| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ほんへ
始まりの章-世界は終わった、しかし物語はここから始まる-
  安住の地を目指して…

世界が崩壊した日の夜。
俺は情熱的な夜を過ごした。

あれから、俺のカルデアからやってきたとかいう怪しさ満点の刑部姫は俺の家に住まうようになった。
外ではモンスターやらが闊歩していて危険極まりなく、そして大型の奴が現れたらそれこそ家が壊されてしまう。
そこでのんびりしていていいのか、という疑問があるが…。

「あ、大丈夫。」
「大丈夫?」
「この家にバフかけたから。スプリガンが100人乗っても大丈夫だよ。」
「マジで…。」

情熱的な夜を過ごした後のピロートークの最中、刑部姫はそんなことをさらっと言いやがった。

あれ…待てよ?

「そのバフ…いつから掛けてた?」
「昨日家に入ったその瞬間からかな。」
「…なぁ、お前こっちに来たばっかとかなんとかで魔力無いって言ってなかった?」
「…キミのような勘のいいマスターちゃんは嫌いだよ。」
「オメー嘘ついてたのかよぉ!?」

じゃあ何?ワイバーンとも戦えたワケ?
ああやって逃げる必要もなかったワケ?

「ち、違うよ!家にバフかけるようの魔力を残しておこうと思ったの!姫計算してたの!!」
「うるせぇ!!あそこで戦えてれば襲われる心配も全速力で逃げる必要もなかったっての!!さてはお前アレだな!?そんなこと関係なしに最初(ハナ)っからヤることしか頭になかったんだな!?」
「………。」
「なんか言えよ!!!!!」

くるりと寝返りを打って俺に背中を向ける刑部姫。
あーもうイライラしてきた!!頭もチンコも両方イライラしてきた!!!



それから、

「にのまえ まこと。それがマーちゃんの名前なんだ。」
「おう。てか名前も知らずにセックスしたのかお前は…。」
「愛に名前なんて関係ないよ。あ、そしたらマーちゃんじゃなくてまーちゃんって呼んであげた方がいいよね?」
「変わってねーじゃねーか。」

改めて自己紹介したり

「うわやっば…真っ昼間からセックスしてるよ俺達…。」
「えへへ…明るいうちからすると…はずかしいね♡カラダとか…見られちゃってさ。」
「この腹とかな」ムニッ
挿入()れながら触んないでよバカァ!!」

セックスしたり

「えっ、これ全部まーちゃんが作ったの!?」
「すげーだろ。働きたくないから専業主夫になる為料理は結構練習したりしたんだぜ。」

豪勢なランチやディナーを堪能したり。
幸い冷蔵庫に食料はたくさんあるんだ。
使うだけ使っちまえ。

「まーちゃん待って!そっ、そこは出し入れする穴だから…ひぎぃっ♡♡♡」
「じゃあいいじゃねーか!!ああやべぇ…ケツ穴もすっげぇ締まり…前も後ろも搾り取る気満々じゃねーかよこの野郎!!」

セックスしたり

「はい俺の勝ちー!!」
「わーすごーいまーちゃん8連勝だぁ。ゲームうまいねー。」

ゲームしたり。

「まーちゃん、こういうの好きでしょ?」
「ああやべぇの…夢にまで見たおっぱいで身体洗ってもらうやつ…。」
「おちんちんもおっぱいで洗ったげよっか?」

風呂場でセックスしたり。

「んでこの実況者がクソ面白ぇんだよ。」
「へぇ…あ、この動画もいいんじゃない?」
「あーそれな。初めて見た時は腹抱えて笑ったわ。」

ネットサーフィンしたり動画サイトを見漁ったり、

「オラァ!遭難中の皆様にお前のドスケベボディ見せつけろやこの野郎!!」
「だ、だめだよまーちゃん♡窓に押し付けないでぇ…っ♡♡♡」

セックスしたり

「まーちゃん見て見て。」
「…!」
「まーちゃんのワイシャツ勝手に拝借しちゃいました♡彼シャツおっきーでーす♡」
「襲うわ。」

セックスしたり
世界はとうに崩壊しているが、とにかく俺とおっきーは自堕落極まりない生活をとってもエンジョイしていた。

が、
そんな夢のような極楽生活は突如として終わりを迎える。

「は?」

ある日のこと。
いつものように昼過ぎに起床して飯でも作ろうかとまず部屋の電気を付けようとしたのだが…。

「つかねーんだけど。」

電気がつかない。
スイッチを何回パチパチしてもなんもつかない。
さらに

「マジかよ。」

コンロの火もつかない。さらに水も出ない。
うん。考えておくべきだったんだ。
テレビで確認したが、世界中がこんな有様なんだ。
電気ガス水道などのライフラインがいつ止まってもなんらおかしくはないことくらい。
逆にここまでもった方が奇跡だろう。

さて、
ガスが使えなければ、料理は作れない。
電気が付かなければ、ゲームもネットサーフィンもできない。
水も出なければ風呂にも入れない。
今まであった当たり前のものが一瞬にしてなくなった。
極上の引きこもり生活は、できなくなった。

「あ、おはよーまーちゃん。」

と、絶望に打ちひしがれる中、寝ぼけ眼を擦りながらパンツ一丁のおっきーが降りてきた。
お気楽なことこの上ねーな。

「ごはんは?」
「作れねぇ。」
「…え?」

おっきーの前で何度も電気のスイッチを入れたりガスコンロをひねったりしてみせる。
そうして彼女も、今自分達が置かれている状況がいやでも理解出来たらしい。

「うそでしょ…?」
「ほんとだよ。」




それから、

「ねぇねぇまーちゃん。本当に行くの?」
「行くっきゃねーだろ!ただ家にいるだけなのが引きこもりか?ちげーだろ。」

服や嗜好品、その他様々なものを必要最低限にまとめここを出る決意をした。
だってそうだろ。
何も出来ないんならここにいる用は無い。
だから俺達は、安全に引きこもることが出来る安住地を探すんだ。

いいか?"引きこもる"ってのはただ閉じこもるだけじゃない。
その部屋という狭い世界の中、自分にとって満ち足りた空間。
そこで悠々自適に暮らすのが引きこもり。
電気もクーラーもつかないし、ゲームも出来ないんじゃそれは引きこもりでもなんでもねーっての。

「確かにそうだけど…。」
「お前だってそうだろ?引きこもって何不自由なく暮らしたいだろ!?」
「うん。」
「じゃあ決まりだ!!行くぞ!!」

荷物を背負い、俺達はこの家を後にする。
両親は…これだけ経っても帰ってこないってことはおそらく死んだのだろう。
育ての親ではあるが、共働きで子供より仕事が大事な親だったしそこまで愛情も注がれてないから別に死んでもなんとも思わない。
ま、お金には不自由しなかったことには感謝してるけどな。
さぁ行こう。さらば(にのまえ)邸。



「ねぇまーちゃーん。つーかーれーたー。」
「うっせーな!俺だって疲れてんの!!」

長く険しい旅になるだろうとは思っていたが、まさかこれ程とは思っていなかった。
まず、電車やタクシーとかいったそんなものはない為基本徒歩だ。
テレビでは東京がいちばん安全と言っていたためそこを目指す予定ではあるが、徒歩だとどれくらいかかるんだ?
えー千葉から秋葉原まで電車だと1時間くらいだったから…。
あーだめだ。考えるだけで嫌になってくるからやめよう。

「姫もう歩けない…。」

あとこのサーヴァント、軟弱なことこの上ない。
なに?他のサーヴァントだったら人1人くらい担いでヒョイヒョイ跳べるもんでしょ?
さらにライダークラスなら乗り物という最高のおまけもついてくる。
しかしこいつはアサシン。そして刑部姫。
俺なんて担げないしそもそもこうしてたった2時間歩き詰めただけでバテている。
って、俺も人の事言えねーけど。

「ダメだ!休憩しよう!!ここをキャンプ地とする!!」
「やったー!!!」

行き詰まったら休憩。無理をするのはよくない。
モンスターが襲ってくる危険性も考えたがともかくまずは足を休めることにしよう!うん!!

「料理は東京につくまでの我慢だ。」

家にキャンプ用品なんてものはなかった為、テントとか飯盒炊飯とかそんなものはできない。
なので家にあった菓子とかそんなんで腹を満たすことにする。
こいつは不満そうだが。

「悪いな。料理作ってやれなくて。」
「うん。それもそうなんだけど…。」
「なんだよ?」

と、おっきーが何か聞きたそうな顔をしている。

「どうしてまーちゃんは、毎回必ず二人分作るんだろうって。」
「お前は食うなっての?」
「違う違う!!そうじゃないってば!!逆!!」

まぁいいたいことは分かる。
サーヴァントってのは確か本来食事を必要としない。
だから、毎日三食食べる必要なんてないんだ。
けど俺はいつも作る。
自分だけ食うのが後味悪いから?違う。

「だってお前、美味しい美味しい言いながら食ってくれんじゃんかよ。」
「え…。」
「照れくさいけどさ。やっぱ作った側としては美味いって言われんのはこの上なく嬉しいんだよ。」
「まーちゃん…!」

言うのがクッソ恥ずかしく、頭をかきながらそう言い捨てた。

「子供の頃から1人でいることが多くて、そんで自然と自炊する事が身についてって。両親にあれが出来たこれが出来たって言っても、そうだね位しか言われなくってさ。」
「…。」
「お前が初めてだよ。すごいとか美味いとか言ってくれんの。」
「そうなんだね…。」

孤独な幼少期を過ごしたせいで、心はすっかりひねくれた。
けどやっぱ、美味しいと言われるのは心地が良かったんだ。

「じゃあ次、俺な。」
「?」

さて、おっきーの質問に答えたんだから、今度は俺が質問する番だ。

「何で、お前はこの世界に来たんだ?」
「この世界?」

彼女いわく、俺のカルデアにいたとかなんとか。
しかしなぜわざわざこんな辛いし苦しい思いをしてまで俺のところに来たのか?なぜ俺と共にいようと思ったのか。

刑部姫ならばそんなことはせず、引きこもることを第一とするサーヴァントだ。
そんな彼女が、なぜ?

「きまってるじゃん。まーちゃんが好きだからだよ。」
「…。」

真正面からそう言われると小っ恥ずかしいぞ。

「まーちゃんのカルデアにはさ、姫以外にもアサシンいっぱいいたよね?」
「うん、まぁ。」
「それこそ、姫より強いアサシンなんてたーくさんいた。」

確かにこいつの言う通りだ。
俺のカルデアに高レアなアサシンクラスは刑部姫のみという訳じゃない。
じいじにカーマちゃん、酒呑童子に李書文など他にも刑部姫よりもずっと強いサーヴァントはごまんといる。
しかし、俺は刑部姫を使い続けた。
それに、

「姫が言うのもなんだけど、勿体無いよ。姫なんかに貴重な聖杯を5個もあげちゃってさ。」

フォウくんなんかで上限も上げきったし、聖杯捧げてLv100なんて当たり前だ。
絆だってとうにMAXだ。
どうしてそこまでするのか?簡単な事だ。

「好きだからに決まってんだろ。」
「…。」
「どうしたよ。」
「…いや、真正面からそう言われると…恥ずかしいかなって。」

好きだから、使う。
好きだから強くしたいし、聖杯を捧げたいし、絆のLvだってあげたくなる。
最初にも言ったはずだ。
強さとか効率とかそういうものではなく、サーヴァントは可愛さで選ぶべきだろ。
ジジイはかわいいか?ロリは俺の専門外だ。
そもそも、見たその瞬間から「あ、コイツクッソ可愛いな」って思ったんだからそれでいいだろーがよ。

「好きだからお前を愛用した。ってか引きこもりたいお前にとっては迷惑この上なかっただろーけどな。」
「ううん、そんなことないない!評価なんて下から数えた方が早い姫をあんなに使ってくれたんだもん。他の人と違って、変わり者だなーとか、優しい人だなーとは思ってたけど。」
「変わり者で悪かったな。」

俺が質問していたのにいつの間にか俺が答える側に変わっているが、ここで小休止は終わりだ。
座り込んでいたが太ももをパンと叩いて立ち上がる。

「よし!休憩終わり!行くぞ!!」
「えっ早くない!?あと1時間くらい…。」
「うるせぇ!行くぞ!!」

俺だって死ぬほど休みてーわ。
けどここでダラダラしてたってだめだ。
野宿は避けたい。せめて日が暮れる前に屋根のある場所に泊まりたいんだ。

さぁ、気を取り直して目指すぜ東京!と決意を再び胸に抱いたその時だ。

「おーーーい!!!」
「…?」

声が聞こえた。
遠くの方から誰かの声、
いや、俺はこの声を知ってる気がする。

声のした方向に目を向けてみれば、数百メートルくらい離れたところから十数人くらいの集団がこちらに手を振っている。

「…。」
「まーちゃんどしたの?なんか苦虫噛み潰したみたいな顔してるけど。」

近付いてくる集団。
俺はこいつらを知ってる。
そしてクッソ会いたくないし話したくもない奴らだ。
彼らは俺の…いや、元クラスメイトの集まりだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧