崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
罠
前書き
こんにちは、クソ作者です。
今回は軽く閲覧注意です。
世界のどこかに存在する人工で作られた島。
そこそこの面積があり、また数々のビルが立ち並んでいた。
言うなれば都会の一風景をそのまま島にしたようなそんな場所だった。
そしてこの島の名前は『葛城財団本部』
そう、あの葛城財団の本拠地である。
島中央に位置する最も高いビル。
その最上階にて、彼らを指揮する"代表"はいた。
「邪魔された?」
「はい。サーヴァントはマリー・アントワネット、そしてもう片方はジャンヌ捕獲作戦でも邪魔してきたあの刑部姫です。」
「ちっ…またそいつか。」
状況を説明する職員。
そしてそれを終始不満そうな表情で聞いている太った男。
ボサボサの髪にニキビのある脂ぎったその顔からは、清潔感は全く感じられない。
そう、この彼こそが"代表"と呼ばれている人物。
葛城財団代表、葛城 恋である。
「マンコ風情が作戦の邪魔するとはいい度胸だな、その刑部姫って奴は要注意人物に指定しろ。」
「はっ。」
「それと三笠の件だが…置鮎を呼べ。」
代表がそう言うと部下は携帯でどこかに電話をかける。
だが、
「ここにいますよ。"代表"」
「ほー、準備がいいじゃねぇか。」
自動でドアが開き、一人の男が部屋に入ってきた。
こつこつと革靴特有の足音を鳴らし、その身は高級スーツに身を包んだ男。
彼の名こそ置鮎。
代表お気に入りの傭兵だ。
「調子はどうだ?」
「つい先ほど、我が社に反旗を翻したレジスタンスとやらを始末したところです。それをちょうどあなたに報告しようかと。」
「…何騎だ?」
結果報告として代表は置鮎からサーヴァントは何騎いたかとだけ聞く。
「ディルムッドにフェルグスと鈴鹿御前、ガウェインを名乗る汚らしい獣。そして最後にシャルルマーニュ…。どれも最優クラスのセイバーでしたが結局はただの産廃。いくらセイバーとはいえ私の最高のセイバーには遠く及びません。蹴散らしてあげましたよ。」
と、自慢気に話す置鮎だがやはり代表は不満そうな表情のままだ。
その理由とは
「ちっ…女は一人だけかよ…。」
「鈴鹿御前のみ生かし、捕らえてありますがどうします?」
「そうだな…マンコの具合だけは確かめてやるよ。」
のっそりと椅子から立ち上がり、代表は歩いていく。
すれ違い様、置鮎の肩に手を置き。
「そんなお前に新たなミッションだ。三笠のサーヴァント捕獲作戦の指揮を任せる。」
「…ありがたき幸せ。感謝します。」
「お前の唯一の汚点…仕留め損ねた"武蔵"の件、それで見事に汚名返上してみせろよ?」
「はっ。」
そういい、代表は部屋を出ていく。
「ああ見えて、代表はあなたを相当気に入ってるんですよ。」
取り残された部下がそういい、置鮎は当たり前のように頷いた。
「知っているとも。それに私の前任であった傭兵はひどいものだったんだろう?」
この男、置鮎は代表お抱えの最強の傭兵だ。
傭兵とはいっても彼が直接戦うわけではない。
あくまで彼はマスター。
所持するサーヴァントはセイバークラスで、置鮎が全サーヴァントの中でも最強と豪語するほどの存在。
そして実は、彼の前にも代表は傭兵を雇っていたのだが
「なんだったか?確か」
「オカダイゾウ…でしたっけ?」
「ああそうだったね。悪い、いちいち産廃の名前など覚えていなくてね。」
アサシンの岡田以蔵を従えていた女性のマスターだったらしいが、立て続けにミッションに失敗し行方をくらませたのだった。
「だが私はそのような失敗はしない。彼は最高にして最強のサーヴァント。他の産廃共とはワケが違うのだよ。」
彼がここの傭兵でい続ける理由。
代表に気に入られているから、というものもあるがそれともう一つ、
ここで戦い続ければ、自分のサーヴァントが確かに最強ということを証明できるからである。
「私のサーヴァントは完璧。一点のシミも許されない純白のシーツだ。だからこそ…だからこそだ…。」
だがしかし、そんな彼にも唯一の汚点がある。
そう、先程代表が言ったように、彼は一度だけ標的を逃してしまったことがあるのだ。
「汚点は消さねばならない…。いつか必ず…必ず見つけ出してやる…!宮本武蔵…っ!!」
そして財団は近いうち、サーヴァントを譲渡するよう持ちかけたが断ってきた三笠を攻め落とす予定だ。
この指揮を任され、汚名返上してみせろと言われたがこの程度で汚点は消えない。
彼の目の前に見えているのはただ一つ。
"宮本武蔵"という、倒す以外消えない頑固なシミである。
⚫
「そんじゃありがとうございました、広海さん。」
「こちらこそ。マリーも楽しかったって喜んでくれて何よりだよ。」
夕陽に染まりつつある港にて、俺達は広海さんとマリーに別れを告げる。
「さようならおっきー!また会いましょうね!」
「うん…でももうヒロインショーはやだ…。」
まだ全身が少し痛むおっきーもマリーと握手を交わし、名残惜しそうに別れた。
「良かったら横浜のオーシャンビヨンドに遊びに来てくれ!歓迎するよ! 」
「そりゃどーも。そんときはたっぷりもてなしてくださいよ。」
二人はデートを続けるため、まだ東京に残るのだという。
そして俺達は慰安旅行の最中ではあるものの、依頼を達成するためアンデルセンを連れて横須賀を目指すことにした。
のだが
「船が…ないな。」
港に来たはいいが船が一隻もいない。
どうやら全て出てしまったようだ。
それに、
「まーちゃん、今日もう来ないよ!?」
「はぁ!?」
連絡船も、今日は終わってしまっていたのだ。
「うーん…明日の朝まで来ないっぽいね。」
看板の連絡船の時間を見ながらおっきーが残念そうにいう。
ここまで来たのに?もう一日待たなきゃいけねーのかよ?
いや、期日はほぼ無いに等しいができれば早く二人をお届けしてあげたい。
ぶっちゃけさっさと終わらせて5000万をもらいたいのが本音だけどな。
と、俺達が途方に明け暮れているときだ。
「あなた、探偵のニノマエさんですね?」
「え?なに?」
いきなり知らない人が来た。
なんだこいつ。てか俺の名前知ってんのね。
「あなたのことは"船長"から聞いてますよ!」
「船長?」
「あ、私こういうものです。」
いきなり現れた柔和な顔つきの男性は名刺を渡す。
そこに書いてあるのは名前と、それに
「ハインド商会…船長ってドレイク船長か!」
「はい!そうなんですよ!」
男は笑顔のまま話を続ける。
…、
なんというのだろうか。
張り付いた笑顔、とでも言えばいいのだろうか?
何かこの男…気味が悪い。
「ハインド商会の子会社を経営しているものでして…もしよろしかったら船に乗せましょうか?」
「いや、いいんすか?」
「ええ、何やら急いでいるようでしたので、私共が助けになることができれば。」
え、マジで?
「んじゃあお言葉に甘えさせてもらいましょーかねー?なぁおっきー。」
「だね。出来れば早い方がずっといいもんね!」
なんとこのハインド商会の子会社を名乗る男、
俺達を無償で目的地まで送り届けてくれるとのことだ。
いやー悪かったね。さっきは張り付いた笑顔の気味わりーやつだと思っちゃってさ!!
人は見かけによらないよね!うん!!
「んじゃあ横須賀の三笠まで。この人達をそこまで送り届けたいんだ。」
「かしこまりました。ではこちらへ…。」
俺達はその男についていく。
次第に港からは離れ、気が付けば人気のない薄暗い道を歩いていた。
「あのー、港は?」
「この先にあるんですよ!ハインド商会の中でも少数しか知らない秘密の港がね。」
男は笑顔のままこたえる。
重要取引やあまり人に知られたくないものを運搬する際に使用する極秘の港だと言うが…。
「ほら、つきましたよ。」
そこは確かに港だった。
そこまで賑やかではないものの、俺達と同じように早くどこかへ向かいたいらしいサーヴァントやマスターで溢れ返っている。
そして港に停泊しているのは割と大きな船だ。
「行き先は横須賀にある三笠記念艦でよろしいですね?」
「ああ、まぁそうです。」
「分かりました。それではじきに出航いたしますので船に乗ってお待ちください。」
そういい、笑顔の男は礼をして俺達を見送る。
船にはもう何人かの人やサーヴァントが乗り込み始めている。
急いで俺達も乗ることにしよう。
「行こうぜおっきー。子安さん。これで安住地は目の前も同然だ。」
俺達が見えなくなるまで、深々とお辞儀をして見送る笑顔の男。
そして俺達が見えなくなると、
「…バカめ。」
彼の顔から、笑顔は消えた。
いや、にこやかな笑顔は消え失せ、代わりに目と口を最大限歪ませたような下品な笑顔を浮かべていたのだ。
そして笑顔の男は胸ポケットから端末を取り出すと、どこかへ連絡する。
「要注意人物である刑部姫とそのマスターの確保に成功した。これより"偽装船"で本部へと送る。」
『でかした。これでまた一つの邪魔者が消え去り、代表もお喜びになるだろう。葛城財団に栄光あれ。』
「ええ、葛城財団に栄光あれ…。」
笑顔の男はハインド商会の子会社の者ではない。
そもそも子会社なんてものはそこには存在しないのだ。
その正体は葛城財団。
サーヴァントを集め、何かをたくらんでいるあの組織だ。
⚫
一方その頃…
「いない…?」
マリーとそのマスターである広海はあることに気付き、港へと向かったのだがそこには誰の姿もなかった。
「おっきーも探偵さんも、どこにもいない。」
「おかしい…もうこの時間帯なら船は出てないはず…。」
二人を見送ったはいいものの、そういえば今日はもう船は出ないと気付き、今こうして呼び戻しに来たのだ。
そしてその時、見えたものがある。
「港で、誰かと話してたよな?」
「ええ、見間違いなんかじゃない。探偵さんは確か知らない男と話していたわ!」
既に暗くなりつつある港。
大声で呼んでも、返事は返ってこない。
彼らはどこに消えたというのだろうか。
そして、遠くから見えたあの男は何者なのだろうか。
考えれば考えるほど分からない。
「ナァ、ちょいといいかい?」
と、二人が行き詰まっていたときだ。
「どなた…ですか?」
振り返ってみればそこには二人…いや、一人とそのサーヴァントがいた。
どちらも和服を着崩し、肩を露出させている。
「人を探しててナ。こういう…なんだ?意地の汚さそうなツラした男で、刑部姫を連れてるんだが…。」
「探偵さんのことか…?」
「ああ、それサ。」
和服のサーヴァントがぽんと手を叩く。
「もしや知り合いかい?、良ければそいつらが今どこにいるか知りたいんだが…。」
「奇遇だね。俺達も探してるんだ。」
この和服のマスターとサーヴァント、二人は探偵を探しにやってきたのだという。
しかしどちらも和服。第三者から見ればかなり浮いている格好だしそこそこ怪しい。
なのでマリーは不審に思い、
「どうして探しているの?二人はおっきーの知り合いかしら?」
何故探しているのかと質問してみる。
だが和服のサーヴァントはマリーにずいと顔を近付け、まじまじと見るやいなや
「にしてもアンタ…あのふらんすの国の"まりい・あんとわねっと"ってお方かい?」
質問を質問で返してきた。
「そ、そうだけれど…?」
「へぇーどうりで!こいつァ噂通りの美人サァ…。こりゃ何かのご縁だ!ここは一つ描いてもいいかい?」
「あ、その…嬉しいのだけれど!」
和服のサーヴァントに詰め寄られ戸惑うマリー、
だが、
「お栄ちゃん。」
「あ、いけねぇ。今はそんな場合じゃなかったナ…。」
和服のマスターがサーヴァントの名前を呼び、興奮していたサーヴァントは我に返る。
そしてマスターは逸れてしまった話を戻した。
「"危機"が迫ってる…。二人は今、葛城財団に狙われてるんです!」
「!!」
和服のマスターが口を開いた。
「このままじゃ探偵さんと刑部姫が危ない…なんとかして財団より先に見つけ出さないと…!」
「それは残念ながら、無理な話だろうね。」
「?」
広海でも和服のマスターでもない、
誰かの声が聞こえた。
「私の部下が偶然目撃したんだよ。同志達は今、まんまと騙されて"偽装船"に乗せられている。」
「偽装…船?」
どこからともなくやってきたその海賊はそう説明する。
そして偽装船というワード、
広海はそれを聞いたことがあった。
「知ってるの?あなた。」
「ああ、真壁さんから聞いたことがある…!葛城財団が連絡船や他の商業船になりすまし、サーヴァントを本部へと連行するための手段の一つだ。」
「そんな!じゃあおっきーは今…!」
マリーの脳内に最悪のビジョンが浮かぶ。
葛城財団の残虐非道な行いは、あの時アンデルセンから聞いている。
刑部姫はきっと今頃それを…。
「だが安心するといいマリー王妃。気分転換に前髪でも伸ばしてみないかい?」
「遠慮しておくわ。両目できちんとマスターが見られないもの。」
前髪を伸ばすことをすすめてきた海賊は安心するように言った。
だがそれは何故か、答えは簡単である。
「おそらく財団はハインド商会を名乗ったのだろうね。"彼女"が怒り心頭で偽装船の追撃に向かってるよ。」
勝手に名前を使われ、ハインド商会は黙っちゃいない。
そういうことである。
「助かるのね!」
「ああ、安心するといい。だから前髪を伸ばしてみない?」
前髪を伸ばしてみないかと彼のしつこさにうんざりしてきたマリー。
既にお気づきかもしれないがこの海賊、あのバーソロミューである。
それと彼らと同じく探偵を探しにきた和服の二人だが
「おや、誰かと思えば"マキさん"じゃないか。奇遇だね?いや運命かな?」
和服を着たマスターは"マキさん"と呼ばれた。
そう、彼女はまごうことなきあのマキさんだ。
だが今は、正解で違う。
彼女はマキさんではあるが、もうマキさんではない。
「バーソロミューさん、お願いがあります。」
「なんだろうか?君のお願いならなんだって聞くよ?」
マキと呼ばれた女性は、バーソロミューにいう。
「僕と"お栄ちゃん"を、探偵さんのところまで連れてって欲しいんだ。」
マキの隣にいた和服のサーヴァント、葛飾北斎はにんまりと笑い、言った。
「あいつにゃ返しても返しきれねぇ恩がある。おれと"マイ"は、その恩返しがしたいのサ。」
後書き
⚫登場人物紹介
置鮎 啓(おきあゆ けい)
葛城財団代表お抱えの傭兵。
自分のサーヴァントに絶対の自信があり、自分のサーヴァントこそが最強。その他のサーヴァントは雑魚、すなわち産廃であるという考えを持っている。
所持するサーヴァントはセイバーとのこと。そして彼は"宮本武蔵"に対して並々ならぬ怒りを抱いている。
葛城 恋(かつらぎ れん)
23歳…なのだがその見た目からはどう見ても中年男性にしか見えない男。
みすぼらしく清潔感のない格好をしているがそんな彼こそがあの葛城財団の代表。
性格は狡猾、自己中心的。
自分の為ならば他人のものを奪い、蹴落とすほどの外道。
さらにはデリカシーやそういったものも欠如しており、女性サーヴァントを女性器呼ばわりする。人前であるにも関わらずサーヴァントとセックスを始めるなど、お前どこで義務教育済ませて来たんだといわんばかりの非常識ぶり。
そして彼には他のマスターから奪ったボディーガード兼性奴隷のサーヴァント達がおり、日々そのハーレムに囲まれて優雅で淫靡な毎日を送っているという。
どのようにしてサーヴァントを奪い、また己に心酔させるようにしたのかは一切不明。
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