崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
探偵は東京へ行く/神作家と神絵師
前書き
どうも、クソ作者です。
これからたくさんのサーヴァントが出てきます。
「なぁ、バーソロミュー。」
「なんだい同志。マキさんの魅力についてのことかな?」
「ちげーよ。」
熾烈を極めた酒飲み勝負の翌日。
俺はバーソロミューと飲んでいた。
ちなみにあの後、ハインド商会は勝手なことをしてしまって申し訳ないと謝罪して物資を置いていった。
『蜘蛛の糸』のお酒のバリエーションも増えたし、ホテルのメニューも随分と豊富になって一安心だ
宿泊客も多くなってきたし今度ビュッフェスタイルにでもしてみようかとオーナーさんも企画してたな。うん。これ絶対手伝わされるやつだわ。
「お前、運び屋の仕事してんだってな。」
「そうだね。荷物や人、そういったものを運んでるよ。」
「それってどうなんだよ。予約とかいるわけ?」
バーソロミューの船に乗り、俺は東京に行かなければならない。
デート…っていうのはイマイチ照れ臭い。
なので仕事の依頼があるからあくまでついでということにした。
だって折角もらったチケットも無駄になっちゃうし?
「なるほど…デートだね?」
「ちげーっつってんだろ。」
「隠す必要はないよ。話はマキさんから聞いてるからね。」
「はぁ!?」
カウンターの奥に目をやると、そこには笑顔でこちらに手を振るマキさんの姿が。
バラしたとなれば今すぐ血祭りに上げてやりたいと思うがマキさんは別だ。
どんなことしてもかわいく見える。
「キミのサーヴァントは私の好みではないが…いいだろう。ここは喜んでキミ達を運んであげるよ。場所は東京。イルカショーのやっている場所だね?」
「ああそうだよ…んじゃあよろしく。」
「ちなみにメカクレなら料金は8割引きだ。どうだい?今からでも遅くはない。前髪伸ばさない?」
「お前俺も守備範囲なのかよぉ!?」
そうだもんな。メカクレの少年少女だもんな。
男も女も関係なくメカクレならいいんだもんな。
とまぁ、なんとか東京行きの足は確保できた。
そんな中、他愛ない話をする俺とバーソロミューさんを見ている二人がいた。
この店の店主、モリアーティと京子さんだ。
「あの二人…毎日来てくれてるわね。」
「ああ、そうだね…。」
どこか心配そうな目をしている。
「しかし京子くん…あのことを彼らに話した方が…。」
「言ってはダメよ?マキさんも言わないでって言ってたでしょ?いくら悪党でも女の子との約束は守らなきゃ。」
「…。」
黙るモリアーティ。
マスターである京子は小さくため息をついた。
「また、寂しくなるわね。」
「ああ、いきなりで驚いたよ…まさかマキくんがここを辞めるなんてね。」
事態は数週間前のこと。
突然ここの従業員であるマキが言ったのだ。
「申し訳ありません…実は近いうちに…ここを辞めることを考えてます。」と。
仕事もてきぱきこなし愛想もいい。そして一部の常連客からは大人気の子だ。
できればここにいて欲しいが本人の都合もある。辞めさせないというわけにもいかない。
そしてマキは約束してほしいこととして言ったのだ。
お客さん達、特にお世話になっているバーソロミューや探偵さんには内緒にしておいてほしいと。
悲しむだろうし、きっと追いかけてくるからと言ってた。
ここに来るまでの彼女の経歴はなにも分からない。
でも、きっと迷惑をかけることになると本人は言っていた。
そう言うことで二人はマキの意見を尊重し、辞めることは言わないという約束を守ることにした。
⚫
翌朝
「おはよう同志。デートにはもってこいの朝だな!!」
「だからデートじゃねぇって言ってんだろ!!殺すぞ!」
姫路町からさほど離れていない港。
そこに停泊しているバーソロミューの船に乗り込んだ。
東京。
世界崩壊直後、東京には多くの難民が押し寄せ、東京に入ることができなくなった者が周囲にスラムを形成した。
よって治安は最悪。そして東京自体も偉い人だかなんだかの江後が蔓延ったりしてそれはそれはもう大変だったらしい。
しかし、最近はそんな自体も沈静化。
現れたサーヴァント達の活躍により、そんな地獄じみた東京も少しずつ良くなっているとのこと。
「それでは出航しよう。乗り遅れたものや忘れ物をしたものはいないかな?」
じきに船は動き出す。
波は穏やか。そして嵐が来るなどの心配もない。
少しの荷物といくらかの客を乗せ、バーソロミューの船は東京を目指して動き出した。
「ねぇまーちゃん、覚えてる?最初の目的は東京に行って、二人で楽して暮らすことだったよね。」
「…だな。」
世界が崩壊して早半年…。
なんだかそれも遠い昔のことのように思える。
「最初は思わなかったよ…こうして探偵を始めて、いろんな人に関わって…。」
「つまんねーことも苦しいこともあったけどさ、面白いことはそれ以上にあったろ?」
「うん、まぁ。」
「で、今回は慰安旅行だ。普段からいやいや言いながらもちゃんと頑張ってるお前を労うためのな。」
「…え?」
なんだよ、鳩が豆鉄砲くらったような顔しやがって。
「デートじゃねーから。それに何度も言わせんな。あくまで頑張ったお前を労うための"慰安旅行"だからな!」
勘違いさせないため、慰安旅行を強調して言う。
(素直じゃないなぁ…まぁ、そこがまーちゃんのかわいいとこなんだけど…。)
照れ臭いので遠くを眺めて時間を潰すことにする。
一面の青。
太陽の光に反射して海はきらきらと輝いていた。
世界が崩壊し、きったねぇ都会の海も今では沖縄の海とそう変わらないレベルまで浄化されているとも聞く。
「あの、ちょっといい?」
と、人が海にみとれているそんな時だ。
誰かが話し掛けてきたのでなんだよと思いながら振り向くとそこには金髪の女性が。
「え、なんすか?」
ショートヘアで目付きが悪く、左耳にのみピアスをしている。
え、なに?ヤンキー?カツアゲ?
「キミ、もしかして探偵の"ニノマエ マコト"で合ってる?」
「いかにも。俺が探偵の一 誠だが?」(イケボ)
そう言うと女性はポケットからメモ帳とペンを取り出す。
「取材、してんだ。良かったら今まであった事とか全部聞かせてくれない?」
取材?
「あ、それとあたしはこういう者。」
そういって女性は名刺を手渡してきた。
見てみるとそこには『図書館館長 "源 葵"』と印刷されていた。
「源 葵、こうやって各地を回って色んなサーヴァントやマスターに取材して回ってるんだ。」
「へぇ…。」
この源 葵さんとやら、横浜にて図書館を経営しながらこうして各地を取材しているとのこと。
で、ここら辺で活躍している俺とおっきーの噂を聞き、やってきたそうだ。
そして、
「葵様、目的に向かって一直線になりすぎるのは、悪い癖かと…。」
「ああごめん…香子。」
彼女もまたマスターだ。
後ろから気品たっぷりにやってきた、ゴシックなドレスに身を包み日傘を差した女性。
発表当初、ダウナー系で根暗なタイプかと思えば実は天然の少しドジ踏むタイプだったサーヴァント。
日本鯖のくせにドレスを着たキャスターのサーヴァント、紫式部が彼女のパートナーであった。
「んで、この人があたしのサーヴァントのかおる…じゃなかった。紫式部。」
「その呼び方は二人の時のみにと約束したではありませんか…。」
「だ、だからごめんって。」
しゅん、となる紫式部。
え、何?二人の時のみの呼び方とかあんだ。
それにマスターとサーヴァントが女同士の組み合わせはなんだかんだで初めて見たな。
あれ?ということはもしかしてこの二人、魔力供給とかどうすんの?
もしかして…レズ?
と、ホームズもびっくりの名推理をしていてあることに気付く。
「あれ、おっきーいねぇな?」
おっきーがいない。
さっきまで隣にいたのに。
「刑部様なら、そちらに…。」
「え?」
紫式部が船のマストを指差す。
するとそこには陰から顔だけだしてこちらの様子を伺っているおっきーの姿が。
「私の姿を見るなり隠れてしまって…何か気にさわることでもしてしまったのでしょうか?」
「いやそんなことねーっすよ。オラァ!おっきー出てこい!取材だぞ取材!!!」
「やだ!!!だって相手は式部パイセンだよ!!!」
あーあれか。
あまりのカリスマぶりに近付けないってか。
「む、無理だよ!おそれおおすぎて近付けないよぉ!」
「気にすんなっての。あっちは何か良くないことしたか不安になってんだからよ。」
「でも…。」
「でもなんだよ?」
「あの人…姫とめっちゃキャラ被りしてるし…。」
「は?」
どこが?
「あの…刑部姫様?」
「うわあああ来たあああ!!!い、いいです!姫のことなんか気にしないで!!姫にかまわないでぇ!!」
紫式部を前にしてなんだかもうわけわからんことになってるおっきーを取り押さえ、それから俺は取材を受けることにした。
⚫
それから東京に着くまでの間、彼女からは様々なことを聞かれた。
世界崩壊直後のことや、
何故探偵を目指すことになったのか、どんなことを解決してきたか、印象に残った事件はあったか?
そしてセットで刑部姫も紫式部からイロイロ聞かれたり聞いたりしていたが何を話していたのかは知らない。
だが、話が終わった際紫式部には
「甘やかされるのがお好きなのですね…これからも末永くお幸せに」
と言われおっきーは
「すごかった…あの人いろいろすごかった。百合ってすごい。」
とだけ言っていた。
なんだよ、結局魔力供給の話じゃねーか。
それから約一時間後。
「さぁ着いたぞ。キミのデートという船出に、多くの幸があらんことを。」
「いい加減にしねぇとブッ飛ばすぞてめぇ。」
目的地である東京に到着。
港は俺達のいた町とは比べ物にならないほど賑やかだ。
「それでは同志、また会おう。ところでそこの金髪のキミ。前髪伸ばさない?」
「やめとく。」
バーソロミューはまだ仕事があるので、彼とはここでお別れだ。
そして遠回しなナンパを源 葵にしかけたがあっさり撃退された。
「そっちはこれからどうするんです?」
「んー。探偵さんからはまだまだ聞きたいことはあるし…どう?しばらくは一緒に行動しない?」
俺はかまわないけど…。
「だめ…!姫プレッシャーで死んじゃうぅ…!!」
「お前さっきまで猥談で盛り上がってたんだろ!?仲良くなったんじゃねーの!?」
俺の後ろに隠れるおっきー。
紫式部は不思議そうな表情で覗き込むも、おっきーはなんとか目を合わせまいとしている。
陰キャかお前は。あ、陰キャだったわ。
「ところで、探偵さんお二方は東京にどういった用事で?」
「用事というか…慰安旅行っすね。」
【とは言いつつも、実際のところデートである。ただ照れ臭くてそれっぽく誤魔化してはいるものの本人自体も内心ドキドキしていて仕方がないのだ。】
「まーちゃんからなんか出た!?」
え、なに?
「い、いけません…!うっかり"泰山解説祭"が…!!」
はわわと言いつつ何かを隠そうと慌てる紫式部。
「あー、そういうこと。」
うんうんと頷き、なんか納得した表情の葵さん。
「何?俺から何出てんの!?ねぇ!?」
泰山解説祭。
紫式部を語る上ではほぼ欠かせないスキル。
対象の心の内を読み取り、文章化して他の者に見えるようにするもの。
つまりは心を丸裸に。ありのままの心情を晒されるということだ。
そして厄介なのがそれは自動発動型のスキルということ。
紫式部が意識せずとも勝手に発動する。なんなら気が緩んでいたら問答無用で発動する。
さらに対象はその文章化された心情が見えないというのも余計にあれだ。
つーか俺からどんなのが出てんだおい!
「なぁおっきー教えてくれ!俺なんて思ってんの!」
「教えらんないよ!!言ったら絶対『んなわけあるか!ぶち殺すぞ!!!』とかいってキレるもん!!」
「言わない!言わないしキレないから言え!!」
「え…『デートにドキドキしてる』って…。」
「んなわけあるか!ぶち殺すぞ!!」
ごめん言った。
⚫
「へぇ、イルカショー見に行くんだ。あたしも行ったことあるよ。」
「そうなんすか。」
道中、イルカショーの会場を目指しながら葵さんと話をする。
葵さんは名刺の肩書きにあった通り、横浜にて図書館の館長をしているとのこと。
「こんな世界でもさ、やっぱり紙の本って必要だと思うんだ。」
「まぁ、電子書籍とかそういったもんはパーになっちゃいましたし。」
彼女の図書館では珍しい本などを集め保管しているらしい。
さらに、取材の記事を元にし、本も執筆しているんだとか。
「とはいっても、紫式部に手伝ってもらいながらだけどね。いつか自分の本を書いて、誰かに読んでもらいたい。それがあたしの夢なんだ。」
そして彼女にもまた、夢があるのだった。
「今日はありがとう。色々聞かせてもらって。」
「いや、おっきーの良さを本にしたためてもらえればそれだけで感謝っすよ。」
やがてイルカショーの会場が見えてきた。
というわけでこの二人ともここでお別れ、
なのだが
「葵様。」
「…うん、分かってる。」
突然振り向く二人。
「奴らだ、」
「奴ら?」
「"葛城財団"もしかして知らない? 」
葛城財団?
聞いたことないな。
そう思っていると葵さんは指差す。
するとそこには四、五人くらいの白い制服を着た男達が走ってきていた。
さらに手にはマシンガン。
人混みを強引に押し退け、こちらに向かってきている。
「なんなんすかあれ、滅茶苦茶物騒ですが。」
「サーヴァントを捕まえて悪いことする奴。細かいことは後で。」
そう言い、葵さんは駆け出す。
「香子を渡すつもりはないってキッパリ断ったのに…痛い目見ないと分かんないタイプだ、あいつら。」
小言を呟きながら走る。
どうやら彼女のサーヴァント、紫式部は狙われているらしい。
のだが、今回だけは違った。
「待てぇ!大人しく代表の元に来てもらうぞ!」
「ひつっこいねぇ!おれァあいつのところには行かねぇって何度も言ってるだろ!」
葛城財団は自分達を追ってきたのではない。
逃げているサーヴァントを追いかけてきたんだ。
なら、尚更倒さなければならない。
「香子!サポートお願い!」
「はい。」
自らのサーヴァントにそう命令し、葵さんは再び駆け出す。
すると紫式部は筆を取り出し、何かを書き出した。
「何してるんです?」
「陰陽術の応用で葵様の身体能力を強化しています。"ばふを盛る"とも言いますね。」
キャスタークラスだもんな、その辺は得意分野か。
さて、バフを盛られた葵さんは走る速度がアップ。
人混みを駆け抜け、逃げていたサーヴァントを通り過ぎると地を蹴り、空高くジャンプした。
「お前は…!」
「ちょっと寝てろ!」
葛城財団と名乗る隊員の一人にまずは踵落とし。
「貴様!我々の邪魔をす」
「葛城財団の邪魔なら、喜んでしてやるよ!!」
近くにいたもう一人の隊員に華麗なる回し蹴り。
スラッとした長い脚から繰り出された蹴りはこめかみにクリーンヒット。
隊員はくるくる回りながら派手に吹き飛んだ。
「ど、どんだけバフ盛ったんすか。」
「"ほんのわずか"ですよ。葵様、運動能力はずば抜けて高いお方ですので。」
いや高過ぎだよ。
なにあの人、スタントマンとかやってらっしゃる?
だってマシンガンで武装した大の男五人くらいに女性が己の身一つで戦ってんだぜ?
映画か何か?
とまぁ美しいどころか化け物じみたレベルのアクションに見とれていると、あっという間に隊員全員をボコボコにしてみせたのだ。
「つ、次はこうはいかないからなーッ!!」
「一昨日来い。ヘタレ野郎。」
すごくベタな捨て台詞を吐きながら撤退する葛城財団に中指を立てて葵さんは見送ってあげた。
さて、奴らに追われていたサーヴァントだが…
「大丈夫?」
「ああ。助けてくれてありがとナ。」
お正月にてサプライズ実装されたあのサーヴァント。
安易な女体化かよ、と思われたらなんと本体は付属のタコ。
二人目のフォーリナーとして実装されたそのサーヴァントの名前は、
「葛飾北斎…だね?」
「いかにも。んまぁ今とと様はいないんで、正確には違うんだけどナ!」
葛飾北斎だ。
⚫
幸い、イルカショーまではまだ時間がある。
ということで俺達と葵さんは近くの喫茶店に立ち寄り、追われていた北斎から事の経緯を話してもらうことにした。
「人を探してる…?」
「ああ、おれの自慢のますたあでナ。"マイ"っていう大層な美人なんだが、知らないかい?」
首をかしげる葵さん。
紫式部は知りませんねと答えた。
俺もおっきーも知らないし、そんな人聞いたことない。
「ちょいと背が高くて、こう…右側を前髪で隠してるんだ。あと絵がうまい。おれに引けをとらないうまさだ。」
とマイと言う人物の特徴をあげてくれるのだが、
「マキさんじゃね?」
その言った特徴。偶然かは知らないが全てマキさんに当てはまるのだ。
だがマキさんはマスターではない。
でも
「その"マキ"ってのは、誰なんだい?」
「barにいるんですけどいつも着物を着てて、花魁っぽく着崩してるちょっと変わった人なんですよ。」
「…?」
北斎のまゆげがぴくりと動く。
「一応その人、情報屋やってるんでもしかしたらそのマイって人のこと知ってるかもしんないっすね。」
会ってみる価値はあるハズだ。
「そうかい。なんだかその"マキ"ってやつに興味が湧いた。会ってみたい。」
「なら…」
バーソロミューはまだ港にいるはずだ。
そう思い、俺はメモ帳の紙を一枚切り取り、バーソロミュー宛てのメッセージを書く。
「こいつを港にいる、いけすかねぇ雰囲気の海賊に渡してください。そうればマキさんのいる町まで行ってくれると思います。」
「へぇ、いいのかい?」
「もちろん。」
ただし後で紹介料として金はたっぷりもらうがな。
葛飾北斎なんだろ?だったら絵でガッポリ儲けてるはずだもんなぁ?
「じゃああたしもついてくよ。もしかしたらまたさっきみたいな追っ手が来るかもしれないし。」
そういい、葵さんと紫式部は北斎に付いていくといった。
「アンタと式部殿も探してくれんのかい?いやあ、感謝してもしきれねぇくらいサ!」
こうして北斎はマキさんのいる町、姫路町を目指すことになった。
「早くマイを見つけたいんだ。きっとアイツ…寂しくて泣いてるに違いねぇ…!」
【そして会ったら今までの分たっぷり可愛がってあげたいと思っている。首輪だけ付けて散歩して、それから前立】
「はっ!?いけません!!これ以上はいけません!!」
と言って北斎から出た謎の文章を紫式部が慌てて消していく。
あれが泰山解説祭か…。
「と、ともかく行きましょう!葵様、北斎様、善は急げです!」
北斎の泰山解説祭がなんかやばかったのか、紫式部は慌てて立ち上がり、その場を誤魔化すように早くいこうと促す。
一体文章の全容はなんだったんだ…?
前立とか明らかにやばそうな文字が見えたんだが?
「まぁそうかもナ。それじゃあ行くとするかい。」
「うん。じゃあ探偵さん。縁があればまたどこかで。」
そういい、葵さんと紫式部、葛飾北斎は喫茶店から出ていった。
あ、ちゃんとお金は置いてってくれた。
それと、
「…。」
あの場でさっきから一言も喋らず、汗ダラダラ流しながら震える手で何杯も水を飲んでたやつがいる。
「どうしたおっきー。」
刑部姫だ。
「まーちゃんにはわかる?神絵師と神作家に挟まれて精神ゴリゴリ削られてる姫の気持ちが…。(震え声)」
そうか…余程辛かったんだな。
「行くか…イルカショー。」
「うん…(震え声)」
緊張のあまりうまく立てないおっきーを引っ張り、俺は当初の目的であるイルカショーの会場へと向かった。
そして俺はこの時知らなかった。
北斎にマキさんを紹介し、まさかあんなことになるなんて。
後書き
登場人物紹介
⚫源 葵
横浜にて図書館を経営している女性。二十歳。
金髪に吊り目と、あまり近寄りがたい見た目をしているが本人は基本フランクで、誰とでも話せる人物。
世界が崩壊してから紫式部と出会い、そして各地を回るうちに色々な生き方をしているサーヴァントやマスター達と出会う。
次第に彼らに興味を抱き、彼女は英霊達の第二の人生やその生きざまを本にすることにした。
そのため彼女は図書館を経営しながら、本作りの取材のためこうして全国を回っている。
夢はいつか自分の本を出すこと。
ちなみにレズ。そして紫式部とは対照的にぺったんこ。
彼女の物語はそのうち外伝として出す予定なのでお楽しみに。
⚫紫式部
葵のサーヴァント。
大人しく落ち着き払った雰囲気とは裏腹によくドジを踏むはわわ系女子。
マスターである葵に付き従い、『葵様』と呼び慕っているが二人だけの時は別の呼び方があるらしい。
ちなみに夜の営みにおいては泰山解説祭を用い、マスターを辱しめて自分の手中におさめたいとヤンデレムーブをかますもどこかでドジを踏み、逆にこちらがいいようにされてしまうことがしばしば。
ドSを装うもその実態はドM。
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