| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ほんへ
始まりの章-世界は終わった、しかし物語はここから始まる-
  そうだ、隣町へ行こう

「うわー、こりゃやべぇ…。」

ボロボロの家屋が並ぶ光景を見て、俺は思わずそんな感想を述べてしまう。
いや、アレを家と言っていいのか?

「電気も通ってねぇ、ガスや水道は勿論。ぜーんぶ時給自足なんて言ってたなぁ…。」
「やばいねここ…。」

ここはとある街…というか集落か?
俺達の住んでる姫路町から少し離れたところにある、いわゆる隣町とでも言っておこうか。
今回俺とおっきーは依頼を受け、この集落へやって来たのだ。

そう、時は少し遡る。





「街の発展か…。」

また誰かが、突然探偵事務所のドアを叩く…
ということはなく、そいつらは律儀にロビーの電話から今来て大丈夫ですか?と確認してからやって来た。

「そう、そこんとこを今評判のアンタに手伝って貰いたいんだ。」

俺と反対側のソファーに座り、街を発展させて住人に楽な暮らしをさせたいと依頼してきたのはまだ19歳の青年、
名前を狩井 暮馬(かりい くれま)という。
そして彼もまた、マスターだ。

「はい。子供や老人が魔物に怯えぬ毎日を送るために、どうかお力を貸していただけないでしょうか?」

隣に行儀よく座っており、丁寧な物言いの彼女は暮馬のサーヴァント、巴御前だ。

「力を貸すって、具体的には何を?」


街を発展させたい。力の無い者、弱い者が安全に暮らせる街にしたいというのは分かった。
だがどのようにしてそういった街にするかだ。
そしてそのために、俺達に何をしろと言うのか。

「ああ、簡単だ。少しだけ調査をして貰いたくてな。」
「調査?」
「ともかく…そうだな…まずは俺達の街へ来てくれるか?」
「…。」

現場にいた方が仕事も説明しやすい。
そう言い、暮馬という青年は立ち上がった。
まぁ話だけは聞いてやる。依頼がドぎついようであれば即帰ることを伝え、俺達はこの2人の住む街へと向かった。

そして、今に至る。


「…。」
「…。」

街を見渡し、暫く黙ったままの俺とおっきー。
聞いた話によれば、あの暮馬とかいうやつはゼロからのスタートだったらしい。

善意で人を助け続け、そうして集まった人達に安全な暮らしを送らせるべく、廃材を集め雨風を防ぐための家を作った。

モンスターの侵入を防ぐために柵を作ったものの、それは非常にお粗末なものであり破られることもしばしば。
サーヴァントは、いることにはいる。
偶然かなんなのかは知らないがロビンフッドやウィリアム・テルにビリー・ザ・キッド、アシュヴァッターマンや俵藤太など何故かアーチャークラスばかりが集結していた。

人助けをしていたらたまたまそういったやつらが集まったそうな。

んでまぁ、ロビンとウィリアムさんのおかげで周囲はトラップだらけでモンスターの侵入は格段に減った。
俵藤太のおかげで食料問題は大方解決出来ている。
しかし、まだまだ問題は山積みなのだ。

「どうだ?探偵さん。」

と、街を眺めていたら横から暮馬と巴御前がやってきた。
どうだ?と聞かれたがまぁ…

「ハッキリ言っていいか?」
「あぁ。」
「ひどい。こんなんじゃかつての生活に戻るのにクソみてーな時間がかかる。」

電気も通ってない。ガスもない。水道は近くの池から。
おそらくここのメンバーだけで頑張るとしても厳しい。
というわけで。

「ここで提案だ。姫路町と手を組もう。」
「手を?」

隣町なんだしせっかくだから協力関係を結ぶことにする。

「割と最近、俺の街で蘭陵王を筆頭に自警団を結成してな。けどイマイチ練度も足りないし人手不足。そこでお前達の力を借りたい。」
「俺達の力?」

はっきりいってサーヴァントの数はこちらの方が多い。
さらにここの若い者はサーヴァントから直接訓練を受けている。
ここでこいつらと姫路町の自警団が手を組めば練度不足と人手不足を一度に解消できる。

「それにだ。街の発展に姫路町の住人も協力してやる。困った時はお互い様。幸い俺んとこの街の住人はみんなお人好しなんでな。」
「まーちゃんもね。」
「なんか言ったか?」
「ううん、なーんにも。」

というわけで、まずは姫路町と同盟というかなんかそういったものを結ばせることにする。

そうなるとまずは姫路町の偉い人に掛け合わないといけないが…あれ?偉い人って誰だ?
確かホテルを中心に出来上がった街だから…オーナーさんか?オーナーさんでいいや。
そして姫路町の住人は俺の言った通りお人好しだらけだ。
困っている人がいたらほっとけないっていう変わり者しかいねーのよ。
人の心配すんなら自分のこと考えろって言いたいけど、ここはそいつらの人の良さを利用させてもらおう。

「なるほど…やっぱマスターは助け合いでしょ。ってことだな。」
「んまぁそんな感じだ。」

と、これで俺のやるべきことは解決。
あとは金もらうだけだなと思ったその時だ。

「!!」

物見やぐらみたいなところからカンカンとやかましく鐘がなる。
反射的に身構える巴御前。辺りを見回す暮馬。

一体何があったんだ。
そう聞こうとしたが、その疑問はすぐに解決する。

「猪だ!!デカいの四!子分に小さいの二十以上!!」

物見やぐらにいる男の声と共に、遠くの方からでも分かるほどの巨大なモンスターがやって来ていた。

あれは…魔猪だ。
何十匹もいるがまず何よりクソでけぇ魔猪が四匹もいる!!

「女子供!老人は家の中に避難を!!男達は戦闘準備!!サーヴァントを後方から支援するんだ!!」

叫ぶ暮馬。それに答えるかのように至る場所から男達の了解の声。
武器を取り、戦えない者の避難を誘導し、わずかな時間で彼らは戦闘態勢を整える。

「ちっくしょう…ここまで頑張って来たんだ…踏み荒らされてたまるもんかよ!!」

さて、先程ロビンフッドやウィリアム・テルのおかげで集落は至る所に罠が仕掛けられており、モンスターの侵入は格段に減ったと言っただろう。
そう、無くなったのでは無い。格段に〝減った〟

どれだけすごい罠だったとしても、規格外な相手にそれは無意味となる。
通常サイズの魔猪はまんまとトラップにハマるものの、巨大な魔猪はそんなもの意に介さずこちらにまっすぐ突っ込んでくる。

「探偵さんもどこかへ隠れててくれ!!」

そう言うと暮馬と巴御前は駆け出し、前線へと出る。
サーヴァント達は自慢の飛び道具を放ち魔猪を迎撃する。

あのまま猛進を許してしまえばただ事ではすまない。
折角建てた家も、耕した畑や家畜達も、全てがめちゃくちゃになってしまう。

人間達は集落の周りに備え付けられている投石機やら弩砲を用いて応戦する。
そうして魔猪もだいぶ減り、ついに最後の巨大魔猪が足を射抜かれ派手に転んだその時だ。

誰もが安堵したが、また物見やぐらの鐘が鳴る。

「反対側からも来てるぞー!!!」
「!?」

魔猪は一方向からだけではなかった。
反対側から、一頭の巨大魔猪が突っ込んできている。

今そこは戦力が1番手薄。
偶然か、はたまた頭の良い個体なのか…。

「おっきー!なんとかでき」
「無理!!」
「食い気味に言うんじゃねーよバカ!!」

なんとかできやしないかと思ったが無理だった。
しかしそんな時、俺とおっきーの間をひとつの影が高速で通過する。
あれは…!

「巴御前!!」

暮馬のサーヴァント、巴御前だ。
その大弓で猪を射抜くのかと思えば、なんと彼女はスピードを緩めることなくそのまま猪めがけまっすぐ走り続けたのだ。

そして、

「ああああッ!!」

正面から衝突。
なんと猪の牙を掴み、その巨大な体躯からなる凄まじい突進を受け止めたのだ。

「…っ!!」
「マジかよ…。」

少し後ずさるも、猪は完全に止まった。
それどころか、逆に猪が少しづつ後ろへと押されている。
ああそうだった。
馬に乗った大男を馬ごと投げ飛ばしたり、敵の首をちぎっては投げちぎっては投げの大奮戦(文字通り)をした逸話を持つ馬鹿力の持ち主だった。
こんな巨大魔猪、少し痒いくらいだろう。

「刑部姫様!!」
「えっ!?」
「今のうちです!!」

反対側のサーヴァント達が来るには少し時間がかかる
人間達ならもっとかかる。
巴御前は後ろを向くことなく、おっきーに助けを求めた。

「で、でも姫必殺技とかそういうのはないし!宝具なんてサポ系だし…。」
「うるせぇなんかやれ!!巴御前だって何処まで持つかわかんねーんだぞ!!とにかくやれ!!死に物狂いでやれ!!」
「うわーなんとかなれーッ!!」

というわけで手当たり次第に折り紙の式神達を飛ばしまくるおっきー。

巨大魔猪は…まぁ倒せた。
とはいっても、弱った瞬間巴御前がトドメ刺してくれたんだけどな。



「これにて討伐完了。クエストクリアですね!」

大小様々な猪の屍が並ぶ中、ついさっきまで巨大魔猪とは拮抗していたと思わないような様子の巴御前がそう言った。
クエストクリアってなんだ。この人にとっちゃゲーム感覚か。

「とは言うものの…こんなクエスト毎日あっちゃコンティニュー権がいくつあっても足りないって言うかさ…。」
「毎日…?」

と、ひと仕事終えて疲れた様子の暮馬がそう言いながら現れる。
待て、毎日?毎日って?

「ま、毎日ってこれが?」
「まぁ…そうですね。おかげで食料には困らないのですが、やはり先程言ったように住人はおちおち寝ていられないと言いますか…。」

巴御前と暮馬が言ったように、この魔猪軍団の襲撃はほぼ毎日あるということ。
確かにこんなんじゃ安心して暮らせない。
緊張の糸だって張り詰めすぎていたらいつかプツンと切れてしまう。
そして、いつかは好集落を魔猪が蹂躙することを許してしまうだろう。
ったく姫路町とはえらい違いじゃねーか。
ちょっと離れてるだけでこんなに違うなんてよ。

「そんなに来るんだったら、やっぱり近くに巣があるんじゃないかな?もうそこを一気に攻めて根絶やしにしちゃうとか!」
「はい、私もそうは思っているのですが…。」

と、おっきーが巣の殲滅を提案するも、巴御前の表情は明るいものではない。

「確かに巣があるのは分かってる。でも、俺達はこの周りを守るので手一杯なんだ。」
「…。」

人手が足りない。
それに、武器を使えるものやサーヴァントが周辺の調査に行ってしまっては集落の守りは手薄となる。
そこにもし今日のような魔猪軍団が攻め入ったらどうなる?
そういうわけで、彼らは遠出や周辺の調査が出来ず、魔猪の巣も突き止められずにいた。

「…。」
「まーちゃん?」

少し、考える。
そうして俺は閃いた。

「おっきー。」
「うん?」
「お前ちょっと働け。夜通しで。」
「えぇ!?」

しかしそうする為にはおっきーに少し頑張ってもらわないといけない。
だが働いて欲しいと言った瞬間こいつは猛抗議を始めた。

「働く!?姫が!?」
「当たり前だろーがよ。」
「別に働くのはいいよ!?でもまーちゃんなんて言った!?夜通し!?何夜通しって!?労働違反だよ!!まーちゃんの鬼!!悪魔!!ブラック探偵!!」

ブラック探偵ってなんだよ。
まぁともかく、このままじゃおっきーはマジで動いてくんない。

「ほら帰って作戦会議だ。」
「やだー!!働くのはまーちゃんの役目でしょー!?」
「おめーも頑張んだよボケ!!」

無理矢理引っ張って連れていく。
なーに、やることは決まってる。

「探偵さん…?」
「明日またここに来る。びっくりするほどとんでもねぇモン持ってきてな。まぁ期待して待っててくれ。」

それだけ言い、俺は弓張町を後にした。






「まーちゃんのばかぁ!人でなし!!クズ人間!!社会の奴隷!!」

それから事務所へ帰宅するなり、おっきーからは罵詈雑言の嵐。
ムカつくな犯すぞこの野郎と言いたいところだがここは我慢だ。

「まぁ待て、待てよ。まずは俺のお話を聞いてくれって。」
「聞くもんか!!まーちゃんがそんな人だと思わなかった!!サーヴァント労働組合に訴えてやる!!」
「そんなんあんの…?」
「…たぶん。」
「あのなぁ…じつはこうこうこれで…」

へそ曲げたおっきーにそっと耳打ちしてやる
するとあんなに不機嫌そうな顔が次第に元へ戻り、それどころかにんまりしだした。

「姫は働く。けど、家にいたまま。」
「うん。」
「内職みたいなこともしない。在宅ワークでもない、姫はただえっちしてるだけでいい。そういうこと?」
「そうそう。」

内容を教えてやるとおっきーはすぐに納得してくれた。
さて、そうと決まれば即実行。善は急げってやつだ。




で、翌日。

「分かった、いいよ。私達姫路町は君たち弓張町と協力関係になった。困った時はいつでも言って欲しい。」

再び訪れた姫路町。
しかし今回は俺とおっきーの他にオーナーさんもいる。
依頼人の暮馬と握手をし、ここに協力関係が結ばれたところだ。
ちなみに昨日、オーナーさんに協力関係のこと話したら「あ、いいよ」って二つ返事だったよ

さて、あとは

「ほい。」

俺は暮馬にタブレット端末を渡す。

「なんだこれ…?」
「データだよ。今お前らが1番欲しい情報が詰まってる。」
「俺達が1番欲しい情報…?」

暮馬がタブレット端末の画面をフリックし、その情報を見ていく。
そして、覗き込んでいた巴御前と一緒に、2人は驚きの表情を見せてくれた。

「こ、これって…!!」
「ああそうだよ、ここら一帯に生息しているモンスターの分布図だ。数も正確だぜ。」

そこに詰まった情報とは、モンスターの生息している場所や数、種類などだ。

「こ、これをどうやって…!?」

画面とドヤ顔の俺を交互に見て、暮馬はたった一晩でこんな情報を集めたトリックのタネを知りたがっている。
仕方ねぇ、教えてしんぜよう。

「ああ、こいつ一人でやった。」

横にいるこれまたドヤ顔のおっきーを、親指で指す。
開いた口が塞がらない暮馬。思考が追いつかないのかフリーズした巴御前。

「はーい。姫がやりましたよ。この刑部姫が一晩で仕上げてみせてきましたよー。」

胸を張りドヤ顔で偉そうに語るおっきー。
まぁマジでそうだ。この情報はおっきーが、細かく言うならばおっきーが使役する折紙の式神達が収集した情報だ。





昨日の夜。

「おっきー、セッティングはOKか?」
「だいじょぶ。」

屋上から事務所へと戻ってきたおっきーにそう言うと、彼女は親指を立ててOKと返した。

「じゃあやりますか。」

そうして俺はタブレット端末をタップする。
さて、今頃屋上はとんでもない事になっているだろう。

「動作は問題なし。接続も安定してる。よし、成功だな。」

端末をいじりながらそう呟く俺。
実は今、ホテルの屋上からは何百もの折紙蝙蝠が飛び立ったのだ。

そしてこの折紙蝙蝠だが、1匹1匹がこのタブレット端末とリンクしている。
飛び立った蝙蝠が見たもの、感知したもの、そういったもの全てがリアルタイムでこの端末へ送られデータとして整理されるのだ。

一斉に空へと飛び立った蝙蝠は散らばり、ここら一帯を調べ尽くす。
モンスターの巣。住処にしている洞窟や人が入れないような場所。
それらに蝙蝠は向かい調査する。

そう、これこそがモンスターの調査を一晩で終えた俺の秘策。
おっきーの蝙蝠を用い、数にものを言わせたローラー作戦だ。

サーヴァントってのはな、強いよ弱いで決めるものじゃねーのさ。
サーヴァントってのは戦うだけが全てじゃない。
建築技術に優れたサーヴァントや、魔術や薬学に優れたサーヴァントだっている。
要は適材適所。そのサーヴァントが何に最も適していて、何を得意としているか。
それを見抜くのもマスターの義務よ。
ただ何も分からないまま無意味に戦闘に駆り出すのは三流、間抜けのやることだ。

さて、後は待つだけだが、
このローラー作戦には一つだけ欠点がある。

「まーちゃーん…おねがーい。」

ベッドに力無く横たわり、気の抜けた声でおっきーが俺を呼ぶ。

「いや…予想以上に燃費悪過ぎだろ…。」
「だって何百も使役してるんだよ…?こうなるに決まってるじゃん。」

それは、おっきーの魔力の消費がえげつないこと。
そんなわけでこのようにすぐにガス欠状態となってしまう。
そうなれば蝙蝠達もすぐにただの折紙へと戻ってしまう。

なので俺は、この欠点を補う画期的方法を考えたのだ。

「ああ任せろ。夢のためだ。朝までぶっ通しでやってやるよ。」

キルケーの魔法薬ショップであらかじめ購入していた精力剤を一気飲みし、きつけに自分の両頬をたたく。
そう。
解決方法とは足りない魔力を魔力供給…すなわちえっちすることで強引に補うことである。
頭の悪い方法かもしれないけど、これが1番なんだよ。

蝙蝠から送られる情報は自動で収集、整理されるので俺達がなにかする必要は無い。
ただ情報が集まるまで、こうして魔力供給し続けているだけで本当にいいのだ。

さぁ夜は長い。
精力剤もたくさん買い込んできたんだ。気を引き締めていくぞ。


というわけで朝までヤり通し、そのままここにやって来ても現在に至るというわけだ。





「す、すごい…これほどのデータをたった一晩で!?どうやったのでしょうか!?」
「まぁ企業秘密ということで。」

俺達は夜通しヤッてただけですーなんて言えねぇもんな。

「まぁ後はおっきーが集めた情報をもとに敵の巣を叩きに行きゃいい。お前達がお留守の間は、姫路町の住人がここをなんとかする。それでいいだろ。」
「まさか…この情報くれるのか…!?」

暮馬の信じられないという表情に、俺はうんと頷いてやる

「ああ、やるよ。依頼料に含んであるから追加料金はナシだ。」
「ありがとう…こんな集落にここまでしてくれて…!」

人から取れるだけ金を取るのはいいかもしれない。
だが、今後こいつらとは長い付き合いになりそうな気がする。
そういった場合は目先の利益よりも遠くを見ることが大事なわけだ。
ま、その分たっぷり頼ってやるとしよう。

「そうと決まれば巴さん!!」
「ええ!今すぐにでも討伐隊を!!」

そういって二人はどこかへと向かう。
さて、これでモンスターは一網打尽に出来るわけだし、弓張町の生活はグッと安定する。

さらには姫路町の利益にも繋がった。
一件落着。
もう俺がやることはないし帰って即バタンキューだ。





と、思っていたのだが…

「…?」

深夜。
3時を過ぎる頃ドアのノックの音に俺は目を覚ました。
面倒くさいし居留守を使おうと思ったが、またノックされ仕方なく出ることにする。

「はーい、今出る。今出まーす。」

こんな時間に誰だよと思いながら鍵を開ける、
するとそこにいたのは、予想もできない来客だった。

「え…?」
「その…夜分遅くにすみません…。」

そこにいたのはあの暮馬のサーヴァント、
巴御前だったのだ。

「あなた方にしか頼めない…依頼があるのです。」

 
 

 
後書き

スポットかいせつ

弓張町(ゆみはりちょう)
姫路町から少し離れたところに存在する町。
とはいっても、町として発展はしておらずとりあえず人が住めるようなキャンプ地のようなものと言うべきか、
家屋も廃材などを再利用したもので作られており、とりあえず雨風をしのげればマシ程度のもの。
娯楽も少なく、電気やガスもないため苦しい生活を強いられている

今回は姫路町と協力関係を結び、そこからこの町は大きく発展していく。
まずは電気が通るようになり、それから少しあとにはWiFiも飛ぶようになる。
それに関しては巴御前が何よりも喜んだようだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧