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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
  ヒロインショーで姉と握手/エンターテイナーディテクティブ

 
前書き
同時刻。

「今まで…お世話になりました。」

『蜘蛛の糸』
そこには看板娘"だった"マキが店長の京子さんとそのサーヴァント、ジェームズ・モリアーティに別れの挨拶を告げているところだった。

「寂しくなってしまうネ。」
「はい…勝手なことなのは分かってます。でも僕は」
「いいのよ。引き留めるようなことはしないから、胸を張っていってらっしゃい。」

手には大きめな鞄を持ったマキは、今までお世話になった二人に深々と礼をする。

次はどこに行くのか。
アテはない。目的もない。
強いて言うならば大切な人を探すこと。
そして、憎きあの財団を例え一人だけだとしても潰すことだけ。
勿論、二人にはそのことは一切伝えていない。
モリアーティは何度か聞き出そうとしたことはあるものの、その度にマスターである京子さんに止められていた。

さぁ、この町ともおさらばだ。
そう思った時である。

「ん?」

ドアの開閉を伝えるベルがなった。
つまりは誰かがこの店に入ってきたことを知らせる。
しかし今は昼前。
あいにくbarを経営するのは夕方からだ。

「Closeの文字が読めなかったのだろうネ。ちょっと見てくる。」

そういい、モリアーティが向かうが。

「え?キミ、なんだね!待ちなさい!」
「邪魔するヨ。」

来客はモリアーティを押し退け、なんとカウンター内にずかずかと入り込んできた。
もしかして強盗かもしれない。
とりあえず残された二人はカウンターへと来てみる。
するとそこには、

「強引なお客さんね。誰かしら?」
「あんたが店主かい?ちょいと聞きたいことがあるのサ。」

やってきた来客が気になり、マキは物陰からそっと覗き込む。
彼女にとってそれが、とても聞き覚えのある声だったからだ

「"マキ"っていう情報屋は、どこだい?」


 

 
一方その頃。東京江東区あたり、
イルカショーの会場『シルク・ドゥ・ルカン』にて。

「「ふたりは水着にアーチャー!!」」


ワァッと歓声が上がる
イルカショー会場は大盛り上がりだ

「ふたりは…」
「水着アーチャーだって…!?」

変身を完了した二人を見て、葛城財団と人間同盟からなる悪党ご一行は唖然としている。

「それがどうした!!たかが水着に着替えただろ!!」

一人の教徒の叫びに皆我に返って銃をかまえなおして駆け出す。
客席をおり、プールをこえて彼らはステージ上の二人の主役を囲った。

「いいか?情報通りならそっちの奴がトロい。まずは奴から狙え!」

隊長らしき人の指示で、奴等は刑部姫をロックオン。
だけどな…
(アーチャー)のおっきーが、これまで(アサシン)のおっきーと同じだと思うなよ。

「っ!!」

引き金に指をかけ、引こうとした男の手のひらに激痛が走る。
あまりの痛さに銃を取り落としてしまう男。
目の前には銃(エアガン)をかまえたおっきー。

「撃っていいのは…」

どこからともなく二挺のマシンガンを取り出し、

「撃たれる覚悟のあるやつだけだー!!」

乱射する。
乱れ舞う弾丸。しかしそれは正確に悪党のみを撃ち抜いていた。
さらに

「こいつ!!トロいんじゃなかったのか!?」

おっきーとは思えぬダッシュ。
そして滑り込むように素早く相手の懐に飛び込み、

「最初に忠告しておく…死ぬほど痛いぞ!」

相手の腹にマシンガンを押し付け、フルオートでブッ放した。

ゼロ距離からの攻撃に倒れ、のたうつ悪党。
ちなみにエアガンなので実弾じゃなくBB弾だ。
ただし魔力によって極限まで強化されてるから彼女の言った通り、当たると死ぬほど痛いけどな。

「まーちゃんすごい!すごいよこれ!!姫の身体じゃないみたい!!あ、もしかして周りが弱いのかな?シャゲダンしちゃお。」
「ふざけんな!!くそっ!どうして当たらないんだ!!」

とイキッて軽口を叩きながら今度は敵の攻撃を簡単によけていく。
すごい、というかすごすぎて逆におかしい。
バック転だったり宙返りだったり、なんかもう動きがuf◯tableが作画したみたいな化け物じみた動きになってるもん。

「…!」

攻撃を煽りながら避け続けていたおっきーが何かに気付き、両手にかまえていたマシンガンを投げ捨て、今度はライフルをかまえた。

「ファイヤ!!」

スコープを覗き、迷うことなく引き金を引く
放たれたBB弾が真っ直ぐ向かう先は観客達。
ではなく、その観客の間をギリギリすり抜け、人質をとろうとしていた悪党の眉間に命中させた。

「やりますねキュア☆おっきー!さすがは私の妹です!!」
(あれ…なんか姫妹にされてない?)

おっきーがここまで大活躍をしていれば相方のキュア☆ドルフィンもといジャンヌも黙ってはいない。

「それではお姉ちゃんも頑張ります!弟くん!見ていてくださいね…!」
「」

虚無の顔で見てっけど。

「ふざけやがって…!いいかげんにしやが」

銃をかまえて突撃しようとする悪党にイルカがぶつかる。
ジャンヌがどこからともなく出現させた光のフープ。
イルカがそこをくぐると光速に近いくらいの速さで撃ち出されるのだ。
いるかこわい。

「まだまだですよ!お次はこれです!」

その光のフープを掴んでブーメランの如く投げる。
お姉ちゃんいわく、それは弟くんに仇なすモノ全てを切り裂くフープだそうな。
だがこの会場にはお子さまがいるのでそこんところは優しい表現にしておこう。当たったら火花が散って吹っ飛ぶくらいのマイルドな威力と表現に。
悪党とはいえ人体が真っ二つになっちゃうのは教育上よろしくないからね。
え?その前に二人の格好が教育上よろしくない?
うん!!!そうだね!!!!!

「…。」
「ほら、弟くん。」

ステージで活躍するおっきーを見ていたいが生憎そんな暇はない。
まず俺は死んだような顔でステージを見てる弟くんを呼び、あるものを渡した。

「これは?」

かごいっぱいに詰め込まれた何か。

「じゃあそれ、観客達に配ってくれ。基本子供にあげて、後は欲しがったら大人にもあげてくれ。俺は反対側から行くから。」

「え、ああちょっと!!」

事情を聞かないままかごを渡された弟くんは俺に何か聞こうとしたがそのまま俺は観客席へと走り去っていく。

「悪いけど時間がないんで!事情は後で話すから!」
「時間がないって…探偵さんは何をするつもりなんだろう。」

かごにみっちりと詰め込まれているのは、棒状のもの。
弟くんはそれを手に取ってみてみると、ちょうど手のひらにおさまるくらいの短い棒で、先端にはイルカをあしらった飾りが。
スイッチを押すとそのイルカか七色に光る仕組みになっている。

「これって…ペンライト?」

そう、ペンライトだ。
いつ作ったのとかそういう野暮なツッコミ置いといて欲しい。
ともかくこの余興には、これが必要なのだ。




「がんばえー!じゃんぬがんはえー!」(子供の声援)
「がんばえー!!ジャンヌがんばえー!!」(大の大人の声援)
「てっぽうかっこいい!あれほしい!」(子供の声援)
「なんだよその胸と腹!!固定資産税かかっちゃうだろ!!」(大人の声援)
「まけるながんばえー!!」(子供の声)
「そこまでエロくするのに眠れない夜もあったろうに!!」(大人の声援)

さて、ステージは大盛り上がり。
このまま行けば悪党は全滅するだろう。
だがこのままではつまらない。
こういったショーには余興がつきものだ
視聴者参加型の、子供が喜ぶような余興が。

「配り終わったよ。」

ちょうど俺がペンライトを配り終わった頃、反対側から弟くんがやってきてからのかごを見せて全て配ったことを伝える。
よし、そろそろだろう。

そうして俺はステージに向かって両手でわっかを作り合図を送る。
するとそれに気付いたおっきーとジャンヌはまってましたと言わんばかりに、

「ぐっ…。」
「ダメです…ち、力が入りません…!」

急にわざとらしく倒れ、動かなくなった。
ちなみに本当に動けなくなったわけではない。ただの演技だ

「少し派手に暴れすぎたみたいです…弟くん切れが…。」

なにその電池切れみたいなやつ。
いや、何らかの理由つけてピンチに陥った演技してくださいって言ったんだけどさ。

「ひ、姫も引きこもりパワーが底をついて…」

お前はお前でなんなんだよそのネガティブそうなパワーはよ。
もっときれいなものにしろよ。

「ほう、何が何だか知らないが…チャンスみたいだな。」
「やっとだジャンヌ。さぁ、代表のもとまで来てもらおうか!」

と、舌なめずりやゲスな笑顔を浮かべてじりじりと近寄ってくる悪党。
もうお前ら完璧にハマり役だよマジで。THE悪党みたいなムーブかましちゃってさ。

「探偵さん!これは!?」
「まぁ見ててくださいよ。」

よし、準備は整った。
ということで、俺は大きく行きを吸い込み、叫ぶ

「た、たいへんだーーーー!!!!」
「!?」

観客達が一斉にこちらを向く。

「このままじゃふたりは水着アーチャーがやられちゃう!!みんな!!さっきもらったペンライトを振って応援するんだ!!」

映画とかであったろ?
なんかもらえるアイテム使ってパワー送ろうってヤツ。
それの真似よ。

「まけないでー!!」(子供の声援)
「やだ!まけないでやだ!!」(大人の声援)
「がんばえー!!おっきーがんばえー!! 」(探偵の声援)

大人も子供もみんなで必死にペンライトを振る。
俺?自分のサーヴァントなんだから応援したっていいだろ。

さて、応援されパワーを送られた二人はここで無事復活なのだが、

「ぐ…まだダメです…。」

ジャンヌが起き上がらない。

「あと一人分足りません…!お、弟くんが応援してくれれば…頑張れるような気がします。」
「だってよ。」
「ええ…。」

名指しで指名され困惑する弟くん。
本人はペンライトを自分で確保してなかったので仕方なく貸してやるとする。

「ほら、」
「いやでも…。」
「ショーが進まないんで…。」

迫る悪党をコッソリ突き飛ばしながらジャンヌは待っている。
弟くんの声援を。

「じゃ…ジャンヌ…」
「そこはお姉ちゃんだって!」
「お…おねえ…ちゃんがんばれー…。」

消え入るような声。
実際観客の声にかき消されてはいたが

「お姉ちゃん!!完全復活です!!」

お姉ちゃんの耳にはちゃーんと届いていた。

「キュア☆おっきー。このままでは埒があきません!"必殺技"を使いましょう!!」
「おっけー!」

え?必殺技?
俺そんなの聞いてねーんだけど?

「ん?今さら何をするつもりだ?ストリップでもすんのかよ?」

と、まだ自分達が有利だと思い込んでいる悪党共だが、
次の瞬間その表情は一変する。

「説明書は読みました!バッチリ行けますよ!」
「なっ…!?」

おっきーが取り出したもの、それは四連装ロケットランチャー。
それをヒーローがとどめをさすときに使う必殺武器のごとく二人でかまえた。

「そ、そんなもんでどうするつもりだ!?」
「安心してください!子供の教育上よろしくないため出るのはロケット弾ではなく光るイルカさんですので!」

充分物騒だわ。

「さて!捨て台詞の用意はいいですか?最後は悪者らしくお空の彼方に消えてもらいましょう!」

「待、待ってくれ!!」

遅すぎる命乞い。
だがそんな事は一切聞かず、おっきーはロケットランチャーの引き金を引いたのだった。

「「ダブルアーチャーエクストリーム!!」」

「ばっ、馬鹿なああああーッ!!!!!」

ロケットランチャーから射出されたものは確かに光るイルカさんであった。
それは奴等に激突すると派手に爆発。
そして奴等は「おぼえてろよおおおおお!!!!」とお約束かつベタな捨て台詞を吐いて星となって消えた。

「…この戦いは伝説に残る…!」
「やりました!!私達の勝利です!!見てましたか弟くん!!!」

沸き上がる声援。
やってきた妨害を悪党に見立て、それをスーパーヒロインショーへと昇華させる。
観客は見ての通り大喜び。そしてリピーターも増えることだろうし新しい客層も増えることだろう。

「探偵さん。」
「なんすか?」

このショーを終始不安そうに見守っていた弟くんがどこか安心したような表情になっていた。

「最初はどうなるか不安で仕方なかったけど…ありがとう。僕らのためにここまでしてくれて。」
「礼なんか必要ないっすよ…まぁどうしてもお礼がしたいってんならお金くらいは受け取りますがねぇ…」

と、さりげなーく報酬金をねだってみるが

「探偵さん…あれ。」
「ん…?」

弟くんが二人のいるステージを指差した。
その先にはお姉ちゃん。そしてもちろんおっきーがいる。
ただそのおっきーの様子が

「キュア☆おっきー?どうしたんですか?」
「も…もう…だめ…。」

ふらふらしていて、ついにバタリと倒れた。

「おっきー!!」

考えるよりも先に身体が動いていた。
何があった?怪我をしたのか?
まさか流れ弾が当たった?だがサーヴァントならたかが一発二発当たったってどうということは…、

待て。
奴等が最初に来たとき、何て言ってた?

「一発でも当てれば、俺達の勝ちだ」

聞き間違ってなければ、確かそう言ってたよな?
なんだ?サーヴァントに効く弾丸なのか?
心の中でいくつもの嫌な予感が思い付く。
今はそれを取っ払い、俺は急いでおっきーの元へと走った。

「おい!おっきー!どうした!?」

客席を飛び降りるように駆け抜け、プールに飛び込んでステージまで泳いで渡る。
ステージに上がると横たわるおっきーをかかえ、必死に呼び掛けた。

「ま、まー…ちゃん。」
「おい!なんだよ!?どうしたんだおい!!」
「ま、まって…いますごいいたいから…」
「ッ…!もういいしゃべるな!!医務室の場所は!?」

おっきーを抱き抱え、ジャンヌに医務室の場所を聞く

「医務室は奥の方の…いえ、係員さーん!!彼を案内してください!!!」

その方が早いと判断したんだろう
それから係員達に案内してもらい、医務室へと向かった。

外傷はない、ただおっきーは全身が激痛のあまり指一本動かせないと言う。
一体なんなのか。
もしかしたら消えてしまうんじゃないか。
と、そんな最悪の結末が思い浮かんでしまう。


で、
その結果なのだが



「筋肉痛ウゥゥゥ!?」

日頃の運動不足がたたり、急に激しい運動をしたせいで全身がひどい筋肉痛を起こしてしまったのだそうな。
サーヴァントなのに、
サーヴァントなのに、

「えへへ…心配かけさせちゃってごめんね♡」
「ごめんね♡じゃねーんだよボケがぁ!!」

ベッドで寝ているおっきーを無理矢理起こす。

「痛い!!主に全身が痛い!!まだ完治してないの!!」
「うるせぇ馬鹿野郎!!サーヴァントのくせになーにが筋肉痛だ!!こっちは死ぬほど心配したんだぞコラァ!!」
「だから心配かけてごめんってばぁ!!!」

本当に、本当に良かった。
おっきーがいなくなるなんて、考えたくもない。
しょーもないただの筋肉痛で…本当に良かった。


「動かせんだろオラァ!お前昨日の夜ゲームしてたの知ってんだからな!!!」
「な、なんでスマ◯ラしてたの知ってるのぉ!?」
「ホントは知らねーし。カマかけて大正解だったなこの野郎!!ほら動けこんにゃろ!!」
「あーだめ痛い痛い痛い痛い!!!」


「ただの筋肉痛で一安心ですね。」
「だね。」

そんな俺達二人を優しい目で見てる弟くんとお姉ちゃん。

「口は悪いけど…探偵さん本気で心配してたし。きっと自分のサーヴァントが大好きなんだろうな。」
「ええ、弟くんもお姉ちゃん大好きですからね。」
「え?」

変な方向に話を持ってかれて弟くんは困惑する。
さらに手を引っ張られ。

「さぁ、お二人の邪魔にならないよう私達は別室で愛し合いましょう!弟くん!!」
「い、いや待って!まだ仕事が…。」

こうして、『シルク・ドゥ・ルカン』の事件は無事解決した。
これからもこのイルカショーは子供達、もしくは大きなお友達にとっての娯楽となり続け、彼らの心に笑顔を絶やさない大切な存在へとなるだろう。

いろいろあったが、これにて一件落着だ。





 
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