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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
  絶・対・絶・命

 
前書き
こんにちは、クソ作者です。
ついこの前下書き段階のこの話を間違えて投稿するというやらかしをし、今後の展開に関わる盛大なネタバレをブチかましました。
剣豪?武蔵?し、知らないなーそんなの。
ということでこれからは二度とこのような事がないよう、細心の注意をはらって執筆していきます。
それではどうぞ。 

 
横須賀にて停泊している三笠。
しかし今だけは蒸気機関式要塞戦艦、『スチームオブ三笠姫路城』として葛城財団を迎え撃つ。

「最硬の防御力と最高の火力。この二つが揃った三笠姫路城には最早叶うものなんていやしねぇ!!」

そして院長先生もこれを見て大喜び!まるでいいことづくめだぜ!

そんなこんなで俺は三笠の艦橋のてっぺん…まぁ今は城の天守閣におっきーと二人でいる。

「おっきー、どうだ?」
「うん、来てる。数は50…みんな銃を持ってるよ。

「そうかよ。んじゃあ」

iPadを起動し、院長先生とバベッジ先生がいる動力室に電話を繋ぐ。

「院長先生、敵が接近してる。数は50。バベッジ先生に"蒸気兵"の出撃要請を。」
『わかった。』

そう言うと三笠姫路城のハッチが開き、何十機ものロボットが射出される。

「なんだ…!?」
「ロボット…なのか?」

葛城財団の隊員達の前に降り立ったのは確かにロボット。
それらはFGOのエネミーとしてよく知られる、あの『ヘルタースケルター』であった。
これらはバベッジ先生の宝具により現界したもので、宝具が発動し続けている限り、彼らは無限に生産されるのだ。
そしてサーヴァントにとって取るに足らない人間相手にはちょうどよい。

「怯むなー!撃てー!!」

ヘルタースケルターもとい蒸気兵にマシンガンを乱射するも、その鋼鉄の身体では簡単に弾いてしまう、
そしてもし被弾したとしても、サーヴァントではないため洗脳弾の効果はまるでない。
ただただ、弾を浪費して打つ手がなくなり、無駄に隊員がどんどん減っていくだけだ。

「だめです!!我々の攻撃が効きません!!」
「相手は機械なんだろう!だったら電気を流せばいい!!」

そういった一人の隊員が鎮圧用のスタンロッドで勇敢に挑みかかるがそれも無駄に終わる。

「な…!」

蒸気兵も武器を持っておりの武骨な剣はスタンロッドを簡単に砕いた。

「テーザー銃とスタンガンは!?マスター鎮圧用のがあるだろう!!」
「持ってきていません!!対人戦は想定しておらず対サーヴァント用の装備しか!!」
「くそぉ…!撤退!!撤退だぁ!!!」

隊長格らしき人がやむを得ず撤退を指示する。

「逃げてくね…。」
「ああ…、でもきっと、これで終わりじゃないだろうな。」

実際、俺の予想は当たっていた、

「なるほど、宝具により無限の兵士を生み出し、数的不利を打ち消しましたか、」

そしてその光景は、あちらの指揮官もしっかりと見ていた。

「置鮎さま、どうします?」
「"アレ"を使いましょう。一番から五番の搬送車のロックを外してください。」
「は!」

隊員の一人がどこかへ行く。
そこから少し離れたところ、そこには十数台の搬送車が止まっていた。

「"ゾンビ兵"を解放する!搬送車のロックを解除したのち、すぐさま離れろ!!」

置鮎に命令された隊員がそこで待機していた隊員達にそう命令する。
すると5台の搬送車のロックを解除し、彼らは言われたまますぐにその場から離れる。
そして、開け放たれた扉からはゆらゆらと、ふらつくように何十人もの人が出てきた。
いや、人ではない。

「使い古した後でも十分使い道があるなんてな…サーヴァントというものは、とことん便利な道具だ。」

隊員の一人がそう呟いたように、彼らは人ではなくサーヴァントだ。
しかし、あちこち怪我を負っており、服が服として機能していないぼろ布をまとい、中には四肢のどれかが欠損しているサーヴァントさえいた。
そのさまは先程隊員が言ったように、"ゾンビ"
そう、このサーヴァント達は代表に使い古され飽きられ捨てられた挙げ句、おさがりとして研究員や隊員達のおもちゃにされ、さらに価値のなくなったものをそのまま兵士として再利用したのだ。

そして彼女ら全員の霊基にはあることが刻まれている。

"敵を殺せ。そうすればまた、恋様の奴隷になれるぞ"と。

「ころす…!てき、ころす…!!」
「れんさま…わたしのかつやくをぜひみていてください…!」
「れんさま…ああれんさま…!!」

飽きられ、見捨てられた彼女達。
洗脳弾により霊基を汚染させられ、もはや代表にしか救いを求められなくなった者達。
かつてのマスターも、自分達が何故この世界に来たのかも、彼女らは既に忘れている。

「ころせえええええええええー!!!!!!!」

サーヴァントの一人がそう叫び、必死の形相で彼女達は走る。
頑張らなければならない。もし敵将の首をとってくるレベルの武勲を上げれば、また性奴隷として扱ってくれるかもしれないからだ。
だから彼女達は、本気で殺しにかかる。

「しねえ!!!しねえーーー!!!!」

さすがの蒸気兵もサーヴァントには敵わない。
ほぼ一撃で破壊すると、彼女らはジャンプして簡単に甲板に取りついた。

「わたしがいちばんのり!!えへへ!えへへへへへ!!!みてますかれんさまぁ!!!」

変わり果てたサーヴァントが三笠に侵入する。
だが、

「あ、あれ…?」

それ以降、一歩も動くことが出来なくなった。
恐怖によるもの?違う。

「勝手に踏み入らないで、その足、二度と動かないようにしてあげる。」

両足は既に凍り付き、壊死していたからだ。

「あ、あああ…わたしの!わたしのあ」

私の足が。
そういう前に全身が氷に包まれ、その一番乗りのサーヴァントは派手な音を立て砕け散った。
凍らせたサーヴァントは言うまでもない。

「片っ端から凍らせていけと言われたけれど…これでいいのかしら?」

三笠のサーヴァントの一人、アナスタシアだ。
さらに

「がっ!」
「ぎゅ!?」

飛び越え、甲板にとびつこうとしたサーヴァントは空中にて打ち落とされる。
どれも全員、眉間を正確に射抜かれ即死だ。

「一体どんな扱いをすれば…ああもおかしくなる…!」

ここまでくれば殺すことが唯一の救い。
アタランテはそう思い、眉を潜めながらもやってくるサーヴァントを的確に射抜いていく。
子供のサーヴァントが来ないことを願いながら。

「なんだよアレ…。」
「…。」

その屍のようなサーヴァントの成れの果てに、おっきーは絶句していた。

「信じてるんだよ…またその"代表"が見直してくれるかもしれないって…。 」
「ああわかる。どう足掻いたって…廃棄される運命しかねーだろうけどな。」

両手を伸ばしながら走ってくる彼女達はまさにゾンビ。
代表という届きもしない生の実感を目指すも、おそらく彼女達の願いは叶わないだろう。
だからこそ。

「ここで殺すのが何よりの償い、か。」

無慈悲に凍らせ、砕くアナスタシア。
淡々と射抜くアタランテ。
甲板にて戦っている者達は辛い思いをしているだろう。

「で、パリス。敵兵の様子は?」
「はい!」

同じく天守閣におり、ドデカいボウガンをかまえているパリスくんには敵がどの辺りにいるのか見てもらっていた。

「ここから少し離れたところ…そこに兵士がたくさんいます!車みたいなものもあって、そこからサーヴァントが出てきてるみたいです!」
「なるほど、ところで指揮官らしき奴は?」

敵の残存勢力はまだまだあるらしい。
さて、こんなにもいるのだからあちらには指揮官がいるはずだ。
パリスくんはボウガンをかまえ、少しあちこちを見渡すと、それらしきものを発見した、

「多分あのスーツの男です!」
「どれどれ…。」

双眼鏡を使い、パリスくんの指す方向を見てみる。
するとそこに、確かに指揮官らしき奴がいた。

「あいつか…にしてもムカつくぜ。余裕ぶっこいてティータイムとしゃれこんでやがる…!」

この戦況を見ながら、指揮官は紅茶を嗜んでいたのだ。
時節お供の隊員に何か言い、その言われた隊員は無線か何かで伝えていく。
はっ、そうやってお高く止まってられるのも今のうちだぜ。

「パリス、狙え。」
「はい!」

遠いが、この程度ならパリスくんのボウガンの射程距離内だ。
ボウガンをかまえ、パリスくんはその指揮官に狙いを定める。

「撃ちます!!」

矢が放たれる。
それは寸分違わず、風を裂いて真っ直ぐに突き進む。
狙うは、指揮官の心臓。
人間を殺すのなら宝具なんて使わなくとも充分だ。
仕留めてやる。

「…!」

そう、思ったときだった。

パリスくんの表情が曇る。
その光景は双眼鏡を通して俺もしっかりと見ていた。

「あいつ…サーヴァント持ちか…!!」

矢があいつの心臓に届く前に弾かれたのだ。
彼の前に立ちはだかったサーヴァントによって。

「続けて撃ちます!!」

パリスくんは諦めず撃つ。
連続して矢は放たれるが、全てそいつのサーヴァントのによって弾かれる。
そう、長距離からの狙撃を全て凌ぎきったのだ。

「さすがは"円卓最強"…矢を斬るなんざ朝飯前ってか…!」

その攻撃を防ぎきったのは円卓最強と名高いサーヴァント、"ランスロット"だ。

「指揮官ブッ殺して短期決戦にしようかと思ったがそうはいかねぇらしい。こいつは総力戦になるかもな…!」

あちら側がどれだけの兵を持っているか分からない。
それに、残存勢力を倒したとしてあっちにはランスロットがいる。
そして、

「探偵さん!!」
「どうしたパリス!!」
「追加のサーヴァントです!どんどん来ます!」

使い古されたサーヴァントはまだ来る。
甲板にいるアナスタシアやアタランテもそろそろキツイだろう。
なので、

「いや、予想範囲内だぜ。」

端末を起動し、あるところに連絡をする。

「もしもし子安さん。アレお願いします。」

船内にいる子安さんだ。

『モニターから見てるよ。奴ら…"ゾンビ兵"を使ってるね。 』
「見た目からそのまんまなんすね。」
『あいつらネーミングセンスの欠片もないから。そんじゃ、"抑制装置"を起動するよ!』

三笠姫路城研究室、
そこで子安さんはモニターをタッチし、何かしらの機械を操作する。

「ヤることしか考えられないなら、寝てろ。」

スイッチを押すと何かの駆動音がなり、三笠姫路城からは電磁波のようなものが発せられた。
するとどうだろうか、
ゾンビ兵として放たれたサーヴァント達が、次々と倒れていくのだ。
これぞ子安さんが発明した"抑制装置"である。

「サーヴァントの霊基に干渉し、強制的に活動を停止させる。これなら安心だな。」

ちなみに全てのサーヴァントに効くものではない。
条件としては、『葛城 恋により汚染され変異した霊基』のみにこの抑制装置が効くようになっている。
だから味方のサーヴァントも戦闘不能になるなんて事はない。
甲板のサーヴァントも、船内に待機しているサーヴァントも全員無事だ。

『それにこれ以上手間取っていたら奴ら…"自爆"を使っていたかもだ。』
「じ…自爆!?」
『ああ、思ってる通りだよ。』

とんでもないワードが出てきて、最悪の光景が脳内に浮かぶ。

『おそらく隊員が起爆スイッチかそれに近いものを持ってるハズ…だがサーヴァントがこうなっちゃ起動も出来ないだろうさ。』
「詳しいっすね、」
『私が考えた案の一つだったからな。奴らめ、私のアイデアを応用することなくそのまま使うなんてな…。だからこうして対策をとられるんだよ。バカが。』

悪態をつく子安さん。
つまり、
何はどうあれゾンビ兵として使われる彼女達に、元から希望などこれっぽっちもなかったのだ。

『さて…お次は"英霊兵"辺りでも投入してくるかな?』
「英霊兵?」

聞いたことのあるようなワードを口にし、俺は思わず聞き返してしまう。

『奪いとったサーヴァントから戦闘能力を抜き出し、特殊なロボットに組み込むのさ。主に人員不足解消のための解決策だよ。』

英霊兵。
FGOにも似たようなエネミーがいたがどうやら似て非なるモノらしい。
どのようにサーヴァントから戦闘能力を抜き出すのかは分からないが、抜き出されたサーヴァントはどうなるのか、
あくまで推測だが、あのゾンビ兵こそがそれの成れの果てなのではないだろうか…?



一方その頃。

「置鮎さま!報告します!」
「なんですか?」

紅茶を嗜む彼のもとに、慌てた様子の隊員が走ってきた。

「突如全ゾンビ兵が機能停止!搬送車の中にいる予備も全てです!」
「ええ、こちらからでも見えていますよ。」

彼自身からもしっかり見えていた。
三笠から何かが発せられその直後にサーヴァントがバタバタと倒れていったのを。

「おそらく裏切り者の仕業でしょう。そして見るからにして"代表に洗脳された者"のみに通用するようですね。」

兵器が封印されているにも関わらず、彼は慌てることなく戦況を冷静に分析し、部下達に次の指示を下す。

「英霊兵を使いなさい。」
「は!」
「サーヴァントの駆逐を指示。そして全ゾンビ兵を強制的に再起動"暴走モード"を発動します。」

その命令を聞き、隊員は持ち場へと戻っていく。

「…さて。」

足を組み直し、置鮎は三笠の上にそびえ立つその城をにらむ。

「産廃が私のランスロットに剣を振らせた、その代価は高くつきますよ。」

にんまり微笑んだ彼は、手の中に握られているそのスイッチを押した。

直後、地面が揺れる。
ビリビリと震える空気。立ち上る黒煙。
火が上がっているのは、三笠だ。

「愚かですね。停止していれば爆発しないとでも思いましたか?」

次々に起こる爆発。
そう、サーヴァントが、機能停止したはずのゾンビ兵が爆発しているのだ。



「くそ!何が起きた!?」

爆炎に飲み込まれつつある甲板。
状況が飲み込めないアタランテは周囲を見渡すも、どこもかしこも黒煙で全く見えない。

抑制装置を使えばあっちのサーヴァントは機能を停止し、動かなくなる。
彼女は元研究員からそう聞いていた。
だがおかしな事が起きたのだ。

倒れている彼女らにワクチンを打とうとしたその瞬間。
突然起き上がり、にんまり笑ったかと思うと身体が破裂。
すなわち爆発したのだ。

「なんだと!?」

さらに起き上がり走り出すサーヴァント達。
しかし、アタランテやアナスタシア、他の者達は一切無視。
何をするのかと思えば、全員揃って艦橋の代わりとなった姫城城をよじ登り始めているではないか。

「ころせ!ころせ!」
「しろのうえのやつらだ!そいつをころせ!!」

奴らは気付いたのか、はたまた教えられたのか、
このスチームオブ姫路城の要の一つである刑部姫に目をつけはじめたのだ。

さらに事態は、悪い方向へと傾いていく。

「あはははははは!!れんさま!れんさまああああ!!!!」
「しまっ…!」

気付くのが遅れた。
一騎のサーヴァントが、発狂しながら船内へと入り込んでいったのだ。
追わなければならないが、これ以上の侵入と姫路城が落とされるのは防がなければならない。
だが、

「きゃあ!!」

アタランテの元に、奮戦していたアナスタシアが吹き飛ばされてきた。

「どうした!?」
「あ、あいつ…一体…。」

そしてアナスタシアを追うように、彼らの前に降り立ったのは2メートルはあろう鋼の巨人。
そう、先程話していた英霊兵だった。

「こいつッ!!」

至近距離から矢を放つ。
だが英霊兵はその鈍そうな見た目とは裏腹に、その矢をいとも簡単に掴んでみせた。

「…!!」

さらに後ろにも飛来した英霊兵が着陸する。
アタランテはすぐに理解した。
ただの機械やオートマタなどではない。
こいつらは、自分達サーヴァントと同等の強さを持っていると。
そして、
束になってかかられれば、自分達でも敵わないことを。

「ッ!」

英霊兵の脇腹に蹴りをくらわせるも、鈍い音が響くだけでびくともしない。
そうこうしているうちに、英霊兵はどんどん増えていく。
八機、九機と、
甲板の上には十機以上の英霊兵が降り立った。

「このままでは…!」

矢も効かない。肉弾戦も通用しない。
これでは勝つ見込みがないと諦めかけたアタランテ。
だが、

「ブッチKILL!!!」

聞き覚えのある掛け声と共に、目の前の英霊兵の頭が飛んだ。

「キャット…!」
「いてもたってもいられず出てきた。諦めるとは貴様らしくもないぞ。」

いつになく真面目な表情でタマモキャットは立ち向かう。
襲い来る英霊兵をまさに猫のような身のこなしでやり過ごし、強烈な反撃をおみまいする。

「ここはご主人の艦だ!!何人足りとも踏み入れはさせぬ!!」

それと同時に、船内に続くドアから何かが飛び出してきた。

「やだぁ!!れんさまたすけ」

そのままぶっ飛び、海に落下して爆散し、派手な水柱を上げた。
その正体はさっき取り逃がし、船内へと入り込んでしまったあのゾンビ兵だ。

「そうね、こんなことされたら面白くない。」

出てきたのは一人の少女。
この三笠のサーヴァントの一人であるシトナイ。
そして彼女の後をついてくるようにのそのそやってきたのは巨大な熊。
彼(?)が先程のゾンビ兵を吹き飛ばした熊、シトナイが従える"シロウ"だ。

「戦況を見て楽しむだけではなかったのか?」
「だってこんな状況なんだもの。あなたがしっかりしてれば、私なんかが出なくて済んだのにね。」

アタランテからの悪態に悪態で返すシトナイ。
しかし毒を吐きあうのもそこまでだ、
まずはやってくる英霊兵を、そしてゾンビ兵を倒さなければならない。
幸い、彼女らがいくら爆発したとてこのスチームオブ三笠姫路城は傷ひとつ付けられやしない。
洗脳弾を持つ財団の隊員は地上にて無限に製造可能な蒸気兵が相手してくれているのでこちらが撃たれる心配もない。

戦況は悪いかもしれないが、いくらでも覆せることも明らかだ。

「ご主人はここを葛城財団には絶対に渡さないと誓った。ならばキャットはそれに全力で応えるまで!!」
「ここは帰るべき場所を無くした子供達の居場所だ!そう簡単に明け渡すわけにはいかない…!!」

ここで引くわけにはいかない。
守るものがあるから戦う。
ただの機械が相手なら、殺すのにも余計な抵抗がないということだ。
そして、

「待たせたな!!」
「ご、ご主人!?」

ドアが蹴り開けられたかと思えばそこにはロケットランチャーを肩に担いだ院長先生の姿が。

「動力室にいるのもいい加減飽きた!それと子安さんからのプレゼントだ!受けとれ!!」

狙いを英霊兵に定め、院長先生はロケットランチャーを発射する。
弾頭は英霊兵に命中。するとどうだろうか、

「…攻撃をやめた?それどころか…!」
「ロマンの欠片もないロボットめ…!存分に"殺しあえ"!!」

着弾した英霊兵はサーヴァントへの攻撃をやめたかと思えば、隣にいた者に襲いかかる。
右腕に装着された銃を乱射し、暴れ、殴りかかる。
はたから見れば仲間割れを起こしたかのように見えた。

『洗脳弾を応用させてもらったよ。これで奴らは互いに壊し合う。』

院長先生の無線から子安さんの声が響く。
そう、これも子安さんの発明品。
特殊弾頭に内蔵された魔術による薬品が英霊兵に組み込まれている霊基に干渉。
プログラムされている命令を強制的に書き換え、実行させる。

『にしても内部構造も私が考えたものそのままだとはな。まぁそうでなかったら効かなかったわけだがね。今は研究員のバカさ加減に感謝だ。』

無線からは子安さんのさぞ満足そうな声が聞こえる。
院長先生も得意気な顔で次の特殊弾頭を砲身に装着。
次なる英霊兵に狙いを定めた。


ここならば、いくらでも逆転が出来る。
そう思っている一同だが、その脆い希望はいとも簡単に崩されてしまう。

「あれは…!?」
「ダメだ!逃げろご主人!!」

空から降り注ぐ、何百もの刀によって。
何かを察知し、院長先生が空を見上げてみればそこには煌めく大量の何か。
数秒後、彼はそれが"刀"だということに気付いた。
逃げ場などない。それは敵味方平等に降り注ぐ。
天気は快晴。しかし刀は雨のように降り注いだ。
そう、まさに"天気雨"。

唐突な刀の天気雨が、容赦なくスチームオブ三笠姫路城を襲ったのだ。











 
 

 
後書き
用語解説
⚫英霊兵
葛城財団が開発した自動戦闘用ロボット。
見た目はFGOにも出てくる名前が同じエネミー、英霊兵に酷似。
右腕は火炎放射機ではなく、複数の銃身からなる歪なガトリングのようなものに変わっている。
これは用途によって使い分け、より汎用性に特化したものとなっており火炎放射機はそのままに、マシンガンやグレネードなどを搭載。
その巨体から繰り出されるパワーは並大抵のものとは比べ物にならず、場合によってはサーヴァントと立ち合えるほどの膂力を持っている。
さらに鈍重そうな見た目とは裏腹に精密性と瞬発力に優れ、飛んでくる矢をキャッチすることはお手のもの。
背中に搭載されたジェットパックにより飛行、さらには高速移動することも出来る。
幸い洗脳弾は未だ搭載に至らず、さらにまだ試作段階であり量産には至っていないのが不幸中の幸いか。
三笠防衛戦ではテストも兼ね、先行生産された30機が実戦投入された。
このデータを元に、財団本部では改良型の開発が進められているもののこのプロジェクトを担当していた幹部クラスの職員が逃亡したため、生産には大いに手間取っている。

⚫暴走モード
ゾンビ兵の霊基を強制的に活性化させ、一時的に強化させた状態。
なのだがこうなった場合、解除することは不可能であり暴走を始めれば霊基は耐えきれず、溜まった魔力は行き場をなくし爆発してしまう。
と、これが自爆のメカニズムである。
そう、ゾンビ兵となったサーヴァントには最早救いの手など差し伸ばされない。
噂によると自爆寸前、洗脳前の記憶を取り戻しているらしいがあくまで噂のため定かではない。
ちなみに暴走モードは子安さんではなく置鮎のアイデアによるもの。
産廃でもせめて最期くらいは役立って見せろという、彼なりの粋な心遣いである 
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