『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
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姉少-おねしょた-
前書き
なんだこのサブタイトル!?
どうもこんにちは、クソ作者です。
久しぶりのえっちな話…の準備の話になります。
ちなみにこのクソ作者、今回の話を書くにあたって非常に昂っておりまする。
だっておねショタものなんだもーーーーーん!!!!
ヒャア!!滾るぜ!!心が踊るなぁ!!
この瞬間!この話を書く瞬間をずぅぅっっと待ってたんだよぉ!!!!
さぁもう始めるぜ!本編スタートだァ!!!
後日談。ということなのだけれど
「せんじつはたのしかったぞ。みやもとむさし。」
(誰…?)
民宿でたっぷり身体を休めた次の日、私のところへ小さな女の子がやってきた。
下半身は蛇、そして肌の色からしてもしやと思ったけど…
「そのようなかおをするのもむりもない、よはいぶきどうじ。いまはちからをしょうひしてこのようなすがたになっている。」
私と戦った、あの伊吹童子本人だった。
私との決闘で体力を使い果たし、元に戻るための力を蓄えている途中とのこと。
ちなみに、彼女はこうして人の領域に何事もなくやって来てはいるけどもうそんな些細なことはなんの問題もない。
あれから、人と鬼との交渉が結ばれ規則はだいぶ緩くなった。
境界線はあるものの、2つの領域は自由に行き来出来るようになり、今では互いに協力したりして町の復興を目指しているそう。
結界に関しては伊吹童子の父親…いわゆる八岐大蛇が睨みを効かせているから当分は安心みたい。
で、
「おぬしのマスター、ちょうしはどうだ?」
「それがその…まだ…」
問題なのは大和くんだ。
決闘の直後、彼は倒れ、意識不明となった。
外傷はない。精神的な疲れが溜まっているのかと思ったけど、違う。
眠りについた大和くんは普通に起きた。
けど、
「大和くーん。」
「…。」
「調子はどう?どこか痛いところとかないかな?」
「…ない。」
と、お行儀よく正座している男の子に私は尋ねる。
そう、年端も行かないようなまだ幼さが残るこの少年。
彼こそ、正真正銘あの竜胆大和くんなのだ。
⚫
先日。
「え…?」
意識不明になった大和くんを寝かせ、今後のことを頼光様の元へ話を聞きに行って帰ってきたら、思わぬ自体になっていた。
「だ、誰…?」
大和くんが寝ていたはずの布団。
そこには、一人の少年がスヤスヤと穏やかな寝息を立てて眠っていた。
「…。」
彼が身にまとっている、明らかにサイズのあっていないぶかぶかの服。
間違いない、これは大和くんのもの。
じゃあ大和くんはどこに?この少年は誰?
と、いくつもの疑問を頭の中に浮かべているうちに
「…。」
「あ…。」
少年が目を覚ました。
「…。」
「お、おはよー。いきなりでわるいんだけど…ぼくお名前は?」
「…。」
二三ほど目をぱちくりさせ、寝ぼけ眼を擦った後、少年は驚くことを口にした。
「…やまと。」
「へ?」
「りんどう やまと。じゃあおれからもしつもん。ここはどこ?おねえさんはだれ?」
「え…?え?え?えぇ…?」
自己紹介の後、冷静に自称大和くんの少年は質問を返してくる。
彼は、少年は確かに言った。
竜胆大和と。
⚫
そして今。
「すいそくにすぎぬが、よとおなじなのではないか?」
「同じ?」
「そう。かれもまたまりょくをつかいすぎたがゆえ、こうしてわらべのすがたにもどり、かいふくをはかっているのではないか?」
「そうは言われても…。」
魔力の消費が激しかった為、大和くんは今いわゆる省エネモードに入っている。
それが伊吹童子の推測だけど、彼は人間だ。
サーヴァントとはワケが違う。
…と、言いたいけども
「にんげんからまりょくはうみだせぬ。ましてやぶきをそうぞうするなどおとぎばなしのようなもの。というより、いまこのせかいがおとぎばなしじみているのだがな。」
彼女の言うとおり、大和くんは明らかに普通の人間ではない。
彼は死の淵をさまよい、そして魔力が生み出せるようになった。
刀、メイス、散弾銃。
そうした武器も自分の力で生み出した。
「つまりそんな事があるから…子供に戻ることは何もおかしいことではない…と?」
「うむ。」
自信満々に胸を張って頷く伊吹童子。
「つまりはかいふくすればもとのおとなにもどる。よがそうだからな。いまはかいふくにせんねんするがよい。」
「あぁ…はい。」
そういって彼女は去っていった。
「…。」
「だれいまの?おばけ?」
「ううん。おばけじゃないの。ほら、昨日話したサーヴァントってやつ。」
「あの子、ほぼはだかだったけどさむくないの?」
「そ、それは伊吹童子さん本人に聞いてみないと分からないかな…。」
幸い、頼光様には部屋は旅立つ日まで好きなようにお使いくださいと言われている。
しかしこの大和くん。見た目からしておおよそ歳が二桁いくかいかないかの年齢に戻っているはず。
さらに記憶障害が起きているみたいで、大人のことは覚えていないし自分は昨日学校に行ったと言っている。
にしても、年齢に似合わないあまりにも落ち着いた態度。
昨日、ここはどこかと聞かれた際ついでに崩壊世界のこととか色々話したのだが…。
彼は「ふーん。」とだけ答えた。
「じゃあ大和くん。」
「…なに?」
さて!
伊吹童子さんの言ったことが本当なら、このまま適当に過ごしていれば大和くんは元に戻るだろう。
でも、
「お姉さんとデートしない?折角の京都なんだしあちこち行きましょうよ!」
この好機をみすみす逃すなんてあまりにも勿体無い。
子供に戻ってしまった大和くん…嗚呼なんて可愛いんでしょ!
まだ中性的で幼げな顔。ぱっちりとした綺麗な目。
「デートってどこいくのむさし。」
「お姉さんね。」
ただ、少し生意気なところもあるけど。
「むさし」
「お姉さん。」
「おれ、おなかすいたよ。」
くぅ、と少年大和くんのお腹が鳴る。
あー、そういえば昨日の夜から何も食べてなかった。
というわけでまずは餌付け…ごほんごほん。一緒にご飯を食べましょう!
同じ釜の飯を食えばきっと親しくなって距離感もグッと近くなるだろうしね!
「何食べましょっか!あ!うどんとか」
「うどんきらい。」
「え?」
多分、親密になるのは少し難しい気がしてきた。
それから、
「相変わらず賑やかなのね。」
「…。」
二人で京都散策。
ここに訪れてから2度目のデートということだけど、隣にいるのは大和くんは大和くんでも子供のやまとくん。
前に歩いたはずのここもなぜだか新鮮に感じられた。
のだが
「ほら。」
「…。」
「しっかり繋いでないと、迷子になるから。」
「…いい。」
やまとくんは手をつなごうとしない。
それどころか、隣に歩くこともせず常に一定の距離を保ちながらついてきている。
不機嫌なんだか落ち着いてるんだか一切分からないその表情。
何?最近の子供ってそんなにマセてるの?
年相応らしくニコニコして甘えてお姉さんの胸に飛び込んできてもいいのにね。
って何を考えてるんだ私は。
「ねぇ、大和くん。」
このままではよくない。
そう思い、一度彼の視線に合わせてしゃがみこみ、おはなしをすることにした。
「お姉さんのことは、きらい?」
「きらい。」
「…。」
こんな面と向かってきらいっていう子はじめて。
「ど、どのへんがきらいなのかな?」
「なれなれしい。あやしい。」
「馴れ馴れしいって…お姉さん、やまとくんとなかよくしたいんだけどなー。」
「おれはなかよくしたくない。」
「そんなこといわないの。ほら、手繋ぎましょ?迷子になっちゃってもお姉さん知らないわよ?」
「おれはまいごにならない。」
完全に突っぱねられている。
そりゃあ…無理もないというかなんというか…。
ある日突然世界が滅茶苦茶になってお父さんお母さんもいないなんて説明したらどうしたらいいか分からないもんね。
ふーんなんて平静を装ってたけど、やっぱり不安なんだろう。
だからこんな態度をとるんだと思う。多分。
なので
「!!」
「あーかわいいなもう!!」
手を繋ぐのが嫌?
なら抱っこしましょ!!
「はなして!!だれか!!!!おまわりさん!!!!」
じたばたと暴れ、私から離れようとするやまとくん。
大人を舐められたら困るなぁ。まだ小さな子供がサーヴァントから逃げられるとでもお思いですか。
「何があっ…む、武蔵さん…?」
「あーごめんなさいね!いいのいいの!これスキンシップだから気にしないで!!」
「あぁ、そうですか…。」
と、あんまりにも叫ぶものだから慌てて守護隊の人が来てしまったけど適当な理由をつけて即帰ってもらった。
「…!!」
「ほら逃げないの!!」
足をバタバタさせ、もがいて腕をくぐりぬけ逃げようとするけどがっちり掴んで離すことなんてぜったいにするもんですか。
「いたっ!?」
なんて思ったけどまさか逃げたいあまり噛み付くとは思わなかった。
痛みで一瞬拘束が緩み、やまとくんはするりと腕を抜けてどこかへと逃げ出す。
「待ちなさーい!!」
待てと言われて待つ人なんているわけない。
やまとくんは人混みの中へ紛れ、どんどん遠ざかっていく。
しかし、この武蔵侮ることなかれ。
「どこに逃げようが必ず捕まえてみせる…!この武蔵の名にかけて!!」
やまとくんは、絶対に捕まえる。
⚫
「はぁ…っ、はぁっ!」
意味が分からなかった。
自分はいつも通り学校に行って、勉強をして、友達の家に遊びに行ってそれから家に帰って夜ご飯を食べて宿題をして寝る。
そんないつも通りの日々を過ごしていたのに、朝起きたらいきなり目の前に知らないお姉さんがいるし、もう学校はないしお父さんもお母さんもいないと知らされた。
頭の中がぐちゃぐちゃになった。
きっとこれが、脳の処理が追いつかないっていうことなんだろう。
さらにわからないことでいっぱいでどうにかなりそうなのに、なんか知らないお姉さんがしつこい。
仲良くしようとか、やけに馴れ馴れしいしすごくいやだ。
だから、こうして逃げ出しました。
「…ここまで来れば、大丈夫。」
人混みの中を突っ切り、おそらくあやしいお姉さんは自分を見失っただろう。
でも、
「どこ、だろう。」
ここがどこだか全く知らない。
知らない道、知らない人、
京都ってテレビでしか見たことありません。
おうちはどこ?どこを歩けばおうちに帰れる?
1人になって初めて、胸中に真っ暗な不安が溢れはじめます。
「おとなのひと…!」
そうだ、と思い出す。
昔母さんから迷子になった時は大人の人に聞けばいいと言われた。
お店の人に聞いてみよう。
ちょうどそこのお土産屋さんに…、
「いらっしゃいませやまとくん。欲しいお土産があるならお姉さん買ってあげよっか?」
「!!!!!!」
あやしいお姉さんがいました
お店に入ろうとしたらお姉さんが出てきました。
まるで自分がここにいることを最初から分かっていたみたいに。
「っ!!」
当然、慌てて逃げ出します。
見失ったと思ったのに、逃げきれたと思ったのに、
足が疲れた。でも無理矢理動かす。
あのあやしいお姉さんには捕まってはいけない。
本能がそう告げているし第一あやしい人にはついて行くなと学校で習いました。
だから逃げる。頑張って逃げる。
「ここまで…来れば…。」
と、そこからもうすごく頑張って逃げたやまとくん。
運動はわりかしできた方なので長く走ることには自信がありました。
でも、
「つかれた…」
「お疲れ様。お水飲む?」
「ありがと………えっ?」
差し出されたペットボトルを受け取り、一息ついて飲もうとした時やまとくんはおや?と思いました。
「…!!!!!!!!」
「あ、蓋開けられない?お姉さんが開けよっか?」
なんと隣にいたのはあやしいお姉さんでした。
「にしてとやまとくん、ちゃんとありがとう言えるのね。えらいえらい。」
頭を撫でようとしたその手をかわし、やまとくんはまだ逃げます。
どこまでもどこまでも、
もうどこだっていいのです。
家じゃなくても、とにかくあのあやしいお姉さんのいないところならなんでもいいのでした。
けど、
「ここにかくれてよう…。」
「なに?かくれんぼ?」
「!!!!!!」
建物の間に隠れようが
「ここまでくれば…」
「お疲れ様。大変だったでしょ?」
「!!!!!!!」
屋根に登ろうが
「ここはぜったいに」
「はいみーつけた。」
「!!!!!!!!」
男子トイレの個室に身を潜めようが、あやしいお姉さんはとんでもない速さでやまとくんを発見します。
最早恐怖まで覚え始めました。
「ぜぇ…ぜぇ…。」
そうして逃げて逃げてまた逃げて…
気付けばやまとくんはどこかも分からない薄暗い路地裏まで来ていました。
さすがにここまで来れば、あのあやしいお姉さんも追っては来れないでしょう。
「…。」
これで一安心したはいいものの、そうしたらお腹がくぅと鳴りました。
「おなか、すいた。」
そういえばお昼を食べてません。あのまま逃げ出したのですから。
あちこち走り回ったのですから余計にです。
それにここは人の気配の全くしないじめじめした薄暗い路地裏。
怖くなってしまいここから早く立ち去ろうと踵を返した時でした。
「そこのキミ、どうしたのかな?」
「!!」
一瞬、びくりとしますが後ろにいたのは優しそうな大人の男性。
やまとくんはほっとします。
「た、たすけてください。へんなおねえさんに追われてるんです。」
「変なお姉さん…?」
そうしてやっと会えたマトモな人にどうして自分がそうなったかの経緯を話し、そして助けを求めます。
これでもう安心です。大人がいれば何も怖くありません。
「おれ…うちもどこかわからなくて…いきなりしらないところにいて、もうなにがなんだかわからなくって…。」
「そうか…でも安心して欲しい。我々のところに来たならもう安全だよ。さぁ、」
そう言って優しそうなお兄さんは手を差し出します。
やまとくんはなんの疑問も持たず、それを救いの手だと信じ掴もうとしましたが…。
「きみ!!」
「!!!」
急にお兄さんの柔和な笑顔が豹変。
くわっと怖い顔になるといきなりやまとくんを怒鳴りつけました。
「な、なに…?」
「この手の紋章は…まさか!!」
いきなり手を引っ張られ、手の甲にいつの間にかあった紋章を指さしながらお兄さんは尋ねます。
「どこで契約した!?」
「え?」
「契約だよ!!君、悪魔と契約したんだろう!?」
手の甲の紋章についてのことはやまとくんは何も知りません。
ただ起きたらあって、なんだか少しかっこいいなと思い洗わずにとっておいたのです。
道行く人々の中にも、同じように手の甲に紋章が書いてあったのであ、今流行ってるんだなと思いそこまで気にしたりしてませんでした。
「べつにこれは」
「おいどうした!?」
「そんなに叫ぶな、悪魔共に見つかったらどうするんだ。」
と、お兄さんに強めの口調で質問をされていた時、また別のところから2人組の男が。
どうやらこのお兄さんのお友達のようです。
お兄さんは友達に何があったのかと聞かれると、いきなり涙を流し、嗚咽をこらえながら必死に説明を始めました。
「これを…見てくれ…!」
「なんてことだ…悪魔の魔の手が子供にも!」
「まだ子供だってのに…クソっ!節操のねぇ悪魔共が!」
お兄さんが2人にやまとくんの手を見せます。
すると2人とも切羽詰まったような顔になり、さらには冷や汗みたいなものも流れ二、三歩後ずさりました。
「まだ間に合うかもしれない!」
「ああ!諦めるのはまだ早い!俺達で出来ることをやるんだ!」
お兄さんがそう言い、友達と顔を合わせて頷き合うと、やまとくんのことは何も聞かず強引に引っ張り、どこかへと連れていきました。
「やまとくんみーつけ…あれ?」
約2分後。
あやしいお姉さんがやって来ましたが、そこにやまとくんの姿はありません。
あやしいお姉さんはやまとくんの気配を探知し、完全に追跡することが出来ます。
あやしいお姉さんだからこそなせる技なのです。
しかしショタやまとくん探知機の通りに追跡したはずなのですが、いません。
ゴミ箱や無造作に置かれてる資材にも隠れていません。
「…やまとくん?」
いません。本気でいなくなり、どうしたものかと思いましたが…
「…?」
ふと、何かを感じます。
とはいっても一般人には感じることの出来ない、ほんの僅かな風の流れ。
剣豪でもあるあやしいお姉さんだからこそ感じ取ることが出来ました。
「風の流れ…?どこから…?」
路地裏に僅かに吹いた、不自然な風の流れ。
その風の中には、やまとくんの微かな気配。
それを感じ、あやしいお姉さんは瞬時に全てを理解しました。
⚫
それから、
「ここどこ?」
「秘密基地さ。」
やまとくんはお兄さん達の秘密基地へと案内されました。
路地裏にて、どう見てもただの壁を押すと一部分がへこみ、それがスライド式のドアに変わったのです。
やまとくんはそういったものが大好きでした。一瞬で夢中になりました。
「ともかく時間がない。急ごう!」
早足気味のお兄さんに手を引っ張られながらやまとくんも頑張ってついていきます。
しばらく狭い通路を歩くと、やがて開けた場所へ出ました。
「帰ったのか…ってその子は?」
「説明は浄化の準備をしながらだ。俺達でこの子の命を救うんだよ!」
「浄化?まさかこの子が!?」
そこにはお兄さんとお兄さんの友達以外の人が何人かおり、"浄化"というワードを聞くなり驚いた表情になっていました。
今から何が始まるんだろうとまったく状況の分からないやまとくんですが、全員が焦ったような表情で忙しなくしている辺り、何かよくないことが起きるのかと嫌な予感はしていました。
そういえば、テレビでよく見るドラマやアニメでも言っていました。
嫌な予感ほど、よく当たるものだと
「さぁ、手をここに。」
「?」
大人達はやまとくんを囲むと、机の上に紋章のある手を置くように指示します。
何が何だか分からず、首を傾げているやまとくんですが
「これからなにす」
「早くするんだ!!死にたいのか!!」
またお兄さんが怒鳴ります。
びっくりして怯えながら机の上に置くと、なんと他の大人達でやまとくんの腕を強引に押さえつけ、
「なるべく苦しまないように、頼む。」
「ああ。これより"緊急浄化"をはじめる。」
また別の大人が、ガスバーナーを持って現れました。
ボー、という音と共に青い炎が吹き出、ガスバーナーはゆっくりとやまとくんの手の甲へ近づいていきます。
そして、やまとくんでもこの後自分がどうなるのか理解出来ました。
「やだ!!やだ!!!!」
焼かれる。
何故だか知らないけど、これから自分は紋章のついた手を焼かれるのです。
それは嫌です。きっと痛いし熱いし、やまとくんは全力で抵抗しました。
しかし大人数人がかりで押さえつけられたらどうすることも出来ず、やがて徐々に手の甲が熱くなってくるとガスバーナーはすぐそこまで来ていることを嫌でも理解させられます。
もう、ダメです。
「だれかたすけて!!!!」
「ああ助けるさ!!俺達が君を悪魔から助けてやる!!」
焼かれる。
諦め、やがて来るであろう痛みに歯をぐっと食いしばり、耐えることにしました。
しかし、熱いのはいつまでたっても来ません。
それどころか、
「…?」
ふっ、と押さえつけられていた腕が急に自由になりました。
なんだろう、
そう思い、瞑っていた目をゆっくり開けると目の前には
「い、いてぇ…!」
手をおさえ、痛がっているガスバーナーを持っていた男。
その足元にはカラカラと床に転がるガスバーナー
腕をおさえていた大人達はそれをやめ、皆あるものを見ていました。
そこにいたのは
「お姉…さん?」
「助けてって聞こえたので、助けに来ました。」
あやしいお姉さんでした。
彼女はすぐに走り出し、机を飛び越えやまとくんの手を引っ張ると、背中に回します。
「振り落とされないよう、しっかりつかまってて!」
「…うん。」
あやしいお姉さんにおんぶしてもらう状態になり、やまとくんは言う通りしっかりお姉さんの身体にしがみつきます。
「なんだお前!!」
「いかにも、私がこの子のサーヴァント宮本武蔵です!」
「サーヴァント…こいつ!悪魔だ!!」
あやしいお姉さんを悪魔というなり、大人達は皆手に武器を持ちます。
「どこの誰だか知らないけど、やまとくんにひどいことするなら容赦はしないから!」
それから、あやしいお姉さんの活躍はすごいものでした。
あちこちとびまわり、すごいはやさで走り、怖い大人達を次々とやっつけていきます。
ものの5分としないうちに、そこには十数人の大人が倒れた光景が広がっていました。
「悪魔め…!」
「安心しなさい。やまとくんへの配慮を含めて峰打ちにしといたから。」
さすがに斬って殺すのは子供のやまとくんによろしくないため、峰打ちで全て仕留めたあやしいお姉さん。
後は守護局の方々に任せることにします。
「大丈夫?怪我とかない?」
「…うん。」
戦いは終わったので、背中におぶったやまとくんを下ろすとあやしいお姉さんはしゃがんで目線を合わせ、怪我はないかと聞きました。
無傷です。酷いことになる前に、こうしてあやしいお姉さんが助けてくれたのですから。
「その…むさし。」
「うん?」
「たすけてくれて、ありがとう…。」
命を救われたようなものなのでどれだけあやしくてもお礼は言わないといけません。
そうするとあやしいお姉さんはニッコリ笑って返し、頭を撫でます。
そうすると、
「あと…。」
「あと?」
「おれ、こわかった…!」
やまとくんの強気の仮面が剥がれ落ちました。
両目に涙をいっぱいに溜めて、不安になった心の中を吐き出すと思いっきりお姉さんに抱きつきます。
「うんうんそっか。怖かったね。」
「おれ…すごいこわかった…!!」
「うん。もう大丈夫だから。」
泣いているやまとくんを抱きしめ、背中をとんとんと叩くあやしいお姉さん。
いいや、彼女はもうあやしくなんかありません。
抱きしめている時の顔はニヤついていて不審者極まりないですがそこにいるのはやまとくんを助け、敵をバッサバッサと華麗にやっつけたかっこいいお姉さんです。
「疲れたでしょ?おぶってこっか?」
「…うん。」
あちこち走り回り、やまとくんはもうクタクタです。
かっこいいお姉さんの胸でひとしきり泣いた後、やまとくんはおんぶされ家に帰ることにしました。
「ねぇ、むさし。」
「なぁにやまとくん。」
「おなかすいた。」
「あー…お昼食べてないもんね…じゃあお姉さんと遅めのランチにしましょっか!」
「うん。」
最初は鬱陶しくて嫌いだったとしても、
今ではこうして仲良くなることが出来たのです。
後書き
かいせつ
⚫武蔵ちゃんの様子がおかしい。
なんかおかしいよね。
なんだか普段と違ってグイグイ来るような感じがしたかと思います。
それもこれも全部あるものと関わりがあるんですよ。
次回、解説します。
⚫ショタやまとくん探知機EX
竜胆大和の宮本武蔵にのみとうさいされた、小さくなった自分のマスターを確実に探し出すためのスキル。
あくまで"ショタやまとくん"探知機なので普段の大和くんに対しては全く機能しない。
⚫手を焼こうとした(文字通り)人たちは?
クソ作者の作品を読んでいたらもう分かってると思います。
そうです。人間同盟です。
関西にまで勢力を伸ばしてるクソみてーな新興宗教です。
彼らがやまとくんに行おうとしたのは"緊急浄化"というものであり、悪魔との契約の印…すなわち令呪を身体から切り離す、もしくは消し去ることを指します。
普段なら教祖の元へ連れていき、悪魔との契約を肩代わりしてもらう方法もありますが教徒の皆さんは大体緊急浄化で済ませちゃってます。
令呪の刻まれた手を斧や鉈でバッサリと切り落とすシンプルかつ大胆な方法が主ですがやまとくんがやられかけたように、バーナーなどの火を使った方法で徹底的に手を焼き焦がして強引に令呪を消す方法もあります。
子供だから未来がある。だから片手を使えなくするのはあまりにも勿体無い。というお兄さんの慈悲でそうなったのですがどの道炭化するまで焼くのでどちらにしろ使い物にならなくなっちゃうんですけどね。ハハッ。
人間同盟たちの主な活躍が気になった読者の方は本編、及び外伝『紫』をお読みください。
それでは、次回もお楽しみに。
次はおねショタえっちするよ!!!!やったね!!!!!!!!!
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