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あいつの女ということに強引にさせられて

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第1部
  1-1

 
前書き
私は、夏休みになって、会社の休みの水曜日以外はバイトをするようにしていた。焼鳥の串刺しの仕事だ。高校3年になってから土曜日曜はここにバイトに来ていた。 

 
 ウチの家は、3年前に両親が離婚してしまって、いわゆる母子家庭。二つ下の妹と3人で古いマンションで暮らしている。しばらくは、お父さんから養育費をもらっていたみたいだけど、直ぐに、途切れてしまって、お母さんのスーパーのパートの給料だけで生活しているから、いつも貧乏なんだ。

 お母さんは、私に大学まで行けって、言って居るけど、そんなお金があるわけないと、だけど、せめて妹だけはと、最近思うようになっていて、夏休みも勉強するのをあきらめてしまったのだ。それに、いつも古びた洋服だし、下着さえも子供じみた擦り切れたようなもので、体育の時なんて、友達に笑われて恥ずかしかったのだ。だから、妹には、そんな思いさせたくなくって、バイトのお金で買ってあげようと思っていたのだけど・・。

 仕事は朝8時から夕方の4時45分まで、お昼に30分、3時に15分の休憩がある。忙しい時は、1時間ほどの残業。何人かのベトナム人も居るのだけど、日本人のパートさんは、残業しないで帰ってしまうのだ。子供のお迎えとかあるので、仕方ないのだろう。なぜか、うちの会社は比較的若い人が多いのだ。

 その日も残業があって、気が付くと日本人は私一人だった。終わって、帰る時に若社長さんに声を掛けられた。篠原穣一郎さん。今年、大学を卒業して、直ぐに、親から引き継いで社長になったみたい。

「白河さん ご飯 一緒に行きませんか ごちそうしますよ」

 突然だったので、私は、返事に困っていた。たまに、作業場に入って、一緒に作業していたなので、何回か話はしたことがあったが、そんなー 誘われるなんて・・

「自転車は車に乗せて 帰りは送って行くよ 焼肉レストランにでも行こう」と、強引に決められてしまった。私は、仕方ないので、お母さんに電話して、晩御飯は要らないからと言うと、不機嫌そうな声だったので、直ぐに電話を切ったのだ。

「すぐりちゃん だよね 可愛い名前だ 一生懸命に働いてくれるんで助かるよ」

「そんなー 私 手が遅いんで、迷惑掛けているんですよ」

「いいんだよ 確実にしてくれれば 今日は好きなもの 遠慮しないで、頼んでいいよ お腹いっぱいにね」

 私は、少し、遠慮しながらも、お腹いっぱいに・・そして、アパートに着いたら

「次の、休み 和歌山まで行こう 迎えに来るから」と、強引に決められてしまった。 
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