IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一巻
【第十一話】
――学食――
行き交う女子にチラチラ見られながらも、学食へと到着する。
やはり昼時だからか、学食は人が込み合っていた。
「お兄ちゃーん!席は取ってるからねー!」
と大声で言うのは妹の美冬。
おかげでまた俺は学食に居た女子一同からの注目を浴びた。
慣れないな、流石に。
とりあえず食券を購入し、列へと並ぶ。
本来ならもっと食べるのだが、食欲が湧かない。
そしてやはり、女子の中に男子一人だから、キツいな。
小声で何か色々と聞こえてくる――まぁ興味ないからいいが。
暫く待っていると、順番がやってきた。
「お姉さん、カレーライス一つ、食券はカウンターに置きますね?」
手に持っていたプラスチックの食券をカウンターに置き、暫く待つと――。
「はい、カレーライス一つお待ち」
「ありがとう、お姉さん」
「いやだわ、お姉さんだなんて、おばちゃんそんなに若くないわよ」
「いえいえ、俺から見ても、他の人から見ても若いですよ?いつもご苦労様です」
何て他愛のない事を言ってるとまた小声で色々と聞こえてくる――。
熟女好きとか色々と言われるが、別に特別年上が好きなわけではないし、これぐらいの会話は普通だと思うのだが。
とりあえず気にせずに妹が待つ席へと着くと同時に――。
「お兄ちゃん、遅いよっ。待ってたのにっ」
――と、ご立腹な妹。
相当待たせた様で、頭が上がらない思いだ。
「悪い、ちょいセシリアさんと会話を」
「ん……?お兄ちゃん、またセシリアさんに何か言われた?」
「いや、間違いを指摘しただけ…多分」
「ふーん……あ、いただきます」
手を合わせると、お腹が空いていたのか妹がおまかせ定食に手をつけ始めた。
俺も両手を合わせ、激辛カレーライスを食べ始める。
「……ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
神妙な面持ちで訊ねてくる妹に、俺は食べるのを止める。
「美冬、どうした?」
「うん、さっきの授業で言われてた事……私、何も知らなかった…」
「ん?比較される事か?――まあ美冬いないところで俺が言われてたからな。だからって美冬が気にすることじゃないさ、これがな」
「……私はお兄ちゃんの方が昔からスゴいなって思ってるから」
そう言う美冬に、目をぱちくりさせるが直ぐに表情を戻すと――。
「ふっ…。そういや子供の頃から美冬は俺がスゴいスゴいって言ってたな」
「本当の事だよ?お兄ちゃん、私が大きな犬に吠えられてる時に庇ってくれたし…」
――そんな事もあったな、そういや。
まぁ猛犬とかではなく、犬も怖かったらしいからな。
「だから――セシリアさんとの勝負、負けないでね?」
「……ISで歩くのもやっとの落ちこぼれなのにか?」
「大丈夫っ!お兄ちゃんには私がついてるっ!!私が教えるからっ!!」
さっきまで神妙な面持ちだったのが、今は明るい表情に変わっていた美冬。
まぁ、妹が教えてくれるならいけるかもな。
妹は勉強も出来るしIS操縦もかなりのセンスがあるらしいし。
「あ、それとお兄ちゃんが来るまでにお母さんにメールしたんだけど」
「ん?返事来たのか?」
「うん。今は忙しくないのかも――じゃなくて、お兄ちゃんの専用機にインストールされてる武器が…刀と弓なの」
「刀と弓――何か武者っぽいな。そして弓か……子供の頃以来触ってないな」
子供の頃に、少しだけ習っていたから弓は大丈夫だな……多分。
的に当てるのは大丈夫だと思うが――。
「お兄ちゃんの専用機届くまでまだ時間があるから、放課後にIS借りて特訓しよう?」
「……だな。やれることをし、努力すれば落ちこぼれがエリートを倒すって所を見せないとな」
「うんうん――じゃあ放課後にアリーナで特訓だね」
そういうと、いつの間にか食べ終えてる美冬が食器を片付けて――。
「じゃあお兄ちゃん、私先に戻るね?」
何て軽くウインクして席を離れる妹を見送ると、俺はあまり手をつけていなかったカレーライスを食べ始め――。
「ねえ。君が噂のコでしょ?」
「え?」
その声がする方へと振り向くと――扇子を持った女子が一人、そこに立っていた。
ページ上へ戻る