『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
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獣-でんじゃらす・びーすと-
前書き
こんにちは、クソ作者です。
唐突に挟むえっちな回です。どうぞよろしくお願いします。
「おい竜胆!!何やってるんだ!!」
「すっ、すみません!!」
夢を見ていた。昔の話の夢だ
上司の山本が怒鳴り、俺は何度も頭をペコペコ下げている。
これはなんの時だったか…いや、覚えてない。
些細なミスで怒られたことなんて何十…いや何百回とあったからどのことかなんて覚えちゃいない。
「何かあればすみませんすみませんしか言えんのかお前は!!もういい!仕事が終わったらついてこい!!」
「はい…。」
この日はそうだ。
珍しく残業もない。もうまっすぐ家に帰ってさっさと寝ようと考えてたんだ。
でも些細なミスが原因で山本がぶちギレ、気の済むまで怒鳴りつけ殴った後こうして課外授業の飲み会へ連れていかれる。
授業時間?早くて4時くらいには終わるよ。
早くてな。
「俺がお前たちくらいの頃はなぁ、苦労は買ってでもしたもんだ。それに比べお前達はすぐに根を上げて…あぁ情けない…。」
いつもの居酒屋で話を聞かされる。
とはいっても仕事のためになる話ではない。
彼の愚痴、昔はこうだった、俺はこんなにすごかったという武勇伝。
聞いていて面白いものなど一つもなかった。
酒が入れば彼の話はヒートアップするし、俺の他に連れてこられた人達もまた何故か理由もなく殴られたりした。
で、
「眼鏡なんぞして…ムカつくんじゃ貴様ァ!!」
「ぐべぇっ!?」
酔った勢いで何故か殴られる俺。
当然、眼鏡は壊れた。
「いやー飲んだ飲んだ。さて、俺は帰るからな。お前達はこれから仕事だろ?まぁ頑張れよ!」
そうして空が白じんできた頃、俺達はようやく開放される。
「本当は上司として払ってやりたいがこれは”授業”だからな。お前達で話し合って授業料を出すように。分かったか!?」
「はい…。」
こんなこと言っているが1度もおごりだなんてされたことない。
そうして先に帰り、残された俺達はとんでもない額に唖然とし、あるものは急いでコンビニのATMに駆け込んだりして少ない金を合わせて会計を乗りきった。
今更だが、俺の会社はブラックだった。
休日出勤なんて当たり前なこともあり、なんてことない普通の休暇はとても貴重なものだ。
今日くらい何もかも忘れて眠りたい。
そう、思った時だ。
「…はぁ、」
せっかくの休日だが、振動するスマホに起こされ、寝ぼけ眼を細めて液晶に目をやると無意識のうちにため息が出ていた。
【クソ上司山本】
彼からの電話だ。
「おはようございます…。」
「よう竜胆?どうした元気がないな!ところで今暇か?」
彼の聞く「今暇?」と言うのはそのままの意味ではない。
”何がなんでも来い”という意味になる。
「他の奴らはもう来てるからな!○○駅の前に集合だ!いいな!」
「はい…。」
集まるように言われ、時計を見てみれば6時前…
まだ外だって薄暗い。
こんな早朝に呼び出されるのは何事かと思うだろう。
それは
「俺達…何してるんだろうな…。」
「さぁ…山本さんはこれからのビジネスだなんて言ってるけど…立派な転売だよな、これ。」
某家電量販店の長蛇の列にいる俺。
俺の他にも山本に呼ばれた者達が並び、いまこうして俺は同期と死んだような顔で話をしている。
呼ばれた理由はこうだ。
「お前の好きなアレ、あるだろ?」
「ガンダム…ですか?」
「そうそれだ!それのメタルビル…なんだ?ともかくオタクが好きそうなやつだ。それが1人3点までと言われてなぁ!是非ともお前達に手伝って欲しい!」
「…え?」
俺達が並ばされているのは今日発売の商品の列
当然、山本はアニメの知識なんて全くないしむしろ毛嫌いしている。
じゃあ息子のため?いやこいつは独身で子供嫌いだ。
こんな悪意と嫌味の塊みたいな奴と結婚したいやつなんかいるわけないだろう。
すまん。話が逸れた。
俺達が並ばされているのはそう、
転売だ。
「これからはこういったものが主流のビジネスになる!その先駆けとして俺が今こうしてやってるわけだが、お前達にも学ばせてやろうと思ってな!」
聞こえはいいが、やってることは犯罪の手伝いだ。
転売ヤー、と言えば分かるだろう。
各界隈から非常に忌み嫌われているアレだ。
当然俺も転売ヤーは大嫌いだ。
しかしここに転売は悪いことだと注意するものはいない。
もし上司にたてつけば、その場で殴られるし会社での扱いもより酷いものになる。
だから、皆ははいはいと言うしかない。
ターゲットはそれだけじゃない。
オタクに売れそうなものなら、なんでも買う。
「…。」
「竜胆、仕方ないって。」
昔から行きたくて行きたくて仕方がなかったFGOのフェス。
だが、こんな理由で来たくはなかった。
「武蔵ちゃんを転売していいのか…いいわけないだろ…っ!」
「だってしょうがないだろ!!そうしなきゃ俺達が痛い目見るんだぞ!!」
物販エリアで片っ端からグッズを回収していく俺と数人の同期
周囲の痛々しい視線を背中に受け、涙をこらえ、したくもない転売を手伝い、大事な武蔵が転売に使われるのが辛くて仕方がなかった。
武蔵じゃなくってもそうだ。
他の誰かの推し鯖が、あんな奴の金儲けに使われる…。
いちFGOユーザーとしてはたまったものではなかった。
ああ、次々と思い出す、奴とのクソのような思い出。
「竜胆!お前のゲームのデータ消しといてやったからな!スマホはゲーム機か?違うだろ。そもそもあんなオタクがやりそうなゲームをしているからお前はダメなんだ。いいか?ゲームなんてものはだな…」
「竜胆!さっき親戚から連絡があったぞ!なんでも両親が交通事故に遭って死んだそうだな!仕事の都合で葬式には出られないと俺が伝えといてやったぞ!!いいか、俺がお前くらいの頃なんか忙し過ぎて親の死に目にも会えなくてなぁ!まぁお前の親の事だからどうせどんくさかったんだろう、事故に遭うのも無理もないって話だ!ま、ドンマイとしか言いようがないな!!」
「こんなところで会うなんて奇遇じゃないか。何してるんだ?プラモデル?そんなもの買うな買うな!金の無駄遣いだろう!!俺がもっと有意義に使ってやる!ホラ!飲みに行くぞ!!なんだその顔は?折角上司が休日返上してサシで飲んでやるって言ってるんだ!もっと嬉しそうな顔をせんか!!」
「殺す。」
「え?」
目が覚めた。
気がつけば目の前には何故か武蔵。
「…どうした。」
「き、急に起きて殺すなんて言われたから。」
「悪い。思わずそう言いたくなるような夢を見たのさ。主に山本のな。」
そう言うと武蔵も納得する。
やつのやってきたことは大体武蔵には話してあるので夢で見た一部始終は全部知っている。
「そうね。あんな奴死んでくれないのなら、こちらから殺すしかないものね…。」
「ああ、ところで武蔵…。」
ちなみになのだが、俺達は今こうしてホテルに泊まり、泥のように眠っていたところだ。
あまりにも夢見が悪過ぎたので起きてしまったが時間は草木も眠る丑三つ時の午前二時。
そこまではいい。
問題は、何故武蔵が俺の上にいるかだ。
「何をしてるんだ?」
「え、あ、いや…その…。」
俺に跨っていた状態の武蔵にそれを追求すると、彼女はそそくさと降り隣のベッドに戻った。
「武蔵。」
「もう寝ます。おやすみ。」
「武蔵。」
「起こしてごめんなさい。大和くん、疲れてるものね。」
「武蔵。」
「寝相よ寝相。」
「どういう寝相してれば隣のベッドに来て俺の上に乗るんだ。教えてくれ武蔵。」
「…。」
「武蔵。起きろ。」
「…。」
「…。」
諦めて寝ることにした。
⚫
そうして翌朝。
「…。」
俺達が訪れた町は比較的平和な場所だった。
衣食住にも困らず、外からのモンスターの驚異もない。
たまにはゆっくりと過ごそうかと思っていた中…。
「大和くんは…”夜這い”ってどう思う?」
「」
定食屋にて思わず吹き出しそうになった。
いきなり何を聞くんだ武蔵は。
「どうした。」
「もし、もしなのだけれど…大和くんが夜な夜な誰かに襲われると考えたら、どう思う?」
「…返り討ちにはするな。」
「あーごめん。襲われるってのはそう言う意味じゃなくて…。」
身振り手振りで慌ただしく何かを説明しようとする武蔵。
なんだ、この人は何がしたいんだ?
「ごめん、なんでもないの。今のは忘れて話変えましょ。」
「…そうか。ところで武蔵。昨日の事なんだが…。」
「話を変えましょって言ったの!!!」
…。
話題なら変えたつもりだったんだがな…。
「どこ行くんだ武蔵。」
「ちょっと買い物!!」
なんだか不機嫌だ、
ついて行こうとすれば怒られるだろうし、ここは放っておくのが一番か、
「何を買いに行くんだ?」
「内緒!!」
「稽古はどうする?」
「今日は休み!!いいでしょ!」
そういい、どこかへと行ってしまった。
この町は割と栄えている。
なんでもあるだろうが、武蔵は本当に何を買いに行った?
分からない。
このまま考えていてもしょうがないので、オロバスの世話でもしようか。
⚫
「…。」
オロバスの世話をし、部屋に戻った時のことだ。
「…。」
「…。」
「が、がおー」
「…。」
最初は脳が処理落ちしそうになった。
目の前にありえないものがあったから、いや、ありえない格好をしていたから。
「…。」
「…。」
「なんか言って!!!」
「何をしてるんだ武蔵。」
唐突だが、”デンジャラスビースト”という概念礼装をご存知だろうか?
クイック性能upと毎ターンスターを獲得できるというクイック主体のクリティカルで殴るタイプのサーヴァントにはもってこいの礼装なのだが、今回説明したいのはそこではない。
あまりにもスケベな絵であった為、いつしかそれはドスケベ礼装と呼ばれ、その衣装自体もデンジャラスビーストの名で呼ばれるようになった。
ハロウィン・プリンセス、
トリック・オア・トリートメント、
ロイヤル・アイシング、
数あるドスケベ礼装のうちの一つだが、何故今デンジャラスビーストの話をしたのか、
答えは簡単だ。
「…。」
「もう一度言う。何をしてるんだ武蔵。」
武蔵が、その格好をしているからだ。
扉を開けた先に、いたのだ。
「その…ご無沙汰なので。」
「それはいつも通りだろう。」
ご無沙汰といえばそうだ。
変わると言ってから、俺は彼女と身体を重ねる…もとい魔力供給はしていない。
それが今更なんなのか。
「夢を…見たの。」
「夢?」
「そう、大和くんがサラリーマンの頃の。」
「…。」
サーヴァントは夢を見ない。
だが、何かのきっかけでマスターの過去を見ることはあるらしい。
恐らく武蔵が見た夢とは、あの時俺が見た夢と似たようなものなのだろう。
「楽しいことも何もかも、あの男に全部ぶんどられて、やりたくないことをやらされる。嫌な事もやれと言われればやるしかない。見ているこっちが辛くなるような、そんな過去だった。」
「まぁ、そうだな。」
しかし今となっては過ぎたことだ。
「だから、何かしてあげたいって。」
「それがこれか。」
「…。」
黙る武蔵だが、静かにこくりと頷いた。
「辛いことばっかりだったから、せめてもの何かしてあげたい。そんなこと忘れられるような、何か思い出に残るようなことをしてあげたい。そう思ってたんだけど、”これ”しか思い浮かばなくって…。」
「ドスケベ礼装を着ることか?」
そういったことには消極的な武蔵だが、ここまで身体を張ってしてくれるということはそういうことだ。
「ごめん…何か空回りしちゃって、こんなことで大和くんの心の傷が癒えないことくらい分かりきってるのに…」
「…癒えるぞ。」
「…へ?」
武蔵に歩み寄る。
近づく度に武蔵は下がるが、その分俺はぐいぐい近づく。
やがて武蔵は後ろのベッドにつまずきそのまま倒れ込むと、俺も彼女を押し倒すような体勢になった。
「今、なんて…?」
「癒えると言ったんだ。男ってのは馬鹿な生き物なんだ。女が自分のためにそんな格好をしてくれたなんて言われれば、心の傷なんてなくなるし元気も出る。」
顔を近付ける。
彼女の荒くなった吐息がかかり、僅かに頬が紅潮しているのが分かる。
「据え膳食わぬはナントヤラだ。お前をこのまま恥ずかしい思いだけさせて終わらせるなんてことはしない。」
「で、でもやっぱりやめ…」
うるさい。
ここまで来てあれこれ言うな。という意味も込めて唇を重ねる。
「…。」
「ん…んっ…♡」
久方振りの、武蔵の唇の感触。
柔らかくて、暖かくて、彼女の口が緩むと舌を入れる。
難なく受け入れられ、絡ませ合うと自然と下半身に熱を感じた。
「…ふっ、本当に危険な獣だな。」
「…。」
「目をそらすな。お前から吹っかけたんだろう?」
一度口を離すと武蔵は目をそらす。
恥ずかしくてたまらないのだろうが、顎を持って強引に俺と目を合わせる。
感情には出さないが、この時の武蔵は可愛いし、恥ずかしがるその顔もとても下半身にクる。
「買い物は…それか。」
「…。」
こくこくと、頷く。
「俺に何か出来ないか、そう考えてこういう結果になったんだな。」
「…。」
黙って頷く武蔵。
果たしてシてあげたかったのかシたいのか、それは武蔵本人にしか分からない。
しかし、武蔵が俺の為に獣になる言うのなら、俺も獣になろう。
後書き
質問コーナー
Q魔力供給入んの唐突すぎひん…?
Aうるせーばーか!導入が下手くそなだけだよ!!
Q.武蔵はドスケベ?
A.ムッツリドスケベ。
マスターがショタの頃はグイグイ来るくせに大人の時はすごいしおらしくなる。でもシたい。なんなら毎晩シたい。なぜなら日本鯖というのはドスケベだからである。
Q.山本隊長は財団にいる現在でも大和くんが見た夢の通りなの?
A.そうだよ。何一つ変わってないどころかむしろ悪化してるよ。
法律が機能してないからたてつく奴は拳銃でズドンだ!
Q.そんなことしたら部下は離れたりしないの?
A.そんなことはない。クソ厳しいし理不尽なことで怒られるけど、山本隊長は必ずサーヴァントを捕えてくる人だから、彼について行けば仕事を失敗して代表に殺される事も無い。
だから仕方なくついて行ってる感じ。
でも山本隊長の部隊にいるうちに半ば洗脳じみた教育のせいで隊長に命を簡単に捧げちゃう人もいるよ。
Q.山本隊長嫌い。胸がキリキリする。
A.俺もソーナノ。いたら嫌な上司の要素を詰め合わせで作ったキャラクターだからね。しょうがないね。
次回はまるまるえっちするよ!
投稿するのだいぶ後になるかもしれないけど待っててね!
その間にほかの外伝、もしくは本編を読み返したりして待っててね!
それでは次回もお楽しみに!
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