紫天の主は管理局の少将
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チートあっても…………有るからこそ仕事は大変です
皆さんこんばんは。俺はしがない管理局員20歳だ。名前はアンリ・エーベルヴァイン。しがない転生者だ。俺が手に入れた転生特典は王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)。財宝有りで複製でき、かつ改造可能な力。もちろん使用可能だ。あとは樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)が脳内に有る事だな。だいたいこんだけだな。容姿は俺達に翼はないの京ちゃんの男番だ。ちなみに神にはあってないし、適当に決められた。容姿も身長もだ。
「くそ忙しい…………」
デスクに向かって演算能力をフルに使って仕事をしている。
「ほら、エーベルヴァイン少将。サボらないでください」
オレンジ色の髪の毛に水色の瞳をした小学生くらいの小さなメイド少女が俺に文句を言って来る。
「くそ、死ねばいいのに…………」
「いや、君の仕事が終わらないと、ボク達は動けないからね?」
「ヴェロッサ、仕事くれてやろうか…………?」
「いや、遠慮するよ」
ソファーに座って優雅に紅茶を飲んでいるこの男は知り合いだ。本名はヴェロッサ・アコース。時空管理局・本局査察部所属の査察官だ。数少ない古代ベルカ式魔法の継承者であり、それが原因で恵まれた幼少時代は送っていなかったらしい。が、本人はその片鱗さえも見せない明るくのん気な性格。信念や能力はあるのだが基本的にいい加減で、それは優しく穏やかな義姉・カリムと厳格な教育係・シャッハと共に幼少時代を過ごしても変えることが出来ずある意味器の大きい人物という評価を受けている。
「ほら、一応の申請書類だ」
「サンキュー。これでなんとかなるよ。持つべき物は友達だね」
「職権乱用みたいな物なんだがな」
「人の事言えるのかい? 彼女はそのさいたる物だろ」
「ふっ、独り身で彼女が欲しかったんだ。後悔はしていない」
「そうですね。初めは無理矢理拉致されたのですが、今は問題有りません」
「まぁ、御蔭でこんなやりたくもない地位にされて、毎日書類仕事だがな」
「はっ、はは。君のそのレアスキル樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)はかなり優秀だからね。本局は手放さないよ」
樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)があるせいで、管理局に入った瞬間…………いや、強制で入れられた瞬間、一佐の階級にされて数年。少将にされて完全に任さられるようになった。
「管理局は人材不足だからね。君の御蔭で古代遺物管理部はなんとかフルスペックで動けているらしいね」
「そうですね。エーベルヴァイン少将が古代遺物管理部のトップになって、雑務のほとんどを処理して、動きやすくなさっていますから」
古代遺物管理部はロストロギアの探索・調査・確保を任務とする部署。その任務上、選りすぐりの優秀な魔導師が所属するエリート部署である。俺はそこのトップに立っている。機動一課から五課までの仕事の割り当てをしたり、捜査情報を収集してまわしたり、申請された軍事物資を注文したり、またそれを割り当てたりと馬鹿みたいな仕事量だ。
「それで、機動六課を作るんだよな」
「ああ。うちのはやてが作るんだ」
「仕事を増やしやがって…………殺すぞ…………」
「まぁまぁ」
「わかってんの? 一課増やすだけで俺の仕事量は三倍だぞ」
「それでも、定時に終わらせる君は恐ろしいんだけどね…………普通の人なら100人ちょっとで一ヶ月かかる仕事を数時間で終わらせるんだから」
当然だ。嫌いな言葉はサービス残業。樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)と並列思考を使って、数十の至高で高速演算処理してようやく数時間だ。
「はっ! 誰が趣味の時間まで潰すかよ。それより、ヴェロッサ。ミッド地上でアインヘリアルとか勝手に作ってるけど、そっちの査察はいいわけ?」
「嫌、良くないよ! というか、何で知ってるんだよ…………」
「それはエーベルヴァイン少将…………ご主人様の趣味がハッキングだからですね」
「君も大概だが…………まあいい。申請書ははやてに渡しておくよ」
「挨拶に来るなら仕事を変われと言っておけ。俺は休暇を取る。例え上が拒否しようが、無視だ。ここ一年ちょっと、休みを取ってないんだからな」
「ここ半年は帰ってませんね」
「…………わかった。ちょっと本気で頼んでみる」
ヴェロッサがかわいそうな眼でこちらを見てきたが、自宅への転移ポートがこの部屋に無かったら絶対ボイコットしてる。
「休暇って、どこに行くんだい?」
「ミッド地上に海水浴だ。うちの子の一人が海に連れてけって五月蝿いからな」
「そうか…………そういえば、あそこに遺跡があるって話しだよ」
「おい、待てコラ。まさか、仕事として調べろと?」
「いや、それを理由に長期の休みとれないかなと…………」
「ふむ…………行けそうだな。よし、ヴェロッサ。はやてとやらに必要書類を一週間以内に揃えて持ってくるように言っておいてくれ。仕方無いから…………本当に本当に嫌だが、一ヶ月分の処理をしておく。休暇に入った後もしばらくはやらん」
「わかったよ。それじゃ、ボクは帰るよ」
「ああ。仕事を持ってこない限りは歓迎してやる」
「あははは…………無理だね」
「死ね。二度と来んな」
「それでは、またお菓子を期待しています」
「ああ。それじゃあね」
ヴェロッサが出て行ったので、俺はヴェロッサに充てていた思考をさっさと仕事に向ける。
「今日から泊まり込みですか?」
「そうだ」
「わかりました。コーヒーのおかわりはいりますか?」
「頼む」
「はい。しかし、レヴィやユーリも喜びますよ。ディアーチェもでしょうが」
コーヒーを入れながら話しを降ってくるシュテル。星光の殲滅者シュテル・ザ・デストラクター。彼女は闇の書の残滓が、闇の書の闇として復活するための魔力を集めるために生み出した三人の存在の内の一人。彼女たち以外の闇の欠片がオリジナルをコピーした時点までの記憶や能力しか有していないのに対して、3人とも独自の確固たる意思を持っている。クールで、非常に折り目正しく大人びた性格をしている。感情の抑揚をほとんど見せないが、淡々とした口調でかなり物騒な物言いをして周囲を凍りつかせることが多い。
他にも雷刃の襲撃者レヴィ・ザ・スラッシャーや闇統べる王ロード・ディアーチェ。そして、ユーリ・エーベルヴァイン。俺の苗字は彼女と一緒。祖先か何かだろう。彼女達は闇の欠片の時に拉致って紫天の書を宝具と同じように解析して魔改造を加えて俺をマスターに登録した。その時、紫天の盟主であるユーリも砕け得ぬ闇から開放してやった。それから、四人の主は俺だ。
「だといいがな」
「大丈夫ですよ」
もう結構長いこと一緒にいるので、関係は良好だ。不自由も一切させてない。金だけは腐る程有るからな。
「しかし、ご主人様はレヴィとユーリを甘やかせすぎです」
「そうか?」
「お菓子を買ってあげてばかり…………」
「別にいいじゃないか。金は使わないといけないんだからな。むしろ、仕事ばかりで溜まる一方なんだ。シュテルも欲しければなんでも買ってやるぞ」
「お小遣いという名の給料で充分ですよ」
「そっか。あっ、追加が来た…………」
「お手伝いしますね」
「頼む」
ホント、どうにかならんかね?
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