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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第669話】

 
前書き
半年ぶりぐらいの更新です( ゚ 3゚) 

 
 ジェット機を離れて数時間、現在チェコ上空500メートルを飛行する一行。
 各国には既に通達され、領空侵犯の心配もない。
 とはいえ、問題はまだまだあるのだが──。
「ヒルト! 俺が千冬姉を運ぶって言っただろ!?」
 後方約10メートル、一夏のそんな叫びを無視しながら飛行を続ける。
 ISを持たない人間及び動物は話し合いの末、運ぶことになっているのだが………。
 母さんは山田先生が運び、親父は成樹が──本来ならPPS黒夜叉を纏うのだが流石に国外で目立つ様に飛行するわけにはいかなく、成樹が運ぶという形に。
 エミリアは未来が、ソフィーは美冬が運び、いぬきちとにゃん次郎は美春、エレンが運ぶ流れに。
「わわわわんっ(飛んでるわんっ、遂に空も飛べるようになったわんっ)」
「にゃうん………(別に私達が飛べる訳じゃないのよ、いぬきち)」
 空からの景色が珍しいのか、いぬきちはしきりに鳴いていた。
 そして──何故ヒルトが織斑千冬を運ぶことになったかというと飛び立つ少し前まで遡る。
「誰が誰を運ぶかはもう決まったのか?」
 これから空路で通過する各国への許可を取り終えた織斑先生が腕組みしながら戻ってくる。
「千冬姉なら俺が運ぶさ。姉弟だし」
 ヒルトが口開く前に一夏はそうアピールするのだが、千冬は視線をヒルトに向ける。
 他のメンバーは各自の荷物の整理を行い、不要な物はそのままジェット機に置いていく算段になっている。
 ヒルトは荷物もいぬきちやにゃん次郎のご飯以外は替えの下着位しか用意してなかったのでそれらは成樹や父親である陽人に任せていた。
「ISを持ってない親父を含めたメンバーは山田先生が母さんを、成樹が親父、エミリアは未来が、ソフィーが美冬でいぬきちは美春、エレンにはにゃん次郎を任せる形になります。後は織斑先生を誰が運ぶかって話ですが、皆の荷物も有りますし、流石に女性の物を男が運ぶのも抵抗感があるかもって俺が言って今は各自で荷物の整理してますね」
 ヒルトが運ぶなら反対が起きない面々だが、一夏が誰か女子のを運ぶとなったら嫌がる子も出てくる。
 ──というか、実際出たのだ、デリカシーの欠片もない一夏に運ばれたら荷物がどうなるかわからないと。
 一夏自身それを言われて不服だったが、強ち間違ってもいないのも事実だ。
 取り敢えず、俺か一夏のどちらかが織斑先生を運ぶという形なのだが──一応本人に話を聞いてからってことに落ち着いた。
「織斑が私を運ぶのか? それよりも、他国とはいえ織斑先生と呼ぶのだ。いい加減学べ」
 腕組みして睨む織斑先生だが、一夏はどこ吹く風といった感じだった。
「織斑先生は俺か一夏のどちらかが運ぶことになってます。先にドイツ入りするのであるのなら、織斑先生には合流する黒ウサギ隊の所属する基地への案内もあるので俺か一夏のどちらかが先導する形になりますね。ラウラには合流時間の連絡や殿として後方に居てもらうという話になりました」
「ふむ………」
 一瞬考える織斑先生だったが、俺を見ると──。
「有坂、すまないがお前には私を運んでもらおう。現状からみてクラス代表で副会長であるお前の方が適任だろう」
 その発言に、一夏はびっくりしたのか声を荒げ──。
「ち、千冬姉! 何で俺じゃなくてヒルトが千冬姉を運ぶんだよ!! 姉弟である俺の方が適任だろっ!?」
 確かに、姉弟の方が色々な意味で安心だろうが、一夏の表情を見る限りはシスコン炸裂させて嫉妬しているだけだろう。
 織斑先生もそれが分かってるのか、軽く頭を振り、一夏を見て最もらしい事を言った。
「有坂はクラス代表であり、離脱した更式に代わって副会長として責務の全うとして先頭に立ってもらいたい。その上で私がドイツのラウラが所属する黒ウサギ隊への基地への道を教えねばならぬからな」
「だ、だからってーー」
「くどいぞ、私が決めたことだ。有坂、すまないがそういう訳で私を抱えてくれないか?」

 ――等ということがあり、織斑先生をお姫様抱っこする形で俺が先頭になり、チェコの上空を飛翔している。
 既にヨーロッパ各国には飛行申請許可は下りているので撃墜の危険は無いのだが、一夏の煩さと女性陣の突き刺さる視線に冷や汗を流すばかりだ。
「わわわん(見たことないところだわん)」
「こ、こらいぬきち! はしゃいだらダメなんだから!」
「くぅーん……(ごめんなさいわん……)」
 美春といぬきちのやり取りは微笑ましいのだがーー。
「ヒルト、その、なんだ。ヒルトも疲れているだろう? 私が千冬さんを受け持とうと思うのだがーー」
「篠ノ之、それには及ばない。有坂も体力はあるし何より基地の方へは既に先頭に私を抱えた有坂から降りていくと伝えているのだからな」
 織斑先生にそう言われ、引き下がる箒なのだが何処か釈然としない様子だった。
 一夏の通信をシャットアウトし、プラハ上空を抜け、そろそろドイツ国境に差し掛かり、ハイパーセンサーに表示されたナビゲーションマップを確認しながら飛行を続ける。
 速度は150キロ、一般的な車の二倍程の速度で飛行している為どうしても航空機と比べたら時間に遅れが出てしまう。
 障害物のない上空だが、ISを纏っている専用機持ちならいざ知らず、制服を着ているソフィーやエミリア等は寒さで少し震えていた。
 外套を纏っているとはいえ、ダイレクトに寒さが来るのだからこれ以上速度をあげる事は出来なかった。
 いぬきちやにゃん次郎も寒さからか身を縮ませているのが確認できる。

 織斑先生も同様で時折身震いしているのが分かる、遠慮しがちだが、だけど体温を感じたいのか控え目に身体を寄せてきてその豊満な乳房が当たるのが個人的に色々とまずかった。

「………すまない、少しの間だけだ……」

 小さく呟く織斑先生の頬は僅かに赤みが差していて、首に回した手に少し力がこもった気がした。 
 

 
後書き
まだ基地にすらついてないけど、次で到着します。
コロナヤバイですが、お気をつけくださいませ。
俺もマスクハラスメント受けて高い高いマスクを買わざるを得ない状況になったのが悲しいですわ( >Д<;) 
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