紫天の主は管理局の少将
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
休暇は結局仕事になる…………orz
前書き
感想と評価をお待ちしています。
朝六時から翌朝の四時まで仕事をする俺の生活が、一ヶ月続いた。シュテルやディアーチェが手伝ってくれなかったらマジで死んでる。ユーリやレヴィにも心配をかけた。そうそう、マリエル・アテンザにも感謝だな。彼女がイメージフィードバックシステムを完成させてくれた御蔭で随分仕事が楽になった。効率が80倍も上がった。本来、余裕で処理出来るのだが、いちいち手で作業する事になるので時間がかかりすぎるのだ。それが思考で出来るようになれば後はこちらの演算能力で押してしまえばいい。
「ふぅ~これで向こう三ヶ月は特別な事が起きない以外は問題無い」
「その特別な事が起きるんですよ」
「シュテル…………」
恨みのこもった眼でシュテルを見るも、メイドさんは一切気にせずに紅茶を入れてくれた。
「まぁ…………これでやっと帰れる。一年ちょっとぶりな休暇だ~~~~~」
明らかに労働基準無視されてる。訴えたら勝てるよな?
「勝てるでしょうが、多数のロストロギアを所持しているご主人様は最重要危険人物として捕まりますね」
「ちっ」
王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)に入っている宝具は全てが 第1級捜索指定ロストロギアとなっている。
「ほとんど使えないというのに、仕方無いな。機動六課の宿舎も手配したし…………いや、どうせなら実験台にさせてもらうか」
どうせ、ジェイルに襲撃されるんだ…………それ相応の対策は取らせて貰おうか。
「ご主人様、取りあえず帰りましょう」
「それもそうだな。そういえば、民間からの捜査依頼も来ていた…………」
「ご主人様」
「はいはい。仕事はやめる」
何だか、ワーカホリックっぽい事になってしまっている。くそっ、絶対休暇中は遊んでやる。
転送ポートで自宅に帰った俺は早速襲撃を受けた。
「お帰り~~~」
「お兄様、お帰りなさい」
抱き着いて来るユーリとレヴィの襲撃だ。
「ただいま」
「もっと帰ってきて、ボク達と遊んでよっ!!」
「こくこく」
「三ヶ月くらいは余裕を作ったから大丈夫だ。それとディアーチェ、レヴィ、シュテル」
「なんだ?」
奥の方からエプロンを付けたディアーチェが覗いて来る。
「お前達のオリジナルと戦えるぞ」
「ほう…………」
「やったっ!!」
「ふふふ、高町なのは…………楽しみですね」
マテリアル三人娘が楽しそうに危険な雰囲気を出す。
「ふぇ…………」
「よしよし」
俺は取りあえず、ユーリの頭を撫でてやる。
「おっと、今は料理中だった。シュテルは我を手伝ってくれ。レヴィとユーリは主と共に風呂にでも入ってろ」
「それじゃあ、行きましょう」
「うむ」
シュテルとディアーチェは料理しにキッチンへと行く。
「ほら、お兄ちゃん。行くよ」
「はい、行きましょう」
俺はレヴィとユーリに連れられてお風呂だ。風呂では二人に身体を洗ってもらったりエッチな事したりで多少の時間を食ってリビングに戻り、ディアーチェとシュテルが作った料理を食べる。
「主よ、我らのデバイスの改造はどうだ?」
「順調だよ。どうせ俺の力じゃ使えないもんだ。だから、宝具も融合させてる」
「ふふ、小鴉め覚悟しておれよ」
「楽しみですね」
「だね~」
本当に楽しそうな三人。
「はい、あ~ん」
「あ~ん」
俺はユーリにご飯を食べさせてもらいながら、デバイスと宝具を改造する。用意する宝具は三つ。どれも手持ちの中では相当なやばい物だ。ちなみに、俺が使え無い理由は簡単で、魔力が足りないからだ。魔力を長い間貯めて、カードリッジシステムの弾丸を大量に使ってなんとかだ。
「あっ、海に行けるんだよね?」
「ああ。俺的には家でゆっくりしていたいんだが…………」
「だ~め」
「うむ。諦めろ」
「家族サービスは必要ですよ?」
「こくこく」
諦めて海に行く事になった。その前に水着を買ったりと買物に連れて行かれたが、デートで結構楽しかった。
さて、ミッドチルダ地上にある海にやった。ユーリとレヴィは紺と白のスク水で、シュテルがワンピース。ディアーチェがセパレートの水着だ。皆似合ってる。俺は普通に海パンにパーカーを着て、パラソルとかを立てて日陰に居る。
「ご主人様」
「主よ」
「ん?」
「「日焼けどめ、頼む(よろしくお願いします)」」
クリームタイプの者を渡して来る二人。
「別にいらないと思うが…………わかった」
寝転がる二人の柔肌にクリームを塗りたくってく。
「あふっ、ふぁっ」
「ちょっ、そこっちがっ…………」
どうせなので、悪戯して遊ぶ。しばらくして、二人は逃げるように海へと行ってしまった。俺はパソコンを取り出してデバイスの改造を行う。それと並行して皆が遊ぶ姿を撮影して行く。
「あははは…………喰らえーい!!」
「なんのっ!!」
ディアーチェ達はビーチバレーという名の戦いをしている。まさに戦いだ。
「くっ、やるね王様っ!! まさか、ボクのサンダーアタックが防がれるなんて…………」
「当然だ。ユーリっ!!」
「はいっ! エンシェントマトリクスっ!!」
帯電するボールをディアーチェが上げ、それを真紅の剣のような者で叩き込むユーリ。
「私ですね…………集え、赤星」
シュテルが手に赤い魔力を集めてレシーブする。
「強くて凄くてカッコイイ! そう、ボク最強!! 天破・雷神槌(てんは らいじんつい)!! 」
収束するリングを放ち十字の電撃をボールに見舞い、叩き込むレヴィ。その一撃は砂浜にクレーターを作った。
「やりすぎだ馬鹿者っ!!」
「ええ~~~」
良い子の皆は真似しないようにというプラカードをシュテルが出して野次馬にみせていた。魔導師のバレーボールは怖いな。
「ん? メールか…………開きたくない。放置しよう」
放置して、携帯の電源も切る。そのまましばらくユーリ達が遊んでいる姿を見続ける。たまにレヴィ達に誘われてかき氷を買ったり、浮き輪を買ってあげたりする。今は適当に一人で皆の飲み物とおやつを買いに出ている。
「ぐすっ、どこですか~~」
そんな時にピンク色の髪の毛をした竜付きの迷子を見付けてしまった。クソ面倒だが、管理局員として後がうるさそうだ。他に危険そうな連中も何人か居るみたいだし。目がやばい。
「大丈夫か?」
「ぐすっ、だっ、誰ですか…………」
「時空管理局の局員だ。とりあえず、これでも食べて落ち着け」
レヴィ用に買ったペロペロキャンディをあげる。それとりんごジュースだ。
「あっ、ありがとうございます…………」
適当に頭を撫でてやりながら待ってると泣きやんだ。
「ほら、顔をふけ」
「はい…………」
ハンカチを与えて、顔をふかせる。その後は目線を合わせて質問する。
「それで、名前は?」
「キャロ、キャロ・ル・ルシエです…………」
原作キャラか。仕方無いな。
「親御さんか保護者は?」
「えっと…………ふぇっ、フェイトさんです…………」
「フェイト・T・ハラオウン執務官か」
「…………フェイトさんはフェイトさんです…………」
「まぁ、良い。幸い知っているから連絡を付けるのは容易い。ちょっと待ってろ」
「こくん」
持ってるデータ…………八神はやてが提出して来たデータからフェイト・T・ハラオウンの個人端末の電話番号をかけ…………ようとして止めた。メールに変えて連絡してやった。
「それじゃあ、あそこの海の家で待とうか。おごってやるから好きなだけたべろ」
言ってる途中でキャロのお腹が可愛らしくなったので、海の家に連れて行き、色々と注文させて食べさせる。こっちは適当にデバイスを改造しつつ、話しながら待っている。
「あっ、あの…………」
「なんだ?」
「フェイトさんを知っているんですよね?」
「ああ。俺はこれから直属では無いがフェイト・T・ハラオウンの上司になるからな。だから、彼女のデータは所持している」
証拠としてフェイト・T・ハラオウンのデータを見せてやる。
「あっ、フェイトさんだ…………」
適当に問題無いフェイト・T・ハラオウンのデータや動画を見せてやる。そんな事をやっていると、竜が鳴いた。
「きゅる? きゅきゅる」
「動くな」
底冷えするような冷徹な声と共に、俺の首筋に金色の刃が存在する大剣をあてられた。
「ふぇっ、フェイトさん!!」
「キャロ、大丈夫!! 変な事されてない?」
「だっ、大丈夫です」
「ふむ。以外に早かったな。フェイト・T・ハラオウン執務官」
「…………貴方が誘拐犯ですね…………」
殺気を込めて、こっちを睨んで来る。
「え? 違いますよ?」
「もう、大丈夫よ」
どうやら、聞く気は無いようだ。暴走気味なところがあるようだな。
「あっ、こんな所にいたんですね。エーベルヴァイン少将」
周りが騒然としている中、俺達に近づいて来た奴がいる。そいつは管理局員の制服を着ている。
「少将? 本当なんですか、ランスター執務官」
やって来たのはティーダ・ランスター執務官。ティアナの兄だ。首都航空隊所属の一等空尉で執務官志望のエリート魔導師だ。本来なら21歳で殉職しているのだが、俺がシュテル達を派遣して助けてやり、こっちに引き抜いた。
「本当だぞ嬢ちゃん。その人はそう見えて古代遺物管理部のトップだ」
「え? でも…………」
「フェイト・T・ハラオウン執務官。文面をよく読もう」
「…………キャロを預かったって…………まさか…………わざとです…………か?」
「預かってただろ?」
笑いながらフェイト・T・ハラオウンを見ると、剣を解除して真っ赤になっている。
「うぅ~~~~」
こういう所を見るとレヴィのオリジナルだとわかる。
「フェイトさん、大丈夫ですか?」
「うん…………私は大丈夫だよ…………」
キャロを抱きしめて恥ずかしそうにしているフェイト・T・ハラオウン執務官を無視して、ランスター執務官を見る。
「それで、何の用だ? こっちとら休暇で家族サービスなんだが…………」
「メールや携帯に連絡しても全然出てくれないとの事で、こちらにこさせていただきました。民間からの調査協力依頼です」
「そんなもん、別の所に…………」
「それが古代ベルカの遺跡みたいで…………」
「機動三課がベルカ専門の連中だろう」
「別ので出払ってますよ。知ってますよね?」
「ちっ」
「なので、ベルカの技術に詳しく、解析に素晴らしい力を持ち、近くにいるエーベルヴァイン少将に見て貰えとの事です」
仕方無いか。非常に面倒だが…………やるしか無いか。
「この場に執務官が二人か丁度良いな」
「え? 私は休みなんですが…………」
「安心しろ。俺も休みだ」
「…………」
「フェイト・T・ハラオウン執務官、お前も道連れだ。付き合え。これは正式な命令だ。先程の魔法使用も不問としてやる」
自分の携帯端末から正式な命令として命令書を送る。
「でも、キャロを…………」
「そっちはうちの家族に担当させる。キャロもそれでいいな?」
「はっ、はい。私は大丈夫です。だから、フェイトさんも頑張ってください」
「う…………わかった。フェイト・T・ハラオウン執務官、命令を受諾します」
「あと、そこも逃げるなよ」
逃げ出そうとしていたランスター執務官を呼び止める。
「はぁ~~了解しました。では、これよりマリンガーデン建設予定地に向かいましょう。飛行許可は少将がお願いします」
「ああ。それじゃあ、フェイト・T・ハラオウン執務官も着替えて来てくれ」
「はい。キャロはどうしましょうか?」
「ここに迎えを呼ぶから大丈夫だ。帰りは管理局の方へ送るから迎えを頼む」
「分かりました。それじゃ、キャロ。またね」
「はい!」
俺達三人はバリアジャケットに身を包んで、マリンガーデン建設予定地に向かった。
「あっ、キャロのご飯代を…………」
「いらん。金は有るし、奢ってやるといったしな。そうだな、飯代として今回の仕事を手伝え」
「了解しました」
「俺にも何か奢ってくださいよ」
「なら、終わったら俺持ちで好きなだけ飲み食いして来い。俺は家族と一緒で付き合えないがな」
「悪い気がしますが…………」
「良いんじゃ無いですか? それに、休暇返上なんですから、それぐらいあっても良いかと。キャロちゃんと一緒に美味しいもの食べましょう。俺もお付き合いしますし。それに断る事の方が悪いですし…………少将は人使い荒いですから」
「失礼な。管理局の俺に対する仕事量から見たら、微々たるものだろうが」
「少将と同じにされたら廃人になりますって…………」
「そんなにすごいんですか?」
「「アレは死ねる」」
俺とランスター執務官はハモる。それほど凄いのだ。樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)が無ければどうしようも無い。
「御蔭でこちらは勝手に昇進して行ったがな。だから、遠慮はするな。金は使わないと経済が混迷する」
「それなら、わかりました」
「あっ、そうだった。二人で今年の古代遺物管理部の慰安旅行を計画してくれ。事件に関わった協力者の連中も呼ぶぞ。金は超えた分、こっちから出すから家族も呼べるよう派手な物を頼む」
「了解しやした」
「良いのかな~~?」
「あっ、そろそろ付きますよ。突入準備に入りましょう」
海面には調査船なのか、多数の船が停止している。
「そうだな。俺は余り戦力にならんと思ってくれて良い。だから、フェイト・T・ハラオウン執務官が前衛。ティーダ・ランスター執務官が後衛で頼む」
「了解しました。それとお二人共、私はフェイトで構いません」
「じゃあ、俺もティーダで良いぜ。少将は?」
「アンリでもなんでも好きに呼んでくれていい。公式の場以外ではな」
「「了解」」
それから、海上にいる人達に連絡した後、俺達はフィールド系の防御魔法を張りながら海底遺跡へと潜り込んだ。
ページ上へ戻る