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艶やかな天使の血族

作者:翔田美琴
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4部 淫楽に堕ちる天使
  22話 俺を玩んでくれ

「アン…アン…アアッ!エリオット…さん」
「感度が上がっているんじゃない?縛られるのがそんなに興奮するのかな…?」

 エリオットが使う赤いネクタイが水菜の両方の手首を縛り、ベッドの端に固定されている。彼女は両方の手首を縛られ、しかも今夜は目隠しまでされて喘いでいた。
 そして銀髪の悪魔の舌が這う。弱点を攻めるように、ふくらみを、花びらを、身体のあらゆる場所に、キスを降らせる。 
 彼らはもう書斎ではしていない。
 愛妻も共に寝ていた場所に、今は水菜というスケープゴートが寝ていた。ベッドルームでの彼はとことん淫楽に身を任せる天使そのものだった。
 細身の体は汗でしっとりと濡れて、少し切れ長な銀色の瞳は快楽に陶酔する。
 しかし。この夜はどうも夢中になりきれない。情熱が冷めた彼はそこで中途半端にやめた。拘束していた赤いネクタイを外して、目隠しを外す。

「どうしたのですか?エリオットさん」
「すまない。今夜はもういい。調子が出ないようだ」
「私に不満でも…?」
「別に。そういう訳では…ないよ」

 ただ……。対等にと言ったのに、君は俺の支配を簡単に受け入れる。それでは、君を性の奴隷にしているのと同じじゃないか。簡単に落ちるじゃないか。つまらないよ。それでは……。
 君では無理なのかな。俺のスケープゴートになる事は。
 なぁ……俺を弄ぶ権利は君にはある。
 俺を玩べよ。快楽の道具にしてみろよ。
 相反する感情が湧いて出てくる。
 その時。
 俺はアネットが昔、言った台詞を思い出す。

「貴方って時々、攻められたい欲求があるよね。いい意味でマゾっぽい所というか、支配されてみたいという所」
「いつも支配者でいると冷めるものね。じゃあ……今夜は私が支配してあげる」

 そういう時は俺はアネットの言う事をきいた。すると感覚が鋭くなって妙な気分になる。心地よいというか、それも悪くないという気分。
 そういう時、俺はまたもう1段階、階段を上がる。新しい快感に目醒めるのであった。
 また、その階段を上がる時なのかな。
 今度は彼女がそれをするのか。
 今なら、その支配。受け入れられるかも知れない。
 俺は言葉にして言った。

「水菜。お願いがある」
「何でしょうか?」
「今夜は俺を支配してくれないか?目隠しでも拘束でもなんでもいい。俺を玩んでくれ」
「……」
「今まで俺がした事をそっくりそのまま返してくれ。水菜。今の君は俺の奴隷だよ。それじゃあつまらない」
「いいのですか?ふざけるなって手を挙げないですか?」
「君に暴力は振るわない。最低限の約束だろう?」
「……わかりました。じゃあ……」


私の名前はディータ。
今夜私があなたの女主人になる。
あなたをトランス状態にしたいの

あなたを後ろから捕まえたら
私をあなたの心に押し込む
あなたが多少なりとも予期していたら
あなたは払いのけようとする?
もし私が担当で
あなたを子供のように扱ったら興奮する?
私の口の行きたいところへ行かせてあげて

あきらめなさい
私の言うとおりにしなさい
あきらめなさい
私のやり方でやらせなさい
あなたに愛をあげる
トラックのようにぶち当たってあげる
あなたに愛をあげる
どうやるか教えてあげる

あなたをずっとトランス状態にしたい
エロティック
あなたの手で私の体中を触って
エロティック

一度炎の中に手を置けば
もう同じではいられない
小さな痛みの中に確かな満足なんてない
解ったみたいね?
あなたも同じだ
もし怖いのなら克服して
私は愛する人しか痛めつけない

あきらめなさい
私の言うとおりにしなさい
あきらめなさい
私のやり方でやらせなさい
あなたに愛をあげる
トラックのようにぶち当たってあげる
あなたに愛をあげる
どうやるか教えてあげる

あなたをずっとトランス状態にしたい
エロティック
あなたの手で私の体中を触って
エロティック

エロティカ ロマンス
あなたをトランス状態にしたい
エロティカ ロマンス
あなたの手で体中を触って

あなたは痛みがなんなのか解っていないよう
そういう方法はやったことないみたい
あなたに大きな喜びを運んであげる
あなたが言うならあなたのところへ行く
私が欲しいでしょ?
痛くしない
痛くしない
ただ目を閉じて

エロティカ ロマンス
あなたの手で体中を触って
私の体中を

エロティカ ロマンス
あなたをトランス状態にしたい
エロティカ ロマンス
違うふうにやってみたい

あなたをずっとトランス状態にしたい
エロティック
あなたの手で私の体中を触って
エロティック

あなたを痛めつける人だけが
あなたを気持ち良くできる
痛みを加える人だけが 取り去れる

 こんな歌が浮かんできた。
 俺はその日、目隠しをされて、水菜に責められた。水菜の舌が俺にくる。その度に快感が倍増されてくる。どこを舐められたのか。全部知っている。
 胸…腹…鎖骨…脇…おヘソ…濃厚な口づけ。
 勿論、アソコも。水菜が愛液塗れになったのかわからない。でも…激しく搾られた記憶はある。
 
「私が今夜、貴方の主人になる」
「だから……思い切り貴方を味あわせて」
 
 俺はその日、喘いだ。
 目隠しをされて感覚が研ぎ澄まされる。
 そうだよ。これを待っていた。
 もっと玩んで。
 俺も彼女を手の感覚だけで体中を触る。
 このぬるぬるするのは花びらだよね。
 すると彼女がそこを顔に合わせてきた。

「私を悦ばせて」
「ハアッ…ハアッ…いつも以上に美味しい」
「そう…そうよ!激しく舐めて…!エリオット」

 蜜を啜りながら、妙な感覚がくる…!
 今は夜がなのか?昼間なのかわからない。
 
「私は愛する人し傷付けない」
 
 この夜。
 新しい快感に目覚めた。
 階段を上がる。
 支配されるのも悪くない。
 手首まで縛られる。
 自分自身の触覚を頼りに体に触れる。
 俺はその日信じられない快感に溺れ。 
 アイマスクで隠された俺は身体の中まで彼女に支配された、そんな夜だった……。 
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