『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
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傾国の乙女と夢で繋がる話
前書き
どうも、クソ作者です。
舞くんとユゥユゥの出会いの話となります。
今回の内容はこの小説にしては比較的ソフトなものかと思います。
「えっ?」
気がつけばそこは、豪華な宮殿の目の前だった。
どうして僕がこんな所にいるのかなんて、全く覚えがないし心当たりもない。
覚えている記憶は、お栄ちゃんにいじめられてからその後泥のように眠りについたくらいだ。
だとするとここは…
「夢…?」
以前アビーが夢の中に会いに来たみたいに、ここも夢の中のものなのだろう。
にしてもこれはアビーの仕業なのだろうか?
こう…いかにも中華っぽい宮殿だし、アビーはそもそも中国に関係あったっけ?
それに、
「この服…なんだろう。」
アビーが夢の中に遊びに来た時、その時の僕の服は犬耳メイドだった。
しかし今回はチャイナ服。
きらびやかな金の装飾に優雅な花の刺繍。そしてスリットの入った色気を感じさせるものだ。
「場所が場所だし…そこに合わせたのかな…?にしてもなんでこんなふうにしたんだろう…。」
考えても仕方ない。きっとアビーはこの中で待っているだろう。
そう思い、僕は宮殿へと足を踏み入れた。
「すごいところだなぁ…。」
今僕は宮殿の中へと入り、一本道の廊下を進んでいる。
見渡す限りの豪華な装飾。等間隔に並んでる絶対に高い壺。
そして僕が通り過ぎると壁に備え付けられた蝋燭達にボッと青い炎が灯る。
それに…なんだろう。
この気配はどこかで感じたことのある気配だ。
そうして歩き続けると、やがて行き止まりに。
そこには広い空間が広がり、広間の中央には誰かがいた。
「…。」
女性だ。
琵琶の旋律を奏で、周囲には人型の青い炎がゆらゆらと揺らめいてダンスを踊ってるみたいだった。
やがて炎の1つが僕の存在に気付き、その琵琶を奏でる女性に何か話す。
すると女性は奏でることをやめ、ゆっくりと顔を上げた。
「…お待ちしておりました…葛城 舞様。」
「…え?」
中国の伝統衣装、肚兜に身を包んだ女性。
見る者を魅了してしまいそうな美貌。
彼女を見たならば、1000人のうち1000人は美人だと言うだろう。
けど、
「…誰…ですか?」
僕はこんな美人な知り合い、覚えがない。
この世界でも会ったことは無いし、ましてや以前の世界でもこんな人と知り合ったことは無い。
「ああ、失礼しました。」
彼女は琵琶を置き、立ち上がって礼をすると僕の所へ歩み寄ってくる。
そして僕は、この後の自己紹介によって彼女の溢れんばかりの美貌に納得することになる。
「フォーリナー"楊貴妃"。あなたとのご縁を辿り、こうして夢の世界にて出会えたことを嬉しく思います。」
そう、
世界三大美女に数えられるあの楊貴妃。
しかも彼女は、お栄ちゃんやアビーと同じフォーリナーのサーヴァントだったのだ。
「…。」
「…。」
「あの…えーと…。」
「?」
と、さっきまで威厳たっぷりだった彼女の表情が急に崩れた。
「もう…いいかな?」
「え?」
「その…堅苦しいのは、苦手?」
「うん…まぁ。」
「そ、そっか。じゃあ改めまして!」
言うなればさっきまでのそれは楊貴妃としての威厳を保ったもの。
そして今話しているこれが本性。というべきなのかも。
「あたしはフォーリナー楊貴妃。ユゥユゥって呼んでくれたら嬉しいな!」
「じゃ…じゃあユゥユゥ…さん。」
そう呼ぶと彼女はふくれっ面をして不機嫌そうになる。
「違う違う。"さん"はいらない。こうして会えたのも"縁"が引き寄せてくれたんだし、もうあなたとあたしは友達同士なんだから!」
「そう…なんですね。」
「敬語もダメ!」
砕けた話し方でいいよ。なんて言うけど相手はあの楊貴妃様だ。
恐れ多くて普通に話すことすら出来ないよ。
「ほら!ユゥユゥって呼んで!」
「ユゥ…ユゥ。」
「ダメ!もっと自然に!」
と、彼女は僕の腕を掴んで擦り寄ってくる。
その豊満な二つの果実が僕の腕に押し当てられているわけで、思わず目を逸らしてしまう。
なんだろうこの子?わざと?それとも無意識でやってる?
「そうだ!折角来てくれたんだしおもてなしをしないとね!マイマイはライチ好き?」
「マ、マイマイ?」
何かカタツムリみたいなあだ名をつけられちゃった。
「そ。葛城 舞。だからマイマイ!そうやってあだ名で呼んだ方がマイマイも呼びやすいでしょ?」
「そう…なんだ。」
と、その後僕は彼女に引っ張られてどこかへと連れていかれる。
そこにあったのは色とりどりのフルーツ。
滅多にお目にかかれないような高級そうなものがお皿に盛り付けられており、鮮やかなフルーツは瑞々しくておいしそうだ。
「…。」
とにもかくにも、ここで頂かないって言う選択肢はあまりにも失礼だろう。
なので僕は彼女のオススメであろう、ライチを手に取る。
「…おいしい。」
皮をむいて中身を齧ると果汁が溢れ、独特の甘い匂いが鼻に伝わってくる。
おいしい。
ただそれだけしか出なかった。
「でしょ?」
と、ニッコリ笑顔でまたライチを差し出される。
楊貴妃はライチを好んで食べた。この辺は僕でも知っている。
他にも美容のために真珠を溶かして飲んだりとかも聞いたことがある。
「そういえば…。」
「なぁに?マイマイ。」
その呼ばれ方にまだ多少の恥ずかしさを覚えつつも、僕は思ったことを尋ねる。
「さっき…"縁"が僕たちを引き寄せてくれたって。」
楊貴妃…ユゥユゥは確かにそう言った。
けど、僕は彼女という存在と会ったことは無いしそういったフォーリナーがいたことすら知らなかった。
でも、彼女は僕のことを知っている。どうして?
「…以前の世界のこと…覚えてる?」
「以前…もしかして知ってるの?」
以前の世界。
それは僕が生まれ育った世界のことであり、この崩壊世界とは全く違う世界線。
僕はそれを聞くと、ユゥユゥは頷いた。
「マイマイが這いよる混沌を倒す時、何の力を借りたか…覚えてるよね?」
「それは…生ける炎の力を…!?」
僕は以前の世界にて、這いよる混沌と対峙した。
そこで彼の弱点を突くために生ける炎の力を"拝借"したことがある。
いずれ生ける炎に会うかもしれない未来の世界線を観測し、そこから炎を無許可で前借り…もといぶんどるといったかなり強引なものだったけど。
そして僕は、1つの答えに辿り着く。
フォーリナーはそれぞれ、旧支配者や旧神の力を宿している。
とすると彼女は…。
「君をフォーリナーたらしめるのは…"生ける炎"?」
「当たり。天子様の力を使ったから、こうしてユゥユゥとマイマイは出会わなければならないという縁が出来た。因果逆転みたいなものかな?それにね…。」
「…!!」
彼女の腕が、僕の右腕を優しく撫で上げる。
「あなたの中にいた"黄衣の王"。天子様とはとても仲良しだって聞いてるから。」
そう、かつて僕にも、"それ"はいた。
今はいないが、僕の右腕に潜んだ旧支配者。
それとだ、
僕はまたある事を思いついた。
「傾国…。」
「えっ?」
ユゥユゥの顔がひきつった。
「傾国偽娘…。吉原で働いてた時、僕そうやって言われてたんだ。だから傾国繋がりで縁も出来たんじゃないのかな?」
「あ…あぅ。」
これは少し前の話だけど、僕はこの世界に来てお栄ちゃんと離れ離れになった時、吉原で働いていたことがある。
男の娘専門店っていうけっこう人を選ぶところだけど、僕はそこで人気ナンバーワンになったんだ。
僕の噂を聞き付け、国の偉い人とかが来たりしたんだけど…うん。男っていうのはとても単純なんだって思えた。
次々とお客さんを骨抜きにし、政治もままならぬなんにもやる気が起きない状態に陥らせてしまったことがあるんだ。
それを見て、吉原の住人が楊貴妃のようだと思いこう言ったそうだ。
国を傾けかねない男の娘。
『傾国偽娘』と。
「きっとそういったものもあると思うんだ。多分同じ傾国繋がりでさ。」
「…。」
新たな共通点を見つけて、嬉しくなってしまうも何故か楊貴妃は嬉しくなさそう。
それどころか頭を俯かせ、ふるふると方をふるわせている。
あれ…もしかして…。
「け…」
「け?」
「傾国って言わないでぇ〜〜〜!!!」
泣かせてしまった。
その場にぺたんと座りこんで、人目も気にせず泣き始めた。
「え、あ、その…。」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!!!そんなつもりじゃなかったのにぃ〜〜!!!」
わんわん泣いてる…。
周りには火の精霊みたいなものが集まり、何か言っているようにも見える。
なんだろう…「ちょっと男子〜!楊貴妃様泣いちゃってんじゃん!」みたいなこと言われてるような気がする…。
「よ、楊貴妃さん?」
「わぁぁぁぁ!!ばかばかばかばかばかぁぁぁぁ!!」
とりあえずしゃがみこんでユゥユゥに視線を合わせ、泣き止むよう説得を始める。
「あ、あの…ごめんなさい。別に悪くいうつもりはなくって…。」
「傾国なんて褒め言葉じゃないんです!!!ユゥユゥだってダメにするつもりでやったんじゃないんです!!!」
だめだ。ちょっとやそっとじゃこの子は泣き止まない。
周りの火の精霊達の炎の勢いもどこか激しくなったようにも見える。
早く何とかしないと…!
「ほんとにごめんなさい。楊貴妃さんがそこまで気にしてたなんて考えてなくて…。」
「…。」
彼女は俯いたまま動かない。
泣き止んだ…わけではない。時々肩が動き、まだ少し泣いているのが分かる。
とにかく泣き止んで欲しい。
そうして僕は、後に後悔することを言ってしまったのだ。
「お詫びに何でもするよ!楊貴…ユゥユゥのして欲しいこと何でも!!僕に出来る限り何だってやるよ!」
「…!」
安易になんでもするとは言ってはいけない。
実際、過去に僕はお栄ちゃんやアビーに同じことをいってとっても酷い目にあったというのに、僕は過去から学ぶことなく、二度あることは三度あるという言葉があるようにまた軽々と言ってしまったのだ。
「ほんと…?」
「うん!本当に!!」
「嘘じゃない…?」
「うん!嘘なんかつかないよ!何でもする!」
「ふぅーん…そうなんだぁ…♡」
俯いた彼女の表情は、僕からは見えない。
にんまりと微笑み、何かを企んでいる悪い笑みを浮かべていることなんて。
⚫
「ま、舞?」
「そ。マイマイは舞って名前なんだから、ダンスはお上手でしょ?」
「ち、違うと言えば嘘になっちゃうけど…うん、まぁ。」
まず楊貴…じゃなかった。ユゥユゥに招かれたのはとても広い部屋。
ダンスホールらしき場所に連れ出され、僕は踊ることを強要された。
「ユゥユゥが琵琶を弾くので、マイマイがそれに合わせて踊る。それって最高の組み合わせだと思うんだ!」
「うん…でも僕そこまで」
「いいのいいの!そこはフィーリングでなんとかするってことで!!」
断ろうにもさっき言ったこともあり断れない。
こうして僕はユゥユゥの奏でる旋律に合わせ、舞うこととなった。
のだけれど、
これがなかなかに楽しい。
楊貴妃はかつて楽器の演奏を嗜んだという説も残っている通り、彼女の旋律はとても心地よいものだった。
無意識に心が踊る。
それに釣られ、自然と身体もリズムを刻む。
扇子片手に、僕は踊る。
いつの間にか集まってきた炎の精霊達と一緒に、優雅な舞踏会を楽しむ。
自然と笑顔になって、ユゥユゥも笑顔を返す。
お互いに楽しくなって、もっと奏でたい、踊りたいと思ってしまう。
踊っても、踊っても、疲れなんか感じない。
そうして僕とユゥユゥは、長い長いセッションを心ゆくまで楽しんだ。
「すごいねマイマイ!名前の通りとっても上手く舞えてたよ!」
「え、そ、そうかな…。」
一応、ここで生き残るために舞を舞ったりしたことはある。
けどそこまでべた褒めされるとは思わなかった。
「ねぇねぇ!じゃあ次は何する?」
「…!」
そうしてまた、僕の腕に抱きついてくる。
立派な2つの胸がこれまた腕を挟み込んでくるわけで、心地よい感覚を伝って思わず変な声を出しそうになる。
お栄ちゃんやアビー、2人ともそういう関係なため女性関係にはめっぽう強いと思うかもしれないが、こうやってグイグイ来られるのは弱い。
2人には慣れているが、こうして会ったばかりの子にされるのはまた違うんだ。
「…もしかして、まだ緊張してる?」
「えっ、」
と、ユゥユゥが僕の顔をのぞきこんで言った。
まるで僕の思ったことを見抜いたみたいだ。
「じゃあ、これ。」
そうして彼女が取り出したのはライチ…のようなもの。
ようなものと言うのは確認する前にユゥユゥが無理矢理口へと入れた為、よく見えなかったから。
柔らかい感触で噛むと甘い味が口の中にじわりと広がった。だから多分おそらくライチ。
「どう?気分がほぐれるでしょ?」
「う、うん…。」
ユゥユゥが食べさせてくれたライチ
それを食べたら確かにいくらかリラックスしたような気分になった。
身体も、なんだかポカポカと温かい。もしかしてお酒が入ってる?
「それじゃあマイマイ!踊って汗も流したんだし!一緒に温泉行こー!」
「お、おー…。」
温泉…
そっか、温泉。
どうしよう、なんだか頭がボーっとする。
温泉…入るんだっけ?
ユゥユゥがそう言ってるんだし、行かなきゃ…。
⚫
「…」
気がつけば露天風呂に使っている僕。
あれ?どうやってここに来たんだっけ?
服だっていつ脱いだんだろう?
それに…
「なんか、変だ…。」
下半身が熱くてたまらない。
わかりやすく言うならば、勃起がおさまらない。
湯船の中、お腹に触れようとするくらいいきり立っている。
こんな姿、ユゥユゥには見せられない。
ともかくこの勃起が収まるまで温泉からは上がれない。
せっかく仲良くなったのに、こんな姿見られて敬遠されたら大変だ。
なんとかして勃起を解消しないと…。
「しょうがない、しょうがないよね…。」
僕のおちんちんはお栄ちゃんの所有物だ。
過去にそういった契約書にサインさせられ、そういうことになってる。
だから無断で触ることは絶対に許されないし、射精だって当然ダメだ。
オナニーなんて言語道断。もしすればキツイお仕置きが待っている
でも、しょうがない。
勃起を解消するためだと自分に言い聞かせ、露天風呂でするのはとても失礼かもしれないが隅の方ですることにした。
と、そうしようと立ち上がったその時だ。
「マイマイお待たせー。」
「!?」
カラカラと扉が開き、やって来たのはバスタオル一枚のユゥユゥ。
「ユ、ユゥユゥ!?」
慌ててお湯につかり、勃起を隠す。
「な、なんで!?」
「なんでって、ここ混浴だよ?それに一緒に温泉に行こーって。」
そう言ってこちらのことも知らず、なんの抵抗もなしにユゥユゥはお湯へと入り、僕のすぐ隣へと座った。
「んーっ、やっぱり温泉は気持ちいいねー。」
「そ、そうだね…。」
腕と腕が触れ合うほどに近い。
さすがは世界三大美女といったところか、ユゥユゥのプロポーションは最高だ。
ハリ、ツヤのある肌に大きな胸。魅惑の腰つきにムチムチとした肉付きのいい太腿。
お栄ちゃんやアビーとは違ったその身体付きは、本当に僕の身体に毒だ。
「…。」
「あれ、マイマイ?」
と、ここでユゥユゥが僕の身体の異変に気付いた。
「そんなところ抑えてどうしたの?もしかして具合が悪い?」
「い、いやあの…そういうわけじゃ…。」
「何かあってからじゃ遅いよ!見せて!」
「ま、待って!!!」
ユゥユゥの手が僕の股間へと伸びる。
隠している両手をどかそうとしてくるが、勃起したそれを見られる訳にはいかない。
非力ながらも僕は全力で抵抗した。
「なんでもない!なんでもないから!!」
「うそ!絶対何かある!」
「ほんとになんともないっ…むぐぅ!?」
と、抵抗を続けていたが、
「むぐ…ん、んぅ…。」
また、ユゥユゥにライチらしきものを口の中に押し込まれた。
「どう?おいしい?」
「おい…しい…。」
「じゃあその手、どかしてくれるかな?」
「…うん。」
また、頭がボーっとして身体があつくなる。
お酒に酔った時に似た感覚に襲われた僕は、ただユゥユゥの言うことを聞き、股間を隠す手を力なくどけた。
「わぁ…マイマイ勃起してたんだぁ♡」
ユゥユゥが、嬉しそうな顔してる…。
身体は脱力感で力が入らないのにおちんちんだけはピンと勃っているのを見て、とっても嬉しそうにしてる…。
ユゥユゥが嬉しいのなら…僕も、なんだか嬉しいなぁ…。
「ねぇ…シて欲しい?」
「…っ。」
耳元でそう囁かれる。
その時横目で僅かに見えたユゥユゥの顔は、とても怪しいものだった。
言うなれば、お栄ちゃんやアビーが僕をいじめる際にするあの笑顔、
それと同じ種類のものだ。
「マイマイ、あたしでこんなに興奮してたんだね…嬉しいよ?とぉっても…♡」
「…。」
甘い囁きをしながら、その指が僕の裏筋をすぅっとなで上げる。
優しくてもどかしい感触で、思わず腰が浮きそうになる。
「ふふっ…びくびくってしてるね♡」
「…あぅ、うう…。」
「いいんだよ?正直になって。おちんちん触ってくださいって言えば、ユゥユゥがマイマイを天国に連れてってあげる。」
「てん…ごく?」
天国?
天国って…どこ?
「すっごく、気持ちいいトコ。」
今度は手のひらを亀頭にぐりぐりと押し付けられる。
変な声が出そうになる。なんとかしようするけど、全然力が入らない。
身体が動くことを放棄して、脳が考えることを投げ出す。
もう、目の前のことしか考えられない…、
「えへっ…♡したい、したいよぉ♡」
「よく言えたねーマイマイ♡えらいえらい♡」
そういってユゥユゥはご褒美として頭を撫でてくれる。
お栄ちゃんのように、やや乱暴なわしゃわしゃとした撫で方じゃなくて、優しくて、丁寧で、まるで赤ん坊をあやすみたいな撫で方。
「…。」
「いいんだよたくさん甘えて。ほら…♡」
ユゥユゥがタオルを取る。
露になったのは絶世の美貌を備えた身体。
見る者全てを魅了し、堕落させてきたその身体。
僕のその身体の、虜になった。
「ふふ。どうしたのマイマイ?もしかしておっぱい欲しい?」
気がつけば胸に吸い込まれるように顔を埋めている。
ユゥユゥは嫌だとは言わない。逆に僕がそうするととても嬉しそうだ。
とっても、嬉しそうに悪意に満ちた笑みを浮かべながら。
「そうそう、もっと堕ちて、もっとたくさん甘えていいんですよ…♡ここにいるのは私とあなた。黄衣の王に見定められた舞様と天子様の使いであるこの楊貴妃のみ。さぁ、この楊貴妃にもっと甘えてください…♡」
甘くて、暖かくて、優しい何かに包まれる。
そっか…これが甘やかされるって事なんだね…。
気持ちいいなぁ…なんだかとっても幸せな気持ちになる。
「ずっとずっと、2人きりでここにいましょうね、舞様♡」
そうして僕は、優しい温もりに完全に身を任せた。
後書き
旧支配者には抗えて取り込み返せるのにえっちな誘惑にはクッソ弱い舞くん。
這いよる混沌を倒すために生ける炎の力を前借りしたとか吉原で働いていたとかそういう話はいつかそのうちちゃんと話しますね。
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