IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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第一巻
【第二十四話】
前書き
オリジナルの話です
ヒルトと幼なじみとの久々の再開――なだけです
読まなくても問題ないオリジナルなので苦手な方はスルー推奨で
――夕方、自宅への帰路――
あれから数日が立ち、夕方の土曜日。
本来ならISの訓練をして過ごしている時間なのだが、一度自宅に帰って必要な物を取りに来たのだ。
遊歩道にはまだ、散っていない桜だが、風が吹く度にちらほらと花びらが舞い落ちてくる。
そういや、未来に連絡入れておくかな。
明日の朝、起こしに来てくれって。
携帯を取り出し、未来の携帯へと電話をかける。
プルルルルッ……プルルルルッ……。
確かこの時間は家にいるはずなんだが……。
と、頭の中を言葉が過っていると、携帯が繋がった。
いつもはすぐに出るのだが…。
『も、もしも――』
「未来か? 悪いけど、明日の朝、家に起こしに来てくれないか?」
『えっ!? ……久々に電話が来たって思ったのに、そんな内容っ!?』
「悪い悪い、でも起きられる自信ないから。 ……鍵はいつもの所にあるから勝手に入って――」
『ま、まだ起こしに行くなんて一言も言ってないよっ!?』
「あー……、言ってないけど……。 未来に明日の朝、用事があるならいいよ。 悪かったな……じゃあな」
『ちょ、ちょっと――』
プツンッ……と電話を切り、携帯をポケットへとしまう。
――まぁ急だったし、強引に言い過ぎたから仕方ないか。
しかし…声を聞く限りでは元気そうで良かったよ。
途中、スーパーで夕食用の食材と、明日の朝用の食材を購入して久々の自宅へと帰っていった――。
――夜、ヒルトの部屋――
夕食も食べ終え、久しぶりの自室のベッドにごろん……と転がる。
誰もいない家も静かだな…。
俺の家は、親が二人とも海外にいるから基本は妹と二人だけで、親はたまに帰って来るぐらいなのだ。
母さんが開発者で、親父が……ボディーガード。
昔、親父は何処かの部隊に居たそうだが、その話はしたがらないので俺も美冬も聞いたことはない。
肩や背中とかに銃創や切り傷があったのを覚えている。
……と、考えても答えが見つかるわけではないし……とりあえず明日持って戻る荷物の準備だな。
――そう思い、立ち上がっておもむろに本棚へと向かう。
――まぁ先ずはエロ本を……流石に妄想だけじゃ難しくなってきたしな。
何て、絞まりのない顔をしながら本棚を漁り始めるのだが――。
「……あれ?」
……エロ本が無い。
おかしい…確かにここに――。
「……?――てか紙が…何々…」
【お兄ちゃんへ、部屋にあるえっちな本は処分しました。 ごめんね~】
「…………」
思わず、がくりと項垂れた俺。
美冬よ…あんまりだぜ……。
……また買うにしてもなぁ……俺、ある意味で有名だからなぁ……。
もやもやした気持ちになりつつも傷心し、俺はベッドに横になっていつの間にか眠っていた……。
――まさか捨てられているとは思わなかったな…。
――朝――
チュンチュン。
雀の鳴く声と、何やら美味そうな香りで少しだけ目が醒めるが――。
「……まだ…ねむ……ぐぅ…」
――と、疲れも溜まっていたのか、二度寝してしまった。
微睡みの中、うとうとしつつパタパタと階段をかけ上がる音が聞こえる気が――。
「ほらーっ! ヒルト、起きろーっ!!」
――ドアが開く音と未来の声が聞こえたような。
「ん……むにゃ」
「むにゃ――じゃ、なーいっ!!」
ドスンッ……と、眠っている俺の上に跨がり、ゆさゆさと揺さぶってくる未来。
「……おぉぅ……起こし方が激しいぞ……未来?」
「ヒルトが起きないからでしょっ!」
いや……、だって来ないと思っていたからな、これが。
――とりあえず、眠気に負けずにむくりと起き上がると、目の前に未来の顔が――。
「……っ! ば、馬鹿っ!? いきなり顔を近づけないでよっ!!」
そんな声と共に、顔を真っ赤にし、跨がっていた未来はベッドから降りた。
――むぅ、朝から怒られてしまった。
というか、子供の頃からこの起こし方は問題あるぞ。
今は高校生なんだし、慎みを持たないと―――と、思ったがこの起こし方嫌じゃないし、このまま黙っておこう。
「……未来、おはよう」
「お、おはよう……。 ほ、ほら。 早く顔洗って歯磨きしてきなさいよ。――ご、ご飯作ってあげたんだからね?」
おぉ、相変わらず気が利いてるな。
そういや……嫁に来ないか?――って中2の頃に言った事があるな――。
『ば、バカじゃないのっ!?――バカ……』
――と、二回バカと言われてしまった。
顔が真っ赤に見えたのも、夕方の夕日を浴びていたからかもしれないが……。
「じゃあ、顔洗ってる間に用意済ませるからね?」
そう俺に伝えると未来は、またパタパタと慌てながら一階へと降りていった。
――顔洗って歯磨くかな。
――10分後――
歯磨きを終え、食卓へと向かうとそこには豪勢な食事の山があった。
「あ、来た来た――って……やっぱり作りすぎた……かな……?」
恐る恐る、此方の表情を伺うように下から覗いてくる未来だが、それが俺には上目遣いにしか見えず――ドキッと心臓が跳ねた。
……相変わらず、彼氏が居ないのがおかしいぐらい可愛いよな、未来は。
――俺が知る限りでは、未来に彼氏が居るとは聞いたことがない。
好きな人は居るらしいが――。
俺ではないことは確かだ、理由は未来の女友達に俺の事を――『ただの幼なじみ』――と、言っていたのを偶然聞いてしまったからだが。
――まぁ、幼なじみがそう言っている以上は……な。
未来が世話を妬いてるのは幼なじみとして俺を放っておけないのだろう。
そんな昔の事を、少し思い出していると、未来が――。
「……作りすぎた……よね?」
――と、表情が暗くなるのに気付いて。
「む、昔から俺がいっぱい食べるの知ってるだろ? ……だからそんな表情するなよな」
「あ……。 う、うん……」
――うーん、何か少しいつもの未来とは違うな。
「どうした? いつもの未来らしくないぞ??」
そう言い、ポンポンと優しく未来の頭を撫でると――。
「ば、バカ……。 子供扱いしないでよ……」
――またバカと言われた、まぁ確かにバカなんだけどな、俺は。
「ん……とね? 何か……こうやってヒルトの世話するの久しぶりだなぁ……って思っちゃったら嬉しくてね。 えへへ♪」
「そうだな……、二月からずっと会えなかったもんな」
「そうだよ! ……まさかヒルトがISを起動させてニュースになるなんて思ってなかったから」
――それに関しては同意見だな。
あれを触らなければ、今頃未来と同じ私立だったが――。
そういや、未来も日本政府から偉い人が来て、直接代表候補生として選ばれてたんだよな。
何で辞退したんだろうか…。
「――あ、ご飯冷えちゃうから食べていいよ?」
「お、おぅ…。いただきます」
――疑問はまた今度聞くかな。
色々未来自身にも事情あるかもだしな、これが。
今は作ってくれたこれを平らげないとな。
そう思い、箸を取ってバクバクと食べ始めた――。
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