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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第672話】

 
前書き
模擬戦です( ゚ 3゚) 

 
 一時間後、場所はドイツ空軍特別戦場アリーナ。
 規模はIS学園アリーナの五倍大きく、倒壊したビルや小さな山岳地帯等をそのまま納めた特殊なアリーナだ。
 アリーナ周囲にはこの模擬戦をあらゆる角度から見れる様にドローンカメラ等が浮遊していた。
 試合は既に始まっていて、砲弾によってコンクリート片が辺りに舞い散り、砂塵の様に漂っている。

『マチルダ、敵機に補足はされていないだろうな?』
『大丈夫です。擬装コートで周囲の地形に溶け込んで居ますし、この距離でカモフラージュしていたら絶対バレません!』

 山岳地帯の中腹、周囲の地形に溶け込んだリスペルン・ガイストがその長大なライフルを構えてハイパーセンサーとリンクさせ、狙撃体勢で待機していた。
 試作型レールライフル【シュネル・ゲシェンク】、シュヴァルツェア・レーゲンの大型レールガンをダウンサイズさせた狙撃用レールライフルだ。
 擬装コートによってライフルも周囲の地形に溶け込んでいて遠目からの目視では発見は困難だろう。

『ネーナ、ファルケ、敵機をポイントαに追い込めるか?』
『や、やっていますけど……あぐっ!?』
『は、はや……きゃあっ!?』
『どうした!? 圧されているのか!?』

 クラリッサと共にいるイヨはアサルトライフルを構えるとクラリッサに告げた。

「副隊長、私が援護へ向かいます。我々三機がポイントαへ誘きだし、マチルダの狙撃で彼の機体にダメージを与え、副隊長含めた総攻撃で相手を沈黙させます」

 数の優位性で立てた簡単な作戦だが、敵機は一機だけなら有効な手段ーーの筈だったのだが。
 何度か瓦礫の崩れる音が聞こえてくる……クラリッサはイヨに向かって頷くと直ぐ様ライフルを構えて倒壊した市街地エリアへと侵入していった。

 ヒルトがネーナとファルケと接敵する少し前に遡る。
 広大なフィールドから飛び出したヒルトは直ぐ様市街地エリアの中心部へと降り立つ。
 倒壊したビル等が目眩ましになっていて、直ぐには交戦に入らないだろうと思い、周囲の地形のマッピングを開始した。

『マスター、何で辺りのマッピングをしてるのですかぁ?( ・ε・)』
『戦闘しながら地形把握は困難だろ? 雅、山岳地帯のマップは出せるか?』
『任せてくれ主君。……周囲のドローンの映像を回すぞ、主君』

 ハイパーセンサーの片隅に映し出される山岳地帯、岩肌が露出していて散発的に大木が見え隠れしている。
 とはいえ大半は岩や砂利等だ、身を隠すには不便な場所だろう。

『岩ばっかりなのですよぉ(´・ω・`)?』
『そうだな。とはいえこれだけ広いフィールドだからな、多分だがスナイパーが居る可能性が高いと思う』
『岩肌ばかりだと流石に隠れる場所はないように見えるのだが主君』
『そうだな。だけど可能性はある、無いならそれで構わないし。ナギ、雅、市街地周辺のドローンカメラのハッキングを頼む』
『了解なのですよぉ(*`・ω・)ゞ』
『承知した』

 直ぐ様ドローンカメラの映像が映し出された。
 敵影が見えないものの、集音装置によって拾い上げる滑走音が聞こえてくる。
 姿が見えないのは高度なステルスかカモフラージュによって周囲に溶け込んでいるのかもしれない。
 そう思った俺はワイヤーブレードを静かに射出し、ワイヤーブレード本体に光学迷彩で発見されにくくし、予想される進路にワイヤーを張り巡らせた。

 音が近づいてくるーーそして。

「な、何これ!?」

 張り巡らせたワイヤーブレードに触れた一機は、纏っていた擬装コートがずれてその姿を露にした。
 現れたのはネーナだった。

「そっちか!」

 直ぐ様反応したヒルトは、右肩のランチャーをソードモードに切り替え、紅い粒子の刃が収束したカミノカムロを構えて斬りかかる。

「ここで一機!」
「……!?」

 油断したわけじゃない、だけど、何処かに慢心があったのかもしれない。
 目の前に迫る紅い粒子の刃に、きゅっと瞼を閉じたネーナだったがその一撃を防いだのは同僚のファルケだった。

 収束させたプラズマブレードで防ぎ、つばぜり合いに持ち込まれーー。

「ネーナ、ここからは二人で行くよ!」
「う、うん!」
「チィッ……二機目が合流してきたか!!」

 直ぐ様プラズマブレードを払いのけ、Σ機動で地上を高速滑走するヒルト、それを追跡するネーナとファルケ。

『雅、この場所まで待避する。ナビゲートを頼む』
『分かった、任せてくれ主君』

 ハイパーセンサーに表示されるナビゲーション通りに、相手に牽制射撃を行いながら指定した場所まで移動する。
 鳴り響く発砲音と共に、建物のコンクリート片がネーナとファルケの二機に襲いかかる。
 牽制も込めて、倒壊したビルのコンクリート片で機動力を落とさせ、あわよくばダメージも与えようとヒルトは目論んだからだ。

 周囲に舞う砂塵を巻き上げ、引き離したヒルトは指定された場所へとたどり着くとライフルを瓦礫の影から銃口だけを出し、引き金をワイヤーで引けるように直ぐ様仕掛ける。

 仕掛け終わるや、左肩部のクローをステルスで隠し、上空へと射出、更にソードモードのカミノカムロをランチャーへと戻し、それを担架して砲身を格納させた。

 比較的広いとはいえ、長い砲身は妨げになることが多い。

『マスター、接近まで後少しなのですよぉヽ(´Д`;≡;´Д`)丿』
『慌てなくていいーー来た!』

 広場へと姿を表した二機、先ずはワイヤーに繋がったライフルの引き金を引くと発砲音と共にフルオードでレールライフルの弾が一斉射される。


「横からの攻撃!?」
「それにこの威力はーーレールガンをアサルトライフルの様に連射してるというの!?」

 突然の射撃にシールドエネルギーを消費するも、直ぐ様瓦礫へ向けてアサルトライフルを発砲、崩れる瓦礫にレールライフルは射撃を阻まれるが既に役目を終えたライフルはヒルトの手によって粒子化され、回収されている。

 続いて上空から刃が形成されたクローが二機を襲う。
 空気を切り裂き、直上から強襲してきたクローの一撃に二機は更に大きなダメージを負った。

「私達が誘い込まれたの!?」
「くっ……! 何処に居るんだ……!」

 強襲したクローは既にその場になく、光の粒子片となって虚空へと消えていた。
 そして、ビルの合間から飛び出してきたヒルトは二機に対して更なる強襲を仕掛けた。

  


 
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