IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第266話】
前書き
短いです
SHRも終わり、放課後の三時四十分を過ぎた辺り。
女子の専用機持ち一同(篠ノ之も誘ったらしいが、断られたとか)は女子会で甘いものを食べにいく。
……まあ、セシリアの慰めというよりも反省点を踏まえての指摘と、甘いものを食べて気分を変えようという事だろう。
……そう提案したのは俺だが、男の俺が慰めるよりかはこういう時は女の子同士の方が良いこともあるしな。
そして現在、俺は一人で第三アリーナへ向かっていた。
落ちこぼれの俺は、こうやって毎日でも訓練しないと皆に追い付くのも難しい。
夏休みは、思ったほど訓練が出来なかった為ここからまた頑張らないと。
……と、突如後ろから声をかけられる。
「お、おっす。 ヒルト、今から訓練か?」
「ん? ……よぉ、理央か。 そうだけどどうした?」
慌てて駆け足で来たためか、少し息を切らせ、暑さからか頬が若干紅潮している栗原理央がそこにいた。
「んとさ。 お、俺達も久しぶりにISを借りれたんだ。 お、お前さえ迷惑じゃなかったら……一緒に訓練しないか? ほ、ほら、一人よりも皆でやる方が勉強になるだろ!?」
そう言って両手で握り拳を作り、ぐっと腕を引いて構えた。
赤いメッシュの入った前髪が少し乱れるが、そんな事もお構いなしに理央が言ってくるので――。
「そうだな。 なら今日は理央達と訓練するか。 他に誰が居るんだ?」
「ん? 宇崎にのほほんに鷹月だな。 ……てか俺達、今日篠ノ之に教わって一学期の復習してたんだけどさ……あいつ、教えるの下手くそだな。 おかげで俺達が一番遅く歩行訓練終わったし……」
溜め息を吐く理央――遠目だったから誰が誰かが俺にはわからなかったが、理央達が篠ノ之組だったのか……。
「そんな訳でさ、改めて俺達だけで訓練しようかなって話をしてたらさ。 何だか今日はヒルトと織斑と篠ノ之以外の専用機持ちが皆で女子会って言うから。 それなら今日はお前が空いてるって思ってな」
「成る程。 まあ断る理由も無いからな。 ……てか何気にのほほんさんも参加するんだな」
意外や意外。
いつも眠たそうなのほほんさんまで訓練に参加するとは思わなかった。
――と、理央が口を開く。
「あいつの志望は整備科だけど、整備する上でISに乗って色々学ばないといけない所があるんだってさ」
「……成る程。 目に見えない所でやっぱり頑張ってるんだな、皆」
「当たり前だろ? コネとかない俺達は少ない時間を有効活用しないとついていけないからな。 専用機は貰えなくてもさ、将来IS操縦者になる為には地道に頑張らねぇとな!」
ニシシっと笑顔を見せる理央に、好感を抱きつつ――。
「んじゃ、行くか? そういやまたパッケージとか借りたのか?」
「あぁ。 クアッド・ファランクス、申請したぜ!」
クアッド・ファランクス――確か前の大会で理央と宇崎の二人が使ってたパッケージだな。
……理央って、ああいうスタイルが良いのだろうか?
まあ確かに弾切れおこさない気はするが。
「大型パッケージか……厳しい模擬戦になりそうだ」
何となく吐いた弱音だが、理央は――。
「へへっ。 後、ヒルトは第三世代兵装禁止な?」
軽く笑顔を向けると、更に俺に制限を課してきた。
……まあ、理由はわかってるが。
「……構わないぞ。 使うと完封するしな、実弾」
クアッド・ファランクスの装備はほぼ実弾オンリーで、第三世代兵装を使えば完封されて相手にならないからだろう。
「そういう事! それだとヒルトも訓練にならないだろうしな! じゃあ早く行こうぜ? 機体搬入は皆に任せてあるからさッ!!」
夕焼けの太陽を浴びた理央の笑顔に、やれやれという思いで俺は後ろから着いていった――。
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