IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【IS外伝11】
前書き
外伝だよー( ゚ 3゚)
「早くしなさいよ、愚図な男ね!!」
またか……そう思った俺はその言葉を放った女性を見た。
「レジ打ちも満足に出来ないわけ!? これだから男はダメなのよ!」
「も、申し訳ありません!」
店員が脂汗を流しつつ、会計を済ませている。
特にスピードが遅いわけではない、どちらかと言えば手際が良いぐらいだ。
では何故女性がこうも苦情ーーというか、声を荒くしているのは昨今の女尊男卑が原因だろう。
ISの登場により世界情勢は変わり、男女平等の世界から一転して女尊男卑に世論が傾いていた。
仕事に関しての賃金にしても女性優遇で男性の方が低いなんて会社もあるぐらいだ。
女尊男卑になったぐらいで何故こうも男の価値が下がったのかは理解に苦しむところだ、賃金に関しては所謂ブラックと呼ばれる会社が悪乗りして労働力の単価を下げているだけだろうし。
声を荒くしている彼女も何故偉そうに出来るのかが俺には今尚わからない。
レジ打ちを終え、レジには合計金額が表示されるが女性はもたもたしているのか財布の中を探している様に見えた。
レジには長蛇の列、女性のもたつき具合とさっきの金切り声にイライラしていたのか列に並ぶ客も表情が変わる。
俺はため息をつくと巻き込まれる前にその店を後にした。
喧騒の中、人の波を掻い潜る俺は人の少ない所に移動すると額の汗を拭う。
人の熱気にやられたのだろうか、それとも夏だから?
日本という国は本当に暑い、母さんが生きていたら……俺と一緒に日本に来ていたのだろうか?
「あっ、ここに居たんだ?」
「ん?」
ヒョコっと顔を覗き込む彼女、流れるような金髪に中性的な容姿、だがスタイルはちゃんと出るところは出て引っ込む所は引っ込んでいる。
……俺の想い人だ。
「もう、探したんだからね? 勝手に居なくなっちゃってさ」
「悪い、ちょっと見たいものがあってな」
「それならちゃんと僕にも言ってよね? キミを探すの、苦労したんだから……」
ぷくっと頬を膨らませるそんな表情も愛おしく感じ、俺は無意識に手を彼女の頭へと置くとそのまま撫でた。
彼女は驚いたように目を見開き、かぁっと白い頬を桜色に染め上げた。
そんな表情したら……君は俺の事が好きなのかと勘違いしてしまうだろ。
……勿論、口に出して言わない。
元々俺は恋愛とかはよく分からないのだからどうすればいいのか毎日悩んでいる。
だけど……そんな彼女の側にいたいという気持ちに嘘をない。
「い、いきなり頭を撫でるだなんて、どうしたの?」
「いや、つい……な」
「そ、そっか……えへへ……」
嬉しそうにはにかむ彼女の笑顔はまるで向日葵の様に見えた。
「じゃあそろそろごはん食べよ? 僕もお腹空いたし、キミもお腹空いたでしょ?」
「そうだな。食べたいものはあるのか?」
「うーん……僕はキミと一緒ならどんなご飯でも美味しいから。だからキミの食べたい物でいいよ?」
「オッケー、じゃあ俺が来日して初めて食べたあの店に行こうか」
「うん!」
屈託のない笑顔を見せた彼女に、俺の心臓は高鳴る。
もしかしたら俺の顔も赤いのだろうか……。
そんな風に思いながら俺と彼女は歩幅を合わせて歩いていく…………。
「ーート! じゃなくてウィステリア! 起きてよ!」
「む? ……何だ、どうしたというのだ」
「もう! 仕事中に寝るから起こしたんでしょ!? こんなところ見られたらシルバーに怒られるんだからね!?」
腰に手を当ててぷくっと膨れるシャルトルーズ。
思わずウィステリアは笑顔を溢した。
「な、何で笑うのさ」
「いや、何だか夢の中でもキミに怒られていたからね。予知夢だったのかなって」
「し、仕事中に寝てるからだよ! ……もしかして、疲れてる?」
「……まあ少し疲れてるかな? 仮面も着けてるし」
「もう……。無理はダメだからね? キミは昔から無理してばっかりなんだし!」
「わかったよ。取り敢えずこの仕事済ませたら一息いれるさ。シャルトルーズ、何か飲み物を用意してくれるかな?」
「……もう。じゃあ僕がお茶淹れてくるから」
そう言って部屋を出たシャルトルーズに、ウィステリアは呟く。
「……昔とあまり変わらないな、シャルトルーズは」
そう呟くと僅かに苦笑して机の書類に改めて目を通していった。
後書き
ただの外伝、何となく書いてみた( ゚ 3゚)
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