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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
  Pには変わり者しかいない/酒飲み一番勝負

 
前書き
どうも、クソ作者です。
この話はリメイク前には存在しなかったいわゆる新規のお話です。
まぁ後の展開の辻褄合わせとでもいいましょうか。
それはさておき本編どうぞ。 

 
「イルカショーのチケット…か。」

仁さんから聖晶片と共にもらったもの、それは東京にて開催しているらしいイルカショーのペアチケットだった。

「これってつまり…デートだよなぁ。」

女の子と一緒にお出掛けしてイルカショーを見に行く。
これをデートと言わずなんというのか。
よく一緒にゲームしたりアニメ見たりカラオケで盛り上がったりすることはあったが、こうしたことはないかもしれない。

「あーやべ…なんか緊張してきた…。」

グラスに注がれたぶどうジュースを飲み干し、チケットを胸ポケットにしまう。
ちなみに俺は今どこにいるかといえば、この街のbar、『蜘蛛の糸』にいる。
1.5部で裏切ってくるおっさんその①ことジェームズ・モリアーティとそのマスターが経営しているbarだ。
薄暗く、青を基調とした内装でおしゃれで危険な香りのするオトナのbar…。
そしてこの店の噂を聞き付け、全国から悪属性のサーヴァントが集まる場所とも言われている。
なぜ俺がこんなところにいるかって?こういうの、探偵にはツキモノだろ?

「どうしたのかな探偵クン。随分と浮かないカオをしているネ。」

「あー、ちょっとな。」

気になるほど表情(カオ)に出ていたんだろうか、
ここの店主でもあるモリアーティがグラスを磨きながら話しかけてきた。

「悩みごとなら話したまえ。ここはそういったところだ。」

「別に悩みでもねーよ。ただサーヴァントと一緒にイルカショーを見に行く機会が出来たってだけだから。」

「ふむ…つまりはデートか。」

やっぱそう思うよな。

「なんかこう…緊張すんだよ。別になんてことないのに。」
「何が緊張するんです?」
「うわああああーッ!!!!!!」

思い詰めていると隣から声をかけられ思わず椅子から転げ落ちてしまう。
誰かと思い見上げてみれば着物を花魁風に着崩した女性。
そう、このbarの看板娘の

「マキさんじゃないっすか。脅かさないで下さいよ。」

「ごめんなさい。探偵さん、すごく悩んでそうだったから。」

マキさんだ。

フルネームはクズシロ マキ
長身で僕っ娘でメカクレでミステリアスで絶壁だけどえっちな下半身した属性てんこ盛りの優しいお姉さんだ。

「いやあ…特にこれといった悩みなんてありませんよ…強いて言うなら、俺には解けない謎はないってことくらい…かな?(イケボ)」

「デートするんですか?話は聞いてましたよ。」

聞かれてたのか…。

「緊張はしすぎない方がいいですよ。多分向こうだって変に意識してるんじゃないですかね?サーヴァントとマスター、いつも通り自然体でいけばなーんにも問題ないと思いますよ。」

と、優しくアドバイスしてくれるマキさん。
え?そのおっきーはどうしたって?
今巴御前とオンラインでモン◯ンやってるよ。
こういう危険な場所には連れてきたくないしな。

「探偵さんでも、女の子の気持ちはわからないみたいですね。」

「まぁ俺男ですしそれは仕方ないとしか…。」

クスクスと笑うマキさん。
そう、このbarに来る理由はマキさんに日々の疲れを癒してもらうためだ。
いや、情報収集にも来るけどやっぱマキさんの方が大きいな。
え?浮気?あのなぁ。人間は人間、サーヴァントはサーヴァントなの。
だからいいの。

さて、
これくらいの時間になると俺とマキさんのこんな幸せな時間に割り込んでくる邪魔物がいる。

「こんばんはマキさん。今日もいいメカクレだね。」

ほら来た。

「あ、いらっしゃいませバーソロミューさん。」

とたとたとやってきたバーソロミューの所に駆けていくマキさん。
そう、奴の名はバーソロミュー=ロバーツ。
推理イベント、鳴鳳荘にて先行登場し世の女性マスターを虜にした男。見た目は星5なのに星1。イケメンなのに黒髭より気持ち悪いと言われているあのサーヴァントだ。

「おや、同志も来ていたのか。」
「ああ。お前が来るまで楽しくマキさんと話してたところだよ。」

ちなみにこいつは俺のことを"同志"と呼ぶ。
私もマキさんが好き、キミもマキさんが好き、そこになんの違いもないだろう!ということで同志だとかなんとか。

「独り占めはよくないぞ同志。マキさんはみんなのもの。マキさんの笑顔は平等に与えられるものなのだからね。」

「あーはいはい。」

俺皆でわけあうとかそういうの嫌いなんだよな。
だってやじゃん。その分損するじゃん。
それに俺は幸せを共用するんじゃなく独り占めして幸せになれなかった奴を笑ってもっと幸せになるタイプだから。

「ところでマキさん、今日仕事で寄った港でおいしいケーキ屋さんがあってね。」

「え、ケーキ屋さん?」

そういうとバーソロミューは小さな白い紙の箱をマキさんに差し出した。

「これって…!」

恐る恐る箱をあけるマキさん。
するとその顔はすぐに笑顔になる。

「ああ、その港で有名な数量限定のモンブランでね。たまたま売っていたから買ってみたのさ。」

「あ、ありがとうございます!!」

嘘つけ絶対並んで買ったゾ。

とまぁ、こいつは"運び屋"を仕事にしているのをいいことに各地方の珍しいものをマキさんにきまぐれと称しつつプレゼントしている。
モノで釣るとかバカじゃねーの。
マキさんはそんな安い女じゃねーから。

「お気に召していただけたかな?」

「はい!それにこのモンブラン…横浜のモンブランですよね!!前に一度食べたことがあって、またいつか食べたいなぁって思ってたんです!!」

最近はマキさんの好物がケーキ、特にモンブランには目がないと知りこいつは港に着くとしばしばケーキ屋に並ぶらしい。
食べ物で釣るとかマキさんは犬じゃねーんだぞコラ。

「あ、あの…マキさん。」

「おおっと同志。キミからも何かプレゼントがあるのかな?」

やめろよなんだよその勝ち誇った笑顔はよぉ!

「プレゼントなんかなくてもいいですよ。こうやって毎日来てくれるだけで、僕は嬉しいです。」

な ん て 優 し い ん だ こ の 人 は !
こんなご時世だというのにまるで聖女のような優しい心の持ち主!
マキさんはメシアか?いやきっとそうだね!
こうして俺達の荒んだ心を現在進行形で癒してるんだからね!!

「へぇ、ここが噂の『蜘蛛の糸』かい?」

「?」

普段このbarでは聞き慣れない声が聞こえた。
なんだこの高乃 麗みてーな姉御ボイスは?と思い振り返ってみれば。

「なぁバーソロミュー、確かに美味い酒が飲めるところとは言ったがこんな洒落たトコ、アタシはどうにも苦手でね。」

「いいや大丈夫。きっとあなたもすぐに気に入りますよ。」

どうやらバーソロミューが連れてきたらしい。

「それでは同志、マキさん、紹介しよう。ハインド商会のフランシス=ドレイクだ。」

「よろしく。アンタが噂の探偵だね?」

「ア、ハイ。」

右手を差し出され握手を求められる。
握ると強い力で握り返されブンブンと振られた。
力つえーよマジで。

「港で偶然会ってね。仕事終わりに一杯やろうじゃないかと誘われたのさ。そして勿論、私がオススメしたのはこのbarだ。」

というバーソロミューだが、連れてきたドレイク船長はどこか気に入らなさそうな顔をしていた。
洒落たとこは苦手とか言ってたもんな。この人はこう…あれだよ。安っぽくて騒がしい、だけど人情溢れる居酒屋とかが似合いそうだよな。
多分ここはしょうにあわないってやつだろう。
ふははバーソロミューめ、接待失敗してやんのー。

「まぁまずは座ってほしい。店主!アルコールを!とびきり酔える最高のものを一つお願いしたい!」

「はいはい…。」

渋々用意するアラフィフ。
ちなみにこのbarだが、基本的にお酒はかなりの種類がある。
日本酒だとか焼酎だとかワインだとかビールだとか。
勿論カクテルもちゃんとある。

さて、ここで気になることがあったな。

「ドレイク船長、ちょいといいですかね?」

こういうタイプの人間は正直言って苦手だが話し掛ける。

「なんだい?まさか探偵が商談でもするんじゃないだろうね?」

「いやあ、そのまさかですよ。」

ハインド商会。
日本全国あらゆる場所を回り、種類を問わず色々なモノを届ける商会。
世界が崩壊してからは船や飛行機など、あらゆる"モノを運ぶ手段"というものが消失しており輸送には不自由がある。

そんな中彗星のごとく現れたのがハインド商会。
届けるべきモノを届けるべき人のもとへと運ぶ。
これらの活躍により食物や物質、また生活には必要不可欠なものをちゃんと送り届けられるようになった。

崩壊世界の配達界隈においては、"アマゾネス ドットコム"と双璧を成す存在。
それがハインド商会だ。

っていうのをこの前ネットで調べた。
さて、こんな中わざわざ向こうから来てくれるなんざありがたすぎて涙が出る。
何せ俺には目的がある。
それはだな

「簡潔に言いましょう。俺の住むホテル、プリンセス・ロード・キャッスル。そしてこの『蜘蛛の糸』と契約を結んでほしい。」

ハインド商会は定期的に物資をお届けする"定期配達"をやっている。
契約してどうするかって、
そりゃああれだよ。

「中々手に入らないものやここでは手に入れられない食物。そういったものが欲しいんですよ。」

食べ物が欲しい。
実は最近、"マンネリ化"に苦しんでいる。
簡単に言えば、食材がここら辺でとれたものしか使えないので料理のバリエーションがあんまりないのだ。
献立考えるの手伝ってくださいよとホテルの調理師共にも聞かれたが、正直俺もレパートリーが思い付かん。
俺達が食う飯もそうだ。
この前なんて3日連続ナポリタンでおっきーに呆れられた。
まぁそのあと嫌な顔せず食ってくれたけどさ。

とりあえずこのままだと代わり映えしない食事か魔法薬ショップから頼んでもないのに定期的にやってくるキュケオーンのみになってしまう。

要は、料理のバリエーションを増やしたいのだ。


「ふぅん…そうかい。」

難しい顔をして頷くドレイク船長。
当たり前だ。向こう側に何のメリットがあるのかも言っていない。いやそもそもない。
ここからは俺の話術スキルが試される。
なんとかして、こちら側にいいように持ち込ま
「分かった。いいよ。」


…は?

「商談成立だ。その何かに飢えた目は間違いなく本物だ。気に入ったよ。後でマスターに掛け合ってみるさ。」

成立しちゃった…。
飢えた目って…ただ俺ホテルのメニューのバリエーション増やしたいだけなのにね…。

「ただし、このままじゃあ面白くないねぇ。」

このままラクに行けるかと思ったよ。
でもそうは行かないのが人生だね。

「勝負しようじゃないか。探偵さん。」

「しょ、勝負?」

なんだ勝負って
ギャンブル?それともここは海賊らしく命をかけた駆け引きとか?
サーヴァント同士の戦い?無理だよ。ドレイク相手ならおっきー負け確だよ。

さぁなんの勝負なんだと唾を飲み込む。
するとドレイク船長はどこからともなく一升瓶を取り出し、机にドン!と置いた。

「酒飲みだ。アタシに勝ったら契約してやるよ。」




酒飲み勝負。
同時に酒を飲み始め、相手より多く飲んだ方が勝者となる。
しかし相手はサーヴァント。さらに俺は酒を飲んだことのない未成年。

それじゃあ面白くないとのことで、ドレイク船長は特殊なルールを設けた。

「ここにいる全員が一人でも残ったらアンタの勝ち。全員酔い潰れればアタシの勝ちだ。悪くないだろう?」

ここにいる全員が勝負に参加する。
悪く言えば全員巻き込んでの戦いだ。
バーソロミューもマキさんも当然参戦。
たまたま今日このお店に来ていた人達も強制参加だ。
かわいそうに…。

「ウチはそういうところじゃないんだけどナー。」
「いいじゃないモリアーティさん。私こういうどんちゃん騒ぎは大好きよ?」

不服そうなアラフィフ。
だが彼のマスターでありここの店長である京子さんが彼をなだめた。

「楽しそうですね。僕も参加していいですか?」

「「マキさん!?!?!?」」

笑顔で手を上げ参加の意思を示したのはマキさん。
確かにマキさんはお酒を飲める人だが嗜む程度のハズ。
彼女はこれから始まる勝負の過酷さが分かっていないんじゃないだろうか?
しかしそれに対しドレイク船長は当たり前じゃないかと参加を認めた。
さっきも言っていたが強制参加だ。
参加の意思は肯定されても退出の意思は否定される。

ちなみにアラフィフとそのマスターは不参加ね。
審判もとい誰かがズルしないか見張り役だってさ。

「同志。この勝負に勝てる見込みはあるのか?それとも必勝の方法でも?」

あまりに不安なのだろう。
バーソロミューがコッソリ耳打ちし、俺に何か作戦はあるのか聞いてきた。

「いや、まず無理ゲーだし作戦もねーよ。ただ…」

そもそもこんなこと始まるなんて聞いてすらねぇ。
しかも相手はサーヴァントな上かなりの酒豪と聞く。
このまま大真面目に勝負すれば負けるだろうが、ここで何かズルをしたとしてもダメだろう。

なので、

「ハンデを付けてくれたんだ。"それ"を最大限利用するまでだぜ。」

やれることはやる。
俺がもちかけた勝負だ。だったらやってやろうじゃないか。
俺なりのずるいやり方でな!

「信じるぞ同志…、そしてマキさんの為に共に勝とう!」
「ああ、それだけは同意する。」

さて、いきなり始まった酒飲み勝負。
勝利の女神はどちらに微笑むのか。 
 

 
後書き
用語解説
⚫ハインド商会
日本全国、あらゆる場所にあらゆるモノを届ける輸送業者、
空飛ぶ船、黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)に乗っているため他の業者よりも配達可能な範囲が広い。
届けられるものは食料や生活に必要な必需品など。
営業が回らなくなるんじゃないかと思うくらいの格安価格で販売しており、また品質も非常に良い。
商品の安さ、そして品質の良さも何か秘密があるらしいがそれは船長とそのマスターのみぞ知る。

⚫運び屋
主にライダークラスのサーヴァントがやる仕事。
陸だったり海だったり、サーヴァントによって経路はそれぞれである。
バーソロミューの場合、船を使ってあまり大きくない荷物の輸送と少人数限定でのみ人を運ぶ仕事をしている。
ちなみに乗客はメカクレならば運賃は八割引きだ。安く済ませたいのなら前髪を伸ばそう。
 
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