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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第七十一話】

――1025室前――



「ふぅ、いっぱい食べた食べた」

「ふふっ、ヒルトの食欲って凄いね?」

「おー、食べれば元気が出るからな」


そんな他愛の内話をしながらシャルルと部屋へ戻ると、入るなりシャルルが口を開いた――。


「あ、あのね、ヒルトっ」

「ん?どうした?」


――いつもよりシャルルの語調に勢いがあるのは気のせいではなさそうだ、なんだろうか…?


「あの、遅くなっちゃったけど……助けてくれてありがとう」

「……?助けって俺何かしたか?どちらかと言えばいつも俺が助けてもらってる気がしなくもないような…」


「そ、そうじゃなくて、ほら保健室で。トーナメントのペアを言い出してくれたの、凄く嬉しかった」

「ああ、当たり前だろ?力になるって言ったんだし、それにシャルルが女の子だって知ってるのは俺だけなんだしな。だから気にするなって」


――特別な事なんかしてない、友達なら当たり前の事をしただけだと俺は思うが……まあお節介の可能性も高いが。

だがシャルルにとってはその当たり前の事が嬉しいのか、熱心に此方へと感謝の意を示そうとしてくる――。


「そんなことないよ。それが自然と出来るのは、ヒルトが優しいからだよ。誰かの為に自分から名乗り出られるなんて、凄く素敵なことだと思う。――僕は……凄く嬉しかったよ…?」


そう下から覗き込み、少し潤んだ瞳で見つめてくるシャルルに、自然と頬に熱を帯びるのを感じた。


「や、優しくなんかないって――そ、そういやシャルル、二人だけの時は男子口調じゃなくてもいいぞ?」


「あ…う、うん。僕――じゃなくて私もそう思うんだけど、ここに来る前にあの人から『正体がバレないように』って、徹底的に男子の仕草や言葉遣いを覚えさせられたから、直ぐには直らないかも」

「成る程…」


――覚えさせられた…という言葉に、シャルルの親父に苛立ちを覚えたがここで怒っても意味はない。

そんな風に思い悩んでいると――。


「で、でも、その……やっぱり女の子っぽくない、かな…?」


――と、シャルルが落ち着かなそうに視線を泳がせ、遠慮がちに訊いてきた。


「……?シャルルが自分の事を『僕』って言うのがか?」

「そ、そう。……その、女の子っぽくないんだったら…ね?ヒルトと二人きりの時だけでも普通に話せるように頑張るけど……」


シャルルは視線を下に落とすと、制服の裾を掴んでもじもじし始めた。


「……俺は変えなくていいと思うぞ?『僕』って言葉についたアクセサリーだと思えばいいし。言葉遣いだけで女の子っぽくないとかはないさ。現にシャルルはこんなに魅力的で可愛い女の子なんだし」

「ふぇ……!?――魅力的で可愛い……?僕が…?ほ、本当に?……嘘、ついてない…?」


「嘘なんてつくもんか、信じられないか?これでも俺は正直なんだぜ?」


――嘘偽りはない、事実、シャルルは魅力的な女の子だ。

それも他の子に負けない――いや、正直勝ってるとも思えるぐらいに。


「……そう……なんだ。――うん、じゃあ、別にいいかな。えへへ」


そう頷き、シャルルは俺へ視線を送ってくるとそのまま笑顔で
応えた。


「んじゃ、納得したことだし着替え――」


――と、言ってる途中で気づく。

散々魅力的な女の子ってシャルルに言いながら、普通に一緒に着替えようとした俺がバカすぎる。


「じゃあ、部屋の外で待ってるよ」

「えっ?どうして??」

「いやいや、流石に俺がいたらシャルルは着替えられないだろ?ISスーツの着替えも一夏に見られないように着てて難儀してたしな。だから外で待機してるさ、これがな」

「い、いいよ、そんなの。ヒルトに悪いし、その……僕は気にしないから……」

「うーん…そりゃ女の子と一緒に着替えるってのは嫌ではないが…流石にこれはダメだと思うしな」


そうシャルルに伝えると、少し考え事をしているのか自分の顎に人差し指を当てながら――。


「そ、それに……それに……ほら!男同士なのに着替え中は部屋の外に出たりしたら変に思われちゃうでしょ?」

「その辺りの訳なら俺が飲み物買ってる間に着替えしてるとか色々言えそうな――」

「で、でもそれじゃあヒルトが毎日ジュース買いに部屋を出ないといけなくなっちゃうし…!」


「うーん…まあ確かに毎回毎回買いにいくのもダルいかも。――んじゃさ、洗面所で待ってるから着替え終えたら声をかけるってのはどうだ?」

「だ、だからそんなに気を遣わなくてもいいってば!ほら、普通にしてて。それにヒルトも着替えないといけないでしょ?ね?」

「……それも俺が洗面所で着替えたら問題ない気もするが――」

「う……そ、そうだけど…。ど、同室なのに別々で着替えるのって他の人が聞いたらおかしいって思われちゃうでしょ?」


……徐々に慌ただしくなるシャルル、必至なのか少しずつ白い頬に熱が帯び、桜色へと染めていった――。


「……なあシャルル。ぶっちゃけて聞いていいか?」

「へ?――う、うん…」

「シャルルは俺と一緒に着替えたいのか?」



そう告げた瞬間、一気にシャルルの顔が真っ赤になり、恥ずかしさからかシャルルは両手で顔を覆った。



「あー…んとさ。い、一緒に着替えたいのなら…そう言ってくれれば大丈夫だからさ?……その、着替え覗いたりとかはしないし、俺」

「う、うん…」

「じ、じゃあ着替えるか…?」

「そ、そうだね…」


若干の気まずさを残しながらも、俺は着替えの準備をする。


「……うーん…そろそろ半袖にするかな。流石に長袖もキツくなってきたし…」

「…………」

「……?シャルル、どうした?」


着替えの準備をせず、何故か俺を見ているシャルルを不思議に思いながらも、その姿を眺める。


「ひ、ヒルト、幾らなんでも…そんなにじっと見られていたら着替えられないよ……」

「……っ!?わ、悪い、そんなつもりじゃなかったんだ!――う、後ろ向いてるから…っ」


着替えを持ち、壁側へと向くと――。


「じゃ、じゃあ、着替えるね……?……見ちゃダメだからね…?」

「わ、わかってるって!」



いきなり声をかけられたのもあり、少し声が上擦ってしまった。

平常心を保とうと深呼吸をするとその数秒後……シャルルの制服のズボンを脱ぐ衣擦れの音が聞こえ、その音に反応するように心臓が早く鼓動し始める。


(っ……考えないようにしても、背後にはシャルルが下着姿で居ると思うと……色々まずい…っ)


考えないようにと思っても、シャルルの下着姿を想像してしまう。

後、何故だかわからないが甘い香りが俺の鼻孔をくすぐる。

頭がぼーっとなりながらも、欲に忠実になるのか頭の中ではシャルルの下着姿ばかりを考えてしまった――。


「ひ、ヒルト?着替えないの?」

「わっ!?――あ、あぁ…悪い、着替えないといけないな」


シャルルが俺に声をかけると、頭がハッとすっきりしたように覚醒し、着替えを始める――今は色んな意味でシャルルの方を向けないが。



――欲求不満なのかもしれない…この学園に来てからそういう処理というのがほぼ出来ない状態だし。


悶々としながらも、制服の上着を脱ぎ、下のシャツを脱いでいく――。


――と、不意に背中を見られているような視線を感じる。

この部屋には俺とシャルルの二人しか居ないのだから、多分シャルルが見ているのだろう。


「……シャルル?」

「ふあっ!?な、何かな!?」


声をかけると、シャルルは物凄く驚いたように声を上げ、俺自身もいきなりの驚きの声にびっくりしてしまった。

その後の言葉も明らかに動揺が入り交じり、俺が聞きたいことを言い出しにくくてなって仕方がない――。


「わ、悪い、俺の勘違いかもしれないんだけどさ、……その、もしかして俺の背中を見てないか?」

「そ、そんなことはないよ!?」

「そうか…、見られるのは何も思わないが見られ続けるのは意識しちゃうんだよ俺。――悪かったな、さっさと着替えようぜシャルル?」

「う、うん……」


その返事を聞くや、ベッドの横に置いた半袖シャツに手を伸ばすとまた――。


「………………」


――明らかにシャルルの視線を感じる。

どうも着替えにくくなって俺は――。


「だ、だからあんまり見るなってシャルル」

「ふぇっ!?い、いやっ、僕はそんなっ――きゃんっ…!」


俺の言葉に激しく狼狽したシャルルの声が小さな悲鳴にと変わり、どたっという明らかにシャルルが転ける音が聞こえ――。


「シャルル、大丈――」


反射的にシャルルの方へと向いてしまった俺は、あまりの光景にその場で固まってしまった。


「いたた……。足が引っ掛かっちゃ……え?」


「……え…と…」


俺の視線の先では、シャルルが制服のズボンを足に引っ掻けて床に転んでいたのだが――問題はその姿だった。

上は制服を脱いで例の男装用コルセットだけを身に付けていて、下は膝下で引っ掛かった制服のズボン以外は当たり前なのだが女性用の下着だけの状態だった。

――しかも、体勢を崩して床に転んだシャルルは、ちょうどお尻を此方に突き出すような格好で四つん這いになっていた。

形のいいお尻に少し食い込んだ淡いピンク色のパンツはエロく、気付けば俺自身の欲望の塊は素直に反応していて――。


「きゃ――」

「…!?」


――不味い、ここでシャルルが悲鳴を上げるとシャルルが女の子だって事が周囲にバレてしまう。

俺が変態とか思われるのは些末な事なので構わないが、シャルルが女の子だとバレる=うら若き女の子の末路が牢屋とかは俺には堪えられない。

慌ててシャルルの口を塞ごうと、何を思ったか俺はシャルルに飛びかかってしまった――。


その俺の行動に驚いたシャルルは、反射的に悲鳴を飲み込んだ――それを見、素早くシャルルの口を塞ぐと直ぐ様耳元で――。


「ひ、悲鳴はまずいってシャルル。――バレたらシャルルが危ないんだし…」


そう耳元で告げると、こくこくとシャルルは頷き、それを見た俺は安堵のため息を吐いた。


――と同時に新たな問題が発生した。

その問題とは――。


「ひ、ヒルト…?……そ、その……か、硬いのが…当たってるんだけど……っ」


――そう、シャルルのお尻に俺のが当たってるのだ。

体勢が体勢だけに、四つん這いのシャルルに覆い被さって襲ってるという誰が見ても言い逃れが出来ず、バレたら二人とも退学確実な状況に――。


「わ、わざとじゃないんだシャルル!そ、その…俺がエロいのが悪いんだ!今離れるから……っ!」

「う、うん……」


そう告げ立ち上がろうとするが支点にした左手に力が入らず、体勢を崩すと同時に右手があろうことかシャルルのお尻を掴んでしまった――。


「あ――っ…~~~~~~!!」


右手に返ってくるのはしっかりとした肉感と弾力、そしてシャルルの滑らかな肌と質のいい布の手触りが広がる――。

更に状況を悪化させるように、そのままシャルルの下着を掴んだまま、下にするりと下ろしてしまい、言い訳が出来ない状況に――。


「わあぁぁぁあああっ!?!?」


そのシャルルの叫びが聞こえた次の瞬間、本能的なカウンターを受けてしまう。

四つん這いの格好からのカカトによる一撃は、もろに俺の顎へと直撃すると同時に、頭部をその衝撃で強く揺さぶられ、徐々に意識を失った――。
 
 

 
後書き
――多少えろな話?になったような…?

――露骨にエロも好きじゃないんだが、高校生で女子と同居であのハプニングならこれぐらいはありそうな?

下手な駄文ですみません 
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