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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第485話】

 
前書き
お待たせた 

 
 時間は遡る事少し前――。


「……!? 有坂くんの機体反応がロスト! 織斑先生っ!?」


 IS学園地下特別区画、避難誘導を行っていた教師一同がそこに集められ、各セクションのロック解除に追われていた。

 本来なら戦闘教員が介入、事態の鎮圧という流れなのだが準備中にシステムをロックされ、機体の搭乗すら出来ず苦虫を潰した様な表情を浮かべていた。

 ヒルトの機体ロストを伝えたのは一組副担任である山田真耶、投影ディスプレイには各専用機持ちのバイタル表示の他に機体ステータス等が表示されていた。

 だが、ヒルトの所だけがロストの表示――有坂真理亜は奥歯を噛みしめ、内心穏やかではないものの各セクションのロックレベルの低い箇所を手当たり次第アクセスしていた。

 ヒルトがやられた事によって、織斑千冬は一つの決断をした。

 暮桜の封印を解く――その決断を、だが……そうなるとあいつの思うつぼになる。

 だがそうも言ってはいられなかった、学園での予測外事態の対処における指揮は織斑千冬に完全に一任されているのだから。

 生徒の一人の危機も救えずに何が【ブリュンヒルデ】だ――そう思い、千冬が口を開こうとしたその時、有坂真理亜が真っ先に口を開いた。


「織斑先生、ヒルトなら大丈夫ですよぉ」

「……っ、しかし……」

「大丈夫、大丈夫、ですからぁ」


 にこっと笑う真理亜だが、僅かに唇が震えてるのを千冬は見逃さなかった、自分の息子が命の危機に晒されてるのだ、完全に平静を装える筈がない。

 ――と、ここで真理亜がロックの解除に成功した。

 だが其処はイザナギのある整備室と一年生生徒が避難しているシェルター、及び三機のISのロックだけだった。

 真理亜は迷った、大人である自分達が戦うのではなくまだ子供である――それも一年生に戦わせるのに抵抗があった。

 だが、一瞬の迷いは全てを危機へと陥れるという事を真理亜は知っていた。

 管制マイクを取り、千冬の方へと振り向くと――。


「……許可する、いざとなったら私が出る」


 それだけを告げると、千冬も他のセクションのロック解除を行い始めた。


 ――地下シェルター内部――。


 何度か振動が地下シェルターを揺らし、中に居る一年生一同不安が過っていた。


「ま、また襲撃だなんて……」

「う、ぅん……。 今戦ってるのって、織斑くん達だけなんでしょ……?」

「そうらしいけど――キャアッ……!?」


 衝撃に揺れる地下シェルター、その度に一年女子は悲鳴を上げた。

 基礎訓練や戦闘訓練はすれど、こういった危機的事態の訓練等は想定していない、IS学園にこれ程まで襲撃や事件が集中したこと等これまで無かったからだ。

 ――と、ここで投影ディスプレイに明かりが灯り、暗い地下シェルターを照らした。

 次に映し出されたのは有坂真理亜の姿だった、それと同時に地下シェルターの開閉ドアのロックが外れた。


『いきなりごめんなさい、有坂真理亜です。 ……今、学園は襲撃されています』


 そう告げる真理亜の表情は暗かった、これから戦いに女子生徒を送り出さないといけないのだから、それも……絶対防御が発動しない危険な戦場へと。

 今現在の状況を簡素に説明する真理亜、ヒルトの機体がロストし、その救援の為に向かってほしい……と。

 勿論真理亜自身は無理強いはしない、怖いのは誰もが思うことであり、一年生に酷な選択を迫っている事実も認識していた。

 現状説明を終えた真理亜、静まり返る地下シェルター内……各々が命の危機が迫ると知って手をあげる者は出てこなかった――だが、静まり返った地下シェルター内で一人の女子生徒が手を上げた。


「……私が行きます」


 セラ・アーカニアンだった、死ぬかもしれないという現状の中、彼女の決意の眼差しは本物だった。


「……しゃあねーなぁ。 ヒルトの危機なら、俺達が助けるしかねぇだろ、なあ、玲?」

「おー? 勿論だー、ヒルトを助けるぞー!」


 栗原理央、宇崎玲の二人も志願、セラが立ち上がったから決意した訳じゃない、彼女達もヒルトには世話になっている。

 死の恐怖は感じるものの、いつもの様に戦えば大丈夫――理央自身そう心に言い聞かせていた。


『……ありがとう。 ……三人とも、ヒルトを頼むわね?』


 ディスプレイの画面が切れる、それと同時に決意した三人は急ぎロック解除されたISの元へと向かった。

 一方の真理亜はイザナギの置かれた整備室を直ぐ様チェックする、ヒルトが簡単にやられたとは限らない、機体を失っただけならば【新たな誰かを守るための力】を渡さなければいけなかった。

 チェックを終え、機体の異常等が無いことを確認するや遠隔操作でヒルトの元へと向かうプログラムも実行した――。

 そして現在、駆け付けた三機の機体は深紅の機体と交戦していた――。


「――――――」


 深紅の機体の両腕に備わった三枚刃による連撃を軽やかなステップと身のこなしで避けるセラ・アーカニアン。


「…………ふふっ」


 微笑を溢し、まるで舞台上で舞うプリマドンナの様な鮮やかな回避、ひらりと舞い、空へと躍り出て一撃を避けたその瞬間を狙った両サイドからの苛烈な銃弾が深紅の機体に襲い掛かった。


「ヒャハハハハッ! 鉄屑に変えてやんよォッ!?」


 宇崎玲がそう叫んだ、構えた長大なガトリング砲の無数の弾丸が相手を襲う、堪らず回避行動を行うがそれを読まれた栗原理央による射撃が襲い掛かる。


「ヒルト! 今のうちだッ! 早く新型を受領しろッ! こいつは俺達が抑えてるからッ!!」


 轟音が轟き、ロケット弾が直進していく――だがその一撃は新たに現れた黒い機体のシールド・ビットが阻んだ。

 新たな増援を見た飯山未来が叫ぶ。


「あの機体は任せてッ!! ヒルトは早く新型を――イザナギをッ!!」


 飛翔し、未来は新たに現れた機体との一騎討ちに挑んだ。

 俺は破壊された打鉄の横を抜けていく――破片散らばる地表に時折足をとられながらも、俺は鎮座し、搭乗者の受け入れを待つイザナギの元へと向かう――だが、そこにもう一機残った機体が立ちはだかった。


「――――――」

「っ……く……!?」


 左手を翳す漆黒の機体、その砲口は俺を捉えていた――。


「……ヒルト君を、やらせないッ!!」


 その言葉と共に現れた新たな機影、打鉄を身に纏った鷹月しずねの一撃がその砲口の狙いを外させる。


「しずね!?」

「ヒルト君! ここは抑えるから早く……ッ!」

「あ、あぁ!!」


 交戦を始める二機の合間を抜け、俺はイザナギの元へとたどり着く。

 そして俺は、イザナギの装甲に触れた次の瞬間、目映い閃光がイザナギと俺を包み、脳内に軽い金属質の音が響いた。

 村雲・弐式の時以上の一体感が全身を包んだ時、俺の身には新たな機体、【イザナギ】の装甲が身に纏っていた。

『搭乗者確認――有坂緋琉人。 これより、フォーマットとフィッティングを開始します』


 そんな機械音声と共に表示されたのはまだフォーマットとフィッティングの完了するまでの時間表示だった。

 セシリアとの初めてのクラス代表決定戦を思い出す、だが懐かしんでいる場合ではない。

 俺は直ぐ様武装の確認をするが――表示された武装の全てが使用不可と表示されていた。


「……完全に素手か、だが……やるしか――」


 そう呟く俺の視界に見えたのは雅にインストールされていた様々な武装だった、それも粒子展開された状態で地表に落ちている。

 もしかすると雅が最後の力を出して武装の全てを解放したのかもしれない。

 痛みがまだ全身を駆け抜ける中、俺は手近にあったギガント・マグナムを装着する――だが、ハイパーセンサーにはerrorと表示され、ギガント・マグナムが使用出来ないという事態に。

 だが、それも束の間、『強制使用許諾システム』が発動され、ギガント・マグナムの使用が許可され、その巨大な拳がイザナギの手に填められた。

 これで少しは戦える――俺はそう思うと真っ先にしずねの救援に向かった。 
 

 
後書き
若干話が粗くなってるかも、たまにブラッシュアップしながら続きをかきますん 
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