崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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ほんへ
コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
すごいことを暴露された件
前書き
こんにちは、クソ作者です。
今回もいろんな人がいろんなことやるよ!
いわゆるほのぼの回だね!
前回ほどではありませんがそこそこ長いです!
それでは本編どうぞ!!
追伸
前回の次回予告について謝罪があります。
次回予告にて書かれていた色んな思わせ振りなセリフですが中には言ってないものもありました。ごめんなさい。
「僕とあいつは兄弟。これは紛れもない事実だよ。」
「兄妹って…いくらなんでも似てなさすぎだろ!?」
関係者、もしくは身内だと考えてはいたがまさか兄妹だとは思わなかった。
だってよ、代表と舞さん似てるところ何一つねぇもん。
チビデブハゲの三重苦揃った種付けおじさんみてーなヤツが、
この長身でスレンダーでサラサラの髪をした舞さんのお兄さんだなんて…!!
義理でも腹違いでもない。
舞さんは確かに血の繋がった兄妹だと言っていた。
「実は桜ちゃんは凜ちゃんと血の繋がった姉妹でしたくらい、いやそれよりも衝撃だぜ…!」
「驚いた?でもここまで解明できたのは探偵さんが初めてだよ。すごいすごい。」
そういって拍手をする舞さん。
まぁ俺は探偵だからな。
といつもならそう自慢していたが今回はそうはいかない。
「で、兄妹なのはあれとしてあいつとはどんな因縁があるんです…?」
「うーん。どこから話せばいいかな?」
首をかしげ、悩む舞さん。
「別に最初からでもいいっすよ。」
「すっごく長くなるよ?いい?」
広場からの喧騒、そして波の音。
月明かりに照らされた舞さんはそういって微笑む。
吸い込まれてしまいそうな瞳に見つめられ、思わずその美しさにぽーっとしてしまう。
「ええ、話してください。」
「うん。じゃあまず簡潔に言わせてもらうね。」
「僕とあいつは…この世界の人間じゃない。こことは違う別の世界にいたんだ。」
⚫
「待たせたわね!!今からこのステージは私達のものよ!!」
「誰だあいつらにマイク渡したヤツ!!早く止めさせろ!ステージから下ろせ!!死人が出るぞ!!」
一方その頃。
特設ステージをオーシャンビヨンドのサーヴァントであるエリザベート系五騎からなるグループ『鮮血戦隊エリちゃんズ 』に占拠されている頃。
「楽しくやってるみたいね…。」
オーシャンビヨンド社長である真壁社長はカクテルを嗜みながらそんなどんちゃん騒ぎを見ていた。
ちなみに葛城財団の陸上からの援軍達全員の鼓膜が破壊されたのはこのエリザベート達の仕業だ。
「いつまでもこんな光景が見れる…そんな世界になって欲しいのだけれどね。」
「それは奴らの存在があるかぎり、難しいだろう。」
社長の疑問にモリアーティがグラスを磨きながら答える。
「でしょうね。ところで葛城財団のことはあなた的にはどう思ってるの?犯罪界のナポレオンさん。」
「なに、悪のカリスマとして評価を下すのなら、彼らは最低だ。底辺中の底辺ってところだ。」
「まぁけっこうな辛口だこと。」
葛城財団は悪人としては最低の最低。
彼らは様々な非道かつ残酷な手段を用いて何の罪もないマスター達からサーヴァントを奪い、己のリビドーを満たすためだけに集めてきた。
しかし、悪人としては三流、いやそれ以下なのだ。
「大した美学もない、それに全くもって在り方が美しくない。"あれ"を悪人というカテゴリに入れるのならば元々そこにいた悪人が可哀想だ。」
「…そうね。」
仕事詰めの毎日、更にはよくわからない意味不明な宗教団体、そして葛城財団。
そんな日々のストレスの原因を今だけは忘れたいがのように、真壁社長はキツめのカクテルをぐいと飲み干す。
「ねぇ、モリアーティさん。」
「悪人の手も借りたい、といったところかネ?」
「…正解。」
互いにニッと笑う。
「三笠、オーシャンビヨンド、そしてハインド商会、その他様々な組織からなる同盟、それに私達も喜んで協力させてもらおう。」
「だとしたら記念に乾杯ね。おかわり、もっとキツいやつちょうだい。」
空のグラスを差し出され、モリアーティはまた別のカクテルを作っていく。
「私が望むのは葛城財団の壊滅。」
「奇遇だネ、私もだ。ではその壊滅を願って…乾杯。」
⚫
「あの…。」
「ふぇ…なに?」
場所は変わり皆が食事を楽しんでいる所では
「館長様…このままでは紫式部さんが…死んでしまいます。」
ドレイク船長の取材で夢中になっていた葵が振り向くと、そこには水の入ったグラスを持ったシェヘラザードと、
「紫式部…生きてる?」
「」
自分と一緒にドレイク船長と飲み比べ対決を強要され、机に突っ伏してぴくりとも動かなくなった紫式部の姿が。
「ははっ!なんだいなんだい!?根性ないねぇ!!」
「…かえりたい」
そんな紫式部をドレイク船長は豪快に笑い飛ばすが、本人からしてみれば笑いどころではなかった。
「紫式部、ねぇちょっと!」
「ゆ、揺すらないでください…出ます。」
不必要に身体を動かすと戻しかねないので彼女はふらふらと立ち上がり、どこかで横になろうとする。
しかしかなり飲んだのだろう。
ふらふらしていてどこか危なく、それに真っ直ぐ歩けてすらいない。
「あぶなっ!」
数歩歩き、見事につまづいたのでとっさに葵が支える。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃありません…。」
顔が青い。
これはマズイなと思ってどうしようかと悩むがちょうど目に入ったのはさっきからいるシェヘラザード。
「あの…お水をどうぞ。」
彼女はよく自分の図書館を利用しており、紫式部とはよく話し合う仲だ。
シェヘラザード自身もそんな仲良しの紫式部が大変なことになっているため、こうしてお水をもって駆け付けてきてくれたのだろう。
「うん、ありがと。」
しかし葵は、好意で持ってきてくれた水を
「ああ…っ!」
自分が飲んだ。
「…。」
「あなた用ではありません…!紫式部さんのために持ってきたもので…いけません…!このままでは死んでしまいます…!」
「ふぃっへるよ」
グラス一杯の水は飲み干した。
だが飲み込んではいない。口の中にためている。
何をするんだと思えば彼女は
「…!!」
「ん…んんっ!?」
あろうことかそのまま口移しで、紫式部に水を飲ませたのである。
「ああっ…!公衆の面前でこんなことをしては社会的に死んでしまいます…!」
唐突に始まったレズシーン。
それには周りにいた男達も無反応ではいられなかった。
「お、おいなんかおっぱじめやがったぞ!!」
「やべーぞレズレイプだ!(歓喜)」
ただの口移し。
だったがとうに水は飲みこませ、彼女ら二人は既に熱いキスへと移行していた。
嫌がり、離れようとする紫式部だったが次第に抵抗が弱まり、今では指と指を絡ませあっている。
そう、泥酔していたのは紫式部だけではない。
「あおい…さま…み、みんながみてます…っ♡」
「いいじゃん。これだけあたしたちは仲良しなんだって見せつけようよ…"香子"」
「そ、それは二人だけの呼びか…んむぅ!?」
これ以上言葉は話させない、とでもいいたげにキスを再開。
口ではそうは言っていても身体は正直。
既に堕ちている紫式部は彼女の責めを完全に受け入れたのである。
そして、酔っているのは紫式部だけじゃない。
「あ、あおいさま…っ!酔ってますね!?」
「だから?」
ドレイク船長と飲み、場合によっては紫式部よりも飲んでいる。
酒には強いと自覚はあるのだが、いくらなんでも限度があった。
泥酔した葵は何をするのかと思えば、こうして性別を越えた愛を周りに見せつけるのだった。
「あわ…あわわ…これは子供にはお見せできません…。」
周囲を見渡し子供がいないことを確認し、シェヘラザードはどうしていいか分からず右往左往するのだった。
⚫
そのころ、
「おやすみなさーい。」
「ああ、おやすみ。」
よいこはもう寝る時間だ。
三笠に帰っていく子供達を優しく見送り、アタランテはまだ残っている子供がいないかチェックする。
「アポロン様ーっ!!」
最後の一人、パリスくんが他の子供達が持っていったアポロン様を追いかけていき、これで全員いるなと確認したアタランテは自分も三笠に入っていく。
寝かしつけるのもまた、自分の仕事だからだ。
その時だ。
「た、助けてください!!!」
「貴様は確か…。」
一人の青年が慌てた様子でこちらに走ってくる。
彼は確か東京のイルカショーのオーナー、通称弟くんだ。
「思い出したぞ。弟くんだな。今夜は子供達を喜ばせてくれて大いに感謝している。」
「ど、どういたしまして!!でもそんなことよりたすけ」
「弟くーん?どこですかー?」
「…来た!!」
全身が震え上がってる弟くん。
遠くの方から聞こえてくるのは紛れもない、自分のサーヴァントもといお姉ちゃんのジャンヌの声だ。
一体なぜそこまで怯えているのだろうと不思議に思ったが、その理由はすぐに分かった。
「いませんね…お姉ちゃんレーダーだと確かこの辺りに…。」
「そんな代物があんのかい…。」
遠くにいるのはジャンヌ、そして北斎。
二人とも手にはメイド服やら着物、果ては女性用の水着まで持っている。
「このまま捕まれば…女装させられるのだな?」
弟くんは何度も頷く。
「そ、そうなんです!!このままじゃ僕女装させられるんです!!」
藁にもすがる思いだろう
しかし、
「悪いがあまり騒ぐなよ。私には子供達を寝かしつけるという重大な仕事が残っている。後のことは自分で処理してくれ。」
「」(絶望)
タイミングが悪すぎた。
子供が寝る時間だったがために弟くんは助けられず、アタランテは子供達を優先し三笠の中へと帰ってしまった。
「お、お願いします!匿うだけでもいいんです!!あけてください!!!」
丁寧に鍵まで閉めて。
要はめんどくさいことは持ち込まないでほしい、とのことだったんだろう。
「弟 く ん 、 見 い つ け た。」
「ひっ…!!」
肩にポンと手を置かれる。
振り向きたくない。
振り向けばそこにはお姉ちゃんがいる。
「まず何から着ます?お姉ちゃん的にはこの第三再臨をイメージしたこれを着て姉弟揃ってペアルックにしようと」
「い、いやだああああああ!!!!!!」
手を振り払い逃げる、
だが足を踏み出そうとした瞬間、見事に転んでしまった。
「ダメですよ弟くん。勝手に走り出したら。」
足が動かない。
よく見てみれば光のわっかが足を縛り付け、動けないようにされている。
「やだ…おねがい…」
笑顔で迫る姉。
その手に抱えられているのは数々の女性用の服。
「やめて!!うまくは言えないけど女装したら大事なものを失う気がする!!」
「なぁに心配いらねぇヨ。おれのマイも最初はこんなんだったが、今ではご覧の通り。どこぞの理性蒸発騎士みたいになっちまった。」
反対側には北斎。
後ろにはジャンヌ。
前門の絵描き、後門のお姉ちゃんとはよく言ったものである(言ってない)
「大丈夫です。失うものなんて何もありませんよ弟くん。それどころか得られるものばかりです。」
ゆっくりと上げられた手、
ピストルを表すような形をした手を、お姉ちゃんは弟くんにゆっくりと向けた。
「や、やだ…おねがい…たすけて…!」
「その動物みたいに怯える姿も最高ですよ。お姉ちゃん、Sになりそうです。」
「ちょいと女の子の格好してもらって描くだけサ。まぁその後のことはお姉ちゃんに一任するけどナ。」
北斎はにやにやしているだけで助けてくれそうにもない。
終わった。
弟くんの頭の中にはその四文字しかなかった。
「さぁ、素直になって、今夜は女の子になりましょうね弟くん。お姉ちゃんビーム♡」
そこから弟くんの意識は、途切れた。
⚫
また別の場所では
「へんじがない、ただのしかばねのようだ。」
あれから地獄の恋バナは続き、武蔵は尽きた。
動かなくなった彼女を途中参加したキャットがつんつんつつくが、一向に反応はない。
「…ろして、わたしをころして…。」
協力のために刑部姫に助けを求めたが逆効果。
さらにタマモキャットも参戦したがさらに逆効果。
全員が全員武蔵の敵になったのだ。
マスターのいいところ、普段からのイチャつき、果ては夜の営みまで、
あらゆるものを聞き、そして尋問され、彼女の羞恥心は最高潮に達しズタボロであった。
身体には傷一つない。
だが心は切り刻まれまくってるのだ。
「でも以外ね。武蔵さんもマスターを小さくしたことがあるなんて」
「ぐふっ」
「武蔵ちゃんショタコンだもんね。あ、だから自分のマスターちゃんも童顔なんだ?あれで25でしょ?」
「ぐふっ」
「よもやまだ自分が一番マトモとは思っておらぬだろう?一番マトモではないし一番スケベだぞ。やはり剣豪でも夜は獣になるのだな。」
「…。」
もう、何も話せない。
この三人からはあらゆることを聞かれ、そして誘導尋問で性癖すらバレた。
ショタコンの何が悪い。小さくなったマスターにえっちなことして何が悪い。
彼は自分のマスターだ。
なら好きにしたっていいだろう。
「でもね、武蔵さん。」
「…?」
そのときだ、
力のなくだらりと下がったその手をマリーが両手で優しく握りしめた。
「あなたがマスターを大事にする気持ち、すごく良くわかるの。稽古をするのも、生きていてほしいからこそよね?」
自分が彼に剣の使い方を教えるようになったのは、元は彼から頼み込んできたからだ。
弱いままじゃ武蔵のマスターに相応しくない。だから強くしてほしい、弟子にしてほしいと
最初は別に私が全部守るし、弟子なんてとる性分じゃないと断ったが彼の熱意に負け、渋々折れた。
けど、強いて理由を上げるのならば
「そうね、大和くんには生きてて欲しい、私も大和くんともっと旅がしたい。だったらせめて最低限戦えるように、自分を守れるようにしてあげないとって思いました。」
「ほら、でしょう?」
生きて、自分と一秒でも長くいてほしい。
それが理由だ。
「でも武蔵さん。まだ、マスターには好きって伝えてないのよね?」
「それは…まぁ。」
「いけないわ。」
手を握る力が強くなる。
「思い出して。この世界に来た理由を。私も、おっきーもキャットも、それぞれ違うかもしれないけど元を辿ればみんな一緒。」
「大好きなマスターと…いたいから。」
「そう、当たり。だったらその思いを伝えないといけないの。」
ここにいる自分達だけではないだろう。
ジャンヌや北斎、紫式部やドレイク、そして今まで会ってきたサーヴァント達。
その者達は皆、大好きなマスターに会うため、ここに来た。
「素直になって、ありのままの思いを伝えて。そうしないとあなたはこれから先ずっと後悔すると思うの。」
「後悔…?」
「さぁ!そうと決まれば言いに行きましょ!」
「え、ちょっと…!!」
そのまま強引に手を引っ張られ、武蔵は連れられていく。
「こんばんは武蔵さんのマスター!あら、あなたも一緒なのね!」
幸い武蔵のマスターである大和は広海と行動しており、すぐに見つけられた。
「ほら!」
背中を押され、本人の前に立たされる。
「武蔵…?」
「い、いやー…その…なんていうか…はは。」
目が泳ぎ、頭の中ではなるべく恥ずかしくない言い方を詮索するも、見つからない。
「すごいね、THE陽キャの告白ってカンジ。」
「ちなみにTHE陰キャの告白はどんなカンジなのだ?」
後ろからは刑部姫とキャットが何か話しながら見守っている。
不思議そうに様子を伺う大和。
状況を察し、マリーのやったことに半ば呆れつつも笑って済ました広海。
「え、えーとその…好き…です。」
「…。」
照れ隠しに頭をかきながら、そして聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう言い放った。
大和は耳がいい。
だから、「え、なんだって?」みたいな難聴計主人公みたいなリアクションはとらず、
「ああ、知ってる。」
と、それを受け入れそう答えた。
「え、あ!?え!?し、知ってるって」
「好きじゃなかったら、武蔵はあの時助けに来てくれなかっただろ。」
「あ…いや…うん。そうです…。」
「それにさ…」
後ろではマリーが小さく拍手をして祝福する中、大和も頬をかきながら言った。
「俺も、好きだよ…。」
「まぁ!」
まるでリア充のような告白。
マリーは喜び、武蔵は恥ずかしくなってうつむき、
「あっま…雰囲気が甘すぎてブラックコーヒー飲みたくなるね。」
「あるゾ。」
「あるんだ…。」
キャットからコーヒーを差し出され、それを飲んで中和する刑部姫とキャット。
「ご主人はとても素直な話は…したか。」
「うん、聞いた。時々やばいんだっけ?」
「おうさ。キャットを思うがあまり自分の身も顧みないことは多々あったのだ。」
ずずずと熱いコーヒーをすすり、そんな甘い雰囲気の二人を見つめながらキャットは話を続ける。
「だからキャットも守りたい。ご主人がキャットを好きな気持ちに負けぬくらい、キャットは…アタシはご主人が大好きだからナ。」
そういい、キャットは踵を返す。
「どこいくの?」
「ご主人を探す。キャットもなんだかイチャイチャしたくなった。」
と、猫のように跳び、屋台から屋台へと跳びさっていった。
「みんな、マスターが大好き。か…。」
向こうでマスターと照れあってる武蔵も、
手を繋いで笑ってるマリーも、
キャットやそして自分もまたマスターが大好きだ。
「姫も、まーちゃんと一緒にいたくなってきちゃったな。」
マスターに忍ばせていた折り紙発信器の場所を探り、彼女もまた歩き出す。
しかしここで、気付いたことがある。
「あ、誰かと一緒だ。」
端末で彼の現在位置を見てみれば近くに生体反応がある。
人だ。
そして、
『この秘密は…まだ探偵さんだけには言ってませんでしたね。』
『俺だけには言ってない…秘密?』
発信器から聞こえる二人の声。
ここでまずいと思った。
「…!!」
折り紙蝙蝠を出し、自分を牽引させ飛ぶ。
急がなければならない。
『何があっても、僕を受け入れてくれる?』
『ええ、もちろんっすよ。』
「まずい…まずいまずいまずいまずい!!!!」
最初は面白そうだから隠しておこうと思った。
しかし気付いたのだ。もし彼が本当のことを知ってしまったのなら、おそらく彼の心はひび割れ、木っ端微塵に壊れるだろう。
本人のメンタルの弱さは知ってる。
だからこそだ。
「面白そうって思ってたけどやっぱダメ!!あれは…あれは今のまーちゃんの心がもたない!!」
空を舞い、刑部姫はマスターのいる三笠の甲板を目指した。
⚫
「じゃあ…いいですね?」
「ええ…覚悟はできてますよ。」
舞さんから色々話を聞いていた中、突然秘密を教えないといけないと言い出してきた。
昔話を聞いて、舞さんの過去は知れた。
だが、まだ秘密があるというのか…。
「クズシロマキとしてやってきたけど、もう僕は葛城舞だから。だから、探偵さんには本当のことを明かすよ。」
ほんとうのこと、とはなんなのか?
「ここに来て、僕はもうやつの弟なんかじゃない、一人の人間、舞として生きていこうって決めたから」
なるほど、あいつの弟じゃなくだな。
…
ん?
「え、ちょ、舞さん?」
「はい?」
いま、いまなんつった?
「お、おとうとって…妹の間違いでは?」
そうだ、あいつとは兄妹なのだから、舞さんは妹だ。
そんな弟だなんて…
そんな
…そんな
まさか…
「ま、舞さん…も、ももももももしかして…」
「うん、その通り。さすがは探偵さん。勘が鋭いね。」
やだ、いやだ、
外れてくれ俺の勘。今回だけは外れてくれ探偵の勘。
「この世界でやってくとき、僕は女性として生きてきた。だけど…。」
「待て、ねぇ待って!!嘘って言って!!」
思い返せば、気付くべきところはあった。
どっちかと言えば声もそっちよりだったもんね。
ああ、どうりで胸がないわけだ。
でもあれなんだよあの下半身。あれが男のケツか?男の太ももか?
『ねぇ、まーちゃん。』
その時、お昼におっきーにされた質問が思い浮かぶ
『まーちゃんはさ、男の娘って興味ある?』
「僕、葛城舞は正真正銘の"男性"なんだ。」
「」
なにかが、きれた。
ぷつんと、俺をかろうじてささえていてなにかがきれた。
「嘘だ…俺を…俺を騙そうとしてる…。」
かつてのおもいでが、よみがえる。
まいさんとの、かけがえのないおもいでが
はじめまして、クズシロマキって言います!
仕事は…へぇ。探偵!すごいですね!
き、きれい?ほ、ほめても何も出ませんからね!
元気ないですね、やなことあったんですか?
え?ぎゅーってして欲しい?こ、こうですか?
おかえりなさい。依頼今回も無事成功したんですね。え?勝利の女神の舞さんがいるから?な、なにいってるんですかもう!!
え、下着?探偵さん。そんなこと他の女の子に聞いたら嫌われちゃいますからね!めっ!ですよ!
ティーバックって下着の線が出にくいから着物を着るのにうってつけなんだそうです。って、今とは全然関係ない話なんですけどね。
ああ、なんて、なんて儚いのだろう。
「マキさんめっちゃ歌うまいっすね!V◯P店長みたいな声じゃないっすか!!」
「えへへ…。」
「マキさんダンスもできるんすか!?今度疑心暗鬼踊ってください!!俺あれ大好きなんです!!」
「わかりました。練習しときますね。」
(へっへっへこれで太ももチラチラ見放題やんけ。)
「なぁバーソロミュー、知ってるか?」
「なんだい同志?」
「忙しいときにマキさんに話しかけるとな、"乳首"が見える。」
「!?」
「着物が乱れても直す余裕がないんだろうな。そんで屈んでみろ、ピンクのが見えるぜ?なんならもう十五回はオカズにした。」
とすると俺は、
男に好意を抱き、男に欲情し、男にぎゅーってハグされ、
男の脚で興奮し、さらに男の乳首を…オカズに…俺は…。
⚫
「ひぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「遅かった…!!」
姫がついた頃には、まーちゃんは発狂していた。
「え、あの…僕…隠し続けてたら申し訳ないって思って…そしたら…。」
「うんごめんね!まーちゃんメンタル弱いの!!もうだめなの!!その現実が受け入れられないの!!」
とりあえずブリッジしてるまーちゃんをだきかかえる。
「まーちゃん!!しっかりして!!」
「あいあいええええええ!!!きゅけきゅけきゅけきゅけ!!!!!」
「だめだこりゃ!!!」
意味不明な言葉を発している。
心と言う器にひびが入り、そこから暴れ出た感情はいっきに器そのものを砕いた。
ダムが決壊するかのごとく、まーちゃんの心は壊れてしまった。
「なにがあった!?」
「すごい悲鳴が聞こえたぞ!!」
で、まーちゃんのとんでもない声を聞きつけて院長先生と子安さんが駆けつける。
さらに
「どうしたの!?」
「いったい何があった!?」
騒ぎを聞きつけ人がどんどん集まる集まる。
「誰か…誰かまーちゃんを助けてくださあああああーーーい!!!!!」
次第にほぼ全員が集まる中、姫はその中心で愛を叫んだ。
「あーあ、こりゃ想像以上だナ。」
「お栄ちゃん!え、えーとその…僕…。」
さらに面白いから隠しておけと言っていた本人もやってくる。
「おーい探偵殿ー?」
「あげゃげゃげゃげゃげゃげゃげゃ!!!!!」
「た、探偵さーん?」
「お、俺のそばに近寄るなアァァァーッ!!!!」
舞さん…もとい舞くんが近寄るとまーちゃんは正気に戻り、死に続けるボスの如く近寄るなと叫ぶ。
「俺を…俺を騙しやがって!!このカマホモ野郎!!」
「だ、だって探偵さんなら気付くかと」
「気付くかバカ野郎!!!なんだそのクオリティ!!てかなんで女装する!?バカ!バカ!ホントバカ!!俺の三次元初恋返しやがれこんちくしょうがァァァーッ!!!!」
星空がきらめく静かな夜。
宴会も終わりに近づく中、そんな夜空にまーちゃんの声がこだました。
後書き
男の娘バレって、やってみたかったんですよ。
というか勘の鋭い方、そしてハーメルンにてクソ作者が色々書いてた頃を知ってる人は葛城舞が男、いわゆる男の娘なのをご存知なのではないでしょうか?
そして次回、難関のエッチな話です。
キャラクターが多いですからね!!1話じゃ終わりきれず前後篇に分かれるかもしれないです!!
それでは次回もお楽しみに!!
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