無限の赤龍帝
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ビショップ
母親である白夜叉の強襲から早、数ヶ月。俺は4月から二年生となる。白音が一年生として入学。ナベリウスとリタが三年生として転入する事となる。まあ、新学期からだけど。訓練も順調で全員が、膨大な魔力を所持して力も上がっている。リタに関しては歴代の使用者から槍術を習って吸収している。白音は道場や古武術を教えているところで修行したりもしている。もちろん、オーフィスとの訓練も継続している。
「…………イッセー…………」
「どうしたんだ、ユーリ?」
ユーリは不安そうに俺に抱き着いて来た。
「…………お父様が…………フェニックスと…………試合するって…………」
「あの焼き鳥と?」
「こくん」
ユーリがおずおずと手紙を差し出して来る。それによると、俺が与えた魔力によって大地はかなり持ち直したようだ。だが、そこに目を付けたのがフェニックス家だった。俺がまだ悪魔としては新米であるので、ユーリをライザーの側室の一人にして、取り込もうとしているらしい。そんなのナベリウス家としても御免で、レーティングゲームで決着をつける事になったらしい。借金していた事も有って、申し訳無いと書かれていた。
「おいおい…………」
「…………ごめん…………なさい…………」
泣きながら震える身体で謝ってくるユーリの頭を優しく撫でてやる。
「安心しろ。怒ってるわけじゃない」
「…………本当…………?」
「ああ。むしろ、嬉しいんだ」
『どうしたのだ?』
「この報酬のところがな…………」
レーティングゲームの報酬には勝者が相手チームに対して命令を一つ出来る事。相手側はこの権利でユーリを側室にするつもりとの事だ。そして、ナベリウス家は受けるだけで借金がなくなる。この命令権は勝てば好きにして良いと書いてある。
『欲しい物でも有るのか?』
「ああ。不死鳥の涙…………その製造機を頂こうじゃないか」
「…………大丈夫…………?」
「問題無い。焼き鳥如きに負けるつもりは無い。しかし、そうなると人数不足が否めないな」
こちらはキングのユーリ・ナベリウスとナイトのリタ。ポーンの俺、ルークの白音がいるだけだ。クイーンもいなければ、ビショップもいない。
「仕方無い。手に入れに行くか」
「…………あて…………ある…………?」
「ああ、大丈夫だ。お前達は訓練していてくれ。俺はちょっと出かけてくる」
「…………わかった…………勝負は…………3月30日…………」
「問題無い」
俺はさっそく京都へと向かった。お供は白音だ。
京都に着いた俺達は龍脈の流れる場所に来ては魔力を流したり、白音と共に仙術の修行をして行く。強大な魔力を放出していると、景色が移り変わって目の前に九尾の女性が現れる。
「私は京都を取り仕切る九尾の狐・八坂です。夜叉の血を引く悪魔よ、このような事をして何のつもりじゃ?」
「修行だな」
「…………ん…………」
白音もこくんとうなづく。
「はっきりと、言うと迷惑じゃ」
「はっ、はっ、はっ、知らんな」
「…………」
「…………」
睨み合う俺と八坂。
「このような事を続けるなら、我々にも考えがあるぞ?」
「殺るっていうなら喧嘩を買うぞ?」
ドライグを顕現させて、増幅を行う。
「赤い龍じゃと…………よかろう、この場は一度引こう」
そう言って、八坂が消えた。先ずは餌に引っかかったか。
それからしばらく、八坂との交渉が続く。俺は八坂にオーフィスの力もこっそりと使って圧力をかけて行く。すると日に日に八坂はやつれていく。当然だ。こっちが龍脈の支配権も奪ってしまってる上にオーフィスの圧力は尋常じゃないのだから。そして、そうなると獲物がかかる。
「貴様じゃなっ!! 余所者めっ、良くも母上を苦しめてくれたなっ!! 皆の者、かかれっ!!」
現れたのは巫女装飾を着た小さな可愛らしい女の子。キラキラ光る金色の髪の毛に黄色の双眸。身長は小学校低学年くらいだ。そして、頭には同じ金色の耳にフサフサの金色の尻尾。そう、京都を取り仕切る九尾の狐・八坂の娘、九重だ。
「白音」
「…………はい」
タヌキや天狗や狐のお面を付けた連中が襲って来る。そんな相手に俺がする事は一つだ。大規模な結界を展開して侵入も逃げる事もできなくする。その間に仙術も駆使して動く白音は瞬く間にカラス天狗達をボコって、倒して行く。
「ばっ、馬鹿な…………こやつらは私の精鋭じゃぞ!!」
そして、俺はユーリを召喚する。
「…………ん…………?」
この時になると残るのは九重だけだ。実力が違いすぎる。いや、悪魔のくせに神聖な聖剣のオーラを纏い、身体ごと消える白音を捕らえるのは難しいだろう。セイバーが剣を隠していた効果を身体そのものに適用させているのだから。もちろん、俺に喧嘩を売ってきた連中は叩き潰した。生きてはいるがな。
「…………ひっ、姫様…………お逃げ…………ください…………」
「いっ、嫌じゃっ!! 皆をおいて逃げられぬっ!!」
「まあ、逃げるのは無理だろうがな。全員、皆殺しだ。襲って来たんだから、返り討ちに会う覚悟はできてるんだろ? 勝つ見込みもないのに襲撃してきたお前の責任だ」
「っ!? 全て私の責任じゃ…………」
「そうだな」
うなだれる九重に俺は近づき、耳元に囁く。
「お前の態度次第なら、こいつらを見逃してやっても良いぞ」
「そっ、それは本当か!!」
「ああ。ユーリ」
「…………ん…………」
ユーリはビショップの駒を出す。
「条件はただ一つだ。お前が転生悪魔になって俺の物になること」
「そっ、それは…………」
「いっ、行けません姫様っ!! あがっ!?」
白音が黙らされる。
「ひっ、非道い事しないで…………」
「それと一つ、良い事を教えてやる」
「?」
「お前が俺の物になるなら、お前の母親に迷惑はかけられないからな。直ぐに京都から出ていこう。もちろん、お前も一緒だが…………母親の役に立てるぞ」
「母上の役に…………」
「そして、皆も助かる…………」
耳元で繰り返し囁いて行く。外では八坂が侵入しようと攻撃をしかけているので、余り時間がない。
「早く決めないと、殺してしまうぞ?」
「わっ、わかった。お主の物になるのじゃ!! だから、皆を助けてくれっ!!」
「良いだろう。ユーリ」
俺はユーリにオーフィスの力を増幅して与える。
『Boost、Transfer』
「うん。この子ならすぐできる」
そして、俺は九重を膝の上に乗せて、その小さな口を味わいながらドライグの力で九重にも力を叩き込み、一時的に尻尾を増やさせて九本にする。そして、ユーリを通してこの状態の九重を悪魔に転生させた。
「さて、実験結果はどうなったかな?」
「うぁ…………あがぁああああぁああああああああぁっっ!!!!!」
そして、転生した九重は九本の尻尾が有る状態で転生した。
「…………これ…………やる方も…………大変…………」
「だが、出力はかなり上がった」
息も絶え絶えの九重を膝に乗せたまま、頭を撫でる。その背中には悪魔の翼が出ている。
「はーっ、はーっ、こっ、これで皆を助けてくれるのじゃな…………」
「ああ」
そう言った瞬間、結界が破壊されて八坂が入り込んでくる。
「九重っ!!」
「遅かったな」
「貴様っ!!」
「俺は襲われただけだ。反撃で皆殺しにしても問題無いだろ。だから、皆殺しにする代わりにこの子が俺の物になる事でこの場を収めてやった。そうだろ?」
「ほっ、本当じゃ。母上の言う事も聞かずに私達が襲いかかったのじゃ。じゃが、私が付いて行く事でこやつらは京都から出て行ってくれるのじゃ。じゃから、母上が苦しむ事はもうないのじゃ…………」
「九重…………お前の目的ははじめから九重かっ!!」
「正解だ。この子が最初っから眷属に欲しかったんだよ。まあ、安心しろ。尻尾も九本になったし、ちゃんと可愛がってやるよ」
「なん…………じゃ…………と…………?」
「九重、貴女はハメられたの…………」
「そんな…………私は…………」
「だが、安心しろ。約束もちゃんと守ってやるし、お前の母親に何かあればいくらでも力を貸してやる。何より、母親や仲間を守れる力をやるぞ」
「わかったのじゃ…………母上、私はこの者達と行くのじゃ。そして、母上達を九重が守るのじゃ!」
力強い目で母親を見る九重に八坂は、こちらを睨み殺すような目を向けてくる。
「良いでしょう。ただし、絶対に幸せにして大切になさい。さもなくば、命を賭けて呪ってやる」
「構わないぞ。こんなに可愛いんだからな」
それから、俺は九重に京都を案内させたあと、帰った。これでビショップが確保できた。
後書き
レイチェルはどうしようかな?
ビショップの一つは要望もあったのでアーシアにしますから。
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