのは、その辺では割と有名な半グレ集団とのこと。勿論、奴らの悪さに関してはあたしの耳にも入っている。
ということは、つまり…。
「あの子が…危ない…。」
危ない…いや、もう危ない目に遭っているのかもしれない。
何とかしなければと思うが、ソフィーの話はまだ終わっていなかった。
「あの子…?」
「うん。その本借りに来た子。森川真誉っていう子なんだけどさ、もしかしたら」
「森川…真誉?」
ハッとした顔をするソフィー。
「その子…会ったよ。」
「え…。」
「不思議な雰囲気の子だったから覚えてるよ。半グレ集団をやっつけたとか言ってたんだ。」
と、彼女は調査の際会ったと言った。
半グレ集団をやっつけた?あんな子が?
確かに陰陽師と名乗ってはいた。
しかし相手は成人男性十数人。
未成年の女性一人だけでどうにかなる相手じゃない。
「最初は嘘かと思った。でもね、その後調査を続けて本当だと信じざるを得なかった。」
そういい、ソフィーはあるものを見せる。
「元々奴らのアジトだったんだろう。地下にあるBARが血まみれになってて、壁にこれが貼り付けられてた。」
「…!!」
ソフィーが見せたのは一枚の御札。
それは、以前森川真誉が訪れた際に見せてくれたものと、まるで同じものだった。
そして
「なにこれ…?」
「さながら記念写真…だろうね。」
共に貼り付けられていたのは一枚の写真。
転がる死体達をバックに、満面の笑みの森川真誉が例の特徴的な御札を持っている。
無論、もう片方には人形を抱えていた。
「彼女の実力は本物と見ていい。ただね、彼女はあまりにも危険な存在なんだ。」
持っていた御札をグシャリと握り潰すと、ソフィーはあたしに言った。
「ともかく、彼女を見かけたらボクを呼んで。すぐにかけつけて退治するから。じゃないとこの世界は、呪いと死に溢れ、今よりずっと酷いものになる!」
「いや、何を言ってるか全然」
「彼女は危険だ!!キミはあの子に会っているんだろ!?だったら次はキミが呪われるかもしれない!殺されるかもしれない!そう考えられるほどに危険なんだ!!」
と、危機迫った感じのような表情で言われれば、思わず納得せざるを得なくなる。
「うん、分かったよ…。」
「気をつけて。なるべくキミや紫式部さんには害が及ばないよう、ボクとへカーティアで片付けるから。キミ達はレッスンに集中してて。いいね?」
そう言い、ソフィーは見回りに行くといって図書館から出て行った。
「…。」
月の見える窓を見上げる。
森川真誉という少女は、そんなに危険なのだろうか?
ソフィーが何を見、何を感じたのかは知らない。
あたしはあの子を見て何とも感じなかったし、怖いとも思わなかった。
しかし、あの写真…。
死体を前にあんな笑顔で写真が撮れるんだ。
異常なのは確かなんだろう。
「さむ…。」
なにかぞくりとした寒さのようなものを覚え、腕をさする。
ともかくアイドル対決までもう少しだ。
ここいらで気合を入れ直し、改めて頑張らないといけない。
「森川真誉がどうこうよりも、その前にあたし達は、図書館がどうにかなっちゃう危機を何とかしないとなぁ…。」
そう呟き、あたしはレッスンルームへと向かうのだった。
後書き
ウィステリア。
へカーティアさんがサラッと考えてましたが実際にはクソ作者がものすごーーーーーく考えました。
あれだね。アイドルユニットの名前考える人、めっちゃ大変だね。
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