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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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最終章『ふたりで…』
  女神創造領域 『崩壊世界』其ノ伍

 
前書き
かいせつ

⚫黄衣の王との接続
葛城舞が重傷を負った際、ゴッホに治してもらったことにより身体が神化。以前取り憑かれたことのある黄衣の王をより自在に扱えるようになった。
その姿こそ彼のフォーリナーとしての姿。
黄衣の王の力を完全制御し、風を伴った攻撃、そして絵に描いたものを実体化させる彼自身が持つ元々のスキル。
そして見ただけで霊基を自在に描き換えられる霊基描換
と破格の能力を備えている。
この状態の時、別次元にいる黄衣の王から無限に近い魔力をぶんどり続けているため魔力が切れることはまずない。
そして特筆するべきものは、彼自身充分強いが真の能力はサポートすることにあるということ。
仲間のフォーリナーの強化、補助に長け、その中でも葛飾北斎のサポートに特化している。
手足を自らで拘束しているがこれが解かれた際、その能力の全てが明らかになる。


⚫源 菫(みなもと すみれ)
葵が持つもうひとつの人格。
幼少より葵が溜め込んできた”我慢”が崩壊世界に溢れた神秘によって具現化して産まれた存在。
言動はどこか幼いが、残忍かつ狡猾な性格。
紫式部を守ること、愛されることを第一としており時々異常なほどの愛を見せる。
いわゆるヤンデレ。
今はとある事件があって消滅したものの、思念は生前彼女か使っていた武器のチェーンソーに宿っており、一時的にだが多くの血を吸えば復活できる。
その武器こそ、『魔性絶対殺すチェーンソー菫ちゃん』である。

⚫リミッター解除
竜胆 大和の持つ技。
溜め込まれた魔力を全開放し、自分自身の力を限界以上まで引き出す。
スピード、パワー共に桁違いであり、その状態ならばサーヴァントとも充分に渡り合える。
持続時間は20分。それ以上維持しようとすると副作用で記憶障害が起き、身体が縮んでしまう(何も知らないショタになる)
いわゆる酷使し過ぎた身体を休めるためのクールタイム 。24時間その状態になってしまうので後の事もよく考えて使わなければならない。
そういったこともあり、大和は滅多に使わない。
武蔵は大歓迎らしいが。
ちなみにリミッター解除の状態では、溢れ出た余波エネルギーが目から雷のように迸り尾を引いている。
オルフェンズ?知らんなぁ(すっとぼけ)
 

 
「走れおっきー!!周りのヤツらは無視しろ!」

舞、葵、大和。
3人の「俺に構わず先に行け!」というシチュエーションを乗り越え、俺とおっきーの2人は親玉がいるらしい場所へと駆けていた。
端末の魔力探知機をチラ見すると確かに、この先には莫大な魔力反応があると示されてる。
なら、この先に奴がいる。

「うまくやってくれてるみたいだな…!」

結界は、ない。
きっとあいつらがあの旧神柱を倒し続けているおかげだ。
後は俺達が親玉を叩けば、全てが終わる。

「まーちゃん!あれ!!」

しばらく走り続け、おっきーが止まって前方を指さす。
わざわざ言わないでも充分に見えている。
俺たちの前にそそり立つ、1本の柱が。

「ああ、あれで間違いねぇ!あいつが全ての旧神柱に魔力を供給し続けてる”親玉”だ!!」

ドブみてーな色した旧神柱。
俺達の気配を察知すると顔は目を開け、さらに柱は蛇のように鎌首をもたげた。

『よくもまぁここまで来やがったな。キチガイのウンコ野郎共。』

てっぺんの部分が4つに裂け、そこから粘つく液体のようなものを滴らせながら中から奴が出てくる。
出てくるとはいっても下半身は完全に固定されており、さながら花に葛城恋の上半身がくっついたみたいなものだ。

「あいっかわらず気持ちわりーのな。」
『気持ちが悪い?いいや逆だね。これこそが俺様の王としての神聖なる姿。クソガイジと同じように俺様も接続し、こうして史上最強のフォーリナーとなったわけだ。』

やめろよ。お前がなったところでフォーリナーの格が下がるから。

「全国各地でマンコとガイジ共が抵抗はしているが、それも時間の問題。何せ俺様にはこいつがあるからなぁ!!」

と、自慢げに高々と掲げたのはあの時の聖杯。
やはり、あいつは落とした聖杯を回収していたんだ。

『俺様は王になる…淫虐王ソロモン=レンに!!王になって…ここを俺様の王国にする!!そしてここは…イブンタイにするんだよ!!』

俺達に聖杯を見せつけた後、それは浮遊しずぶずぶとやつの胸に沈んでいく。
あと、なんかめちゃくちゃな事を言っているがこいつ、”異聞帯”の意味が分かっているのか?
いや、色々と聞きたいこともあるが…。

「もういい、お喋りはそこまでだぜ。腐れ外道のピザ野郎。」

生憎今は好奇心よりも殺意の方が勝ってる。
ホルスターから二丁の拳銃抜き、かまえた。

「まーちゃん…!」
「他の奴らが頑張ってっからな。ソッコーで終わらせるぞ…!」
「おっけー!」

そういうとおっきーは、俺目掛けて何かを投げる。
それはここに来る途中どこかで拾ってきたであろう聖晶片。
なるほどそうか…そういうことだな!

「お前からなりにいくなんてな!そんなの初めてだ!!」

投げられた聖晶片を撃ち抜き、おっきーの霊基を変化させる。
アサシンからアーチャーへと代わり、両手にかまえられたマシンガンと後ろに控える折り紙部隊達。

「本気じゃねーの。」
「当然でしょ。これさえやっつけたら後はもう終わりなんだからね!」
「だな!!」

周囲に他の旧神柱は存在しない。
強いて言うなら邪魔者の使役獣はそこかしこに飛んでいるが…やれる。
俺とおっきーなら…!





東北地方。
世界崩壊後そこは極寒の地へと変わったがそこでも人は強かに生きていた。
そう、旧神柱が現れた今でも。

「あのでっかいのはサーヴァントに任せろ!俺達はあの周りにいる雑魚に専念するように!!」
「了解!!」

自衛隊であろう人達。
彼らは持っている銃器全てを用い、旧神柱に対し総力戦で挑む。

「奴ら、魔神柱の真似事をしてるみたいだが…強さはそれ程でもないみたいだ…。」
「ソロモンだとか名乗ってましたけど…あれじゃ真似された魔術王が可哀想じゃありません?」

使役獣は自衛隊の皆様に任せ、旧神柱を相手に戦っているのはあの玉藻の前。
旧神柱達の卑しい視線に耐えながら、彼女は呪術を以て彼らを殲滅していく。

『知ってるぞ?お前玉藻の前って言うんだろ?』
『だったら俺様にピッタリだ。王ならそれ相応のサーバントを連れておかねぇとな!』
「生憎マスター以外に身体を許すつもりはありませんので!!というわけでくらいやがれタマモ恨み弾!!」

何やら色々な負のエネルギーが込められてそうな真っ黒な弾をぶつけられ、爆散する旧神柱。
さらに玉藻の前は御札を投げ、燃やしたり凍らせたりちぎっては投げちぎっては投げの大奮戦。
マスターの前だ。張り切らないわけが無い。

「身も魂もブサイク・オブ・ブサイク。惚れる理由が何一つ見当たらないなんの長所もないモブおじ風情が私を娶る?はは、冗談でも言ってはいけないものがございますよ?」

自分が身も心も許したのは1人のマスター、甘木 結羽(あまぎ ゆう)のみ。

「はてさて、今頃東京でも大和さん武蔵さんが仲睦まじく頑張っている頃…。」

いくら倒したとて、旧神柱はまた雑草のごとくニョキニョキと生えてくる。
少し前、共に戦った彼らのことを思い出し、自分もまた頑張らなければと彼らをにらみつける。

「来るぞ玉藻!」
「ええ、わかっております!!」


そして、場所は変わり駐屯地では

「弾薬は!?とにかくありったけ寄越してくれ!このままじゃ奴らに押し切られる!!」
「怪我をしてる!早く運んでくれ!!じゃないとこいつがあいつらの仲間入りしちまうんだ!!」

弾の補給、そして怪我人の治療、
そこはある意味戦場以上に修羅場であった。

「頼む!早く!」

そして使役獣に襲われ、腕を食いちぎられた男はとあるサーヴァントの元へと運ばれる。

「ええ、わかりました。それでは…!」

真っ白な装束に身を包んだ女性。
髪も白く、肌も雪のように白いサーヴァントは男の治療に取り掛かる。
どろどろと傷口にまとわりつく真っ黒な泥のような何か。
彼女が男に手をかざすと、それは光に包まれ少しのたうつように暴れた後、消えた。

「これで大丈夫です。後は安静にしていてください。」
「ありがとう…あんたがいなかったらこいつは…!」

治療した彼女、天の衣をまとったアイリスフィールもまたふぅ、と安堵のため息をついた。
あまり戦闘向きではない彼女はこうして、怪我人の治療を任されている。
そして何よりも、使役獣によりダメージを受けたものは新しい使役獣になるという厄介な性質があるのだが、彼女の使う魔術医療はそれを止めることが出来た。

「調子はどうだ?」
「ええ、大丈夫よ。」

額に汗を浮かべながら、アイリスフィールもといアイリは隣にやってきたマスターに笑顔を向けた。

「いや、大丈夫じゃないだろ。少し休んだ方が…。」
「ママ…また無理してる。」

アイリのマスターであるこの男の名は二宮シロ。
そして心配そうに覗き込んできた少女は彼の持つもう一騎のサーヴァントにしてアイリの娘であるイリヤだ。

「大丈夫って言ってるでしょ。それに、マスターもイリヤも、そしてここにいる自衛隊のみんなも無理してる。私だけ楽するなんて、そんなの出来ないわ。それにほら、」

そうしてまた、アイリの元へ新しい患者が運ばれてくる。

「侵食は免れましたが出血が止まりません!アイリさん!」
「ええ、分かったわ。」

医療魔術でまた1人、怪我人を治療していく彼女。
その後ろには怪我人たちが押し寄せ、ずらりと並んで待機していた。

「だったら…俺達も頑張らないと…!」

その様子を見て、マスターとイリヤはこれ以上アイリに何かを言うことはやめた。

「うん。私達が頑張って怪我人を出させないようにすればいいんだ!」
「ああ、行こう!」

イリヤとマスターのシロは互いの顔を見て頷き、戦場へと駆けていく。
そんなマスターと愛娘の誇らしい後ろ姿を見届け、アイリもまた頑張らなければと思うのだった。

「そういえばアイリさん。」
「?」

怪我人の搬入を終えた1人の隊員がアイリに尋ねた。

「あの人達どこいっちゃったんでしょうね。」
「あの人…?ああ、あの聖女様と聖騎士様ね。」

ほんの少し前、
この駐屯地に武蔵を連れたマスターが来た時のこと、
ここにはもう二組のサーヴァントとマスターがいた。

「彼女達なら少し前に出ていったの。なんでも東京にいるお友達がピンチだから助けに行くんだって。」
「ええ…あの方達がいてくれれば…。」
「しょうがないわ。人手が足りないのはどこも一緒なんだから。さ、次の怪我人をお願い。」

彼女らはここで葛城財団を説得(物理)した後、しばらくここで過ごしたが東京へと大急ぎで向かった様子。
サーヴァントが二騎いなくなったことは非常に痛手ではあるが、それは仕方がないこととアイリは笑いながら言ったのだった。




場所は千葉県。
世界崩壊後に出来た町、姫路町。
そこにも旧神柱は君臨してはいるが、それは最早一方的な虐殺であった。

無論一方的な虐殺というのは、旧神柱がやられているという意味ではあるが。


「ここは…マスターの畑。誰にも荒らさせない。」

そう言い、ニヤつく旧神柱に近付き優しく撫で上げるのは静謐のハサン。

『おいおいなんだ?俺様に寝返るなんて分かってるじゃねぇか。』
「…。」

しかし旧神柱は気付かないし知らない。
彼女に触られることこそが、
何よりも苦しい結末を招くという事に。

『ぶっはは!結局マンコ共はチンポの事しか頭にねぇって事だ!!残念だったな!恨むんならてめぇの矮小なちん…おっ、おぶぉええええええええ!?!?』

まず、症状として吐き気、その後嘔吐。
旧神柱にある顔それぞれがグロテスクな吐瀉物を垂れ流し始めた。

『ごっ、ごぼぉ!?』

嘔吐は止まらない。
やがて”毒”は次第に全身へと回っていき…

『なんだこれ…さ、さむい…みえない…くるしい…ああ…やだ…やだぁ!!』

数多のサーヴァントを犯し尽くしてきた男、葛城恋。
多くのサーヴァントに触れたことは確かだが、そのサーヴァント一人一人がどういった能力を持っているかは全く確かめていなかった。
こいつはゲームでレア度が高い、だから強い。反対にレア度が低いのは弱い。などそのくらいである。
もし、ちゃんと調べていたら静謐のハサンがどれ程の危険人物か分かっていたろうに。

「皆さん!落ち着いて避難を!!」

別の地区では逃げ惑う住民を先導しているのはこの町の自警団、そしてある時は無理矢理BARで働かされてる蘭陵王が。

『おぎゃああああ!!』
「なんて数だ…!」

逃げゆく人混み目掛けて襲いかかる使役獣。
馬に飛び乗り、蘭陵王は数匹を同時に相手とるが

『ああー、へへへへへへ!』
「っ!」

さらに別方向から使役獣が。
この距離では間に合わない。しかしこのままでは住民が使役獣の餌食となってしまう。
そう、思った時だ。

「そりゃッ!」

襲いかかろうとした使役獣は顔面に強烈な回し蹴りをくらい吹っ飛ぶ。
この窮地を救ったのは他でもない、蘭陵王と同じく、この町の自警団に所属するサーヴァント

「蘭陵王、変なやつは気にすんな。俺が全部何とかするから、よッ!」
「燕青!」

かつて探偵に救われた、あの燕青であった。

「ありがとうございます。」
「いいってことよ。ともかく住民の安全が1番だ。後は逃げ遅れがいないか探さねぇと…!」

蘭陵王、そして燕青が率いる自警団は住民の逃げ遅れがいないか巡回している。
戦える住民達もまた、使役獣がいれば可能な限り倒し、また旧神柱は無理して戦わず、サーヴァントの助けを呼ぶ。

「キルケーさん!大変です!」
「ふふ…皆まで言わなくたって分かっているよ。この一大事に大魔女の手が借りたいってことだろう?分かるよ、分かるとも。待たせたねピグレット達!!」

このように。

「醜い顔だ。せめて私が愛らしい姿にでも変えてあげようか!」

やって来た使役獣。
しかしキルケーはそれに対して攻撃を加えるのではなく、

『おぎゃ、』
『わきゃきゃきゃきゃ!!!』
「さぁ、たぁんとお食べ。遠慮しなくていいんだよ?」

固有結界の中、用意されたのは食事。
その豪華な献立に使役獣は笑顔をうかべ、喜んで頭からご馳走に突っ込み、かぶりつく。

『ほう、分かってるじゃねぇかマンコ。王である俺様に食事を用意するなんて大した心がけだ。貧相な体付きだが食後の運動に使ってやるよ。』

同じく招かれた旧神柱もまた、降り注ぐ食事達に豪快にかぶりついた。
それが、人としての最後の食事とも知らずに。
そして最初は用心深く、戸惑っていた使役獣もまた、次から次へと暴飲暴食へと身を委ね、

『み!?』
『んぎゅう!!んぎゅうううううう!!!!』
「気付いたかい?でももう遅いよ。さぁ、暴れ飲み、貪食せよ」

ようやく、自分の身体が変わっていってることに気がついた。

『なんだこれ…!俺様の身体が…!これじゃまるで…!!』

縮みゆく身体、
蹄のある短い前足、
そして次第に人語を話せなくなる己の口。
旧神柱、そして使役獣達にかつての姿はなく

「『禁断なる狂宴(メタボピグレッツ)』!!」

完全に豚へと姿を変えてしまっていた。




「流石は大魔女だ…えげつない事をするものだネ。」
「私、あの豚さんからとれたお肉は使いたくはないわ。あとで纏めて殺処分しましょ?」

ホテルの屋上からサーヴァント達の活躍を見下ろしているのはBAR『蜘蛛の糸』店主のモリアーティとそのマスターであった。
街の各所に存在する旧神柱。
それを見てモリアーティはため息をつく。

「実に哀れだよ。あそこまで醜く姿を変えてでも生きたいと願う。悪としてのプライドはないようだ。」

担いでいるのは銃器としての機能をいくつも備えた棺桶。
今日それで葬るのは、ソロモンを侮辱し悪としてのプライドなぞひとかけらもないおぞましい魔神柱達。

犯罪界のナポレオンとも呼ばれた彼が、そんな"悪"を許すはずがなかった。

「それじゃあ、行ってくるよ。」
「ええ、腰に気をつけてね。」

笑顔で手を振るマスター。
それにモリアーティは軽く手を上げて返すと、そのまま屋上から飛び降りた。



「おーいこっちだこっち!!」
「助けてくれ!手が足りねぇんだ!!」

また別の地区では、思わぬ助っ人が来ていたりもする。

「どうするんだい?ロビン。」
「いや、あれだけでかけりゃお得意の罠も仕掛けられませんって。」

姫路町にやって来たのはロビン・フッドとビリー・ザ・キッド
この2人は隣町の弓張町からやってきたいわゆる助っ人である。
彼らはとある者の司令を受け、こうしてやって来たのだ。

「んで、俺達に命令した前に出たがる隊長さんはどちらに?」
「ああ、東京にいる探偵さん?を助けに行くって言ってたよ。何か別件の用事があるみたい。」

上空から奇襲をかけようとする使役獣を撃ち落としながら、ビリーはそう答える。

「ったく、相変わらず俺らんとこの隊長サンはヒーローごっこが大好きなこった。」




また、別の場所では

「あー、やってるやってる!」

つい先程、別の場所にて人助けをしていた自称陰陽師、森川 真誉がとある場所を訪れていた。
それは、

「葵ちゃんも傭兵さんも頑張ってるなぁ…。」

東京、
旧神柱の内強い力を持つ三柱の一つ、『赤の女王』付近であった。
しかし彼女は手伝うことなく、遠くからその様子を眺めているだけだが

「助けに行こうかなぁ…やめとこうかなぁ…。」
「おやめになって方がよろしいかと。何せ拙僧と真誉殿、2人揃ってあの者達に死ぬほど嫌われておりますので。」
「だね。行ったら私達が殺されそうだもんね。」

まず手足は切られちゃうかなぁと物騒なことを呟く真誉というマスターとそれに微笑む彼女のサーヴァント、蘆屋道満。

「というわけで拙僧らはここでゆるりと見物させて頂くことにしましょう。」
「うん。あ、そう言えば道満。さっき見かけたんだけどね…!」
「はて、何を?」

彼女らが葵や傭兵達に一体何をしでかしたのかは知らないが、2人は援護に加わらずここでその活躍している姿を見てあげることにした。

「ほら!この前の男の子と狐のサーヴァント!」
「ああ、あのお二人ですね。」
「そうそう!その2人がね!さっき通ってったの!すっごい速いタクシーに乗って、びゅーん!って!」

マスターがそのタクシーが向かったであろう方向を指さす。
その方向は、まさに旧神柱の親玉がいる場所。
つまり、探偵と刑部姫が今まさに戦っている場所であった。

「ほう…。」
「ねぇ行く?私達もついてく?」
「真誉殿、それも辞めておきましょう。あの者達も拙僧らを死ぬほど嫌っておりますので。」
「えー冷たい。折角道満が蘇らせてくれたのにね。」

結局何をしても嫌われているからあまりいい反応はされない。
そう分かると不機嫌な顔をし、瓦礫に座り込んで頬杖をつくマスター。

「仕方がありませぬ。何せ真誉殿は悲劇のヒロインなのでしょう?」
「うん、そうだった。可哀想なくらい嫌われてる私は悲劇のヒロインだ。じゃあもっともっと嫌われないとね。」

片手に持っていた間桐桜の人形を強く抱きしめ、戦いをニッコリ微笑みながら見ている彼女。
しかし死んだような目には何も映っていないし、彼女自身この戦いの果て、勝者がどちらになるのかは別にどうでもよかった。
だって、
どう転ぼうが自分が可哀想になって悲劇のヒロインになれればいいだけなのだから。




『へぇ…面白ぇ。お前、微かだが神父と同じ匂いがしやがるな。』

また別の場所。
そこでは旧神柱が誰かのサーヴァントであろうBBを取り囲むようにして生えていた。
いきなり現れた気色の悪い旧神柱に匂いがなんだかんだと言われ、流石に困惑している彼女。
隣にいるのはマスターだが、彼女らには一つおかしな点があった。

「えー怖いですよセンパーイ。なんか知らないおじさんに同じ匂いがどうこうとか言われちゃったんですけどぉ〜。」

と、隣にいる男の腕にBBはわざとらしく抱き着く。
ちなみに"センパイ"と呼ばれた男は実はマスターではない。
マスターはマスターで、また別の女性と隣合っている。
このマスターとサーヴァント以外の男女1組は何者か、
それは、知っている人なら知っている、実によく見た顔だった。

「こいつ…。」
「知ってる。テレビで偉そうにしてた葛城財団のトップでしょ。でも、倒されたって聞いたけど…。」

Fate/EXTRAというゲームをご存知だろうか。
サーヴァントと共に月の聖杯戦争を勝ち抜いたり、また続編では月の裏側にあるサクラ迷宮の脱出を目指したりするあのゲームを。
そこの男女二人はまさにその主人公と瓜二つ…いや、そのものであった。
岸波白野、もしくはザビ男orザビ子
呼び方は様々だが確かにその2人がそこにいた。

「ともかくこいつら倒さなきゃいけないってことだろ!なんか魔神柱みたいだけど、そこまで強くないみたいだし!」
「じゃあコーハイくんあの魔神柱倒します?」
「いや無理だよ!!」

コーハイくんと呼ばれたマスターは必死に首を振る。
弱い、とは言ってもサーヴァントに比べたらの話で人間には到底叶わない相手だ。

「どっかのセイテイ様は普通に1人で何十本と折ってましたけど?」
「あれは人間だけど人間じゃないから!!」

さて、いつまでも仲良く4人で話をさせてくれるほど旧神柱はお人好しではない。

『てめぇら…死にやがれェーーッ!!』
「!!」

旧神柱の顔が一斉に口を開き、ビームを発射する。
辺りを焼き払い、周囲の使役獣をも巻き込みながら容赦ない爆発が彼ら4人を襲う。
この攻撃をまともにくらえば、人間ならひとたまりもないだろう。
だが、

『その姿…より"気配"が濃くなりやがった。どうやらお前は俺様と同じってワケだ!』
「ふふふ…何やら東京の方からすごくいあいあな気配がするのでBBちゃんもニャルっと変身してみたのです。てゆうかあなたみたいなのと同類にされるの、BBちゃんすごく傷つくんですけど!」

攻撃で舞い上がった土煙が晴れた先には無傷の4人。
そしてサーヴァントのBBは霊基を変え、本人曰く小悪魔的邪神モードへと変わっていた。

『ハッ!言いやがる!王の俺様と同類扱いされるってのは光栄な事だぞ?さぁ、似た者同士だ。さっさと俺様の奴隷になれよ。』
「うるせぇ!BBちゃんはキシナミの女だ!お前なんかに渡させてたまるかよ!!」

キレる後輩。
そこは俺のサーヴァントだ!とかじゃなくていいのかと言いたくなるがこれが彼らしさである。
BBちゃんはあくまで岸波白野のモノ。
それが理想にして究極のカップリングだと信じてやまないからだ。

『いいだろう!かかってこいよ!低脳同士仲良くしてるてめぇら4人の友情引き裂いて!てめぇらの前でそのマンコ共2人犯してやるからよ!!ぶっはははははははぁーッ!!!』
 
 

 
後書き
⚫かいせつ

⚫玉藻の前
如月ユウさん作『世界が崩壊して死にかけたら良妻狐が出てきました』からのゲスト出演
現在は東北の自衛隊駐屯地に身を置いており、葛城財団に抵抗するレジスタンス敵な組織に所属していた。
なお、この際大和と武蔵は玉藻の前にお世話になっているが、それはまた別のお話。
マスターである甘木 結羽をご主人様と呼び慕い、夢は2人の甘い夫婦生活を送ること。
その為にはやっぱり葛城財団は邪魔であり、レジスタンスに協力していた。

⚫アイリスフィールとイリヤスフィール
これも如月ユウさん作『アインツベルン親子の甘々ドロドロ性活』からのゲスト出演。
親子である二騎のサーヴァントと契約しているのは二ノ宮シロという男。
常日頃から親子丼プレイ三昧とかいう罪深き男。
ここでは自衛隊駐屯地に滞在しており、彼らもまたレジスタンスに協力している。
そしてこのマスターとサーヴァントの活躍もいずれ外伝『赤』にて書かれるよ。待っててね。


⚫BBちゃんと愉快な仲間たち
是夢さん作『崩壊世界で推しCPと家族になった』からのゲスト出演。
マスターの名はコーハイくん。それ以上でもそれ以下でもない。
さらにおまけにやってきたのはFate/EXTRAにて主人公を務めたざびーズ。
サーヴァントとマスターの間に余計なの入っていいの?と疑問に思うかもしれないがそれは全くの無問題。
コーハイくんは別にやれなくたっていいしただザビ男とBBのイチャイチャが見られればそれでかまわない。
けどザビ子が自分の身体を求めてくるので今日も今日とて魔力供給に勤しむのである。
よってここに互いに互いのクソデカ感情をぶつけ合う限界家族が誕生した。

あとコーハイくん、クソ作者的の個人的な考察だけどフォーリナー適性あると思う。
あーあ!どいつもこいつも旧神の力宿したりフォーリナー適性あったりしてよぉ!!
やっぱり舞くんって珍しくともなんともないんじゃないかな!!
 
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