IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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第一巻
【第二十六話】
前書き
同じくオリジナル
ぐだぐだな駄文ですので苦手な方はスルーで
――道中――
春の暖かな陽射しの中、俺と未来は桜並木道を歩いて駅前へと移動していた――。
ちらほらと舞い散る桜の花びらの中――。
「ねぇねぇヒルト。 そういえばさ、ニュースで見たんだけど……。 二人目の男子のIS操縦者が転入してきたんだって? その後はニュースに流れないから気になってたんだけど……聞かせてよっ」
唐突に未来から、二人目の操縦者の話題をふられた。
まあ、誰しも気になる話題だろう――。
「んー? 男だぞ」
と、当たり前過ぎる内容を答えると、未来は――。
「そ、そうじゃなくて……! どんな感じなのかなって……。 織斑千冬さんの弟さん何でしょ?」
「んー。 まだそんなに仲良く無いからなぁ…。 まぁ俺的に見た感想――というか、第一印象は見た目イケメン、中身はわからんって所だな」
「ふーん……。彼女いるのかな?」
未来の口から出た、彼女という言葉に軽く反応するも、俺は直ぐに表情を元に戻した。
「さぁな、そこまで聞いてないし。 まぁ確実に学園内でモテてるから――」
「……ヒルト、怒ってる?」
俺の声の反応だけで気づいたのか、横から此方を不安そうに見上げてくる未来に――。
「……怒ってなんかないさ、これがな」
「そぅ……? ならいいけど……」
……未来には詰まらない男に引っ掛かってほしくはないからな。
織斑も悪くはないと思いたいのだが……。
「――話を戻すが、織斑が学園に来た経緯についてだが――。 藍越学園で、新入生がISを触る機会があったらしい。 そこで一番最初に織斑が触ってISが反応した結果、何故か都合よく、政府関係者が藍越学園近くに居て、これまた都合よくIS学園への転入が決まったんだよ。 ――それまでニュースにならなかったのは、織斑先生が何かしら圧力かけてたとか何とか――」
「うぅ……。 凄く長い話になりそう?」
――説明の途中で、あまりの長さに項垂れ気味の未来を見て、説明をやめる。
「まあ確かに長いな。 簡素に言えばISに触った、君は明日からIS学園へ転入だって感じかな。 まあ明日からではなく、色々書類上の問題とかで延びていたって織斑から聞いたんだよ」
「成る程成る程、何となくわかったかな……」
……たまに未来が本当に頭がいいのか疑問に思ってしまう。
難しく言うよりは簡素に伝える方がわかりやすいって前に言ってた気もするが……。
そんな話を続けてる内に、既に駅前近くまで俺達は来ていた。
休みだからか家族連れやカップル、男同士や女同士の友達やら何やらでごった返していた。
「うわぁ……。 やっぱりいつ見ても人がいっぱいだね?」
「だな。 まぁ見慣れた光景ではあるが――とりあえず俺は駅のロッカーに荷物預けてくるから、未来は待ってろよ?」
「うん。 あそこの時計台の前に待ってるね?」
そう未来が指を指した先に、恋人達の待ち合わせによく使われている時計台があった。
うーん……あそこに俺が未来を迎えに行くのは場違いな気もするが――。
何て思っていると、当の本人は既に時計台の方へと向かっていた。
「……とりあえず荷物預けてくるかな」
ぽつりと……俺は独り言を呟きつつ、駅構内に入っていった――。
――五分後――
ロッカーのある場所が、駅の少し奥、改札の近くなのは有り難いような面倒なような……。
何にしても、時計台に未来を待たせてるから早めに向かわないと。
人がごった返した駅構内の人を避け、未来が待っている時計台へと移動し、未来の姿を確認――。
と、思ったら未来の周りに二人組の男が――ナンパか?
「あの、友達待ってるんで困ります……」
「いいじゃんいいじゃん。 友達何か放っておいて俺達と遊ぼうぜ?」
「そうそう、あっちに車があるから行こうぜ?」
そう言う中途半端に悪そうな男が未来の手首を掴んだ。
流石に見ていられないので助け船を出すため、未来の元へと向かっていった。
「は、放して――」
「おっす未来、待たせたな。 待ったか?」
その俺の声を聞いた未来は、安堵したのか表情が和らぎ、ホッと一息ついた。
一方の未来をナンパしていた二人組の目線がいやっていうほど此方へ突き刺さった。
今さらビビるような視線でも無いため、無視して未来へ近付くと――。
「悪いな未来、待たせて――」
「もぅっ! ヒルト、遅いってば!!」
「わりぃわり――」
何て、ナンパした二人組を無視しながら未来と話していると、両肩をガシッと力強く二人の男に掴まれた。
力を込めてる為、少し痛いが――。
「おい、お前この子の何だよ?」
「何でも無いなら、お兄さん達にこの子を置いていってくれないかな?」
そう言いつつ、わざわざ顔を近づけて睨み付けてくる二人組は、更に手の力を込めているのか此方の両肩が痛い。
「んー? 何で何でもないと決めつけるんだ? ――未来は俺の彼女なんだ。 だから両肩を放してくれないかな、クソ野郎供?」
「えっ……!?」
その言葉に反応した未来の頬は紅潮し、驚きの声をあげていた。
流石に彼女って言ったのは迷惑だったかもしれない。
だ がこう言えばナンパ男達も諦めると思っていたのだが…。
どうも『クソ野郎供』――その一言にムカついたのか、左肩を掴んでいた男が此方を殴ろうと拳を振りかざした――。
瞬間、咄嗟に肩を掴んでいた二人の両手を振り払い、その場で屈むとその男の拳が空を切り、俺の右隣の男の顔面に直撃していた。
「ぐっ……!? な、何するんだてめぇ!?」
殴られた右隣の男は仲間の拳により、若干鼻から血が出つつ、殴った仲間の元へと詰め寄り、胸ぐらを掴んで口論を始めていた。
……逃げるチャンスかな、このままだと警察が来て面倒な事になりそうだし。
「未来……逃げるぞ?」
未来の手を取り、俺は反応を見た。
「えっ?――うんっ♪」
その返事を聞くや、そのまま未来の手を引いて集まり始めた野次馬の中へと入り込み、人混みに紛れるように俺達二人はその場から立ち去った。
――十分後――
小さな脇の小道に入り、俺達二人は息を整えていた。
「はぁっ、はぁっ……。 ここまで来れば大丈夫だろう」
「はぁっ……。 う、うん……。 ひ、ヒルト……? その……ね? そろそろ手を……」
息を整え、手を握られてる恥ずかしさからか未来の顔は先程よりも真っ赤に――例えるなら熟したりんごのように赤くなっていた。
「う? ……悪い、いつまでも繋いでて」
そう伝え、未来の手を離すともじもじしたように両手で自分のスカートの裾を掴んだ。
そして、何か此方に言いたそうな表情をしていた。
俺は、そんな未来が何を考えているのかがわからなかった。
――そして、未来はゆっくり口を開く。
「あの、さ。 ――さ、さっきの……か、『彼女』……って……?」
――咄嗟にナンパ男達を未来から守るために言った俺の彼女発言、まさか今、未来から聞かれるとは思っていなかった。
……まあ流石に迷惑と思っているかもしれないな。
「あぁ、その――ああ言えばナンパ男達も諦めて帰るかなって思って咄嗟に――」
「そ、そうだったんだ……。 ――そぅ……だよね……」
「……?」
最後の方の言葉は、小さい声で聞き取りづらかったが、表情を見るには落ち込んでいるように見えた。
再度思うが、暫く会わない内に……何か未来の俺に対する態度が変わったような気がする。
「ま、まぁナンパ男達の問題もなくなったし、気をとり直してさ、一緒に買い物にいくぞ?」
「あ……。 ――う、うん! 行こう、ヒルト♪」
先程と変わり、ぱぁっと笑顔が戻った未来に安堵し、俺は未来に腕を引かれて小道を出た瞬間、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「――ヒルトさん?」
「「えっ??」」
未来も俺も立ち止まり、声がした方へと顔を向けると鮮やか金髪にロールがかった髪――。
「――セシリア?」
そんな俺の呟きが、重く辺りに響いた気がした――。
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