IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第479話】
前書き
前半は原作、後半からはイルミナーティの戦いを少しだけ
既にISスーツを着ていた俺は、自分達の待機するピットへと向かう筈だったのだが――。
「……何でわざわざ一夏の着替えに付き合って第四アリーナまで走らないとダメなんだよ。 てか着込んどけよ」
「仕方ないだろ、まさか第一試合だなんて思わなかったんだし」
そんなやり取りを続けていると、後ろから声をかけられた。
「有坂くーん、織斑くーん」
何かの紙を握り締め、駆け足でやって来たのは新聞部の黛薫子さんだった、走った為か額に僅かに汗が滲んで見える。
「どうしたんですか? 俺、これからヒルトと一緒にISスーツに着替えに第四アリーナまでいかなきゃいけないんですけど」
無理矢理連れ去ったのはお前だろうと抗議の眼差しを送るが、一夏はいつもの様なスマイルを黛さんに見せるだけで俺には気付いていない様だった。
「これこれ、今回の大会のオッズ表なんだけど」
言ってから折り畳まれていた紙を開くと、賭け率断トツ一位が楯無&未来ペアだった、次点がダリル&フォルテ、三位がシャル&ラウラ、四位にセシリア&鈴音、五位に美冬&美春だった。
因みに最下位は俺と簪ペア、オッズ表も競馬なら百円で万馬券になるほどの倍率だ――理由は俺自身が第二世代の専用機というのと、簪の実力が未知数なのに加えて、最近の噂も響いてるのだろう。
「俺と箒は六位かよ……まあ、ヒルトには勝ってるけどな」
それが嬉しいのか若干勝ち誇った表情を見せる一夏、五十歩百歩という言葉を知らないようだ。
「あ、後ね、これは前々からとっていた集計表なんだけど……IS専用機個人ランキングの順位」
そう言ってスカートのポケットから折り畳まれてた紙を取り出し、見せてくる。
一位は楯無さん、まあこれに関しては当たり前だろうし特に違和感無し、続く二位はダリル先輩、これも三年生というのもあって特に問題ないが三位が何と未来の名前が上っていた。
四位はフォルテ先輩、そして五位に篠ノ之の名前が上がっていた――理由は機体が第四世代だからという理由が圧倒的で、投票した人の多数は匿名希望と書かれている。
……まあ、突っ込みは良そう、頭が痛くなるだけだし。
続いて六位にラウラ、七位にシャルと続き、八位に美冬の名前があった。
ラウラ、シャルは順当だがが八位だったのは嬉しく思う――まあ、学園内の統計だが。
そして、九位――有坂緋琉人。
思わず目を疑う、俺がまさかランクインしてるとは思わず、何度か再確認までしてしまった。
投票してくれた人のコメントには、最近の急成長に驚きを隠せない、入学したての頃から比べると一年の中で一番の成長株は彼だろう――と、匿名希望さんのコメントが載っていた。
正直嬉しく思うのだが、逆に九位というのも妙な感じがした。
十位は鈴音、十一位はセシリア――二人に関してはアクシデントもあり、大会で思う結果を出せてないのもあるのだろう。
十二位に更識簪、日本の代表候補生だがいかんせん低いのは最近まで機体が無かったのと、『噂』も要因だろう。
そして、一夏が十三位――。
「げ、俺って十三位かよ……ヒルトより下じゃん……」
ガックリと肩を落とす一夏、コメントにはこう書かれていた。
守る守るって言ってる割に、守られてる存在――訓練の成果が出てない点もマイナス、大人しく篠ノ之箒じゃなく、上級生に教えを乞う方が良くない?――との事。
そして最下位は美春、というのも実力未知数なのも要因だろう。
各人に対して様々なコメントが有るものの割愛させてもらおう――篠ノ之に関しては機体の事ばかりのコメントしかないし。
「織斑くん、落ち込んでる所悪いけど試合前にコメント頂戴! 今から全員分行かないといけないから、私忙しいのよ! はい、ポーズ! 有坂くんも!」
呆気に取られてる間に写真は二人分撮られた――行動力のある先輩だなって思っていると――。
「はい、写真オーケー! それじゃあ二人ともコメント!」
言われ、呆気に取られたままの俺より先に一夏が応えた。
「え、えっと……精一杯頑張ります!」
「もう、ダメダメー! 目指すは優勝! くらい言って見せてよ! だから十三位なのよ!」
「うぐっ……」
傷に塩を塗り込むとはこの事か、ガックリ膝から崩れ落ちる一夏を放置し、黛さんは――。
「次は有坂くん! コメント――」
そう言った矢先だった、学園全体が揺れるような衝撃が襲ってきた。
「な、何――きゃあっ……!?」
何度も続く振動に、姿勢を崩して倒れかかる黛さん。
「っと、先輩……大丈夫ですか?」
「あ……」
咄嗟に腕を掴み、抱き寄せる俺――一夏は落ち込んでいた体勢もあってか特に大事な様子はなかった。
「あ、有坂くん……は、離してくれる……かな」
胸に顔を埋めたままの黛さんからの訴えに、俺は彼女を解放した――それがきっかけになったのか廊下の電灯が赤色へと変化し、辺りに浮かぶ投影型ディスプレイには『非常事態警報発令』の文字が浮かびがっていた。
『全生徒に告げる! 直ちに地下シェルターへ避難しろ! 繰り返す、直ちに地下シェルターへ――きゃあああっ!?』
緊急放送をしていた先生の声が突然切れると同時に、また大きな衝撃が何度も何度も学園全体を揺らした。
「な、何が起きてるんだ……この学園に!?」
一夏の言葉通り、何が起きてるのか状況把握の出来ない俺は黛さんに――。
「先輩、直ぐに近くのシェルターに退避を!」
「う、うん。 ……気を付けてね、二人とも」
まだ揺れるなか、通路の壁に手を当てて慌ててシェルターへと避難を始めた黛さん。
チャネル通信を開くも、何かの妨害電波が邪魔をしてるのか誰に対しても繋がる事は無かった。
「ちっ……外部連絡用の電話もここには無いし……」
舌打ちする俺――と、コア・ネットワークを通じて誰かの叫びが聞こえた気がした。
居ても立ってもいられず、俺は廊下を駆け出す。
「お、おいヒルト! どこに行くんだよ!?」
一夏のそんな声を後ろに受けながら、自身の直感が示す方へと駆けていった。
学園襲撃が始まる少し前、上空二万メートルの地点では既に戦闘が開始されていた。
その総数は優に三十機以上、二十機程は学園への降下を許してしまった。
「あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」
『!?!?!?』
高速回転する刃がISの機体を両断。
まるで返り血の様に刃はオイルまみれになり、染まっている。
そのまま鮮やかな剣捌きで機体を細切れにすると、残った破片も地上落下を阻止するためにライフルで消し炭へと変えた。
『――――――』
「あぎゃ? 簡単にはやられねぇぜ、俺様はッ!!」
背後を狙う一撃を避け、頭部にソバットを浴びせると同時にフリューゲルを展開、エネルギーの刃が形成され、間断なくISを切り刻んでいく――一方。
「ふっ……此方側の無人機はこの程度の性能なのか?」
『――――――』
三機の刃を悠々と自身の展開した大剣で受け止める漆黒の機体――その大剣は片刃で、初期に開発された大剣に似ていた。
そのままその大剣で三機の刃を弾かせると、片刃の反対側の装甲が開き、エネルギー粒子の刃が形成され、両刃の大剣へと姿を変える。
「……行くぞッ!!」
背部装甲が開き展開され、白銀の粒子が放出――爆発的な加速力を得ると一気に肉薄した。
防御体勢に移行する無人機――白亜の光刃は、シールドバリアーを崩壊させ、そのまま胴を寸断。
上半身と下半身に別れ、機体は紫電を放ち爆散――爆炎を突破し、更にもう一機に迫る。
『――――――』
周囲に居た無人機の警戒レベルが一気に上昇――無数のシールドビットが漆黒の機体を阻もうと立ち塞がる。
――だが、機体は止まる所か尚も加速、そして。
「……イージス、展開!!」
不可視の障壁が機体前方に張られる――その障壁に当たったシールドビットは、まるでビリヤードの球の様に弾け飛び、シールドビットが四方へと散らばると道が開けた。
其処からは一秒も掛からずに無人機を両断、まるでバターナイフでバターを切り取る様な切れ味を見せていた白亜の光刃――その威力はまるで零落白夜の様だった。
「あぎゃ……! 一撃かよッ!!」
カーマインは思った――いつか、この男とも戦ってみたいと。
更に立て続けに二機、白亜の光刃を纏った大剣で両断していく中、カーマインも負けじと迫り来る無人機群に対して攻撃を仕掛けていく。
次々と上空二万メートル地点で無人機をイルミナーティの二人が撃破していく中、IS学園上空で、一人の男の戦いが始まろうとしていた。
後書き
多分大分数を盛ってるよー
盛りたい御年頃なので
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