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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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第二巻
  【第六十一話】

――1025室前――


「ふぅ…枚数だけやたら多かったな」


書類の枚数が、織斑の倍はあったため、多少時間がかかった――とはいえ、実際は名前を書くだけの書類だけだったりする。

とにかく、書類に名前を書いたので正式に村雲・弍式の登録者になった――嬉しい事ではないが。

それよりも今は…まだシャルルが怒ってないかが心配だったりする。

――何にしてももう一度謝らないとな、結果としてシャルルに嫌な思いをさせたのだから…。


「今戻ったぞシャルル。――っていない……」


何処かに行ったのか…?

――そう思ったが、シャワールームから水音が聞こえ、シャルルがシャワールームに居てるのだと気づいた。


「そういやボディーソープいれてくれたかな?――――忘れてる…」


クローゼットを開けると、そこにあったのは予備のボディーソープ。

まあ…シャルルが慌てていた可能性もあるし、怒る内容ではないからな。

……一応脱衣場まで持っていくか。

――裸を見なければ彼も怒らないだろう。


そう安易に考え、俺は洗面所兼脱衣場のドアを開ける――開けた先からもドアを開く音が聞こえたので多分シャルルが開けたのだろう。


「シャルル、予備のボディーソープ忘れてるぞ。替えといて――」

「ひ、ひ、ひる……と……?」

「あ?俺に決まっ……」


呼ばれた時は見ないようにして入っていたからわからなかった。

シャルルの、俺の名を呼ぶのに気づいて見た視線の先に居たのは――『女の子』だった。

――濡れた髪は僅かにウェーブがかったブロンドで、柔らかさとしなやかさを兼ね備えている。

すらりとした体は脚が長く、腰のくびれが実質的な大きさ以上に胸を強調して見せている。

――正直、頭の整理が出来ない状態ながらも、彼女の裸から視線を逸らすことが出来ず、その身体に目が釘付けになってしまった――。


「なっ……え…と…、ぅ…」



頭が混乱しているからか、状況が未だに読めない……ただ、目の前の彼女がシャルルという事だけは何となく理解しているような――。


「きゃあっ!?」

「………っ!!??」


その場にあったタオルで身を隠し、慌ててシャワールームに彼女は逃げていった。

そのドアが閉まる大きな音に、俺も我に返って深く深呼吸し――。


「……シャルル…か?」

「……………」


そう俺が告げても彼女からの返事はない。

ショックを受けているのかも…男子が裸を見られるより女子の方がショックでかいって聞くし――。


「ご、ごめん…。その…ボディーソープ置いておくから…。本当にごめん…」

「う、うん………」


一通り謝罪し、洗面所に予備のボディーソープを置くと俺は脱衣場を出た。


「……シャルル…なのか…?」


その場で座り込むと、部屋を見渡す――その視線の先に、いつも俺が使用しているホワイトボードが有り、寝起きに使う目覚まし時計も見えた。


――という事はやはり、自分の部屋ということで、彼女はやはり――。


立ち上がり、ふらふらとした足取りでベッドまで行き、そのまま寝転がる――。

まぶたを閉じると浮かび上がるのは先程の彼女の裸――。


今頃になって、下半身に血液が集中するのがわかる――。

考えないようにしても、思春期の俺にとってはとても忘れられない衝撃みたいなもんだし――。


そんな風に悶々と考え事をしていると、静かに脱衣場のドアが開く音が聞こえてきた――。


「あ、上がったよ……」

「……あぁ」


うつ伏せになっている俺の背中越しに聞こえてきた声は、シャルルのものであり、心臓が早鐘を打つのを意識しないように体を起こし、シャルルの方へと振り向くと――。


「……やっぱり、俺の見間違いじゃなかったんだな…」

「…………うん」


――俺の目の前に居たのは、女の子だった。
 
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