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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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最終章『ふたりで…』
  《真相解明》崩壊した世界で刑部姫とこの先生きこのるにはどうしたらいいですか?

(わたし)は、刑部姫だ。
1度は消えてしまったものの、今はこうしてまーちゃんと共にまた探偵業を営みながらそれなりに贅沢な暮らしをして過ごしている。

「ほら、これが溜まってる依頼。」
「三笠孤児院の子供のお守りにシルク・ドゥ・ルカンの出演希望…その他もろもろ50件!?」
「ああ、お前にしか出来ねーやつ。」

時刻は朝11時。
久しぶりのまーちゃんの朝ご飯を美味しく頂こうとしたところで、まーちゃんがパソコンを見せてきた。
そこにはズラリと並んだ依頼のリスト。
姫の協力、もしくは姫がやらないと解決できない依頼なんだとか。

「…多過ぎない?」
「これでもだいぶ減ってんだぞ。俺だけでやれそうな奴はなんとかやったし。大体てめーが3ヶ月もいなくなるから…。」
「そ、それはしょうがないじゃん!!姫だって色々大変だったんだよ!!」
「大変…?なんかあったのか?」

あ、しまった。
ついうっかり口を滑らせてしまい、慌てて苦笑いしてその場を誤魔化す。

「そ、そうそう。こうやって蘇るまでいろーんな事があったの。」
「蘇る…か。でも不思議だよな。一度消滅したサーヴァントがこうやって記憶もそのままに戻ってくるなんて。」
「うん、そうだね。不思議なこともあるもんだよね。」

そう言って依頼のリストから目を逸らし、朝ご飯にかぶりつく。
今日のモーニングはトーストにスクランブルエッグとウインナー。
サラダとコンソメスープのお供もついてる。うん。さすがまーちゃん。凝ってるね。

「うーん!やっぱまーちゃんのごはんおいしー!」
「おい、話をそらすな。」
「ねぇまーちゃん。今日はお仕事お休みにしない?」
「だから話をそらすなって。」
「お仕事なんか休んでぇ…えっちしようよぉ♡まーちゃんだってご無沙汰でしょお?」

甘えた声でねだってみるけど、今日のまーちゃんは揺るがなかった。

「んな余裕ねーよ。金無いんだぞ今。だから一刻も早く稼いで夢のために」
「お金ないのはまーちゃんのせいでしょおおおおおおおおお!?!?!?」

さて、
ここで平和に仲睦まじく暮らしているまーちゃんと(わたし)だけど、
実はここに至るまでには色々秘密があったりする。
今回はそんな秘密を、ダイジェストっぽくお送りしちゃおう。






3ヶ月前。
確かにあの時、(わたし)は死んだ。
まーちゃんの元クラスメイト、神代正義の手によって。
あのムカつくオトコに吸収され、(わたし)の能力を勝手に使われるのは許せなかったし、あいつの中に取り込まれた時、まーちゃんがぶちギレた声が聞こえていたことは覚えてる。

このままあいつの糧になるのは嫌だ。
(わたし)の能力で、まーちゃんが殺されるのはすごく嫌だ。
だから、反抗した。
1生に1度あるかないかくらいのやる気で、反抗した。
内側から全力で反発して、折り紙の支配権を奪い返して、その一部をまーちゃんに明け渡したりした。
その時の(わたし)はよくやったと思う。うん。普段はやる気がないだけ。
本気を出せば人権鯖にも遅れをとらないくらいすごくなるんだ。刑部姫は。

で、無事に神代正義を倒したまーちゃん。
憎き正義は死に絶え、気が付けば知らない場所にいた。
真っ白というか透明で、どこまでも空が続いてそうでなんかアニメとかでよく見るような…ああそう、ウユニ塩湖みたいな場所。
ともかくそんな場所に、(わたし)は倒れてた。

「…あ、死ぬんだ、(わたし)

気だるいような気持ちいいような、
ぽかぽかとした優しい暖かさに包まれながら(わたし)はそう悟る。

夢、叶えたかったなぁ…。
それよりもまず、まーちゃんを独りぼっちにさせてしまった。
きっとまーちゃんは泣くだろうし、今まで以上にひねくれるだろう。
だって、
自分で言うのもなんだけど、最高の相棒を失っちゃったんだから。

ごめんね。
そう言いたいけど、もうその言葉は言えないし伝えることも出来ない。
死んでもいいかなぁとさっきまで思えたけど、まーちゃんに対する後悔で胸の中がいっぱいになって、何とか出来ないか足掻こうとした。

その時だ。

「ここにいましたか。」
「…?」

誰かが、来た。
馬に乗った誰かが、(わたし)を見下ろしている。
誰だろう…ここから見るとおっぱいでっかすぎて顔が見えない。
やがてその人は馬から下りると片膝をつき、

「さぁ、帰りましょう。愛すべきマスターの元へ。」
「え…?」

そう言われた。
意味が分からなかった。
帰る?まーちゃんのところに?どうやって?
だって(わたし)は死んだんだ。帰れるわけが無い。
ありえない。そうやって否定しようとしたけどまーちゃんに会いたい。
そう思った時には、その人の手を取っていた。

「あ、ありがとうございます…。」
「しかし…どういう事でしょう?」

起き上がらせてもらい、お礼を言う。
なんだろうこの人は、目の前に立たれるだけでものすごいプレッシャー。
以前依頼で武蔵ちゃんが戦ったあのアルトリアオルタに似ているけど、方向性のまるで違う雰囲気。
なんだろう…オルタが闇ならこの人は…光的な?

「あなたはあの時、神代正義と言う男に取り込まれ、共に消滅するはずだった。」
「え、そうなん…ですか?」
「ええ。そうなると女神とはいえ助け出すのは至難の業と思いましたが…。」
「女神…?え!?女神!?」

思い出した。
このランサーアルトリアは女神様だ。
世界がこうなって、(わたし)のようなサーヴァントが現実世界に来れるようになったきっかけを作った張本人。
その気になれば、葛城財団ごと一瞬で消せそうなあの女神だ。

「め、めめめめめめめ…女神様!?」
「いかにも。目の前で愛したマスターを置いてサーヴァントが死ぬというのは後味が悪いものでしたので、」

こうして(わたし)、刑部姫は消滅寸前、女神様によって助けられた。
ボロボロの霊基は約1ヶ月かけて完璧に治してもらって、そのまま笑顔で送り出してもらった。

「マスターを依存させ、永遠に自分から離れられぬようにし2人きりで爛れた毎日を送るのでしょう?応援していますよ。」
「ど、どうも…(なんで全部知ってるの…怖。)」

笑顔で手を振る女神様に一種の恐怖を覚え、(わたし)は急いでその場から去っていく。
そうしてしばらく歩くと、目の前が眩しくなり…、

(わたし)は崩壊世界に戻っていた。





まーちゃんに会うまで二ヶ月前

「というわけなんだよね。」
「話がだいぶぶっ飛んでるけど…まぁ信じるしかないか。」

そして(わたし)は歩き、ある場所へと辿り着いた。
葵紫図書館。
式部パイセンとそのマスター、葵ちゃんが管理する大きな図書館もとい複合施設だ。
で、訪ねてみれば式部パイセン(わたし)を見るなり失神。
やってきた葵ちゃんに慌てて(わたし)状況と経緯を説明して今に至る。

「んん…。」
「香子、大丈夫?」
「目の前に、刑部姫様が…。」
「大丈夫。生きてる。幽霊じゃないよ。」

頭を抱えて起きた式部パイセンには、代わりに葵ちゃんが説明してくれた。
で、

「で、やっぱり会いに行くでしょ。」
「うん、そうなんだけどね…。」

まーちゃんに会いに行く。
そのつもりなら送りに行くよと言われたが

「ちょっと…まだいいかなって。」
「は?」
「ほら、その…なんて言うの!?色々なんか準備して、感動的にしたいんだよね!」
「…。」

呆れてる。
呆れてるのが分かる。

「感動的にって…例えば?」
「ほら、まーちゃんがピンチの時に駆けつけたりとか…あ!そうだ!!」

ここで(わたし)はある事を思い出す。
それが、

「これこれこうでこうして…!」
「うんうん。」
「で、それを葵ちゃんが渡すって言う流れで!」
「…なにそれ。」

(わたし)がこっそり描いていたサバフェス用の同人誌を渡すというもの。
まーちゃんに隠れて実は少しずつ描いてて最後にはまーちゃんなら必ず分かるだろう感動のパロディメッセージが書いてある…という設定なのだが実は

「で、肝心の漫画は?」
「実はまだ…。」
「ネームとかは?そんくらいはあるでしょ?」
「…。」
【ない。全くと言うほど描いてない。PCに保存してあるデータももはや白紙同然なのだ。】
「あぁやめて式部パイセン!!!!」

泰山解説祭によって暴かれた真相。
そう、一ページたりとも描いてないのである!

「じゃあどうすんのさ…。」
「て…てつだ」
「いっとくけどあたしは絵心ないよ。香子は…。」
「刑部姫様程の絵心は香子にはなく…。お力になれず申し訳ありません…。」

詰んだ。
このままではまーちゃんと再会するまで2年はかかってしまう。
そんなことをしていたらダメだ。
なんとかまーちゃんがピンチに陥るまでにこの同人誌を完成させ、そして泣かせ、感動の舞台を整えなければならない。
てゆうかそもそもピンチに陥る時までにって何!?自分で言っといてなにそれ!?
ピンチって予約制なの!?あらかじめわかるの!?そんなわけないじゃん!!

「いや待って。」

しかしそんな時、救いの光が差し込む。

「そこまでするならあたし達も協力はするよ。」
「ほんと!?」
「うん。だから…。」

そう言って葵ちゃんは、ポケットからスマホを取り出し、あるところに電話する。

「超強力な助っ人を呼んであげる。」




まーちゃんと会うまで、1ヶ月と半月前…

「で、おれとマイに手伝って欲しいと。かまわねぇヨ?」
「あ"り"か"と"う"こ"さ"い"ま"す"!!!!!!!」

葵ちゃんが電話した人、
それは神絵師、葛飾北斎先生だった。

「にしても珍奇なモンだねェ、会いてぇならさっさと会えばいいのに。」
「いや、ただ会うよりはドラマチックな方がいいかなーって。」

何が何だかサッパリ分からねぇ、という北斎先生。

「僕は、その気持ち分かるかも。」

しかし(わたし)の気持ちを理解してくれる人はちゃんといた。

「分かる!?姫の気持ち!!」
「うん。会いたいけど、その感動の再会をより良いものにしたいんだよね。」
「そう、そうなんです!!」
「うん、分かった。何かあれば言って。僕、力になるから。」

そういいニッコリと微笑むのは舞ちゃん。
さすがはまーちゃんを惑わせた魔性の男の娘。その笑顔には(わたし)もやられそうになる。

さらにこの子は北斎(タコの方)からお墨付きをもらうほど絵が上手く、おまけに2人揃って何度もサバフェスには出たことのある大ベテラン。
この最強の2人がいればもう同人誌は明日完成するも同然だ。


それから、姫の潜伏先は葵紫図書館から2人の家となった。
これなら近くのホテルに蝙蝠を飛ばしてまーちゃんを監視しながら作業ができる訳だが…。

「いない…?」

探偵事務所に、まーちゃんはいなかった。

どこにも、いない。
どこに行ったんだろうとしばらく監視を続けるとまーちゃんが帰ってきたのはとっくに日が変わった深夜だった。

まーちゃんはそのままシャワーを浴びることなく、ネクタイをその辺に投げ捨てご飯も何も食べすそのままベッドに倒れ込み、動かなくなる。

「…。」

言えることとすれば、(わたし)がいた時とはまるで違う生活をしていた。

「まーちゃん…。」

会いたい。
会ってただいまと言って抱きしめてあげたい。
でも、その前にこれを完成させなきゃいけない。

「よし!」

気合いを入れ直し、(わたし)は同人誌を描くことにした。

それから、
同人誌自体は完成したのだけれど

「納得いかねぇ…だろ?」
「えっ。」
「顔に書いてある。こんな出来じゃねぇってナ。」

完成した同人誌を読んでいた際、北斎先生にそう言われた。
確かに、そうだった。

「うん…もうちょっと…どうにか出来ないかなって。」
「なら描き直すか!零から!」
「えっ!?」

気に入らないのなら最初から作り直す。
さも当たり前かのように、北斎先生はそう言った。

「え、いや…でも…。」
「納得いかねぇのなら納得いくまで描けばいい。そんな中途半端な作品渡されても、探偵殿の心にゃ響かねぇヨ。」
「北斎先生…!」
「任せナ。おれもマイもこういうことはしょっちゅうサ。」

そういって、(わたし)の同人誌作製は伸びに伸びた。



まーちゃんに会うまで、10日前くらい。
荒んだまーちゃんを監視しながら同人誌を描き、舞ちゃんの美味しいご飯をご馳走になってついおかわりしちゃったり、たまに家にやってくるフォーリナーの皆様と仲良くしたりそれなりに過ごしてきた。
そしてついに

「できた…!」

結局、1ヶ月以上かかってしまった。
しかし完成した同人誌は史上稀に見るクオリティ。
(わたし)こんなの描けたんだ。すごい。
とはいっても、これは(わたし)だけの作品じゃない。

「本当にありがとうございましたァ!!」
「いいよ。僕達はあくまで好きで手伝っただけだもん。」
「そんなことないない!北斎先生や舞ちゃん、ゴッホ先生がいてくれたからこそ!!」

北斎先生、舞ちゃん、さらには助っ人として舞ちゃんがもう1人の神絵師、ゴッホちゃんを連れてきた。
最強のアシスタントの協力があったからこそ、できた作品なんだ。

「にしても疲れた。おれはちょいと休憩するヨ。」
「はい、おつかれさまでーす。」

そうして、北斎先生は二階の部屋へと向かっていった。
あと、

「マイ、ゴッホ殿。」
「「!!」」
「マゾ犬兄妹に頑張ったご褒美だ。久しぶりに仲良く二匹とも躾てやる♡」

北斎先生が去り際にそういうと顔を合わせる舞ちゃんゴッホちゃん。
ああ、多分そういうことだ。休憩っていうのはそういうことだ。

「…。」
「お兄様…行きましょう。今日は2匹揃って可愛がって貰えますよぉ♡」
「今日は何してもらえるんだろう…お散歩かなぁ?それともまたあの時みたいに…。」

そういって2人は仲良く階段を上っていく。
とまぁそんな光景を見せつけられれば、(わたし)も思う。
まーちゃんも、(わたし)とシたいだろうなぁって。
でもまーちゃん、監視する限りオナニーもしてないっぽいし…まさか(わたし)が死んだせいで性欲消えた?
…そんなわけ、ないよね?

そうして2階から聞こえる肉のぶつかる音と甘い声をなるべく耳に入れないようにし、(わたし)は同人誌のチェックをするのだった。






「あのさ…ヤバいって。」

まーちゃんに会うまで数日前。
北斎先生の家にはいつものメンバーが集合していた。

「ついカッとなってつかみかかっちゃったんだけどさ…探偵さんもうヤバいよ。」
「な、何がどうヤバい?」
「相当こじらせてるぞ。アイツ。」

武蔵ちゃんのマスター、大和さんがそう言った。
こじらせてるとはつまり

「達観しているようだがそれはあくまでフリだ。物事の全てに諦めがついている。」
「と、言いますと…?」
「いつ命を投げ出してもおかしくない。無茶な依頼を受けるのも、死に場所を探しているのかもな。」
「ええーっ!?」

まーちゃん、メンタル的にヤバいっぽい。

「元はと言えば刑部姫!あなたが悠長に漫画なんか描いてるから!」
「違うんですぅ!これは大事なことなんですぅ!!」

確かに武蔵ちゃんの言う通りなのかもしれない。
ここは漫画なんか描かないで、もう感動的な舞台を整えるだとかドラマチックにしたいだとかくだらないこと考えてないでまっすぐ会いに行けば良かったんだ。
あ、ちなみにここまでの経緯は話してある。

「ともかく本はちゃんと渡せたが…後はどうなるか…。」
「そっか!本だ!」

彼らが同人誌を渡してくれたことを思い出し、iPadを手に取る。
液晶に映っているのは折り紙蝙蝠越しに見えるまーちゃんの姿。

あるページで手を止め、泣いてる。
ありえないくらい泣いてる。
多分あのパロディ、予想以上に効いたっぽい。

「…。」

生前描いた同人誌(大嘘)の中にあるメッセージで泣かせよう作戦は成功した。
しかし、不安になることもある。

「効きすぎでしょ…。」

まーちゃんが想定よりもずっと泣き叫んでいる事だ。
もしかしたら本当に、(わたし)の後を追ってしまうのではないかと思うほどに。

そうして訪れたのが、あの日だ。





「そしたらさ、おっきーが帰ってきたんだよ!」

まーちゃんが依頼にてピンチになって姫が助けてから数日後のこと。
姫路町の喫茶店でいつものメンバーにまーちゃんは嬉しそうに話していた。
いや良かった。一日中監視しといて。
狙ったかのようにピンチは訪れてくれたし、ここで(わたし)が颯爽登場して想定通りの感動の再会を果たすことができた。
うん。終わりよければすべてよし。なんてシェイクスピアの戯曲にあるくらいだもん。
こうやって終わったからいいじゃないの。

「うん、良かったね。」
「会えて嬉しいね。」
「良かったな誠」
「何…なんかお前ら淡白じゃない?」

とまぁ、裏でアレコレこういうことしてました、なんて言ったらまーちゃんはきっとそんなことしてないで早く会いに来いよこの馬鹿!ってキレそうなので皆には内緒にしておいてとお願いしておいた。
何はともあれ、こうしてみんなの協力もあって(わたし)はここにいる。

「それよりせっかく四人揃ったんだし、何かしようよ!僕また探偵さんとこでごはん食べたいな!」
「やめろよ。それまた俺が作るやつじゃねーかよ!!」
「いいんじゃない?私と大和くんの就職祝いも兼ねてってことで。」
「は?」

ということでまた以前のように、いつものように、皆でワイワイ仲良くテーブルを囲ってご飯食べたりするわけだ。

「就職?旅すんじゃなかったの?」
「無職というのも落ち着かないし、返したい礼もたくさんあるからな。とりあえず大手企業に就職したと言っておく。なに、福利厚生もしっかりしてるしブラックではないさ。」

元社畜は大変だな。仕事しないと落ち着かないとか大丈夫かよ。と呟くまーちゃん。
そう言い、まーちゃんは面倒くさそうに席から立ってどこかへと向かう。

「まーちゃんどこ行くの?」
「言ってたろ。事務所で皆で食うって。だから飯の準備。」
「あ、そっか。」

やりたくなさそうに言うけども、まーちゃんはどこか嬉しそうだ。
いや、泰山解説祭に頼らなくても分かる。今のまーちゃんはきっと最高に嬉しいんだろう。

友達、仲間がいて、やりたい事を好きなようにやって、それでお金が手に入る。
そして何よりもこうして

「おっきー、お前も来いよ。切り方くらいは教えてやるから。」
「うんわかった。行くねー。」

(わたし)が、ここにいる。



この物語は

見習い剣豪が大剣豪にふさわしいマスターとなるために旅をして。

物書きが憧れの作家と英霊達の第二の人生を綴って。

絵描きが神絵師と共にこの世界を描いて気ままに生きて。

そして、探偵と引きこもりがサーヴァントを救い、そして自分達も救われた物語だ。






『崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?』

おわり。 
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