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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第270話】

 
前書き
ひーくん対のほほんさんの模擬戦 

 
 模擬戦第三試合、その前にちゃんとピットに戻ってシールドエネルギーの補充を完了した。

 ……せずに模擬戦を行うことも出来るが、それだとハンディキャップを背負った戦いになる。

 勿論、何人抜きとかを目指してやるのならそれもありだが、多分二人目辺りで終わりそうな気がする。

 ……話は逸れたが、第三試合の相手は――。


「やっほー、ひーくん~。 弱々だけどよろしくねぇ~」


 笑顔輝くのほほんさんは、その身に打鉄を纏っていた。

 マイペースながらも、彼女は何処と無く雲っぽい印象を受ける。

 掴み所がないという意味で――。


「あぁ、此方こそよろしくな?」


 のほほんさんに返事を返し、天狼を構える。

 ほわほわとした雰囲気を醸し出しながら、のほほんさんは近接ブレードを粒子形成化させる。

 だが……形成を終えた近接ブレードを掴み損なって、地面に落としてしまった。


「てへへ~。 失敗失敗~」


 舌を小さくぺろりと出して謝るのほほんさん。

 近接ブレードを拾ってぶんぶんと上下に振り回していると試合開始のブザーが鳴り響く。

 流石に三連戦という事もあり、少し精神的にくるものがあるものの――まだ多少の余力は残っている。

 ……とはいえ、のほほんさんの醸し出すほわほわとした空気は、何故だか戦意という物を削いでいく気がした。

 ……いや、削がれてもいいんだけどな。

 もともと人を殺すような武器でスポーツを謳っているのだから、まさしくどういう事?っという状態だ。

 疑問に思う子もいるし、そういうものだという子もいるのが事実。

 ――と。


「えいっ! のほほんさんの攻撃~~」


 いつの間にか接近されていて、構えた近接ブレードの重さによたよたとふらつきつつ、振り下ろすのほほんさん。

 紙一重でサイドステップで避けるものの、何で重さを感じてふらふらとふらつくのかが解らなかった。


「避けられた~。 ひーくん、避けちゃダメ~」


 そう言って振り下ろし、地面に突き刺さった近接ブレードを抜こうと両手で引っ張るが、これがまた【何故か】抜けず、「うーん、抜けないよ~」っと明らかに俺に助けを求めるのほほんさんの小動物の様な眼差しが――。

 頭をかき、流石に助けを求められたら断る訳にもいかず――。


「い、今抜いてやるから待ってなよ?」

「は~い。 ひーくん優しいから好き~」


 そんな言葉に、かぁっと頬に熱を帯びるのを感じながらも近接ブレードを手にすると、ハイパーセンサーに【error】が表示される。


「……のほほんさん、使用許諾出してくれるか?」

「はいは~い。 ポチッとね~」


 楽しそうな声と共に、近接ブレードの使用許諾が下りると柄を掴み、一気に引き抜く。


「おぉ~~。 何だかファンタジーでありそうな光景だね~」


 背後からパチパチと手を叩く音と共にそんなのほほんさんの声が聞こえる。


「はい。 次はちゃんと自分で抜けよ?」

「は~い。 ひーくんありがと~」


 抜いた近接ブレードをそのままのほほんさんに手渡す。

 ……没収すれば、のほほんさんは素手で戦わないといけなくなるが……。

 有利にはなるものの、そんな事をしても恥ずかしいだけなので俺はしない。

 ……と、またものほほんさんが。


「たぁっ! のほほんさんからひーくんに向けての会心の一撃~!」


 間延びした声と共に、またも振り下ろすのほほんさん。

 一応模擬戦の真っ只中なので、こういうのは卑怯とは思わない。

 バックステップで避けるも、切っ先が僅かにシールドバリアーに触れたのか、エネルギーが減少――。

 そして、振り下ろされた近接ブレードがアリーナの地面に当たると――激しき轟音と共に、大きく土が抉りとられていた。

 あまりの出来事に、何度も瞬きを繰り返し、目を白黒させる俺は今起きた現象が信じられなかった。

 だって……さっきは突き刺さっただけなのに、会心の一撃って言って振るった近接ブレードで土が抉りとられる程の一撃ってなかなか珍妙な光景って言っても過言ではないぞ?


「ひーくんまた避けた~。 避けたらダメ~」

「いや……攻撃されたら避けないとダメだろ?」

「てへへ~、それもそうだね~」


 邪気も無い笑顔に、模擬戦してるのかしてないのかが疑問に思ってしまう――と。


「……疲れちゃった。 ひーくん、参った~」

「へ? ……えと……?」


 突然の降参宣言に、試合終了のブザーが鳴り響いた。

 何か対して模擬戦を行ってもいないように感じるのだが……どうしたんだ?


「のほほんさん、どうした? 模擬戦まだ始まってそれほど時間はたってないぞ?」

「うん~。 でも……のほほんさんはガス欠~。 会心の一撃で疲れちゃったから甘いもの食べたい~」


 マイペースを貫き、両手で万歳しながら何かお菓子を思い描いてるのか、じゅるりとよだれが垂れそうになっていた。


「……ははっ、何だかいつもマイペースだな」

「えへへ~。 ……あ、模擬戦付き合ってくれてありがとね~。 ISの事、また少しわかったよ~」


 満足そうに笑顔で応えるのほほんさんに、苦笑しつつも三回目の模擬戦は終わった。

 マイペースなのほほんさんだが……何となく、これは彼女自身が演じてるのではと時折思ったりするが――杞憂といった所だろうな、これが。 
 

 
後書き
まともに試合してねぇΣ(゜∀゜ノ)ノ 
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