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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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第一巻
  【第十話】

――1組教室――


 四時間目も終わり、教科書を片付けているとそこへやってきたのは――。


「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど」

「あ?」


 わざわざ来てそんなつまらない事を言いに来るとは…。

 それに、その腰に手を当てるポーズ、どうにかならないものかな、これが。


「まあ?一応勝負は見えていますけど?流石にフェアではありませんものね」

「…?何故フェアではないんだ?訓練機だと何か問題でもあるのか?」

「あら、ご存じないのね。いいですわ、庶民の貴方に教えて差し上げましょう。このわたくし、セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生……つまり、現時点で専用機を持っていますの」

「ふーん」


 興味がないように返事をすると、俺の態度が気に入らなかったのか怪訝そうな表情を見せた。


「……馬鹿にしていますの?」

「馬鹿にしてない、ただ、興味がなかっただけ」


 正直に言うや、こめかみをひくつかせながら――。


「それを一般的に馬鹿にしていると言うでしょう!?」


ババンッ!!

 両手で机を叩かれ、まだ片付けていなかった教科書やノートが落ちた。


「……おい、俺のノートと教科書落ちたぞ。拾えよ」

「……何故わたくしが?貴方が拾えばいいでしょう?わたくしが拾う理由などありませんわ」

「……本当にどうしようもないな。エリートか何か知らないが、常識欠如してるのか?」

「あら?少なくとも貴方よりかは常識はありましてよ」


 どうやら話が通じないようだな、馬鹿はほっとくか。

 そう思いながら、落ちた教科書やノートを拾っていくと、頭の上から先程の馬鹿の声が聞こえてくる。


「……こほん。さっき授業でも言っていたでしょう。世界でISは467機。つまり、その中でも専用機を持つものは全人類六十億超の中でもエリート中のエリートなのですわ」

「一つ訂正、今地球上の人口は七十億だ。勉強し直したらどうだ?エリートさん?」

「な、な、何ですって!?」


 俺の発言に更に怒りを露にするセシリアは――。

ババンッ!!

 またも俺の机を叩くセシリアだが、手は痛くないのか?

 もう教科書も片付けたから落ちる物は何もないが……。

 というか妹待たせてるから早く解放してくれ。


「貴方!本当にわたくしを馬鹿にしていますの!?」

「俺はただ間違いを指摘しただけだ。……それを馬鹿にしたと感じるなら、その通りじゃないのかな?エリートさん」

「な、何ですってぇっ!?」


 セシリアさんの顔を見ると、怒りマークが見えるほどの怒りを表情に表していた。

 エリートなら、俺の安い挑発何かにのるなよと思うが。


「貴方……貴方等!次の勝負で完膚なきまで叩き潰して差し上げますわっ!!そして、このクラスで代表に相応しいのはわたくし、セシリア・オルコットであるということを貴方の脳に刻み込んで差し上げますわっ!!!」


 怒りながらも、ぱさっと髪を手で払って綺麗に回れ右をし、そのまま立ち去っていった。

 言い過ぎたかもしれないが、先に喧嘩売ってきたのは向こうからだ。

 だが……俺も彼女を挑発し過ぎたかな。

 俺の悪い癖だ…だから中学時代も女子から好かれてなかったもんな…。

 何にしても、この勝負勝っても負けても…彼女に謝罪しておくか。

 とりあえず、この居心地の悪い教室を出て昼を食べに――ん?

 篠ノ之さんまだ教室にいるのか。

 篠ノ之さんの席へと近づくと、気づいた篠ノ之さんは俺を軽く見た後、興味がなさそうに再度窓へと顔を向けた。


「篠ノ之さん、さっきはごめんな」

「………………」


 反応無しか、――そういやさっきのでより篠ノ之さんが浮いている気がするな。

 ご飯でも誘うか…別に不純な気持ちはないし。


「篠ノ之さん、ご飯一緒に食べに行かないか?」

「…………」


言うや、顔を此方に向けて鋭い視線で俺を睨み付ける。

 さながらその視線は、私の事は放っておけ、構うな…って感じだな。

 だが、そんな事でたじろぐ俺ではない。

 お節介だとは思うが、再度誘ってみた。


「せっかくだし、俺や妹と一緒に食べた方が――」

「……私は、いい」


 そう断りを入れると、また窓へと視線を移した。

 ふむ、まぁこれ以上無理強いしても仕方ないな。


「まぁ学食で食べてるから、気が向いたら一緒に食べような」

「………………」


 返事がない……まぁ来たくなったら来るだろう。

 一応これからも気にかけてみるかな、篠ノ之さんの事を。


 そう思いながら、教室を後にした――。 
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