IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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第一巻
【第二十一話】
前書き
この話もオリジナルです
試合後のヒルトとセシリアの正式な仲直り的な話?
何にしても駄文ですから苦手な方はスルー推奨で
――1025室――
俺と美冬は部屋へと戻り、美冬からシャワーを浴びたいということで、美冬から入ることを承諾した。
本当なら先に浴びたかったのだが……。
美冬のシャワー時間も長いから暇だな、既に三十分待っているが。
椅子から立ち上がり、小型冷蔵庫を開けようとすると、突然――。
コンコン…。
と、気持ち控えめなぐらいの扉を叩く音が聞こえてきた。
こんな時間に誰だろうか?
妹から…誰か来るとは聞いていないし、恥ずかしながらまだ俺には、友達らしい友達がいないのだ。
興味本意で話しかけてくる子も居るのだが……。
何にしても、待たせるのは失礼なので――そっと扉を開けるとそこに居たのは――。
「こ、こんばんは、有坂さんっ」
本日の決闘相手、セシリア・オルコットさんだ。
途中からセシリアさんとは呼ばず、セシリアと…こっそり呼び方を変えていたのは内緒――と言いたいが、もうかなり言ってるから内緒も何も無いよな。
「セシリア?……こんな時間にどうしたんだ?」
そう目の前に居たセシリアを見ながらも、いつもと違うセシリアの様子に俺は戸惑いつつ――。
「まぁ…ここじゃ何だし、部屋に入っていいぞ?」
「あ、あの……。美冬さんは……?」
「美冬?――美冬に用があるなら待ってくれ、今シャワーを浴びてるんだ」
「あ……。その、美冬さんに用事ではなく、貴方に……。――有坂さんに言いたいことがありまして……」
「……?」
俺に言いたいことが?
奴隷の件か?
それとも、まだあの最後の一撃のことか?
今日の試合、今思い返しても…途中から恐怖が無くなり、訳のわからないアドレナリンが出ていた気がする。
銃で撃たれていたのに、おかしな話だな。
「まあ何にしてもこんなところで立ち話も何だからな、入ってくれ」
「お、お邪魔いたします……」
俺はセシリアを部屋へと招き入れると、椅子を用意してそこへと座らせた。
「何か飲むか?っても、セシリアの口に合う飲み物があるか――」
「あ、有坂さんがいつもお飲みになる飲み物でいいですわよ?」
俺がいつも飲む?
炭酸とかは流石に飲ませられないから、スポーツドリンクでいいかな。
スポーツドリンクを二人分用意し、一本を手渡すと、セシリアはそれに口をつけた。
ツンツンしてなければ、凄く可愛いと思うんだがな、これが……。
と、スポーツドリンクを飲んでいたセシリアが、俺の視線に気づき――。
「あ、有坂さん……。その、あまりじろじろと見ないでくださいな……。は、恥ずかしい……」
……いつもこうなら、セシリアも凄く良いんだが。
「わ、悪い。つい見て……な……。――何だか、さっきまでのセシリアと違う感じがしてな」
「い、いぇ……。そ、その……有坂さん?」
「……何だ?」
なんか調子が狂う……。
さっきまでの戦っていたつんけんしたセシリアとは違い、今のセシリアは凄く可愛く見えるから困る。
そう思っていると、セシリアの口が開き――。
「わたくし、貴方に謝らないといけないと思いまして……」
「はい?――謝るって何を?」
「その……、貴方の祖国を侮辱したことに――」
なんだ、そんなことか…此方はもう気にしていないんだがな、これが。
「セシリア、俺はもう気にしてないさ。バカだから、飯食って寝たら忘れるたちなんでな、これが」
「そ、そうですの?――ですが、やはりわたくしは謝らないといけませ――」
セシリアの言葉を遮るように、彼女の唇の前に人差し指を立て、シーッ…と、口を閉じさせた。
「気にするなって、それを言ったら俺も……君の祖国、イギリスの事を侮辱したんだし……互いに気にしないようにしないか?」
「は、はい!ありがとうございます、有坂――」
「ストップ!その有坂さんは止めてくれないか?」
「え?で、ですが…それだと何とお呼びすれば――」
何と呼ぶか?
そんなこと――。
「――ヒルトだ、下の名前で気軽に呼んでくれ。――共に切磋琢磨していく仲間だし、その……友達、だからな」
ニッと笑顔で彼女に伝え、応えた。
そしてセシリアが口を開き――。
「ありがとうございます、ヒルトさんっ!わたくしの事もセシリアと呼んでくださいな」
「ははっ、もう俺はセシリアって呼んでるし――だからこのまま気軽に呼ばせてもらうさ、これがな」
「そ、それもそうですわね。そうしてくださいな」
と、先週までの今時の女尊男卑で、明らかに見下していたセシリアとは違う。
笑顔のセシリアを見て、不意に口から言葉が漏れた。
「……なんだ、セシリアって笑うと可愛いじゃん」
「……え?」
不意に出た言葉を、最初は理解できなかったのか、若干首を傾げていたが――。
言われた言葉を理解したのか、普段のセシリアとは違い……顔を真っ赤にして――。
「あ、ありがとうございます……。ヒルトさん……」
という感じで、俺としても面を食らう形になってしまった。
普段はあまりそういう事は口に出さないのだが、何故か出てしまった。
しかし……、セシリアはこういった事を言われ慣れてないのか?
貴族だって確か訊いた気がしたから、こんな言葉とか、社交辞令的に他の貴族に言われているのかとも思ったのだが。
って、あまり長いこと部屋にセシリアを長居させたら迷惑かけるな。
この学園、不純異性交遊?に厳しいらしいし。
つまりというか、えっちな関係にはなるなということだが――バレなきゃ大丈夫な気もしなくもないが。
どちらにせよ、それに関しては多分無いだろう。
ほとんどの女子は基本好い人扱い。
又はパシらせようとするかのどちらかだしな。
セシリアが俺とそんな関係になりたいとは流石に思っていないだろうし。
「さ、そろそろセシリアは部屋に戻らないとな」
「あ……もうそんな時間ですの?――あの、ヒルトさん?その……これから……わたくしと仲良くしてくださいますか?」
そう言い、手を後ろで組んで見上げる形で見つめてくるセシリア。
下から上目遣いで言われると……また一層可愛く見えるから仕方ない。
顔を背け、頬を指でかきながら俺は口を開き――。
「い、言われなくても仲良くするさ。友達なんだし……な?」
「……そう、ですわね……」
友達という言葉が起因かわからないが、若干沈んだ表情に見えたが――直ぐに笑顔に戻った。
気にしすぎだな、俺の。
扉までセシリアを見送り、扉を閉めると同時に美冬がシャワー室兼洗面所から出てきた。
上にダボダボのシャツを着、下はシャツで隠れているが…おそらく下着姿だろう。
「お兄ちゃん、今誰か来てた?」
「――てかさ、美冬…流石にその格好は…」
特別見慣れた訳ではないから、流石に色々と目のやり場に困る。
そんな俺に気づいたのか、口許に手を当てニヤニヤする美冬が――。
「お兄ちゃんのえっち~。何て、お兄ちゃんになら見られても何も思わないし♪」
「……いやいや、せめてパジャマは着ようぜ?俺も全裸では出ないから……」
「……っ!?あ、当たり前じゃないっ!!」
『全裸』という言葉に反応し、美冬の頬に熱を帯びたのか、かぁーっ…と赤くなっていった。
「ほ、ほらお兄ちゃん!シャワー使い終えたから使っていいよ!!」
「わ、わかったって…」
そう無理矢理背中を押されてシャワー室兼洗面所へと入った。
何にしても、やっとシャワーを浴びられるな。
疲れたからこれで疲れが取れるといいが――。
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