機動戦士ガンダム0079外伝 蒼い閃光
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第一章 モビルスーツ
1
U・C・0074――
一年戦争開戦から遡ること五年前、サイド3ムンゾ、ジオン自治共和国のガーディアン・バンチに設立された国防軍士官学校の入校式にその男の姿があった。
シャア・アズナブル――またの名をエドワウ・マスという。
シャアは、サングラスを掛けて式に臨んだ。表向きの理由は、眼底色素のX抗体の異常が認められ、γ線の量が一定値を超え状況下では失明の恐れがあるためだ。しかしこれは瞳の色を隠すための口実だったのだ。
入校後、シャアはザビ家の御曹司で四男のガルマと同室になり、それ以後両名は親交を深めていくことになる。
彼らが三回生に進級した頃だった。
連邦軍艦が、農業ブロックの一基に激突して破壊すると事件が発生した。士官学校の学生たちも、掃海任務が割り当てられ、微細デブリの回収作業の任務に就くことになる。
掃海任務の作業中、シャアはその眼前で、掃海作業を行う奇妙なモビルワーカーを目撃した。
「ガルマ、あれは一体……?」
シャアはそのモビルワーカーを指差しながら、学友のガルマに訊ねた。
「あれか……あれはMW-01 最後期型だ。ギレン兄さんの指示で、ドズル兄さんが秘密裏に開発を進めているモビルワーカーだ」
「MW-01 最後期型……」
シャアは、その人型作業機械を食い入ように見詰めた。
「あれの次世代型が、モビルスーツだ……既に開発の最終段階に入り、ミノフスキー博士の手のよってエンジンの小型化にも成功したそうだ」
ガルマはシャアの耳元で囁くように告げた。
「シャア、このことは口外しないように、くれぐれも気をつけてくれ」
「ああ」
シャアは薄笑いを浮かべたあと、小さく頷いた。
「モビルスーツか……どんな物か一度この目でみたいものだ」
シャアは口の中で、その言葉を噛み殺すように言った。
《なあハイジ?》とMW-01 最後期型のコックピットの中で操縦桿を握るロイド・マニンガムが無線で呼び掛けた。
「何っ? 今忙しいから話し掛けないでくれる」
アーデルハイド・フリートハイムは素っ気ない態度で答えると、操縦桿を押し倒した。
《俺たちゃ、掃除屋じゃねえんだぜ。モビルワーカーのテストパイロットだぜ。それが何で、掃海作業を手伝わなくっちゃ行けねえんだ。ったくーやってられねえってんだよ》
「文句言わずにさっさっとやる」
ハイジは冷たく言い捨てる。
《おおー恐ぁっ》
「何っ! 今何か言った?」
《いいえ、何も……》
ロイドは、モビルワーカーの腕を上げ横に振った。
一通り掃海作業を終えたあと、宇宙港に帰還した数機のモビルワーカーが一箇所に集まった。
その中の一機のコックピットのハッチが開いた。ノーマルスーツを着たパイロットが現れた。先行型のモビルワーカーモビルワーカー MW-01 01式後期型のテストパイロットを務めていたミゲル・ガイア少尉だ。
ここは慣性が働いていないため無重力の状態だった。ガイアは機体を軽く足で蹴るようして飛び降りた。そしてハイジが乗ったモビルワーカーの方に向かった。するとハイジは、コックピットのハッチを開けて、顏を覗かせる。ヘルメットを外す。
「大変ですな」と、彼女の乗った機体に手を掛けながら、ガイアが呼び掛ける。
「まあね……」
肩まで伸びた銀髪を掻き上げると、ハイジは意味あり気な笑みを浮かべた。
そこに、先にコックピットから降りたロイドが近寄って来た。
「ガイアさん、何で軍属の俺たちまで掃海作業を手伝わなきゃいけねえんだ」
「まあそう言わずに……ですよね、フリートハイムさん」
「……」
ハイジは無言で苦笑した。
「何事辛抱が肝心、ですね、フリートハイムさん」
「なあ、もしかしてガイアさんは、ハイジあんたのこと好きなんじゃねえの?」
ロイドに揶揄われ、ハイジは顰め面になった。一方、ガイアの方は、その強面な風貌に似合わず赤面し耳まで真っ赤に染めた。
「図星だな」
ロイドはニヤリと笑った。
「お、俺を……か、揶揄うな、ロ、ロイド殿……」
ガイアは如何にも照れ臭そうに言った。
背後からモビルワーカーの近付く音が聞こえ、三人は会話を止め振り向いた。コックピットのハッチが開き、中からウィルフレッド・オルテガ准尉が顔を出した。
「ガイア兄ぃ。あっちでラル中佐殿が呼んでいるぜぇ。俺と一緒に来てくれ」
言いながらオルテガは、ドッキングベイへと続く通路を指差した。
ガイアは、オルテガが指差した仄暗い通路の奥に視線を向けた。ハイジとロイドも彼に倣うように目を向けた。
「じゃあ、そう言うことですので、フリートハイムさん、この辺で失礼します。あの、宜しければ今度、お食事などご一緒に……」
ガイアはハイジにそう伝えると、自分が操っていたモビルワーカーへ向かった。
ハイジは彼の背中に向かって、「新手のナンパのつもりなの、私を誘おうなって十年早いわ」と言い放ち笑い飛ばした。
「相変わらず冷たいね……ジオニック社の連中は」
ロイドが皮肉を口にする。
「あら、お互いさまでしょ。ツィマッド社の方だって利益優先にしてるんじゃないの」
ハイジは冷たく言い捨てると、再びモビルワーカーに乗り込もうとして動き出した。
コックピットに手を掛けたその時だった。掃海作業を終え、宇宙港に帰還した士官学校の学たちの中の一人がこちらを凝視していた。
ハイジは訝し気に首を捻った。
「……サングラス? 生意気な学生ね」
ハイジは勝気な笑み浮かべた。そしてゆっくりとコックピットの中に入った。ハッチを閉じ、モビルワーカーを始動させた。
2
「グラナダにはいつ?」
「近々に」
キシリア機関に属する機密工作員ハインツ・モーゼルはハイジの耳元で囁くと、彼女の少し小振り乳房を揉みしだいた。
「あぁん……」
ハイジは軽く喘ぎ声を溢した。
ハインツはハイジの唇に自分の唇を近寄せ、濃密なキスを交わした。そして二人は肉体を重ね合わせた。
劣情の嵐が去ったあと、ハインツの腕枕でベッドに横になるハイジは彼の横顔を見詰めながら訊ねる。
「連邦との開戦は回避出来そうもないの……?」
「上層部は既にヤルと決めている。そっちの方はどうなっている?」
ハインツはハイジの質問に答えると逆に質問して来た。
「そっちの方って……」
ハイジは意味あり気な笑みを浮かべた。
「例の件だよ」
「……上手くいきそう。次のプレゼンで結果が出ると思う」
「そうか」
頷くとハインツはもう一度ハイジの抱き寄せ、二人は再び交わった。
避妊のためのアフターピルを飲むと、ハイジは身体に纏わりついた汗と体液をシャワーで洗い流した。
翌朝、二人はトーストとベーコンエッグ、そしてスムージーだけの簡単な朝食を摂った。
恋人を送り出したあとハイジは、宛がわれたジオン国防軍の軍服に袖を通し、ズムシティのコンドミニアムの自室を出た。向かう先はドッキングベイだ。ここから連絡シャトルに搭乗して更に別のスペースコロニーに移動するのだ。
シャトルの出港時間まで、まだ間がある。ハイジは搭乗手続きを済ませロビーで寛いでいた。そこにガイアとその仲間が現れた。今日は四人だった。
生理的に受けつけないガイアの顔を見た途端、ハイジは露骨に顔を顰め小さくかぶりを振った。だが、しかし、ガイアと一緒に歩く見知らぬ男性の方に彼女の関心は移った。
「横、宜しいでしょう、お嬢さん」とその青年が声を掛けた。
「ええ」
ハイジは小さく頷いた。
「あの失礼ですがあなたは……?」
ハイジが訊ねる。
「クワトロ・バジーナと申します」
「クワトロさん、ですか……」
「はい」
クワトロと名乗ったその長身の男は唇の端に薄笑いを浮かべた。
咳払いをしたあと、ガイアが口を開いた。
「フリートハイムさん。こちらのバジーナさんは連邦の……」
「連邦?」
ハイジは上擦った声を上げた。
「あなたと同じですよ、フリートハイム特務将校殿」
「つまり……」
「軍属です。アナハイム社から出向した……表面上はね」
「表面上とは……」
ハイジはその言葉の意味を考えた。
その上で結論に至った。つまり目の前で会話を交わすこの金髪長身の男も、自分の恋人ハインツ・モーゼルと同じキシリア機関所属する工作員、あるいはエージェントに近い存在であるに違いないと思った。女狐、キリシアが連邦の動向を探るため、送り込んだ人物なのだ。そういう彼女自身もキシリア機関の人間だった。
「連邦も既にモビルスーツの開発に着手したことはご存知ですよね?」
クワトロが問う。
「ええ。耳に入っています」
ハイジは頷いた。
ガンキャノンとガンタンクだ。
実物をこの目で確認したことはないが、模擬戦闘の映像は既に目にしている。
そこにランバ・ラル大尉が、ツィマッド社から出向している特務将校ロイド・マニンガムを伴い現れた。
「待たせな……
ラルは、悪びれた様子もなく平然と言い捨てると、ハイジの横に腰掛ける金髪の男に視線を向けた。
「お初にお目に掛かります、ランバ・ラル中佐殿。お噂はお聞きしております」
「ガイア、彼は?」
「連邦のクワトロ・バジーナ少尉殿……あまり大きな声で言えねえが、キシリア様の息の掛かった」
ザビ家の人間の名前を耳にした瞬間、忽ちラルの顔が硬直していき険しい表情になった。
「ああ」
ラルは小さく頷いた。
「自分は、本日ダークコロニー内で行われる次世代型MS試作機の機動実験を見届けたあと、フォン・ブラウンに戻る予定です」
クワトロが告げた直後、女性連絡士官がテストパイロットたちの前に現れた。
「シャトルの準備が整いました。皆様どうぞ」と宇宙港ドッキングベイの方を指差し伝えた。
「行こうか」とラルが言うと、彼らはシャトルに向かってゆっくりと歩き出した。
3
「あれか、次世代型モビルスーツというのは?」
ラルはそう訊ねながら、ダークコロニー内の格納庫に立つダークグレイのカラーに統一された人型機動兵器を指差した。
トレノフ・Y・ミノフスキー博士はその機体を見上げながら頷く。
「ああ、遂に動力用融合炉の小型化と流体パルスシステムの開発に成功した……」
説明しながらミノフスキー博士は振り向き、ラルたちテストパイロットに目を向ける。
「このトあと、鹵獲した連邦のモビルスーツRCX-76-02ガンキャノン最初期型、並びにRTX-65ガンタンク初期型を相手に実戦に見立てた模擬戦を行う……」
「各員、そう言うことだ」
ラルが不敵な笑みを浮かべた。
ハイジは無言で頷く。
「先行型のモビルワーカーとの違いは……」
オルテガが訊ねる。
「モビルワーカーとは全くの別物だよ」
「よく見てみろオルテガ、モビルワーカーとのように剥き出しのエンジンを背中に背負っていないだろ」と、目の前に立つモビルスーツを指差しながらラルが言う。
「確かに……」
「で、博士、あれは何て名前何ですか?」
ガイアが訊ねる。
「機体コードはYMS-03……名称はヴァッフだ……本日は、ズムシティからドズル閣下とギレン閣下が視察に来られる」
ミノフスキー博士は真顔で告げた。そしてもう一度ヴァッフを見上げ満面の笑みを浮かべた。
「ギレン議長の目の前で見っともない真似は出来ねえな、兄貴ぃよ」とロベルト・マッシュ軍曹が言った。
「ああ、そう言うこった」
ガイアは頷くと、整備士からノーマルスーツ用ヘルメットを受け取った。
パイロットがヘルメットを装着したのを確認したあと、整備士は遠隔操作でコックヒットハッチを開けた。
ガイアとオルテガ、マッシュの三人はハイジたちよりも先にコックピットに入り、ヴァッフに乗り込んだ。
ヘルメットを装着し、コックピットに入ろうとしたハイジをミノフスキー博士が、「待ちたまえ……フリートハイム特務少尉」と呼び止めた。
「はぁ? 何か……?」
ハイジは機体に足を掛けた状態で振り返り、その白髪の老人を見詰めた。
「内々にキミに話がある……」
「今でしょうか、博士。そのお話というのは?」
ミノフスキー博士は無言のまま小さく頷く。
その様子を見ていたロイドと、キシリア機関の諜報員でアナハイム社に潜入しそこから更に連邦軍へ出向しているクワトロも、怪訝そうにミノフスキー博士に穿った視線を走らせた。
「抜け駆けはズルいぜ、お嬢さん」とロイドが訝し気に声を掛けた。
「まあいいじゃないか、マニンガム君……」
ミノフスキー博士は唇の端に笑みを浮かべる。そして、ハイジを見た。
「行こうか、フリートハイム」とダークコロニー内にある観測室を指差した。
ハイジは博士の指し示す指先に目を向けた。
「はい」
「ちぇっ」
面白くないロイドは小さく舌打ちする。
クワトロも悟ったようにかぶりを振ってみせた。
この後クワトロ・バジーナが潜入先の連邦軍に在籍中に、一年戦争が勃発すると、乗艦していたサラミス級宇宙巡洋艦メフィストフェレス轟沈によって戦死した。終戦後、ジオン残党と共にアクシズに亡命していたシャア・アズナブルの手によってその軍籍とIDを乗っ取られた。所謂イリーガルに他人の戸籍を奪う背乗りである。
観測室内には、ミノフスキー博士の弟子たちが数人待機していた。中には制服姿のジオン軍人もいた。彼らは、目の前の巨大モニターに見入っていたが、ハイジと博士が室内に入って来たので、そちらの方に目を向けた。
「お話というのは?」
観測室に入るなり、ハイジは訊ねる。
「立ち話もなんだ、掛けなさい」とミノフスキー博士は回転椅子を指差した。
ハイジはその椅子を見詰め、眉根をピクリと動かしてみせた。椅子を引いて腰掛ける。
それを見届けると、博士も彼女に対座するように腰掛けた。
「お茶でも入れましょうか? 少尉殿」
男性下士官が訊ねると、「いいえ結構です。それよりお話の方を」と即座に断った。
「今回完成した試作機YMS-03の次世代機についてだが、ヴァッフに引き続き次の機体もジオニック社にと考えている。勿論マニンガム君が推すツィマッド社のプランも捨て難いのだが、今回は予算と開発まで要する時間などを考慮して、低コスト汎用性の面からしてやはりジオニック社に軍配が上がった」
「そうですか……」
「何だね、フリートハイム君。自社の製品がプレゼンに勝利したというのにあまり嬉しくないようだね」
「いいえ、そういう訳では」
ハイジは小さくかぶりを振った。
4
U.C.0077——
サイド3ムンゾのガーディアン・バンチに駐屯する地球連邦軍の一個連隊が、ザビ家の四男ガルマが指揮する学生隊の蜂起によって奇襲され武装解除されるという事件が発生した。実は裏でガルマを焚きつけ扇動した人物は、あのシャア・アズナブルだった。
その頃、ダークコロニー内では、ジオニック社が開発を手掛けたYMS-03ヴァッフの次世代機であるMS-04グフのテストが行われていた。
テストパイロットは引き続きハイジとロイドが受け持った。更に、数人の生粋のジオン軍人がその任に就いた。
アナハイム社の産業スパイであるマルク・カルデン少尉の造反によって次世代モビルスーツ開発が、一時期停滞するがハイジたちの手によって再び開発に拍車が掛かった。
「悪くはないわね」
自らのパーソナルカラーの瑠璃色に統一されたグフのコックピット内で、ハイジは満足気に呟いた。
すると、そこに同じくグフに搭乗しているロイドが、ハイジの乗ったグフの肩に手を当て振動共鳴による会話を試みた。
《……マルク・カルデンを売ったのはアイツだろ》
「アイツって……?」
《クワトロ……ヤツの正体はキシリア機関の諜報員だ。ジオン国内に潜入している連邦側のスパイを炙り出す役割と向こうの動きを監視するのがあの男の任務だろ》
「どこで仕入れたの、その話」
《ラル中佐殿が漏らしていた》
「ラル中佐が……」
《ああ》
「そう」
ハイジは素っ気なく頷く。
《まあ、俺もその辺はよく知らないのだが、連邦は躍起になっているみたいだぜ、新型モビルスーツの開発に》
「ふぅん、そうなんだ……」
《で、どうするだよあんた、このままジオンに残る気か?》
「どういう意味?」
ハイジは訊ね返した。
《噂だと、ジオンは連邦に独立戦争を仕掛けるつもりだろ》
ロイドの言葉を受け、グフのコックピット内のハイジも頷いた。
確かにジオン国内では独立派が圧倒的で、反戦派を大きく上回っている。しかもサイレントマジョリティを含めると国民の背反を占める。
《俺はこのままジオンに残って正式に軍籍を取るつもりだ》
「そう」
ハイジは素っ気なく答えた。実を言うと、彼女はもう既にジオンの国籍と軍籍を所得していた。しかし敢えてそれをロイドに伝えることはしなかった。
U.C.0078——
ジオン公国サイド3を脱した宇宙船は、月の裏側の恒久都市グラナダに入港した。連邦側へ亡命しようと試みるミノフスキー博士は、まずこの都市に降りたのだ。そこから、連邦の勢力下にある月の正面の恒久都市フォン・ブランに移る作戦だった。それを食い止めたのが、ラル中佐率いるモビルスーツ部隊だった。
連邦側のモビルスーツ部隊との間で、初となった小規模な戦闘が起こり、その渦中ミノフスキー博士は死亡したのだ。
《ハイジ、キミの情報通りだった。こちら側の放った猟犬はスミス海でウサギを狩った》
秘匿回線を使ってハインツ・モーゼルからハイジのところに情報が送られて来た。
「そう……」
頷くとハイジは回線を切った。
「メリッサ、あなたの言った通りになったわ……ミノフスキー博士は死んだ。馬鹿な男よあの人も……所詮男はみんな馬鹿」
ハイジは、レズの相手である十九歳のメリッサ・ゴートンの秘部を、舌でひと舐めした。
「まあ、お汁の量がいつもよりも多めね。はしたない娘……」
「アーデルハイドお姉様がいけないのよ」
二人はシックスナインの体位を取り、お互いのラビアを舐め合った。
「で、分かったのメリッサ。もう一つ件については……?」
彼女の膣に指を入れながらハイジが訊ねた。
「もう一つの件て……」
「シャア・アズナブルの正体よ」
「それについてはまだ調査中よ」
メリッサはかぶりを振ると、自分もハイジの膣の中に指を入れた。
「あぁあん……そこ……そこがいいわ」
軽く逝ったハイジは小さく喘ぎ、身体をピクリと痙攣させた。
翌日、ハイジはグラナダの宇宙港を抜錨するジオン行の宇宙船に乗った。船内の窓の外には、三日月形の地球が蒼白く輝いていた。
「蒼か……奇麗な色ね」
一人呟くと、ハイジは瞼を閉じヘッドフォンを耳に当て、ベートーベンの第九を聞いた。
やがて宇宙船は慣性航行に移った。
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