| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

【プロローグ】

 
前書き
元々ブログで書いていたのですが、そのブログが閉鎖につき思いきって二次に投稿してみることにしました

駄文ですが良ければ見てやってください 

 
――多目的ホール外――


「美冬のやつ、大事な書類を忘れるとは…全く。……まああいつらしいと言えばそうかもな」


 自然と笑みを溢し、俺は歩を進めていく。

 俺の受験は二月の初めに終わり、残りは卒業を待つだけだったのだが……今、受験会場に居る。

 理由は、妹の美冬がIS学園を受験するために必要な書類を忘れたから、それを届けに来た。

 今年の受験は昨年起きたカンニングのせいで入試会場を二日前に通知するという訳のわからない政府のお達しのせいだ。


 本来なら母さん辺りが届けるのだが、両親共々【IS】の研究開発の為、海外に出張中だ。

 双子とはいえ、兄の俺が面倒を見ないといけないんだな、これが。

 まあ、妹だから嫌ではないが。


「……今日は本当に寒いな…。早く入るか」


 そんな独り言を呟くように言いながら、俺は目的地の多目的ホールへと入っていった――。



――五分後――


「……まるで迷路だな、IS学園ではなく藍越学園の受験する所だったし」


 入って中に居る人にIS学園の受験場所を訊いていたのだが、皆勘違いしたのか藍越学園の受験場所を俺に教えてたのだ。

 藍越とIS、似てるから間違えても仕方ないかな…。

 そんな事を考えながら歩いて曲がり角を曲がると不意に――。


 ドンッ――と受験生らしき中学生とぶつかった。


「わ、悪い、怪我なかったか?」

「あ、あぁ、俺の方は大丈夫だ、これが。此方こそ申し訳ない…」


 見た感じ、ぶつかった彼には怪我はなさそうだ。

 俺も怪我しなかったし。


「………」

「……?」


 何故か、ぶつかった彼は俺の事をじぃーっと見つめてきた。


「……?と、とにかく俺は急ぐから、此方もぶつかってごめ――」


――そう言ってその場を去ろうとすると、突如腕を掴まれた。

 何事かと思い、俺は彼の方に顔だけを向けると――。


「あ、あのさ。ぶつかった人にこんなことを訊くのも何だけど――藍越学園の受験場所…わかるか?」

「藍越学園か?ならこのまま俺が来た道を真っ直ぐ行けば大丈夫だ。わからなかったらこの先に女性が居たからその人に聞くといいさ、これがな」

「そうか!サンキュー!」


 そう言って手を握ってぶんぶんと握手すると、そのまま男子中学生は行ってしまった――。


「慌ただしい奴だったな。……IS学園の受験場所探すか――」

「あーっ!?お兄ちゃんっ!早く持ってきて!!」


――と呟いたら奥の廊下から声が。

 それも【お兄ちゃん】と呼ぶ声が――妹の美冬だ。

 栗色のロングストレート、身長は154cm、体重――を言うと脳天にチョップくらうので言わないでおく。

 スタイルに関しては――正直、妹じゃなければ彼女にしたいぐらいの理想のスタイルだ――主に俺の好み的にだが。

 っと、何考えてるんだ、俺は――。

 呼ばれた方の廊下を軽く駆け足で行くと、仁王立ちで待ち構えていた美冬は――。


「お兄ちゃんっ!遅いよ!!」

「わ、悪い…。何故か藍越学園の受験場所教えられて迷ってたんだよ」


 言うや、その表情は仕方がないなぁといった感じで――。


「……帰りに何か奢ってよね?それで許す」


 そう言い、顔を何度も縦に振る美冬。

 美冬……元々は忘れ物をしたお前が悪いのだが――言えば腹に正拳突きくらうのでやめておこう。


「わかったよ。……でも、あんまり高いのをねだるなよ?生活費にも限りが――」

「わかってるって、じゃあお兄ちゃん。ここで大人しく待っててよね♪」


 そう言うと、慌てて戻っていった美冬――。

――と、不意に後ろから声をかけられた。


「君、受験生だよね」

「は?――いえ、違――」

「時間押してるから早く入って向こうで着替えて。ここ、四時までしか借りれないからやりにくいったらないわ。まったく――」

「ちょ、ちょっ――!?」


 問答無用とばかりに背中を押されて、美冬が入ったドアの向こうへと入れられた。


「ぶべっ!?」

「お兄ちゃん!?どうしたの??」


 無理矢理入れられた拍子に俺は体勢を崩して転け、地面に突っ伏していると頭の上から妹の心配そうな声が聞こえてきた。


「い、いや…何を勘違いしたのか俺の事を受験生に間違えられてな…。忙しいのか顔も見ずにここに入れられたよ」

「そっかぁ…。――まぁあまり気にせず、せっかくだからお兄ちゃん。『IS』を生で見ていかない?」


 そう俺に言うや、直ぐ様カーテンを開く美冬――。

 開いたカーテンの先にあったものは甲冑のような物が鎮座していた。

 厳密に言えば甲冑ではなく――『IS』――『インフィニット・ストラトス』と呼ばれるパワードスーツだ。

 本来は宇宙空間での活動を想定して作られていたのだが『兵器』――そして『スポーツ』へと変わっていった。


「……確かこれは『打鉄』――」

「そうだよ、お母さんが作った『村雲』より扱いやすく、コストパフォーマンスに優れた日本を代表するIS――」


【村雲】


 一般の人には周知されていないが、試作で終わったISは数が数えきれないぐらいある。

 確か母さんがそう言ってたな。


 『村雲』は『打鉄』を上回る性能を持ちながらも量産には向かない完全なワンオフ仕様――。
 というのも、母さんからの受け売りで、俺は詳しくは知らない。


「確か――男には使えないんだっけ?」

「うん。最初の発表の時に各国の男の軍人や研究者が触ってみたんだけど……うんともすんとも動かなくて女性にしか――ってお兄ちゃんが触っても反応しないよ?」

「ん?まあせっかくだし、ちょっとだけ触ってみたいなってな」

「もう!触って問題起こさないでよね、お兄ちゃん!?」


 軽い気持ちで俺は美冬にそう答えた――。

 もしかすると、俺は開けてはいけないパンドラの箱を開けたのかもしれない――。

 この『IS』に触れた事から――俺の運命は変わった――。
 そっと――触れるようにISの装甲に手を置いた――その瞬間。


「なっ!?」

「え――」


 キンッ――金属音が頭に響く。

 直接視覚野に接続されたように、訳のわからない数値が知覚出来るようになった。


「ど、どうなって――」

「う、嘘……!?お兄ちゃんが…IS動かしてる!?」


 美冬も、何が起きたのかわからないながらも、目の前の俺がISを動かしたという事実だけは認識しているように感じた――。

 そして、俺自身が混乱している間にもISの機能は展開、作動していく。

――視界も気づけば先程よりも清涼感が増し、クリアに。

――清廉とした視界に変わっていた――。

「あ……。……わ、私先生に言ってくる!!」


 言うやタタタッと駆けて出ていく美冬――。

 状況の把握がいまいち出来ないながらも――俺は母親が言っていた事を思い出していた――。


『ISはね、触れたその瞬間からISの基本的な動作や操縦方法などが直接意識に流れ込んでいくのよ。――でも、ヒルトは男の子だからIS動かせないわねぇ』


――動かし方の情報……流れてこなかったのだが。


「ど、どうやって動かせば――わわっ!?」


 ふらふらしながら――バタンッと、俺は前のめりで転けた。

 顔をしこたま打ったのだが、痛みは感じなかった。


「っっ……。歩くことすらままならないのかよ……」


 そんな俺の声が虚しく響く――。

 その後――あっという間にIS学園の関係者らしき人達に別室へと連れられていき、既に受かっていた高校への入学は取り消され、政府関係者やテレビ関連のニュースやらであっという間に世界中に広まった――。


――史上初、男のIS操縦者の誕生――。


 あの時――触れていなければ俺はただの一般人だったのかもしれない。

 望む望まざるは関係無く、俺はこの時から運命が変わり、IS学園への入学が確定した――。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧