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人造女神アリスディアと魔人少女達の戦い

作者:メア
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始まりの終わりと終わりの始まり③

 




 4人を奴隷にしたりと色々と怠惰な日々を過ごして2日。今日は3人の美少女を連れて買い物だ。その3人は娘であるイリスとイリヤ。そして、最後の一人は箱詰めされていたアヴリルだ。
 3人の服装はボロボロだったので、メイド服を着せている。イリスとイリヤの桃色がかった膝あたりまである長い銀髪もアヴリルの膝あたりまである長い紫色の髪も似合っている。
 アヴリルの身長は153cm。イリスとイリヤとだいたい同じくらいだ。あの時、最優先で逃がされたのは子供達なのだから、生き残って居るのもまた子供だ。

「人間の街は人が多い」

「「そうですね」」

「流石は人類の中で一番多いと言われるだけはある」

 今は馬車の中から3人は外を覗いている。魔人である彼女達が人類の街で発見されたら大変な事になるだろう。魔人とそうでない人の見分け方は瞳などに移る紋章らしい。それは普段は消えているが、感情が高ぶったり、魔法をかけられた時に勝手に発動してレジストしてしまうらしい。
 どちらにしろ、様々な種族が居て、面白いが…………イーナの事を思い出して嫌な気分にしかなれない。


 皆が道を空けてくれるので馬車が順調に進んで行き、少し時間が立つと馬車が停止した。

「ナハト様、武器屋に到着しました」

「わかった。待っていろ」

 馬車の御者であるアレックスに命令しておく。

「へい」

「行くぞ」

「「「はい」」」

 3人と一緒に降りて、武器屋の中に入る。そこは工房と一体化しているようで、結構な広さがある所だ。ここがベルングス家御用達の武器屋の一つで、高級品を扱っている。武器だけでなく、防具や服も扱っているのだから、総合店や武具店と行った方が有っている。

「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

 店員が挨拶をしに来たので、さっさと要件を告げる。

「この刀4本と剣の整備を頼む」

「刀ですか…………東方の物とは珍しいですが、畏まりました」

 刀はイリスとイリヤが愛用している。先の戦いで酷使したので、予備も合わせて整備はしっかりとしておく。

「こちらは強化できますが、なさいますか?」

「どうする?」

「「お願いします」」

「じゃあ、それで」

「はい。畏まりました」

 店員が刀や剣を持って、奥へと進んでいった。その間に3人の服や防具を選ぼう。

「アヴリルは武器って、無いんだよな?」

「無いけど、いらない」

「何で?」

「私の力は毒と髪の毛を操作変質させる事だから、髪の毛を毒の剣にして戦う」

 そう言って、素手から危険な匂いのする薬物を生み出すアヴリル。確かにいらなさそうだ。

「じゃあ、服だな」

「そうですね。私達に魔法防御なんていりませんから、物理防御力をメインに揃えましょう」

「そうですね。そちらの方がいいかと」

「なら、選ぶといい。予算は有るし」

「「はい」」

 それから、少ししてイリスとイリヤが選んだのは和風の軽装鎧だった。下は赤い袴だ。赤色が好きなので、胴体部分が銀で腰周りは赤色。下に着ているのは黒と赤の着物だな。赤が多いが。どちらかというと、有るキャラクターをイメージする。4の方のお館様だ。

「何故にそれ?」

「お父様のイメージに有ったので」

「そっ、そうか…………」

 心を読まれていたらしい。確かににあっているとは思っていたが。

「私も出来た」

 そして、アヴリルが選んだのは首から胸元とフリルが白く、それ以外は水色の可愛らしいドレスのような物だ。首元と背中にはリボンが付いている。毒を使うからか、半袖だ。イリスとイリヤは髪の毛に赤い紐で髪を揃えているが、こちらは飾り用のリボンだ。

「それで大丈夫なのか?」

「わからなかったから、店の人に聞いたらこれが良いって言ってた」

 確かに可愛らしく、防御力も魔物の品なので結構良い物みたいだ。

「「どうですか?」」

「感想は?」

「イリスとイリヤもアヴリルも似合ってるよ」

 月並みだが、そんな事しか言え無い。むしろ、美少女は何を着ても似合うと思う。

「それじゃあ、それを買うか」

「「「はい」」」

 他には便利そうな道具を買っておく。水袋とかを買おうとしたが、冒険者が使うような必需品を集めた冒険者セットが売られていたので、そちらを買っておく。後は結界石とか鳴子とか重量が軽減出来るバックとかだな。結構な金額になったが、ベルングス家の家名でかなり安く買えた。色々と値段交渉したさ。

「次はどうしますか?」

「ん~~」

「食料品と馬車の手配が必要だと思います。聞いておいた限りでは、ここからだと一ヶ月の道のりですから」

「一ヶ月か…………長いな」

「さっき、店の人にニブルヘイムに行くと言ったら、途中に通るセベリル地方は治安が悪い上に税金が高くて盗賊が沢山出るって言ってた」

「それは困りますね。そこが地図を見る限り最短なんですが…………」

 イリヤの広げている地図を見ると、確かに一部だがセベリル地方を通る事になる。しかし、盗賊か…………税金が高い事と考えると、食うに困った農民が盗賊に身をやつしてってのが多いんだろうな。しかし、どうするかな…………戦闘経験も多そうだしな。待てよ、戦闘経験が多いのか。例え少なくても使えそうだな。

「やっぱり、セベリル地方を通る。ちょっと考えた事が有るからね。それじゃあ、次は馬車を手配しに行こう」

「「分かりました」」

「ん」

 3人を連れて、馬車を作っている所へ向かわずにベルングス軍の場所へと行く。ベルングスの家名が入った馬車に乗っているので問題無く通して貰えるが、要望を言っておく。

「責任者を呼んでくれ」

「畏まりました」

 責任者を呼ぶと、程なくして儀礼用の制服を着た年のいった人がやって来た。老人といっても、身体はかなり鍛えられている。

「責任者のユルゲン = リーフェンシュタールだ。ベルングスの次男がどのような要件だ? 私は忙しいから、手早く頼む」

 今までが今までだから仕方無い対応だ。

「一ヶ月ちょっと…………二ヶ月持つくらいの馬車を20台欲しい」

「何を馬鹿な…………いや、ニブルヘイムに行くのだったな。となると、通るのはあそこか…………そういう事か」

「新品を買うより安くて軍用のが欲しい。そっちは金を手に入れて新しい馬車を買う。それでどうかな?」

「良いだろう。大量受注すればさらに安くなるし、こちらのメリットも有る。3日で手配しておこう。積荷の方もこちらで纏めておいてやる。軍として手配した方が安上がりだろう」

「行軍はそっちの本領だし、任せるよ。予算はこれだけで足りる? 出来たら、よくわからないからいりそうな物も用意して欲しい」

「うむ。これだけ有れば大丈夫だろう。軍からの払い卸しも可能だ。任せておけ」

「お願いします」

 そして、俺は用が済んだので、御者を雇いに向かった。態度が悪くても、これはベルングスの領主が命令した事でも有るのだから、軍にもちゃんと仕事をするだろう。見分もしっかりとすれば問題無いだろう。
 こうして、俺が旅立って行く準備が整った。





 
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