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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?

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ほんへ
始まりの章-世界は終わった、しかし物語はここから始まる-
  探偵はBARにいる

 
前書き
どうも、クソ作者です。
この話では探偵の身の回りの話というか日常生活的な話です。それではどうぞ。 

 
千葉のどっか…多分チ〇バ君で言うと鼻の下辺りかな?(千葉県民しか分からない。)
あーそう、東京都の県境辺り?
とにかくそこら辺にこの俺、一 誠(にのまえ まこと)はいる。

「あー、ねみ…。」

朝10時。
探偵の朝は早い。
寝ぼけ眼をこすり、ベッドから出て服を着ると俺は先ずやるべきことがある。

「おはよーございまーす。」

部屋を出て、すれ違ったスタッフ達に挨拶し、下まで降りる。

「あ、オーナーさんおはようございまーす。」
「おはよう探偵さん。」

ロビーの受付にいるのはここで一番偉い人、ホテルのオーナーさん。

「あれ…隣の子は…」
「おはよう…ございます。」

と、オーナーさんの隣で控えめな挨拶をする女の子…俺と同い年くらいの子がいた。

「ああ、ここで働くって言ってね。今日から受付を任せることにしたんだ。」

数日前、ここで起きた例の事件。通称『部屋が取れなかったデブの八つ当たり事件』
その事件で人質にされていたあの女の子だった。

その後、彼女の生い立ちを聞いたがなんでも家族で逃げ延びていた際、あのデブが突然現れて自分以外の家族を撃ち殺したらしい。
そうして唯一残ったこの子は無理矢理同行させられ、それからホテルで美味しく頂かれる予定だったとかなんとか。
まぁそこを、俺が止めたんだけどな。

「いつまでもくよくよしてても仕方ないので、何か出来ることをしようと…。」

まぁ強い子だ。
そんなわけで俺は挨拶を済ませ、本来の目的の場所である厨房へと辿り着く。

ここは元々ラブホテルであり、厨房なんて存在しない。
しかしオーナーが世界がこうなった際、あまりにも難民が来るものだからなにか出来ないかと厨房を増設したのだ。

最初はあまりにもおそまつなものだったらしいが、俺が来て数日、やっと厨房と呼べるマトモな場所になった。

しかし、まだ問題は山積みだったりする。

「あ、探偵さん。おはようございます。」
「おはよ。仕込みは?」
「あ、まだです…。」
「はぁ!?」

厨房はいいものの、問題は調理師だ。

「おめーもう開くまで1時間切ってんだぞ!?」
「で、でも…まだほかのメンバーが来てなくて…。」
「はぁ!?」

ここには計五人の調理師がいるが寄せ集めもいいとこだ。
専業主婦。専門学校生、老後の趣味、元ファーストフード店勤務、やる気だけはある人
無論、プロのシェフとかそんなものはいない。全員が全員厨房に立つのはほぼ初めてな素人だ。

「あーもーしょうがねーなぁ!!!」

厨房の隅に引っ掛けてある『まーちゃん』と書かれたエプロンを取り、準備の手伝いをする。
今厨房にいるのはやる気だけはあるやつなのでとりあえず指示を出せばそれなりにはやってくれる。
こうして朝からクソ忙しい目にあってしまい、お昼のピークが過ぎた頃にはもう疲れ切っていた。

が、まだ本来の目的は果たせていない。

厨房の隅、俺専用のスペースがある。

さて、まぁ一般のお客さんが何勝手に厨房を私物化してんだよと思うやつもいるかもしれないが、実はこれはオーナーさんの許可を得ているのでなんの問題もない。
というより、俺はお客さんなどでは無い。

このホテルにて事務所を構える、1人の探偵である。
あの事件を解決した際、オーナーさんからここに住んで構わないと言われてな。
俺んとこに依頼が来る。
頼んだ人はついでに泊まってく。
それでまぁwin-winな関係ということでオーナーさんはホテルの最上階、そこを俺達の住まい兼事務所として使わせてくれたんだ。

さらに!!
ここの厨房の従業員共をとりあえず普通の料理が作れるレベルに引き上げたのは俺のおかげだ!!

「…できた。」

そんな説明を長々としている間に俺はサクッと料理を完成させる。

野菜は近くの農場からの直送。肉はワイバーンや魔緒の肉などクセの強いもので代用しているが工夫しだいでなんとかまぁ美味くなる。

そうして出来た本日のブレックファースト兼ランチ、肉野菜炒めと余った野菜スープを自室へと持ち帰る。

「飯出来たぞー。」

部屋に戻るとそこには起きた時となんら変わりない光景が。

「ったく少しくらいは起きろって。」

ランチを一旦テーブルに置き、リモコンでテレビをつけ、それからクソでかい窓のカーテンをシャッと開けた。

差し込む朝日……ってか昼過ぎだけど。
その陽の光を浴びておっきーはやっと起床。
寝ぼけ眼を擦り、伸びをして眼鏡をかけるとベッドから起き上がった。

「まーちゃんおはよ…。」
「おはよじゃねーよおめーもう昼だぞ。さすがに起きてろよ。」
「いやー昨日も夜が明けるまで頑張っちゃったからねー。」

ナニを頑張ってんだと思いつつソファーに腰掛け、肉野菜炒めに手を付ける。

おっきーも反対側の椅子に座り、まずは野菜スープを啜った。

「あーおいし。これもまーちゃん作ったやつだよね?」
「あぁそうだけど?なんかあんの?」
「ううん。やっぱりまーちゃんの作るのはなんだって美味しいなって。」
「あっそ。」

照れ隠しに冷たく返事し、視線をテレビへと移す。
各地の状況などがニュースで放送されているが、今となってはもう見慣れた内容だ。
最近ではサーヴァント関係の特集も組まれたり、なんか偉そうなジジババがサーヴァントについてアツい議論を交わしていたりしてる。

そんな中…

「あ?なんだこれ?」

チャンネルを回しても似たような番組ばっかだなぁと思っていたが、いつもと違うものがあった。

「サーヴァント強奪…?」
「あーそれ、最近物騒だよねぇ。」

と、おっきーが野菜炒めを食べながら言う。

「知ってんの?」
「噂程度にはね。なんか人のサーヴァントを奪ってどっか連れてっちゃう集団がいるんだって。」
「奪うってどういうことだよ。」

サーヴァントを奪うとは、具体的にどうするのか?
拘束したとしても簡単に逃げられるだろうし、人間で抑え込むのはまず不可能だ。
それに、誘拐したとしても令呪で繋がってればマスターとサーヴァントの関係は断ち切れない。
奪うとはどういう事なんだろうか?

「まぁ俺には関係ない話かもな。」
「どうして?」
「こんなサーヴァント、誰も欲しがらねぇってこと。」
「うわ!ひどい!!まーちゃんみたいにマニアックで偏屈な人だっているかもしれないじゃん!!」
「俺がマニアックだぁ!?偏屈なのは認めるけどよぉ!」

考えても分からないし、今はなんかそういう暗い話題はお求めじゃねーや。
第一俺には無関係そうだしな。
そう思いテレビから視線を外し、飯を食うことに集中する。

「あ、そうだ。」
「なんだよ?」
「この前依頼の報酬で貰ったブルーレイボックスがあるよ。」
「あぁアレ?なんか評判良いらしいから見てみるか。」

おっきーはおっきーなりにこの雰囲気を何とかしようとしたんだろう。
よっこらしょと立ち上がり、探偵の事務所のモノとは思えないような棚を見渡す。

報酬で貰ったDVDやブルーレイ、漫画、別の棚にはフィギュアなど。
言ってしまえばものすごく趣味に生きているような部屋で、誰がどう見てもここは探偵事務所ですなんて思わないだろう。

でもまぁそんなこんなで、俺とおっきーはここで探偵業を営みながら、こうして悠々自適に暮らしている。
え?東京行く目標?
やめだやめ。
だってここが一番いいし。
ほぼタダでいい部屋貰って、何不自由ない暮らし。
楽園はここにあったんだよ、
だから東京なんざ行く必要ねーっての。





ちなみにだが、このホテル周辺には色々な施設が出来始めたりしている。
世界が崩壊し、ホテルしか無かったこの辺り一帯は気が付けばいろんな人が集まり、いつしか〝街〟となっていった。
んで、誰かが知らない間に呼んだんだ。
この街を発展させてくれたのは間違いなく探偵さんのおかげ。
だから探偵さんのサーヴァントからとって、ここを『姫路町』と呼ぶってな。

でだ、
様々な施設が立ち並ぶ中、俺がよく行く場所がある。
探偵と言えばそう、

「いらっしゃい探偵さん。」

BARである。
探偵にBARはつきものなのだ。

ドアを開けるとカランカランとベルがなり、カウンターでグラスを磨いていた初老の男性がこちらに顔を向け軽く挨拶をする。
彼はサーヴァントであり、名前はジェームズ・モリアーティ。
1.5部で裏切ってくるジジイその1で有名なアラフィフのサーヴァントだ。

「今日は何をご所望だネ?」
「いつもの。」
「あー、ブドウジュースだったね…。」

俺はキメ顔でそう言うと、モリアーティは呆れながらもカクテルグラスにブドウジュースを注ぎ、俺の前へ置いた。

「マスター。何か耳寄りな情報はあるかい?」

さて、探偵がBARに来る目的と言えばひとつ。
情報収集だ。
ここ、BAR『蜘蛛の糸』には様々な界隈の者達が集まる。
危険な雰囲気の漂うこの場所には、表や裏の世界のあらゆる情報が行き来しているのだ。

え、なに?おっきー連れてこないのかって?
あいつ今部屋でゲームしてるよ。
それにこんな危険な場所に連れてけるかバカ。

「最近はやはり…妙な薬が出回っていてネ…なんでもサーヴァントの所有権を奪える薬、だそうだ。」
「なんだって…?」

と、モリアーティが何やら怪しい情報を話し出したでは無いか。

「サーヴァントに飲ませれば即マスターとの縁が切れ、全く知らない者と繋がるらしい。」
「んなもんがあんのかよ…。」
「キミもテレビくらいは見るだろう?最近世を騒がせているアレだ。」

そう言われ、俺は飯の最中に見たニュース番組を思い出す。
相次いでいるらしいサーヴァント強奪事件。
まさかその薬が絡んでいる……?
わーやだ。なんかきな臭い気がしてきたぞ。

俺依頼請け負うのはいいけど大きな事件に巻き込まれんのは嫌なんだけど。

「あとは…そうだね。マキくんに聞いてみるのが1番だろう。おーいマキくーん!!」

そう言い、モリアーティさんは彼女の名前を呼ぶ。
そうしてやってきたのは俺より背の高い、このBARではあんまりにも場違いな着物をまとい、艶やかな髪で右目隠し妖艶な雰囲気を漂わせている長身でとても美人で性格もよく、このBAR『蜘蛛の糸』の看板娘こと

「あ、探偵さん!来てたんですね!」

マキさんだ。

「こんにちはマキさん。今日もお綺麗ですね」(イケボ)
「もう!褒めても何も出ませんし安くもしませんよ。」

花魁スタイルに着崩した着物から出た肩が実にセクシーだ。
さらに時々着物の裾からのぞくムチムチかつ長い御御足も眼福である。
ちなみにフルネームはクズシロ・マキ。
それ以上は教えてくれなかった。
しかし謎の多い方がミステリアスでセクシーだ。マキさんの魅力にますます磨きがかかるというもの。たまんねぇなおい。

「で、どうしたんですか?」
「ああ、そうだ。アラフィフから聞いた例の薬なんですけど…。」

そう言うとマキさんは何か思い出したように「ああ!」と叫ぶ

「噂のコレですよね?」

と、マキさんが懐から取り出したのは謎のカプセル剤が入った透明な瓶
え…もしかしてコレが?

「数日前、変な人が来てこれを売り付けてきたんです。これを飲ませればどんなサーヴァントもたちまち言うことを聞くぞ、って。」
「…。」

しかし、『蜘蛛の糸』で怪しい取引はご法度。
モリアーティからキツーイお仕置きを受け、出禁をくらい犯人は逃げていったという。
男は慌てていた為逃げる際に落としたものなのだと言う。

「魔法薬ショップに解析を頼んだんだけど、ちょっとここでは言えない妙なものが入ってるだけでなんともなかったって言ってたし、多分これは偽物だと思うんですけどね。」
「なんだ偽物か…ビックリさせないでくださいよ…。」

というわけで、男はどうやら偽物を掴まされて大損してるらしいな。
ちなみにカプセルの中身なのだが、ここでは言えない妙なモノとは
あの…あれだよ。白く粘ついててイカくせぇやつ、ケフィアとかカルピスとかミルクとか呼ばれるアレだよ。
ここまで言えば分かんだろ。
つかカプセルにそんなもん入れんなボケ。とんだ変態じゃねーか。

「製作者はどんな気持ちで作ったんだか…ねぇマキさん。」
「……。」
「あの…マキさん?」
「あっ!ごめんなさい!!」

たまーにだが、マキさんは物思いにふけることがある。
今もこうしてカプセルの入った薬瓶を見つめ、何やら真面目な顔で悩んでいるようだった。

相変わらず謎の多い美女であるが、そんな彼女に俺ができることと言えば…。

「俺で良ければ、いつでも相談に乗りますよ」(イケボ)
「はい?」

彼女の支えになってあげることくらいだ。

「俺は探偵です。人の悩みを解決するのが仕事です。マキさんの為なら、格安で請け負います。だから、そんな顔をしないで欲しい。」(イケボ)

そう言うと、マキさんは苦笑いで「大丈夫ですよ」と言い、また別のお客さんの場所へと向かった。
まったく、相変らずの人気っぷり。今日も引っ張りだこだぜ…。
え?何?おっきー?
あいつはサーヴァント!
マキさんは人間!
それとこれとは別!!だからいいの!!




それから数杯のブドウジュースを飲んでから俺はホテルに帰宅する。
あれからマキさんと少し話し込んでしまい、予定より時間が遅れてしまった。

そうしてホテルの自動ドアを潜ると


「ま゛ー゛ち゛ゃ゛ん゛!!!!!!」

おっきーがいた。
ロビーに座っており、俺が帰ってくるなり凄まじき速さで駆け寄ってきたのだ。

「なんだよ。」
「全然帰ってこないからどこいっちゃったのかと思ったの!!あとお腹すいた!!」

なんだお前腹減ったから降りてきたのか?
クマかお前は。

「んだよ飯ならルームサービスか下まで降りて食いに来ればいいじゃんか。」
「まーちゃんの作ったご飯がいいの!!」
「あーはいはいわかったよ。」

まぁ予定の時間よりもかなり遅く帰ってきてしまった俺も悪い。
俺はそのまま厨房へと向かった。

「何食いたい?めんどくせーのはナシで。」
「とんかつ!!ちょっと負けられない戦いがあるから願掛けに!!」

おっとめんどくせーのが来たぞ。
それに負けられない戦いってどうせゲームだろ。
んでもまぁいいや、魔緒の肉が少し余ってるし。刻んだキャベツをちょいと頂戴するか。

「…。」
「まーちゃん、何かいい事あった?」
「なんで?」
「なんかニヤニヤしてるから。」

と、おっきーに指摘され自分が笑っていることに気付く。
まぁ、楽しいんだろうな。
こうして好きなことする毎日が。
探偵として仕事をこなして、料理したりおっきーとなんか色々したりして悠々自適に過ごす。
少なくとも、クッソ薄められたカルピスみてーな昔の毎日よりかは全然楽しいっちゃ楽しい。

「笑ってねーよ。」
「うそだぁ。だって今もニヤニヤしてるもん。」
「してねーっつの!!」
「あ!分かった!!あのマキさんになんかされたんでしょ!?」
「されてねーよ。」
「でも姫の方がおっぱい大きいもん!!まーちゃんのおちんちん挟んであげられるもん!!」
「お前こういうとこでそんなこと叫ぶなよ!まだ残ってる人いるんだぞ!!」
「まーちゃんの好きなコスプレえっちだって出来るもん!!」
「やめろ!!!!!!」

俺の性癖開示すんのやめろまじで。
ほら奥から「探偵さん、コスプレもの好きなんだ…」って聞こえてるから!!

「お前もう部屋戻ってろ!!すぐできっから!!」
「うん。分かった。じゃあご飯食べたらいつものえっちしようね。」
「だからやめろっつってんだろバカ!!あーもう決めた!!もう今夜はガン攻めだわ!!覚悟しろお前!!もう今夜は容赦しねーかんなマジで!!」

まぁ、いいことあってニヤニヤしているのなら、そうなんだろう。
だって、毎日こんな風で楽しいんだしな。

 
 

 
後書き
スポットかいせつ

⚫姫路町
多分千葉と東京の県境くらいにある街。
もとはホテルのみの場所であったが、そこに人が集まり、様々な設備が出来、やがて街となった。
そうしてこの街をなんと呼ぶかと考えてはいたが中々浮かばず、知らないうちに『姫路町』と呼ばれていた。
なんでもここが町として発展したのは探偵さんが尽力してくれたおかげであるため、彼のサーヴァントからとって名付けたとのこと。
ちなみに中心にある元ラブホテルの名前は姫路町にあやかって『プリンセス・ロード・キャッスル』という名前になった。

⚫プリンセス・ロード・キャッスル

姫路町の中心にそびえるホテル。
直訳すると姫路城。
値段は安め。少しのお金があれば一泊できるしモーニングも頂ける。
12階で最上階はスイートルームがあり、そこに探偵事務所がある。
ちなみに最近は屋上に何か娯楽施設的なものを作ろうかとオーナーさんは企画している。

⚫蜘蛛の糸

姫路町にあるBAR。
中は青く薄暗い照明で照らされており、悪属性サーヴァントがよく集う危険な香りの漂う場所。
店主はモリアーティのマスター、京子さん。
以前からBARを経営する夢があったそうだ。
ここはオシャレなBARなので、酔っ払って暴れ出そうものならアラフィフが容赦しない。泥酔お断り!
悪属性サーヴァントが集うものの怪しい取引や変な宗教勧誘は禁止。奴隷売買はもってのほか。

ルールを守って楽しく仲良くお酒をたしなもう

 
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