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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
  デートと王妃と元職員

 
前書き
前回までの『崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?』、三つの出来事!(CV麻婆神父)

一つ!
5000万円の報酬金を目指し、アンデルセン探しを始める!

二つ!
サーヴァント、マリー・アントワネットとそのマスターと出会う!

三つ!
ひょんなことからそのマリー達とアンデルセン探しをすることになった!!

以上!三つのあらすじ! 

 
「ねぇそこのあなた、三笠の孤児院に興味はない?」

翌日。
ホテルで一夜を共にした俺達は朝からアンデルセン探しをしている。
マリーとかが物腰柔らかく訪ねたりするものの、やはり殺生院の名前を出すと断られてしまう。
で、

「なぁおっきー。」
「な、なぁにまーちゃん。」
「お前その格好どうした?」

今のおっきーの格好なのだが、いつもの服装ではない。
それなりにおしゃれした現代的な格好。
簡単に言えばあれだ、英霊旅装のアレ。
朝起きてみればマリーとおっきーがいなくて、残された俺と広海さんのマスター二人で外に出てみればその格好のおっきーとニッコニコのマリーが待っていたのだ。
なんだよこれ。これじゃまるで

「だって折角のデートなんだもの!おめかししなくちゃ!」

と、おっきーをコーディネートしたマリーが微笑みながら言う、
おっきーいわく早い時間に起こされて「探偵さんをびっくりさせましょう!」って言われて連れてかれたんだって。

「お前余計なコト言いやがったな!?」
「違う違う!姫だって慰安旅行ですって言ったよ!?でもマリーちゃんが…!」
「二人きりの旅行でしょう?だったらデートじゃない!」

…デートねぇ…。

「まぁともかくアンデルセン探しをしよう。広海さん、ここは二手に別れた方が効率もいいっすね。」
「だな。何かあったら連絡する。それじゃあ健闘を祈るよ。」

そういって広海さんはマリーと手を繋ぎ、別方向へと歩いていく。
手を繋いで、きゃっきゃっうふふと談笑しながら…。
探す気あるんだよな?あの二人…。

「じゃあ俺らもいくぞ。ほら。」
「…?」

俺達もいつまでここにいても仕方がないので広海さんとは反対方向を探すことにする。

「まーちゃん?」
「なんだよ。」
「その手、なに?」
「…。」

無意識の内に、彼女に自然と手を差し出していた事に気付く。

「ほら、あれだよ。手ぇ繋ごうってやつだよ。」
「えー?もしかしてぇ…あの二人見てまーちゃんもイチャイチャしたくなっちゃったんだぁ♡」
「んなわけねーだろバカ!人混みではぐれられたら困んだろ!?だから繋ぐの!!早とちりすんなボケ!!」

彼女の手を掴み、無理矢理引っ張っていく。

「それとさ。」
「…?」
「その服、可愛いと思う。」
「えっ?」

別にそう思ったから言ったワケじゃない。
わざわざマリーがおっきーのためにあれこれしてくれたんだ。
それに対して何も言わないのは失礼だし、一応言っておく。

「可愛い!?まーちゃんどうしちゃったの!?どこかで頭打った!?」
「いちいちうるせーな!!俺が褒めたのは服!お前は褒めてねーからな!!」
「照れてる?照れちゃってるまーちゃん?」
「うるせぇ!!とっとと探して5000万ゲットすんぞ!」

あんまりにもしつこいので強引に話を終わらせてアンデルセン探しを始める。

「なんか条件で釣るとかできねーかな。」
「例えば?」
「ほら、お前絵うまいじゃん?本の挿し絵描いてあげよっかとかいってさ。」
「あー、それ無理だった。」

試したんだなそれ。

「『貴様程度のアマチュアにこのアンデルセンの挿し絵が釣り合うと思うか?本気でそう思ってるのならお前の脳は大分イカれてるぞ、取り替えてこい』って。」
「ひっど…。」
「うん…きっとそういう条件を出すのならそれこそ葛飾北斎くらいの絵師じゃないとだめなんじゃないかな…。」

アンデルセンゲットの道はまだ遠いらしい…。
それから…。

「だめみたいですね(諦め)」

五人くらいアンデルセンには会ったものの全て断られた。
ちっくしょう…簡単な仕事だと思ったのによ…。

「まーちゃん、期日とかってあるの?」
「あっちはどれだけかかってもかまわないって言ってたけどな。なるべく早い方がいいだろ。」
「そっか…。」

二人であれやこれや説得してはみるものの、殺生院の名前を出すとそう簡単にはいかなくなる。
ふざけんなよ。俺はもう23人のアンデルセンから罵倒を浴びせられてるんだぞ。
もうそろそろ心がもたねーよ。

「ま、急いでてもしょうがねーしな。少し休憩しよう!」
「?」

座っていたベンチから立ち上がり、おっきーに待ってろという。
小休止にはおやつが必要だ。なので

「ほら、あんま煮詰めないで適度にサボろーぜ。」

近くでクレープ屋がやっていたのが見えたので買ってきた。

「まーちゃん、今日優しいね。」
「優しくねーよ。自分だけ食うのもあれだから。」

隣に座り、買ってきたクレープにかぶりつく。

「あ、ほっぺにクリームついてる。」
「やめろって、自分で取れるっての。」

指でついていたクリームを取られる。
なんだよこれ…長年憧れてたシチュエーションみたいになってるじゃん。
てかこれまさにデートじゃない?

「サボってて平気かな?」
「多分あの二人も似たようなことしてんじゃね?きっと今頃マリーに『はい、あーん♡』されてるだろ。」
「…有り得るかも。」

仕事に一生懸命になる。
まぁそれが一般人の仕事に対する認識だろうな。
でも俺はサボる。適度にサボる。
何事も緩急が大事だ。

ちなみに一方その頃。

「はい、あーん♡」
「はっくしゅ!!!」

広海さんとマリーの二人は仲良くソフトクリームを食べさせあいっこしてましたとさ。

「どうしたのあなた、風邪?」
「大丈夫だよ。なんか急に鼻がくすぐったくなっちゃってさ。」

そういい、スプーンに乗せられたソフトクリームをいただく。

マリーからもらったソフトクリームに舌鼓を打ち、余韻に浸りかけたがその時、

「…マリー。」

広海さんはあるものに気付いた。
その表情はさっきまでイチャイチャしていた時のものではなく、真面目な表情へと変わっていた。

「どうしたの?」
「奴等だ…よく分からないけど嫌な予感がする。」

建物の陰から僅かに人が見えたのを広海さんは見逃さなかった。
白い服装。そして手には黒光りするものが見えた。
おそらく、葛城財団。

「ここにもいるのね…。」
「うん。多分何かを探してるか追いかけてるかだ。」

仲良くソフトクリームを食べさせあいっこしていたが立ち上がり、自分のものをマリーにあずける。

「あなた…?」
「アンデルセンを探さなきゃだけどあいつらも野放しにしとくわけにはいかない。」

そう、先程言った葛城財団が何かを追いかけているにしても探しているにしも、
それはどちらにしろ"逃げている者"がいるということだ。

「行こう、マリー。」
「ええ、」
「大丈夫。アイスが溶ける前に終わらせる。」

そういい、二人は走って奴等が見えた路地裏へと駆けていく、

「何をしている!!」

角をまがるとそこには葛城財団の職員が複数人おり、やはり皆手に銃を持っていた。

「なんだ貴様…ほう、サーヴァント持ちか。」

広海さんが叫ぶと一同が振り返る。
そして隣にいるマリーに気付き、奴等全員がにんまりと笑う

「悪いね、どこの誰かは知らないマスターさん。これも仕事でな。」

彼らはターゲットを変えたのだ。
探しているであろう何かから、サーヴァントである"マリー"へと…。

「…っ!」

マリーを自分の後ろに匿い、じりじりと近寄ってくる葛城財団の奴等を睨む。

「なぁ、あいつはいいのか?」
「満身創痍だしそう遠くには行けないさ。ともかく今は"こっち"だ。あのマリー・アントワネット様となれば"代表"もさぞお喜びになるだろうよ。そうすりゃ俺達は…へへへ。」

下卑た笑いを浮かべながら、彼らのリーダーらしき男がゆっくりと銃をかまえる。

「そんじゃあ悪いなマスターさん。恨むんなら余計なコトに首突っ込んだ自分自身を恨みな!!」

引き金に指をかけ、手始めに広海さんを蜂の巣にしてやろうとしたその時である。

「!?」

どこからともなく、馬の嘶きが聞こえた。
そして

「おわぁっ!?」

彼らのたっている場所の中心に、馬が降り立ったのだ。
ただの馬ではない。全身が透明の、まるで硝子でできたかのような水晶の馬。
そして降り立つと同時に地面から現れたのは硝子の結晶。
それらは財団職員を蹴散らし、割れた破片は輝きながら周囲に飛び散った

「一体な」

前に出ていたリーダーは無事だったが、振り返りガラスの馬を見てしまうという隙を晒し、そこを容赦なく広海さんに蹴り飛ばされた。

「ありがとう、マリー。」
「あなたの妻よ。当然ですもの。」

先程やってきた硝子の馬は言うまでもない。
マリーの宝具である『百合の王冠に栄光あれ(ギロチンブレイカー)』だ。
硝子の馬はマリーの元までやってくると頭を下げ、主は優しくその馬の頭を撫でた。

「さて…。」

蹴飛ばされ、銃を落として丸腰となった倒れている職員に広海さんは駆け寄る。

「言え、何を"探していた"?」

手には宝石。
おそらく武器なのだろう。

「ああ、話すよ。俺達は逃げ出した元職員を追ってるのさ。」
「元…職員?」
「そうとも。」

へらへらと笑いながら、男は話を続ける、

「サーヴァントが召喚できたからって勝手に逃げ出したからな。それにそいつは元幹部。色々と重大な情報を持ってる奴をそう簡単に逃がすわけにはいかねぇわけだ。」

逃亡した元幹部クラスの職員。
それが逃げ出し、重要機密を漏らさないよう"代表"から始末を言い渡された。
それが、彼の説明である。

「なぁ、あんた。」
「…なんだ。」
「こんなピンチで、どうして俺がへらへらしていられると思う?どうしてこんな簡単に情報をべらべら喋ると思う?」
「…まさか!」

この時、嫌な予感がした。
だがそれは感じとるには既に少し遅かったのだ。

「成果もなしに帰ったところで"代表"に殺されんだ!!だったらお前と死んだ方がマシなんだよ!!!!」

手にはいつの間にか何かのスイッチ。
満面の笑みで彼はそれを広海さんに見せつけた。

「待て!早ま」
「葛城財団!!バンザァーーーイ!!!!」

押されるスイッチ。
次の瞬間、閃光と轟音が鳴り響く。

爆発。
そう、その職員は元から装備されていた自決用の爆弾を使い、周りの気絶していた隊員をも巻き込んで自爆したのだ。

そして…

「あなた、大丈夫?」
「…危なかった。ありがとうマリー。」

マリーと広海さんは無事だった。
爆発する寸前、マリーは硝子の馬を走らせギリギリのところで広海さんを救出、
そのまま高く飛び上がり、近くの建物の屋上の屋根に着地したのだ。

「葛城財団…部下に自決を強要させるなんて…。」
「敵とはいえ酷すぎるわ…。」

さっきまで自分達がいた場所を見下ろす。
地面は爆発でえぐれ、周囲の建物にも被害が及んでいる。

「ともかくあの二人が心配だ、葛城財団がまだうろついているかもしれない。」

アンデルセン探しは中断し、二人はとりあえず合流することにした。
だが、

「その…あなた…?」
「どうしたんだ?」

後ろを見てみればマリーがどこか申し訳なさそうな顔をしている。
何かあったのだろうか?
そう思った時、それを誤魔化すように笑うと舌を少し出し、

「ごめんなさい…アイス、落としちゃった。」

とだけ言った。
かわいいから許した。

「また買おう。しょうがないさ。」

マリーを慰め、再び路地裏に目をやる。
爆発が起きたせいだろう。そこには次々と野次馬達が集まっていた。
物好きな人達だなぁと思う中、あることに気がついた。

「…?」

爆発が起きた路地裏。
その少し向こうの方に、誰かが倒れている。

「マリー。」
「何かしら?」
「合流する前に少し人助けをしよう。」

倒れていた人が気になった。
財団の職員が話していた内容が引っ掛かっていたというのもあるがともかく、倒れている人を見捨てることなんてできない。
馬を走らせ、二人はその人の場所へと向かった。



「なんかスゲー音したよな?」
「うん。」

一方その頃。
デートみてーなことしつつアンデルセンを探していた俺達はあの爆発の音を聞いていた。

「煙が立ち上ってね?もしかして爆発?」
「テロとか?それとも…。」

葛城財団。
その名前が俺とおっきーの脳内に浮かぶ。

「有り得るかもな。だとしたら広海さんとか無事なのか?」
「とりあえず行ってみる?」

今のところ30人に断られたアンデルセン探しは中断。
目的を変更し、広海さんを探すことにした。
だがその時だ。

「…?」
「どうしたのまーちゃん。」

急に止まった俺を見て、おっきーが不思議そうに声をかける。
人混みの中にあるものを見つけたからだ。

「あれ、見ろよ。」
「あれって…アンデルセンのこと?」

俺が見つけたのはアンデルセン。
そう、目的であるアンデルセンだ。

「でもまーちゃん!そんなことよりもマリーちゃん達が…!」
「いや、ちょっと待て。何かおかしいんだよ。」

そこにいるのはアンデルセン。
アンデルセン"だけ"なのだ。
今まで尋ねたアンデルセンは皆マスターがいた。
だがあいつだけは何か変だ。
周りに、マスターらしき人物が一人もいない。
人混みの中、彼だけはじっと爆発がした方向を見つめているのだ。

それが怪しい。何か違和感がある。
広海さんの安否確認が優先かもしれないがここで俺は話かけてみることにした。

「ちょっとそこのアンデルセン。」
「ん?なんだ?いかにもひねくれてそうな顔の男だな。」

慣れたぞ。
30人に罵倒され続ければこの程度もう感覚が麻痺してノーダメージなんだよ…!

「お前、マスターは?それとも迷子か?」
「ハッ!この年で迷子?それは面白くもない冗談だ。ともかく俺は人を探してる。邪魔だ。」

俺を払いのけ、どこかへ行こうとするアンデルセン。
結局ダメか。
そう思った時、ポケットのスマホが震えた。

「…広海さん?」

取り出して見てみれば広海さんの名前。
思い出した。昨晩連絡先を交換したんだった。

「もしもし?」

とりあえず出てみる。
それとおっきーにも聞こえるよう、スピーカーをONにした。

『ああ、探偵さん。無事でよかった。』
「まぁなんとか。そっちの方は?」
『葛城財団に襲われた。でも今は無事だよ。』

襲われたって?

「え、大丈夫なんすか?」
『無事だって。俺の自慢のサーヴァント、マリーのおかげでね。』

あなたったら…もう!と近くでテレる声が聞こえる。
探してる時もそーやってイチャイチャしてたんでしょーね!

『それよりもだ探偵さん。一旦合流しよう。アンデルセン捜索の手がかりになるかもしれない人を見つけた。』
「手掛かり?」

なんだそれ、手掛かりって?

『道端で倒れてたんだ。なんでも途中で喧嘩して別れたアンデルセンを探してるって。』
「へぇ。」

その時、立ち去ろうとしていたアンデルセンが止まった。

『それとその人…アレなんだが…』
「アレってなんすか、」
『その…。』

ややためてから、広海さんは答えた。

『元なんだけど…葛城財団の職員だって。』
「…。」

葛城財団の…職員。
しかし元とはなんだ?やめたのか?

「その話、詳しく聞かせてもらおう。」
「うわびっくりした!!」

電話に夢中になっていたせいで気付かず、目の前にはさっきのアンデルセンがいた。

「そういやアンタ…さっき人探しをしてるって…。」
「ひねくれてる割に察しがいいな。そうだ。確かに俺は人を探している。喧嘩して別れた馬鹿女をな。」

喧嘩して別れた…?
さっき広海さんは見つけた人は何を探していると言った?

「まーちゃん、もしかして…。」
「あのさ、一応聞くけどアンデルセン。もしやお前のマスターって…葛城財団の職員さん?」

尋ねると、アンデルセンはこくりと頷いた。

「ご名答だ。正確には"元"職員なのだがな。」

広海さんが見つけた元職員、そして俺が偶然探し当てたアンデルセン。
そう、ドンピシャだったのだ。
 
 

 
後書き
二話くらいで終わらせるつもりだったのですが、まだ続きます 
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