IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第261話】
――グラウンド――
一夏に遅れる事一分程、グラウンドでは織斑先生に言い訳をしている一夏が目に映る。
「……遅刻の言い訳は以上か、織斑? ……有坂も、随分とゆっくりやって来たものだな?」
腕組みし、険しい目付きで睨み付けてくる織斑先生のその表情に慈悲が無いのは確かで、言い訳をしても意味は無いというのもわかっているので――。
「申し訳ありません。 特に言い分等はありませんので……」
「ほぅ? ……随分と潔いな。 ……お前の処分は後だ。 織斑、もう一度言ってみろ」
とりあえず俺の処分は後回しにされ、先に一夏の言い訳を再度聞くようだ。
……てか、言い訳しても無駄なのだから大人しく懲罰受けようぜ、一夏……。
「その……ですね? 見知らぬ女生徒が――」
そんな言い分を遮るように、織斑先生は口を挟む。
「では織斑。 その女子の名前を言ってみろ」
「だ、だから! 初対面ですってば! ――そうだ! 確かヒルトはあの女生徒の事知ってたよな!?」
何かを閃いたのか、俺に近づいて身体を揺さぶる一夏――。
揺さぶられながらも、俺は一夏に言った――。
「なあ一夏……。 言い訳しても俺達が遅刻した事実は変わらないんだ。 大人しく懲罰受けよう」
……それに、言い訳すればするほど、昔一夏が言ってたが男が廃るって奴じゃ無いのかなと思うのだが……。
「……ともかく織斑、お前は初対面の女子との会話を優先して、授業に遅れたという事だな。 有坂も」
「ち、違っ――」
まさかのとばっちり。
遅れたので俺自身は言い訳するつもりは無いものの、一夏の飛び火が俺にまで燃え移るという始末。
後回しどころか、これは連帯責任というやつではないのだろうか?
更に、一夏の言葉に入り込む余地は無く、織斑先生が――。
「デュノア、ラピッド・スイッチの実演をしろ。 的はそこの馬鹿者と有坂もだ」
そんな織斑先生の言葉に、流石のシャルも――。
「あ、あの……織斑先生? ISの武器で生身の人を傷付けるのは――」
「私が許す。 いいからやれ」
流石にシャルも困惑し、俺に視線を移すと若干涙目になっていた。
「ぼ、僕には……出来ません。 ち、遅刻しただけでISの火器をヒルトに向けるなんて、僕には無理だよ……」
……まあそれが普通だよな。
幾らなんでも、流石にそれをシャルがやったら俺としても結構幻滅するし――と、山田先生が織斑先生に……。
「お、織斑先生。 確かに遅刻した二人に罰を与えるのは間違ってはいませんが、流石に生身の人にIS火器を向けての懲罰がバレたら織斑先生の責任問題になりますよ……」
あわあわとした表情で、何とか山田先生も今のを撤回させようとするのがわかる。
「……そうだな。 二人の肝を冷やしてもらうために言ったが……些か失言だったようだ。 ……だが、だからといって遅刻をして良いわけではない。 二人とも、グラウンド一周で勘弁してやる。 さっさと走れ!」
……何とか懲罰がグラウンド一周に変わった辺りは内心ホッとする俺だが、一夏は――。
「え? で、でも織斑先生……ここのグラウンド一周って確か二〇キロ――」
「何か言ったか、織斑? 用具室からバーベル担いでグラウンドを走りたいのか?」
「い、いえ! 行ってきます!」
流石にバーベルを担いで走りたくないらしく、脱兎の如くグラウンドを駆ける一夏。
「有坂も走れ。 何ならバーベル担いで走るか?」
そう告げる織斑先生の表情は実にSっぽく、まるで女王様の様だった。
こういう人に限って、えっちの時とかはMだったりしなくもないが……。
そんなどうでもいい考えはさておき、バーベルを担ぐ……か。
「……良いですよ? そっちの方が基礎体力上がりそうですし」
俺がそう告げると、流石に面食らった様な表情になる織斑先生だが、次の瞬間にはいつもの涼しげな表情に変化していた。
「ほぅ? ……なら試しに四十キロを担いで走ってこい。 男が一度言ったなら、それぐらい成し遂げてみせろ、いいな?」
「了解です。 では、用具室で担いでから走ってきます」
それだけを言い、俺は一旦用具室へと向かった。
用具室に何でバーベルがあるのかは、全く解らないがもしかしたらかつて誰かが担いだのだろうか……?
後書き
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