異世界から戦女神の神殺しがやって来たようですよ?
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
セリカ・シルフィルとナベリウス
ジンと契約したアクアには水神からこっそりもらって来たギフトを与えて強化しておいたので大丈夫だろう。さて、次の日まで俺は寝ていた訳だが…………黒ウサギに襲撃をかけられた。
「セリカ様、セリカ様」
「なんだ?」
「土地が危ないです。どうにかできませんか?」
「土地ね…………出来るな。アムリタとエリクサーを使いまくれば行けるんじゃないかな…………」
「またとんでもない名前が出てきましたね…………」
「ギフトゲームも大事だが、先ずは生活できる環境を整える事が大切か」
「黒ウサギもそれには賛成致します」
「じゃ、やるか」
「はい♪」
そういう訳で、アムリタとエリクサーを使いまくって、死んだ土地を回復させた。そして、俺は王の財宝に有るかわからなかった物を探したら有った。
「リリ」
「なんですか?」
狐の少女に声をかけ、一つの苗を渡す。
「それを植えて育ててくれ」
「分かりました!」
俺は軽く狐耳を撫でてからその場を去る。
「黒ウサギ」
「何ですか?」
「レティシアを探せ。おそらく、ペルセウス関連だと思われる」
「分かりました。お任せ下さい」
さて、十六夜達を召喚するのは早い方が良いか?
いや、それまでに使える人員を増やしておくか。当分の食料は問題無いし…………レティシアは最優先確保したいし…………幻獣の捕獲もできたらやりたい。ここはサウザンドアイズに頼るか。
しばらく歩き、サウザンドアイズの支店が有る場所へとやって来た。
「すまないが、白夜叉は居るか?」
「居ません。おられてもノーネームの方を入れる事は規則で禁じられておりますのでお引き取り願います」
「そうか。じゃあ、白夜叉に伝言を頼む。黒ウサギを貸してやる代わりに少し手伝って欲しいと」
「畏まりました」
伝言を残して俺は箱庭から出る。そして、しばらく離れた荒野で王の財宝からニトクリスの鏡を取り出す。これは悪鬼や食屍鬼の姿が鋳込まれた青銅製の枠にはめ込まれている鏡だ。地獄めいた暗黒の世界を覗き見ることが出来るが、逆に鏡から出現するショゴスや他の魔物に襲われる危険がある代物。さらに奇妙なアラベスク模様に表面が覆われた、長さが5インチ近くある大きな銀の鍵を取り出して、ニトクリスの鏡の中に入れて開く。銀の鍵はその特性を利用することで、連なる時空の門を開くことができる。そして、俺はソロモンの指輪を付ける。そして、ゲーティア(ソロモン王の小さな鍵)を使用する。
「さて、どいつが出て来るかな…………」
しばらくすると、ニトクリスの鏡から大きなケルベロスにまたがった金髪の幼女が現れた。そう、その姿は正しく戦女神のナベリウスだ。
「…………誰? 私を呼んだのはお前?」
セリカと会う前か? 俺の体のせいでこのナベリウスになったのかもしれないな。
「そうだ。お前を従わせるつもりだ」
「そう…………やってみると良い」
「では、ルールは相手を屈服させるか殺すかで良いな?」
「うん」
ナベリウスが認めると同時に空から契約書類が降ってきた。
『ギフトゲーム名:“ソロモンの72柱の試練”
・プレイヤー:セリカ・シルフィル
・ゲームマスター:“ソロモン序列24番”ナベリウス
・プレイヤー側のクリア条件:“ソロモン序列24番”ナベリウスと戦い、対象を屈服させる事。又は対象を殺す事。
・ゲームマスター側の勝利条件:プレイヤーが勝利条件を満たせない場合。プレイヤーが死亡した場合。
・報酬:プレイヤーは“ソロモン序列24番”ナベリウス。
※舞台補足
・参加者はニトクリスの鏡から半径1km以上離れてはならない。
・主催者はニトクリスの鏡から半径1km以上離れてはならない。
宣誓 上記尊重し、誇りと御旗の元、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。
“ソロモン序列24番”ナベリウス』
「さあ、勝負だ」
「ケルちゃん」
ナベリウスの言葉にケルベロスを火炎を吹いてくるので、その場から即座に飛び退く。
「~~~~~」
ナベリウスがシャレになって無い魔法を詠唱しだした。そう、ナベリウスが詠唱しているのは深淵の暗礁壁と呼ばれるナベリウスのメテオ攻撃みたいな物だ。
「破魔の紅薔薇」
二メートルあまりの真紅の長槍ゲイ・ジャルグを召喚して、ナベリウスに投擲すると同時に俺も走り出して、飛燕剣をケルベロスに放つ。武器はダーインスレイヴ。
「沙綾身妖舞」
ケルベロスに対して超高速の六連撃を放って、ダメージを与える。
「スレイプニル!!」
そして、フェンリルおも拘束したスレイプニルでケルベロスを縛り付ける。ナベリウスはゲイ・ジャルグによって、魔法を無効化されたので、即座に無詠唱の落雷と炎球を放って来る。
「…………よくも…………ケルちゃんを…………」
「殺していないだろ。次、行くぞ…………刺し穿つ死棘の槍」
呪いの槍ゲイ・ボルグ。その真名開放の効果は因果の逆転により、相手の心臓に槍が命中したという結果を作り上げてから槍を放つという反則技だ。既にその結果が作り上げられているが故に大抵の防御・回避が無意味であり、ほぼ確実に命中する。
「甘い」
「天の鎖」
天の鎖は神を律すると謳われる鎖。伝承において神獣天の雄牛を捕らえ、絞め殺した鎖だ。つまり、これは数少ない対神宝具のひとつで、相手の神性が高い相手ほど制約・拘束力が高まる。神性を持たないものにとっては少々頑丈な鎖だがな。
「くっ、しまった…………あぐぅううううぅぅうぅぅっ!!」
つまり、魔神であるナベリウスに取ってはかなりの拘束力を発揮する。よって、先に放たれたゲイ・ボルグはナベリウスの心臓を貫く。流石に魔神だけあって、心臓を貫かれても死なないが。
「かはっ…………」
吐血し、背中から槍が生えたナベリウスに油断無く近づき、ダーインスレイヴで喉を斬って詠唱できなくする。これによって、このナベリウスが戦女神と同じならほぼ無効化出来たと言っていい。
「さて、これで終わりだな」
「キッ!」
睨みつけて来る幼女の額にソロモンの指輪の鉄の部分を付ける。ソロモンの指輪は真鍮と鉄でできており、良き魔神(天使)を使役する場合は真鍮の部位を、悪き魔神(悪魔)を使役する場合は鉄の部位を投げ当て、呪文を唱えるといかなる魔神も強制的に従わせ、あらゆる動植物の声までをも聞く力を与えてくれる。
「~~~~~」
唱えて行くと同時にナベリウスの瞳が虚ろになっていく。そして、だんだんとトロンとした顔になった時に完成する。
「さあ、契約だ」
「わかった…………」
ナベリウスと俺が主でナベリウスが下僕として契約を行う。契約方法はアレなので、服従して甘えてくるナベリウスをケルベロスの上でやってしまう。大半の魔力を貰うと契約が完成し、ギフトゲームも俺の勝利となった。さて、ここで実験だ。拘束したままのナベリウスを見ながら、ソロモンの指輪を外す。
「っ!? この…………こほっ、こほっ…………? 逆らえない…………」
しかし、直ぐに身体の力を抜いてしまう。本来、この指輪で契約すると外した瞬間、契約が解除されて襲われるのだろうが、今回はもう一つの契約が生きている。そう、絶対に順守される契約書類による契約だ。
「これからお前は俺の物だ。少し苦しいが、我慢しろ」
ダーインスレイブの治療の為に喉の部分をごっそりとえぐりとって、エリクサーで瞬時に身体を回復させる。そして、拘束を外してやると、服の裾を引っ張られた。
「言う事…………何でも聞くから…………ケルちゃんにも…………」
「わかってる」
ケルベロスの治療もしてやると、ナベリウスは嬉しそうにお礼を言って来る。
「…………ありがとう…………」
「ああ。お前達はこれから俺の大事な仲間だからな。気にするな」
「ん…………わかった…………でも、ちょっと待ってて…………タルタロス様に言って来る…………」
「わかった」
負けた事やケルベロスに傷をおわした事はもう良いようだ。治したからか?
まあ、従ってくれるなら問題は無い。ナベリウスは間違い無く、神格持ちだからな。対神装備を使ってなければ勝つのは難しかったかもしれない。だが、取りあえずは戦力ゲットだ。
ページ上へ戻る