あいつの女ということに強引にさせられて
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穣一郎さんのお母さんから、急に「お茶でも どう」ってお誘いがあって、スーパーの近くに最近出来たケーキのお店に出掛けて行った。
「ここのケーキおいしいのよ ごめんなさいね 急にお呼びたてしてしまってー」
「いいんです お母様と一緒なんて うれしいです」
「そう そういってもらえると助かるわ~」
私、お母さんお勧めのケーキをいただきながら
「お母様は お父様と結婚されて もう 長いんでしょう?」
「そうね もう 30年ぐらい あのね 私も あの会社の従業員だったのよ 高校卒業して入ったの 貧乏だったから、大学は行けなかったわ」
「そうですか 私も でも、私の場合は 勉強出来なかったから 余計」
「うふっ 正直ね あのね ここからは、内緒よ 私、勤め始めて、間もなくしてね 今の主人に 強引に、食事に誘われたの 阿倍野のホテルで 私 そんなの初めてだったでしょ 舞い上がっちゃって・・ そしたら、部屋にまで無理やり連れて行かれて・・ だけど、私も、初めての経験でしょ 裸にされたけど・・私、怖くて、ずーと泣いていたの だから、その日は何にもしないで終わったけど・・数日後、又、誘われて、断れなくて、あの人に捧げてしまったわ でも、その時、俺の嫁になれって言われて・・結局、結婚してしまったの」
「そうだったんですか 強引だったんですねー」
「そうなの あの人 若い女の人が好きでね しばらくは、遊んでいたみたい 内緒ね この話も」
「お母様 ご立派ですね 私なら 許せない」
「そーいう時代だったのかもね 私は 家が貧乏だったから、我慢できたのかも 離婚なんて、考えもしなかったわ 拾われたんだと思っていたから」
そうかー、私も拾われたのかーと、一瞬、脳裏をかすめた。
「でもね 穣一郎は違うわよ あの子はすぐりさんのこと、本当に愛しているみたい。社長になる時も、いくつかお見合いの話もあったのよ でも、心に決めていたみたい すぐりさんのこと だから、みんな断っていたのよ」
「そうなんですかー 最初 私には、不愛想で・・相手にもしてもらえなかった」
「それは 照れ臭かったのよー すぐりさんが可愛すぎるから 不器用な子でね すぐりさん あの子のこと お願いね 愛してあげてね」
「はい! 好きです 信頼してます」
「そう 安心した もう ひとつ あなた お母さんのこと嫌っているみたいね」
「えぇ あの人は 母親らしいことしてないんです 自分勝手で お父さんが離婚したのもわかる気がします 離婚の理由は聞かされてないんですけど・・」
「そう でも、自分の子供が可愛くない人なんて 居ないんじゃあない? 母親ひとりで二人の子供を育てるって大変よ」
「でも あの人は 自分のは服でも下着でも いつも、新しいの買うけど 私等のは小さい頃からボロボロになるまで・・ 体操服だって、私も妹も、いつもみじめな思いしてきたんです 今だって 自分のものばっかり 好き勝手に自分だけ旅行も行くし・・ 私 認めない」
「そうなの でも そんな思いのまま お嫁に行くってね」
「お母様 こんな私じゃぁ・・ ダメなんですか?」
「うぅーん そうじゃぁないのよ もう少し 考えましょ それと お母様じゃぁなくて 普通に お母さんって 呼んでね すぐりちゃん」
私は、別れたあとも、すっきりしなかった。私が、お母さんのことを悪く言っていたから・・印象が悪いんだろう。いい家庭の娘じゃぁないことも・・。
だけど、私は、正直に気持ちとか家庭環境も話したつもりだった。もう、反対されても、仕方ない。私には、いちごがいるし・・それに・・穣一郎さんも・・。
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