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オペラ座ゲーム

作者:三ノ宮
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オペラ座の前で、サロンの帰り

 
前書き
ヒロインはジュスティーナに連れられて初めてのサロンへ、その帰り、オペラ座の前を通りかかり 

 
まさか、ここがゲームの中とは驚いて夢だと思ったが、それは最初のうちだった。
「とりあえず着るものね」
実は目を覚ましたとき、裸だったのだ、コルセット、ドレスを膨らませる鯨の骨組み、あれをつけて歩き回ったら転びそうだ、勿論、全ての女性用のドレスがそういう訳ではないが、やはり抵抗があると思ったら大丈夫とジュスティーヌが用意してくれたのはズボンとシャツだった。
それも某○ニ○ロのジーパンと綿シャツ、一体、どいうしてと思わずにはいられなった。
「外国人という設定でいきましょう」
「どうしたの、これ」
「用意したのよ、Web世界の情報は素晴らしいわ」
一体どうやってと思ったが、聞いても答えてはくれない気がした、ジュスティーヌの彼女の性格からして。

「大丈夫よ、ミヤ、ああ、ジュリアでいいわね」
「うんいいけど、日本人設定なの」
「東洋人の女性ということで、髪が短いのも外国人っぽいし」
それ以前に男と間違われそうだと思いながら、あたしは街へ出た。

すれ違う人が驚いた様に振り返り凝視する、外国人が珍しいのだろう、最初のうちこそ、見られている自分の方が緊張したが数日すると、それも平気、というよりは慣れてきた。

「ところで、助けてって、あのメールは」
「ああ、ちょっと」
少し驚いた顔でジュスティーナは忘れて頂戴と、痴話喧嘩でねと言われては詳しく聞く事もできない、ここが19世紀のパリという設定なら恋愛事情で命をかけた殺傷沙汰など珍しくはないからだ。
「芝居とか観に行った、恋人と」
「ええ、そうだ、オペラ座に行かない」
「幽霊が出るんじゃない」
「やだ、あれは噂よ、信じてるの。幽霊なんているわけないじゃない、ジューリアったら」
クスクスと、おかしいといわんばかりにだ。
「そうだ、今夜、サロンに行かない、友達が集まるの皆に紹介するわ」

ジュスティーナは貴族ではないのでサロンの集まりというのは、それほど堅苦しいものではないだろうと思った、だけどどんなことでも初めてというのは緊張する。
やはり化粧をしたほうがいいのだろうか、しかし、社会人になっても色つきリップをたまにつけるぐらいで、それもすぐに禿げてしまって普段からノーメイクといってもよかった自分にジュスティーナは笑った。
「肌が弱くて外国人だから化粧はしないで通せばいいんじゃないかしら」

室内には大きなテープル、お茶と酒、菓子やサンドイッチが並んでいる、室内にいる人は皆様々な自由な格好、まるで仮装パーティの様に派手な衣装、濃い化粧、中には畑仕事から着たと言わんばかりのズボンとシャツだけという格好でジューリアは内心、ほっとした。
部屋の隅にはイーゼル、テーブルの上には本が山のように、紙とペンも置かれていて、もしかしてこの部屋にいる人は芸術家なのだろうかとジュリアは隣にいる彼女に尋ねた。
「有名人もいれば駆け出しもいるわ、ユゴーに紹介しましょうか」
ニゴー、今ユゴーって言った。
もしかして、あの有名な、レ・ミゼラブルの作者のヴィクトル・ユゴー、まさか、嘘でしょと思っていると。

ジュスティーヌは私の手を引いて、椅子に腰掛けている真っ白な髭の男性の前に立った。
「ムッシュ、紹介されて下さい私の友人です、貴方のファンですの」
「異国の女性ですかな」
あたしは緊張した、はいと頷いて何か言わなければと思った。
「レ・ミゼールも好きですが、ノートルダムが大好きなんです」
「おおっ、それは」
男性は右手を差し出した、握手してくれるの、いいんだよねと思いながら、あたしは手を伸ばした。
「良かったわね、ジューリア」
「今夜は手を洗えないわ、嬉しい」
あの有名な小説家と握手、現実ならあり得ない、だが、今自分は握手しているんだ。

気分が高揚するというのはこういうことなんだと思った、他に無名の絵描きを紹介されてしまった、貴方をモデルにと、それが、お世辞だと分かっていても嬉しかった。
時間はあっという間に過ぎてしまう。

帰り道、凄くいい気分でだった、初めて飲んだシャンパンのせいもあったんだろうと思う。
「ジュス、ありがとう、ユゴーに会ったのよ、画家の、あの人にも」
「喜んでくれたのね、パリは大変な事も多いけど、どう」
「そうね、人生は楽しい事より辛い事が多いなんていうけど」
「そうだ、オペラ座を見に行かない、ここからだと近いのよ」
「危ない人とか、大丈夫、パリの夜は危なくない、追い剥ぎとかさ」
「確かにね、たけど、ほら、目の前よ」
パリの地理などわからないので正直、ピンとこなかったけど、ほらと指さした方向を見て驚いた。


もしかして、あの有名な、レ・ミゼラブルの作者のヴィクトル・ユゴー、まさか、嘘でしょと思っていると。

ジュスティーナは私の手を引いて、椅子に腰掛けている真っ白な髭の男性の前に立った。
「ムッシュ、紹介されて下さい私の友人です、貴方のファンですの」
「異国の女性ですかな」
あたしは緊張した、はいと頷いて何か言わなければと思った。
「レ・ミゼールも好きですが、ノートルダムが大好きなんです」
「おおっ、それは」
男性は右手を差し出した、握手してくれるの、いいんだよねと思いながら、あたしは手を伸ばした。
「良かったわね、ジューリア」
「今夜は手を洗えないわ、嬉しい」
あの有名な小説家と握手、現実ならあり得ない、だが、自分は握手をしているんだ。

気分が高揚するというのはこういうことなんだと思った、他に無名の絵描きを紹介されてしまった、貴方をモデルにしたいと言われて、お世辞だと分かっていても嬉しかった、時間はあっという間に過ぎてしまう。

帰り道、凄くいい気分でだった、初めて飲んだシャンパンのせいもあったんだろうと思う。
「ジュス、ありがとう、ユゴーに会ったのよ、画家の、あの人にも」
「喜んでくれたのね、パリは大変な事も多いけど、どう」
「そうね、人生は楽しい事より辛い事が多いというけど」
「そうだ、オペラ座を見に行かない、ここからだと近いのよ」
「危ない人とか、大丈夫、パリの夜は危なくない、追い剥ぎとかさ」
「確かにね、でもね、目の前よ」
パリの地理などわからないので、そう言われても正直、ピンとこなかったけど、ほらと指さした方向を見て驚いた。

凄い、写真や映画で見たオペラ座とそっくり、本物だ、目の前の、この建物を見る事ができただけでもあたしは、彼女にジュスティーナに感謝した。
「ねえっ、ここで一曲披露しても」
周りには誰も通行人もいない、こんな時間だから、周りには建物もあるが多分、お酒の勢いもあったのかもしれない、あたしは歌った、あの有名なミュージカルナンバーを。


歌が聞こえる、こんな時間に、誰だ、オペラ座の支配人室のソファーでうつらうつらと眠りかけていた男は目を覚ました、起き上がって窓ナ近寄る、外を見ると人影らしきものが見えた。
足が動き出した、確かめよう、声の主を誰が歌っているのか、だが、オペラ座の外に出ようとして男は大事な事に気づいた、素顔を隠す為につけている仮面を忘れていたことに。




 
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