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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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第二巻
  【第五十五話】

――屋上――


シャルルが遠慮深く、同席して良いのかなと聞いてきて、織斑と俺は――。


「いやいや、男子同士仲良くしようぜ」

「そうだな。…学園での生活は色々不便もあるが、互いに協力し、時には女子にも協力を求めてやっていこう。シャルル、何か解らないことがあれば聞いて構わない。――ISはちょい答えれるか解らんがな、これが」

「俺も――IS以外で聞いてくれ」

「アンタもヒルトももうちょっと勉強しなさいよ」

「してるって。多すぎるんだよ」

「…頭がパンクしそうなぐらいやってはいるんだが…中々キツくて…。篠ノ之やセシリアや鈴音、美冬は入学前から予習してるからいいよな」

「えぇまあ、適性検査を受けた時期にもよりますが、遅くても皆ジュニアスクールのうちに専門の学習を始めますわね」


――すげぇ、ジュニアスクール=小学生からだもんな。

美冬や未来は中学から受けてて未来は途中で辞めたんだよな。

――唐突だが、模擬戦のトータル勝率が一位美冬、二位鈴音、三位セシリア、四位篠ノ之、五位織斑、最下位が俺という残念な結果。

それもそのはず、空を飛べないから推進剤切れると空から削られてしまうため。

出力絞ると高さが足りず、出力上げると直ぐに推進剤使いきってしまう――。

美冬とはガチの近接戦闘だから、空から攻撃はないが――それでも全く敵わない…。


「まあ何にしても、困ったらいつでも言いなよ、シャルル?」

「ありがとう。ヒルトって優しいね」

「……別に優しい訳じゃないんだがな」


――何故か胸がドキッとしてしまった。

――いかんいかん、シャルルの顔が女っぽく見えたのが原因だな。


「まあ、ルームメイトになるだろうからな。気にするなよ」

「え?俺の部屋じゃないのか?」


「あ?織斑の部屋は個室だろ?明らかに俺の部屋しか無いじゃないか」


前の美冬の部屋割りと同時に、織斑も先生の部屋から個室に移ったと聞いたが…。


「いや、俺の部屋にもベッドもう一つあるから」

「……まあ後で解ることだからまあいいか」


話を続けつつ、俺達は昼食を食べていく。

織斑と鈴音は酢豚、シャルルと俺と未来は購買のパン。

美冬は弁当で、セシリアは自分の分は購買で購入してるようで、必然的にサンドイッチは俺の胃袋に収まる予定――未来からお茶貰えばいけるはず。


「…………」


そんな中、篠ノ之が全く弁当の包みすら広げず黙ったままだ。


「どうした?腹でも痛いのか?」

「違う……」

「そうか。ところで箒、そろそろ俺の分の弁当をくれるとありがたいんだが――」

「…………」


無言で篠ノ之は織斑に弁当を差し出した。


「じゃあ、早速。……おお!」


織斑がもらった弁当を開けたが――内容は割愛させてもらおう。

――というより、織斑に渡された弁当だし、見ても仕方ないかなと思う。


「これは凄いな!どれも手が込んでそうだ」

「つ、ついでだついで。あくまで私が食べるために時間をかけただけだ」

「そうだとしても嬉しいぜ。箒、ありがとう」

「ふ、ふん」


「……篠ノ之さんって素直じゃないんだね?」


そう小声で話しかけてきたのは未来だ。


「ん?まぁな…。でも見ててバレバレで気づかない織斑もな」

「ん…人のこと言えないでしょ?」

「何でだ?誰か俺の事好きなやつでもいてるのか?」

「し、知らない……っ」

「……?」


変な未来だな。

俺の事好きなやつか……居てるのかねぇ?


そんな話をしてると――。


「わ、私はダイエット中なのだ!だから、一品減らしたのだ。文句があるか?」

「文句はないが……別に太ってないだろ」



――女子にその発言は不味いよ、俺と未来ぐらい仲がよくても変に言ったらダメなのに。


「あー、男って何でダイエット=太っているの構図なのかしらね」

「まったくですわ。デリカシーに欠けますわね」

「おいおい、俺を織斑と一緒にしないでくれよ」

「いやでも、実際ダイエットなんか必要ないように見え――」


隣を見た織斑は、篠ノ之に思いっきり顔を手で押し返されている。


「ど、何処を見ている、何処を!」

「何処って……体だろ」

「なに堂々と女子の胸を見てんのよ。ア・ン・タ・は!」

「織斑さんには紳士として不足しているものがあまりに多いようですわね」

「織斑君、流石に直見はダメだと思うよ?……ヒルトはどう思う?」

「……俺は何も言えん」


実際、魅力的な女子の胸は俺も見ちゃうんだよな。

セシリアとか未来とか、鈴音―――は見ないな。

っても、俺は特別巨乳好きではないからな、目の保養的な意味合いで見てしまう。


コッペパンを食いながら、そんな皆の様子を見つつ――美冬が口を開き。


「とりあえず話はここまでにして昼食食べようよ?流石にいつまでも談笑してたら昼休み無くなっちゃうしね」


――一理あるな、正直いつもはもっと早く食べ終えて教室で寝て体力回復したりしてるし。


「じゃあまあ、いただきます」


そう言い、織斑が唐揚げを口に入れての一言。


「おお、美味い!」


余程美味しかったのだろう、多少興味はわくが――まあ食べるわけにはいかないからな。


そんな調子で織斑が何か隠し味が~~とか篠ノ之がおろしニンニクが~~とか、割とどうでもいい内容の話は部屋でやってほしいと思いながらも黙って食事を続ける俺。


「いやでも、本当に美味いな。箒、食べなくていいのか?」

「……失敗した方は全部自分で食べたからな……」

「ん?」

「あ、ああ、いや、大丈夫だ。まあ、その、なんだ……。美味しかったのなら、いい」


小声でぼそぼそと喋っているため、あまりよく聞き取れないのだが、多分失敗した唐揚げを自分で食べたのだろう。


「本当に美味いから箒も食べてみろよ。ほら」


そう言った織斑が、何を思ったか唐揚げを一口サイズに切って箸で持ち上げた――。

 
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