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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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第一巻
  【第二十話】

――寮への帰り道――



 ずしり……と重い、IS起動におけるルールブックなるものを織斑先生及び山田先生から渡された。

 めちゃくちゃ重い上に、一枚一枚の紙の薄さに唖然とする……。

 見た感じも、軽く800ページ以上はあるように感じた。

 ルールブックを開き、ページをパラパラ捲って見ていると、隣を歩く妹が此方をちらちらと見ていた。


「……美冬、どうした?」

「……んと、お兄ちゃん落ち込んでないのかなって」

「落ち込む?……まあ見栄きって負けたってのもあるがな。美冬との約束も破ってしまったし」


 言うや、人差し指を顎に当て、何かを考えてる美冬を見つつ、寮への道を歩いていると――。


「うーん…。なら今度、何か奢ってくれたらいいよ?負けたの許してあげる♪」

「……高いのは勘弁な」

「うふふ♪それはお兄ちゃん次第かなぁ~♪」


 小悪魔的な笑顔で答える美冬。

 可愛いんだが、怖くもあるんだよな…。

 そして、軽く前方に駆け出す美冬。

 振り返り、仁王立ちし、ピシッと人差し指を此方に向けて口を開いた。


「何にしてもお兄ちゃん、これからが大変だからねっ!?やることいっぱいあるんだからっ!」

「わ、わかってるよ。未来みたいな事言うなよ…」


 不意に口にした未来という名は、俺と美冬の幼なじみ。

 本来なら美冬と同じ、IS学園に入る予定だったのだが何故か俺と同じ私立高校を受験し、共に合格したのだが俺はIS起動したので強制的にIS学園に決まってしまった。

 この事について、何故か未来に怒られてしまった…。


「あ、お兄ちゃん。もし今度家に戻るならみーちゃんによろしくって伝えて?」

「ん?……あぁ、今週戻る予定だし、その時にな」


 美冬は未来の事をみーちゃんと呼んでいる、まるで猫の名前だ。

――と言えば、何か言われそうなので黙っておく。


「そうだ。お兄ちゃん?ISの訓練どうするの?」


 唐突に話題が変わったのに驚きつつも、此方のが重要だから変わるのも当たり前かと思い、一人納得する。


「訓練は……まあ教科書とか手引き書でも見ながら頑張るさ。美冬も確か、候補生になるために色々しなきゃいけないだろ?」

「うん。だからお兄ちゃん専属のコーチって出来ないんだよね……」


 若干表情が暗くなる美冬を見、隣までいくとぽんぽんっと優しく頭を撫でると見上げるように見つめてくる美冬。


「気にすんなって、いざとなったら頭を下げてでも誰かに教わるしさ」

「……うん、私も時間が空いたら、お兄ちゃんに操縦教えるね?」


 ぽんぽんと撫でるのが心地いいのか、見上げていた美冬はそっと目を閉じた。


「さて、帰ってシャワー浴びるかな」

「うん。……でもお兄ちゃん、前みたいに全裸で出てこないでよねっ!?」


 若干怒りつつも、頬が真っ赤に染まる美冬。

 厳しいな、自分も風呂上がりはタオル巻いただけか下着でうろうろするのに。

 まあ目の保養にはなるけどな、これが。

 などとよからぬ事を考えていると――スパァンッ!

 と、心地好いハリセンの音が辺り一帯に鳴り響いた。

 痛くは無いのだが、一体何処からハリセンを出しているのかが永遠の謎だな、これが。 
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