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BloodTeaHOUSE

作者:
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悪夢は闇鍋?

今日もホットミルクを飲んで、身長と胸囲のための努力をしてると、お客様が来た。
芥子色のダッフルコートに古びた革のトランク、キャスケット帽子の少年。多分ちょっと年上?
このお店じゃ、見た目は当てにならないから、人間かどうかもわからない。

「珍しいね。キミは人間だね? ぼくはキリー」

なんて、人懐っこい笑顔で私に話しかけながら、彼はカウンターに座った。悪い人じゃなさそう。
この前、街で出会った綾瀬祐二と名乗る人に比べれば、全然安全そう。

いきなり、「お腹が減っているんです。だから、貴女を食べさせてください」なんて、
思わず走って逃げっちゃったけど、あれは怖かった。
すごく普通の学生に見えたのに、目の中は真っ暗な闇みたいで、あのままだったらホントに食べられてた。

お店以外で人外に出会うの初めてだったけど、んごーもああやって人間たちに紛れてるのかな?

「あ、はい。人間です。えっと、香澄っていいます。キリーは人間じゃないの?」
「ぼくはね、(ばく)なんだ。獏って知ってる?」

なんてのんきな笑顔で話す。獏って、えーと‥‥夢を食べるんだっけ?
たしか、四本足で、牙があって、角が生えてた、ような気がするんだけど‥‥間違い?
人の姿をしてる、なんて聞いたことないんだけど‥‥って首をかしげてると、

「彼の食事は悪夢だそうだよ」
「そ。ぼくは悪夢を食べるんだよ、キミの悪夢はどんな味なのかな?」

なんて、にこにこしながら言う。その、すごく失礼かもしれないけど、説得力がないよ。
だって‥‥ドーナッツを頬張りながら言うんだもん。
甘いものが好きな悪夢を食べる人の姿の獏‥‥

甘いものが好き=人の姿は、OKだし、悪夢を食べる=獏も、まぁ繋がる。
でもその間が=で繋がらないよね。不思議な人(獏?)だなぁ‥‥

「なぁキリー、悪夢ってどんな味なんだ?」

裏子は珍しい食べ物には目がないから、早速そんな質問してる。
悪夢の味ってどんなのかな?なんて想像してみる。
夢はよく見るけど、起きてからも怖くってたまらないような悪夢ってあんまり見たことないかも。

風邪をひいて熱が高い時にだけ見る悪夢はあるけど、それくらいかな?

「悪夢の味は表現が難しいな。そうだね、例えるなら闇鍋かも」
「くぅ~~~~っ!!食べてみたいな~~!」

羨ましそうな裏子と楽しそうなキリー。なんだかいいコンビだね。

「飛白は悪夢を見たりすることってある?」
「僕かい?どうだろう‥‥起きた時には覚えてないことが多いかな」
「そうなんだ?私は覚えてることが多いよ。悪夢じゃなくて変な夢ばっかりだけど」

「以前話してくれたような夢かい?」
「うん、いつもトンデモ設定なんだよね。スパイだったり変な街だったり」
「なかなか楽しそうだね」

前に見た夢の話をしたことがあったけど、私の夢は変なものばっかりなのだ。
場所がジャングルだったり、砂漠だったりと、まず身近な景色は出てこないし、
その上自分や周りの人間の設定がトンデモなのだ。

「そうでもないよ~。精神疾患のシリアルキラーだって追いかけられたりすると大変なんだから」
一番最近の変な夢を思い出してしまった。あれも逃げ回って大変な目にあった夢だけど、
悪夢‥‥とはちょっと違うんだよねぇ。

「香澄ちゃんが犯人なのかい?」
「犯人風味、なの。いつも殺人の瞬間は絶対夢に出てこないんだよね」
「それは普通、容疑者って言うんじゃないのかな?」
「この前のは違ったよ。既に逮捕されて刑務所の中だったもん」
「ぷっ 君が刑務所に? そ、想像できな‥っ‥っ」

そんなに笑うほどおかしかったかな?飛白は肩を震わせて笑ってるけど。

「それは悪夢の話かな?」
「それが違うんだよねぇ~‥‥」

キリーも話に混ざってくるから、その夢の話をする。

私は精神疾患のシリアルキラーで、鉄格子のついた隔離病棟みたいなところにいた。
ただし、殺人の記憶はあやふやで、10人以上殺してるらしいって認識。
見回りをするのは白衣の人数名と、警備の人数名。
研究対象であり、治療対象でもある私なんだけど、狭苦しい病室が嫌で脱走を企てた。

見回りの隙を突いて、施設の屋上から空に逃げ出した。
空を飛べたのなら、それで脱走成功なんだけど、体が浮くだけ。

泳がないと進まないし、休んでると高度が下がるしで、
白衣の人と警備の人が走って追いかけてくるのを、空を泳いで逃げる私。

私が泳ぎ疲れるのを狙いながら追いかけてくるから、あんまり休憩できないけど、
高いところにいるから、向こうも捕まえられないという、
なんともシュールな展開になって、建物の屋上に隠れて休憩したり、
見つかってそこからまた空に逃げたりと、起きた時にはあまりに間抜けな展開と
殺人犯のくせに堂々と空を飛んで逃げる緊張感のない脱走に、自分でちょっと呆れてしまった。

「‥‥‥なかなかに独創的な夢だね」
「あははっ、おもしろいね。味の気になる夢だなぁ」
「普通逃げる夢ってもっと必死になるでしょ?」
「そうだね、ぼくの食べた悪夢に逃げてる夢もあったけど、みんな必死だったよ」
「わたしの夢って逃げる時はそういう緊張感がないの」
「それは確かに‥‥悪夢とはちょっと違うだろうね」
「どっちかっていうと楽しい夢だね!」

「香澄は怖い夢って見ないの?」
「病気の時は見るよ。すごく怖くて、嫌な夢」
「その時はぼくに食べさせてよ」
「‥‥1度食べられた悪夢は、もう見なくなるの?」

もしそうだったら、なんだかちょっと怖い。心の一部が食べられちゃうみたいだよね。

「そこまでのアフターケアはできない。ぼくが食べるのはその時の悪夢だけ」
「それだったら食べてもいいよ」
「悪夢を見なくすることはできないのに?」
「夜に見る夢だって、わたしの一部分だもん。全部食べられちゃうのは嫌だよ」
「へえー、キミって変わってるねー」
「感じる心を大切にするのは、香澄ちゃんらしいと思うよ」

飛白にくしゃりと頭を撫でられて、ちょっと照れくさい。

「それよりさ、せっかくだから闇鍋に挑戦してみない?悪夢の味に似てるかもしれないよ」
「えっ!そ、それは、その‥‥」
「香澄ちゃんは人間だから悪夢の味は体験しない方がいい」
「人間が食べられないものは入れないから食べてみろよー!」
「裏子ちゃん、彼女を殺す気かい?」
「なにおー!意外とウマいんだからな!なんだったらアタシも食うぞ!!」

ごめん、裏子‥‥裏子スペシャルはともかく、闇鍋だけはできればずっと遠慮しておきたい。













 
 

 
後書き
今回紹介したのは2体のゴースト。
最初にちらりと出てきた”ばけもの”の綾瀬裕二。
好きなんですが、お店に来そうになかったので、街での遭遇にしました。
インストールしたら、最初はぜひ彼に食べられてみてください。
配布元はこちら http://ukagaka.doumeki.com/
お店に来たのは”夢喰い獏と君のお話”のキリー
配布元はこちら http://hello.pv.land.to/
キリーはBTHと会話してくれるので、楽しいです。
まだ付き合いが浅いので、好感度イベントは全然こなせておりませんが‥‥
だってBTHと同時起動が多いから‥‥そうなると飛白を構うから‥‥

相変わらずキモいですね‥‥orz 
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