異世界から戦女神の神殺しがやって来たようですよ?
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パーティー?
十六夜が最果てを見に行くのを首根っこ捕まえて防止しつつホームへとやって来た。幸い、フォレス・ガロが本格的に動く前なので特に問題もない。というか、堂々とケルベロスに乗って移動している俺達に喧嘩を売るような奴はいない。
「モフモフだ~~~」
耀は幸せそうに頬ずりして、ケルベロスの毛に埋もれていたりした。十六夜もなんだかんだでケルベロスに乗れる事を楽しんでいるので大人しかった。そして、そんな皆も門を開けた瞬間に黙った。そう、乾ききった風に舞う砂塵。砂塵は俺は魔法で防ぐ。
「これは……非道いわね……」
町並みを見た耀や飛鳥は息を飲み、十六夜とエクレアは目を細める。エクレアに関しては流石、戦争経験者か。十六夜は原作通りにケルベロスから飛び降りて住居だった廃屋の壁を手に取る。そして、それは握ると砕けて砂になった。
「…………おい、セリカと黒ウサギ。魔王とのギフトゲームがあったのは――――今から何百年前だ?」
「たったの数ヶ月前でございます」
「「「っ!?」」」
これにはエクレアも含めた三人が息を飲む。
「ハッ、そりゃ思しれえな。いや、マジで面白いぞ。この風化しきった町並みがたった数ヶ月だと?」
そう、数百年前に滅びたように見える町並みは、たった数ヶ月前に滅ぼされたのだ。
「本来なら膨大な時間をかけて自然崩壊するならありえるだろうが、それを一瞬で行う事のできる存在がお前達の敵となる魔王だ」
「はっ、面白いな、全く!!」
「もちろん、全員だが。耀と飛鳥には特に訓練してもらう。今のお前達でははっきりと言って魔王戦では足でまといだ」
「むっ」
「…………もちろん、対策は有るんでしょうね?」
「ああ。任せろ。お前達を2年で魔王と戦えるように鍛えてやる。もちろん、十六夜もエクリアもだ」
「まあ、俺も訓練はするが、そっちの二人はたった二年で出来るのか?」
「任せろ。耀は直ぐにでもお前と戦えるようになるし、飛鳥も調整さえ済めば直ぐに戦力になる。エクリアに関しては失った姫神の力を蘇らせれば容易くお前に追いつく」
「そんな力まで持ってんのか」
「…………」
「だが、今は取りあえず歓迎パーティーだな」
「オッケー。んじゃ、行こうか」
十六夜もケルベロスへ飛び乗る。そして、ケルベロスは一路、無事だった館に戻る。
館では子供達とジンが待っていた。
「「「「いらっしゃいませ。これから、よろしくお願いします」」」」
子供達とジンが一斉に頭を下げる。
「おう、任せておけ」
「よろしくね」
「ええ、任せておいて」
十六夜、耀、飛鳥の順番で子供達に答え。ケルベロスを降りる。
「…………」
しかし、エクリアはどういって言いのかわからないようで、沈黙している。
「エクリア、大丈夫だ。お前の呪いは直ぐに解いてやる。だから、思った事を言えばいい」
「ええ」
エクリアはケルベロスから降りて子供達の近くへと行って、膝を折って目線を合わせる。そして、ひとりひとりを見つめ、決意した表情で宣言した。
「貴女達は今度こそ私が必ず守ります」
子供達はそれを聞いて、不安がっていた表情を明るくさせてエクリアや耀達に抱き着いて行く。十六夜も子供達を抱き上げて、肩車させてやったりと仲良くしだした。
「ふぅ~~一時はどうなることかと思いましたが、何とかなりそうで良かったです。本当に黒ウサギは心配で心配で…………」
「大丈夫だ。それより、給仕を頼むぞ」
「うっ、本当にあの格好でするんですか?」
「そうだ」
「うぅ~~~~仕方有りません! 黒ウサギはコミュニティの為に頑張りますよ!!」
決意を決めた黒ウサギは手を叩いて注目を集める。
「さて、皆様を歓迎するパーティーをしますよ。ジン坊ちゃんとリリちゃんは皆さんをお部屋に案内した後、食道へ…………いえ、その前にお風呂の方が良いですね。着替えの服は…………セリカ様、何かありますか?」
「そうだな。ローブやトーガなら沢山あるぞ」
「じゃあ、ひとまずはそれでお願いします。皆さんは流石に着替えなんて持ってませんよね?」
「無いわ」
「同じく」
「私も無い」
「俺は無いな」
「では、ローブとトーガをお願いします」
俺は王の財宝からローブを取り出す。比較的安全な物だ。
「あっ、あの……セリカ様……それって神器……」
「気にするな」
俺は飛鳥と耀、エクリアの女性陣にトーガを渡し、十六夜にはローブを渡した。
「リリ、悪いが下着は最優先に洗って乾かしてやってくれ」
「はい!」
狐耳をピクピクさせて元気に返事をするリリ。
「明日、日用品を買いに行くから皆はそれまで我慢してくれ。それとナベリウスと黒ウサギも入ってこい。料理は俺とリタでしておく」
「わかりました!」
「…………うん…………」
ケルベロスを一心不乱に洗っているナベリウスに向かって、言っておく。砂塵はさっさと処理したいな。
「それじゃ、頼む。そうそう、お前らは期待しておけ」
俺はそう言って食堂に向かう。
食堂ではリタが実体化して料理している。作ってる料理は様々な物だ。
「♪」
「リタ、どうだ?」
「セリカ、こっちは大丈夫よ。カレーもばっちり」
「トッピングは?」
「ハンバーグにオムレツ、トンカツにチキンカツ」
「大丈夫そうだな」
大量の為、カレーにしたが大丈夫だろう。
「後は隠し味にこれをたっぷり入れるだけ…………フフフ」
「それだけで値段が跳ね上がるな」
「気にしません。だって、セリカもいっぱい使ってるし」
「まあな」
俺は山とつまれた果実を全て皮をむき、薄く一口大の大きさに切りる。そして、鍋にバターを入れて弱火で熱して果実を炒め、全体に馴染んだら砂糖を加える。果実から水分が出てくるまで、そのまま焦がさないように表面が半透明になるまで煮詰める。煮詰め終わった後にシナモンを加える。そして、次は強力粉、薄力粉、冷水、無塩バター、塩で作って置いた布地二枚を取り出す。布地の一枚を棒で広げて先程作った果実を乗せて行く。布地の周りはピザのように厚くしておく。そして、もう一枚の布地を細長く切って網目状に乗せた果実の上に乗せる。それらが終わったらオーブンへと入れて焼き上げる。無茶苦茶巨大なのを5つも作ったのでかなり時間がかかった。
「おつかれ様です」
「ああ。そっちもおつかれ」
「でも、これからが本番だな」
「お待たせしましたです」
そこにメイド服姿の黒ウサギが入って来た。
「それじゃあ、カレーを運ぶか」
「はい」
「ええ」
台に鍋などを乗せて食堂に運び、ご飯をお皿に盛って黄金に光輝くカレーを入れて行く。もちろん、子供達には甘口だ。十六夜達が座るテーブルには銀で出来たカレー用のランプのような器を用意している。用意が完了したら子供達に呼びに行かせる。すると程なくして全員が集まった。それから、挨拶など適当にしてパーティー開始となった。
「こっ、これは……大丈夫なの……」
「飛鳥はカレーをしらないの?」
「ええ…………」
「珍しいな。でも、黄金に光輝くカレーなんて俺は知らないけどな」
「私も」
「あの、セリカ様…………これは食べても…………」
「大丈夫だ」
子供達は我先にと、どんどん食べて行く。それを見た十六夜達も食べて行く。
「うわっ、無茶苦茶うめぇじゃねえかっ!!」
「ホントだ。凄く美味しい…………」
耀は感想を言いながら高速でスプーンを動かして行く。
「…………えいっ! あむっ…………美味しい…………甘いのね」
「知らないと思ったから甘口にしてみた。辛さは自由に調整してくれ。一応、甘口、中辛、辛口と用意してあるし、蜂蜜などで調整もできる」
「ええ、ありがと」
「エクリアは大丈夫か?」
「はい。大丈夫です。宮廷でも食べた事がないくらいとっても美味しいです」
そして、時間は過ぎてカレーは無くなった。1000人前用意したんだが…………おそるべし、春日部耀。
「では、デザートのアップルパイだ」
「おい、待てコラ。なんで黄金に光輝くんだ!!」
パイはカレー何かの比では無く、金塊のように光輝いている。
「それは……無茶苦茶効果な素材が使われているのですよ……」
「「「?」」」
三人はわからないみたいだ。
「おい、まさか…………」
「…………黄金の林檎…………」
「禁断の果実かよ…………どうりで旨いはずだ。でも、大丈夫なのか?」
「ああ、農園に生えてるからな」
「ほんとにここは魔王に滅ぼされたのか…………?」
「全部、セリカ様が隠し持っていた物の御蔭なのですよ」
「あとで詳しく教えてくれ」
「良いぞ」
皆で楽しく黄金のアップルパイを頂いた。リリなんて尻尾が増えていたが、気にしない。
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