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人間の魔王は罪の象徴を力とする

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プロローグ

「と言う訳でよろしくお願いします」
「何がだよ」

思わずツッコミを入れてしまったが、これは仕方ない。

俺の名前は◼︎◼︎◼︎◼︎。何処にでもいる?しがない虐められっ子である高校生だ。ただ、虐める人が会う人全員という理不尽でなければな。
信じられるかい?初対面の人に俺殴られるんだぜ?初 対 面(・ ・ ・)でだぜ。しかも、老若男女問わずな。よくこんなんで人間不信にならずに、真面目に学校に通えるなんて、ある意味奇跡だわな。まぁ、これもそれも今は亡き二人の両親のお陰なんだがな。ま、元々俺がぶっ壊れていたのも否定はしないが。

そんで色んな人に、家に石を投げられたり、俺に石を投げられたり、持ち物を投げられたり、蹴られたり、ぶん殴られたり、金を盗まれたり、危険な薬品をかけられたり、目を潰されたり、陰茎を削ぎ落とされたり、腕や足を折られたり、爪を剥がされたり、工場の汚染液を頭からぶっかけられたり、火をかけられたり、集団でありとあらゆる物を根こそぎ奪われた。
そして、遂に俺の命は消えて死んだ。今でもあの感覚は覚えている。全身から力が抜けて、温もりがなくなり、冷たさだけが残る感触。その冷たさにどれだけ喜んだか。ようやく世界と言う名の地獄から解放されると考えたら、喜びしか感じなかったね。

そして、意識がなくなったと思ったら、なんか幽霊みたいになっていた。
人には見えなくて、物にも集中しないと触れる事ができないそんな状態だった。あ、後、足は無くて、まさに漫画やアニメみたいな幽霊のチョロンとしたのがあった。勿論服も幽霊っぽい白い服だった。
いや〜、幽霊なんて信じたいなかったけど、本当にいるんだね。

そして俺はある事を思い付いた。これ、もしかして今までの仕返しみたいなのが出来るのではないか?
俺は意を決して始めようとした矢先に、天使みたいな奴が現れて、俺は何処か知らない場所に連れて行かれたのだ。

そして、冒頭に戻る。

「そこのお前、何が何だか分からんが、先ずは説明をしろ、説明を。小説の中じゃあるまいし、そんな以心伝心出来るか」
「申し訳ありません。どうやら此方も急ぎ過ぎたようです。いきなりの展開でお慌てになっているかもしれませんが、落ち着いてください。この現状について、説明なさる方がもう少しでいらっしゃるので、少々お待ちくd」
「やっハロー!」

………ま、そういう事で納得はしよう。
さて、説明する奴と言うのが来るまでゆっくりと待つか。幸い死んで時間は有り余るし。

「え、無視、無視なの?なんで私の事無視するの?」
「…そう言えば、その説明する奴って誰なんだ?」
「はい、一応、一 応(・ ・)、不本意ながら、不本意ながら(・ ・ ・ ・ ・ ・)、私の上司が説明をします」
「え、君、そんなに私の事嫌いだったの?あれ?私なんか君に悪い事したっけ?おこなの?激おこなの?激おこぷんぷん丸なの?ムカ着火ファイヤーなの?カム着火インフェルノーォォォオオウなの?激おこステイックファイナリティぷんぷんドリーm」
「黙れ、幼女!!」
「ここまで言ったのなら、最後まで言わせてよ!!」

いや〜、こんな冗談を言い合うなんて、年単位で久し振りだわ。

「私が一方的に虐められているだけだよね?!冗談し合うなんてレベルじゃないよ!」

何を言ってんだか、ここに居る時点で冗談みたいな存在じゃないか。

「理不尽!でも正しい!」
「ロr…コホン、主様、そろそろ本題へと移られては?」
「今ロリって言おうとして………、ハァ、もう良いよ。えっと、用件だけど、今回、君を違う世界に転生させる事が決まったから」

………くぅ…。

「ちょ、ちょっと!イキナリ寝ないでよ!現実逃避しても無意味だよ!」
「現実逃避なんかしてねぇよ。自己紹介もしていない、怪しい幼女と男の話なんか聞く耳も持たんわ」

こう言って、初めて幼女はハッとして、慌てた。ハァ、これだから幼女は。

「幼女関係ないし!」
「幼女だから、考えが足りんのだろ」
「………私の名前は、ゼウス。で、こっちにいる天使が私の部下であるミカエル」
「よろしくお願いします」

………ひとつだけ言わせてくれ。

「何?もしかして、有名な神様に会っちゃって、驚いてる?フフン!私の身体から溢れ出てくる神のカリスマオーラが自然と崇拝の気持ちを起こさせてしまうのね!あぁ、知らず知らずに全てを魅了してしまう私って、罪なオ・ン・n」
「バカじゃねぇの」
「罵倒された!!」

当たり前だろ、幽霊やら、転生やら、天使やら、神やら、ゼウスやら、色んな宗教や神話をごっちゃ混ぜにするのも大概にしろよ。信仰して人や、神話を描き、紡いできた人達に土下座しろ。

「何よりもゼウスと言う偶像に謝れ。『私がゼウスで悪ぅございました』ってな」
「偶像に謝るの?!酷い!」
「取り敢えず、今はそれについて話すのはやめましょう。兎に角、貴方には、今まで生きていた世界とは違う世界に行って頂きます」

………それは強制なのか?モウイチド、オレニアノジゴクヲ、アジワエトイウノカ?ア?

「おおおおおおお落ち着いて下さい!ああああああああの様な事はもう二度とないという事を断言しますので!それについての説明も致します!」

ホントウダナ?

「ハハィィィィィィ!!」

ならオッケーだ。

「ほっ…、そ、それではこれから説明をします。なお、一度しか説明しないので、よく聞いてくださいね」

わかった。










取り敢えず簡単に纏めると、自身の存在をベースとして、エネルギーに変換して新しい体を作り、今まで住んでいた世界とは違う世界に行き、生活する。

そして、今から行く世界は、俺がいた科学が発展した世界とは違い、魔法という架空が発展した世界である。そして、魔物と言う危険な生物が存在しており、元いた世界より、危険が多い事。盗賊や海賊、暗殺、奴隷などもあって、魔物以外でも生命の危機がある。それらを討伐する冒険者という何でも屋みたいな職業もある。また、彼等が一攫千金を夢見る迷宮もある。

次に国はそれぞれ大きく四つに分かれていて、貴族制度があるアスラン王国、軍事国家であるリガーネ帝国、宗教の色が濃く勇者を多く輩出するエネルス教国、そして、獣の特徴を持つ獣人が中心で編成されたガルディアン獣王連合が主である。あとは、精霊や自然に好かれているエルフやダークエルフ、ハイエルフが住んでいる精霊の森や、様々な竜や竜の特徴を持つ竜人が住んでいる竜神の山、家事が得意なドワーフ達が暮らしている地底、魔物のレベルが異常に高い魔物がいる魔族が暮らす領域である魔大陸、所々に魔物や魔族から進化した魔王と言う職業を持つ勢力が何勢力かいるくらいだ。

そして、この世界の金は、金貨、銀貨、銅貨の三種の硬貨に分かれており、更に硬貨の表の模様で種の模様のシード、草の模様のリーフ、花の模様のフラワーに細かく分かれている。
其々、一シード銅貨が十円の価値に相当し、それから順に一リーフ銅貨が百円、一フラワー銅貨が千円となっており、それから一シード銀貨が一万円となり、銅貨と同じ様になる。また、金貨も同じく千万円からはじまる。
因みに、硬貨は世界全国共通である。

更にこの世界にはステータスというものがあり、誰もが念じるだけで自身の情報を見る事が出来る。
その中にスキルというものがあり、其々にランクというものが存在する。ランクは、最悪級(モスト)劣化級(レッサー)普通級(ノーマル)上質級(ノーブル)希少級(レア)固有級(ユニーク)伝説級(レジェンド)神話級(ミソロジー)幻想級(ファンタズマ)
の順で強力である。
そして、会得しているスキルの構成に応じて、職業も教会で自由に変更が可能である。なった職業応じて様々な補正や恩恵を得る。

「…と、こんな所か?ま、かなり長い纏めになったが」
「そうですね。大体そんな所です。他にも細かい所はありますが、それは転生と同時に細かい一般常識を送るので安心してください。他に質問はありますか?」
「特に無い」
「………それではステータスと念じて、私達が用意したステータスを確認してください」





ステータス
名前 ルシフェル・サタン
種族 ヒューマン・特異種
ジョブ 魔王
スキル
七つの大罪:幻想級
終末の救世者:幻想級





これが新しい身体か…、まぁまぁイケメンだな。

………しかし、なる程、前世での理不尽の理由がようやくわかったよ。そりゃそうだわな。人間の悪である七つの大罪に関するスキル。しかも、ご丁寧に幻想級という最高ランク。…全ての人に嫌われる訳だ。

そして、ようやくわかった。父さんと母さんの最後の言葉が、最後の言葉の本当の意味が、『◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎』だと。

「確認した」
「そうですか。…あのう……」
「なんだ?」
「聞かないんですか?貴方が転生される意味を」
「…」
「何故貴方が全てから嫌悪され、ようやく解放されたのに、違うとは言えど、もう一度生を授かる事に恐怖は無いんですか?怒りは無いんですか?次の生であの様な理不尽が無いと言い切れる根拠を、理由を聞か無いんですか?」
「貴方は私や主様から見ても、その理由を聞く正当な権利を持っています。遠慮はいりませんよ?」

…どうでもいいよ。
世界が変わっても、一度解放の喜びを知れば、二度目の生の自覚ってのはキツい。けど、苦しくても、怖くても、悲しくても、今度こそ幸せを手に入れれるかもしれ無いんなら、俺は唯それに委ねるだけだよ。

「だから、お前達の理由はどうでもいい。ただ、貰えるなら貰うだけだ」
「…分かりました。それては転移します。転移は世界から見ても違和感が無い様に転移されます。それでは」
「「お気を付けて」」

俺の身体がゆっくりと浸透するかの様に光輝き、意識が薄らいでいく感覚がする。死とはまた別の何処かに引っ張られる様な感触だ。

「あ、ついでに言いますけど、私が間違って殺してしまった三名ほどの人間が、貴方の世界から、今から行く世界に転生しますよ」
「そういう事は早く言えぇぇ!!」 
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