IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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第一巻
【第三十六話】
前書き
オリジナルでバトルです
下手くそな書き方ですが、見てくださる方には感謝です
いつもながら苦手な方はスルーで
――第三アリーナ――
「じゃあお兄ちゃん、本気でやるからね?」
「あぁ、望むところだ。セシリアも加減するなよ」
「もちろんですわ、ヒルトさん」
俺は天狼を呼び出すと、両手で構えた。
そして、空へ浮遊するセシリア、一定位置に到達するや、直ぐ様狙撃銃による射撃を開始した。
基本的だが、右、左へと走りながら回避をしようと動く――しかし。
「お兄ちゃん! そうはさせないからっ!!」
セシリアの狙撃を右へと移動し、回避したと思えば美冬は体勢を低くし、俺の回避先へとクイックブーストで接近。
「………っ!?」
そこから美冬は短くステップし、此方の間合いへ一気に迫る。
持っていた刀の刃が、此方の装甲の隙間を狙うように一撃を加えた。
「うっ…!?」
咄嗟に反応し、左腕部装甲で受けるが、シールドバリアーは突破され、受けた装甲からは火花が激しく舞い散った。
美冬、こんなに強いのかよ……っ!?
まだ開幕の一撃なのに、俺は美冬との圧倒的な差を思い知らされた感覚だった。
「くっ……、距離を取らないと……」
後方へステップし、左から回り込もうと動くが――。
「狙わせていただきますわっ!!」
狙撃銃による射撃により、回り込もうとした左側はセシリアのビーム射撃による弾雨により、途中で脚を止めてしまった。
その隙を逃さず、再度ショートステップで間合いを詰めてきた美冬。
ステップの勢いを殺さず、そのまま刀を振り抜いてきた――。
このままやられ放題で終わるわけには……っ。
美冬が刀を完全に振り切る前に、俺は天狼で受け流す。
鈍く、不快な金属音が鳴り響く中、勢いのあまり、美冬は体勢を崩していた。
「一撃入れば……っ!」
「っ…。ドジっちゃった…」
体勢を崩した美冬へ、両手で構えた天狼を振り上げ、そのまま振り下ろすが――。
「……くっ」
思い止まり、ピタリと刀を止めたあと俺は美冬との距離を離した。
――だが。
「お兄ちゃんッ!!」
アリーナへ響く、妹の声。
その声は、怒気を含んだものだった。
「何で止めちゃったの!? 私が怪我でもすると思った!?」
「……あぁ」
正直、威力の高い武器は生身の人間にもダメージを与えるって授業でも言っていた、だから思わず俺は止めてしまった。
「そんな優しいお兄ちゃん……私は好きだけど。――それじゃ、ダメだよ。優しいだけじゃダメなんだからっ!!」
やはり、まだ甘いんだよな……覚悟を決めないとと思いながらも、結局途中で止めてしまう。
「――ヒルトさん」
空にいたセシリアが、俺の名を呼んだ。
「ヒルトさんの優しい所、わたくしも良いと思います。――ですが、わたくしも優しいだけではダメだと思いますわ」
セシリアのそんな言葉に俺も小さく頷く。
「……あぁ、美冬やセシリアの言ってる事はわかる――それでも、怪我をしない保障はないだろ?」
「……ええ、ですがわたくしも美冬さんも怪我なら大丈夫ですから――ヒルトさんも、気にしないでくださいな」
「そうだよっ、お兄ちゃんが思ってるほどISのバリアーや絶対防御は柔くないんだからねっ」
「……わかった。まだ頭で切り替えは出来てないが――次はちゃんとするさ、これがな」
天狼を収納し、新たに弓の『疾風』を展開する。
それが合図になったのか、直ぐ様美冬は高く飛び上がった。
空にいたセシリアを覆い隠すように飛んだため、セシリアの姿を見失った俺。
「………っっ!!」
弓を構えると同時に、矢が一本展開される。
そのまま弦を引き、空を舞う美冬へと狙いを定めた。
「――何てねっ、今だよセシリア!!」
そう告げた美冬は、急降下して地上に着地すると砂塵が舞う。
そしてセシリアは、いつの間にか展開していたビットを、先程まで美冬が居た場所に移動していた。
――美冬が影になって見えなくさせていたのか。
固まって固定砲台となったビットは、直ぐ様同時に射撃を始めた。
降り注ぐ粒子の雨――。
「ぐぅっ…!?」
ビットによる射撃が、此方を正確に捉え、与えられた衝撃が全身を襲った。
今のだけでもかなりのシールドを削られた挙げ句、装甲の表面温度も上昇した。
他のISよりも熱に弱めなのが弱点だ……古い装甲が原因かもしれない。
だがそれも俺の言い訳に過ぎないのはわかっていた。
――そして、脚を止められてる間にまた此方にロングステップで距離を縮めてきた美冬。
「……当てるっ!」
ヒュンッ――矢が空を切る音が鋭く鳴った。
放たれた矢は、勢いそのまま美冬を襲うが――。
打鉄に最初から装備されていた盾を器用に角度を変え、受けるのではなく矢を反らした美冬。
反れた矢は、アリーナの地面へと落ちていった――。
「ふふっ、甘いよお兄ちゃん!」
間合いを詰められ、胴への一撃――刀は振り抜かれ、胴体部の装甲から短く火花が散った。
「く……っ、何も出来ない…っ」
「動かないとやられちゃうよ? 加減――しないからねっ!!」
グルンッ――刀を逆手に持ち変えた美冬は胴を回し、勢いをつけ回転しながら斬りつけてきた。
連続で当たる刀の刃の一撃一撃が、ごっそりとシールドエネルギーを減らしていった。
「……っ!? やはり二対一はまだ早かったか……ッ」
「そうですわね。ですが……いつかこの経験が役に立つ筈ですわ」
「……っ!!」
振り向いた先に、狙撃銃の銃口を此方へ向けたセシリア。
「うん。でも次からはお兄ちゃん、対戦形式は一対一じゃないとね?」
「うっ……」
首筋へ突きつけられた刀。
――まるで手も足も出ないってのはまさにこの状況だなと改めて自覚した。
「……そうだな。負けたよ――まだ迷いもないとはいえないが、少しずつ…何とか慣れていくよ」
「そうだね。――まだまだ時間あるし、次は1対1で私とセシリアが相手するよ」
「あぁ、さっきと同じように頼むよ二人とも」
「うふふ、ヒルトさんがそう望むならわたくしは構いませんわ」
――その後、美冬、セシリア相手に徹底して一対一の相手をしてもらいながらも、距離の取り方等を教えてもらった。
途中から、織斑と篠ノ之二人も交ざり訓練をしたのだが――。
篠ノ之の指導だけはやはり当てにならなかった、擬音じゃ理解できないな、やっぱり。
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