BloodTeaHOUSE
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人を愛せない
前書き
イベントネタバレがやってきました。
こちらを読む前に是非本体で遊んでください!お願いします((。´・ω・)。´_ _))ペコリ
発熱までして自覚した、私の気持ち。ちゃんと飛白に伝えたい。
でも、どうすればいいのかわかんない。お店ではいつも裏子やんごーがいるもんね。
3人でいるときには言えないし、裏子は私と飛白が2人になるのを許さないよね。
そんなことを考えながらお店の前に来ると、ちょうど飛白が出てきた。
「!!」
こ、こここ、これってチャンスだよね?でも、何も考えてなかった!だ、大丈夫かな?私…
だめだめ!今を逃したら次にチャンスがいつ来るかなんてわかんないんだから!
えーっと、あー!なに言えばいいんだろ。
「やあこんばんは。せっかく来てくれたのに悪いけど、いろいろあって店は準備中なんだ」
見ればお店の窓にヒビが入ってる。また2人して暴れたのかな?
いやいや、そんなことより!言わなくちゃ!せっかくのチャンスなんだから!!
「ぁ…ぇーと、きょ、今日は…か、飛白に…会いに来たの……」
赤くなる顔が恥ずかしくて、うつむきそうになるけど、声が聞こえるようにがんばる。
「そう…………僕に会いに、ね」
言葉を吐き出すように言う飛白に顔を上げる。そうしたら片手で顎をつままれて、
「なら君と甘い時間を過ごそうか?今まで君が経験したことのないような甘い時間を……ね
………………なんて言うと思ったかい?」
顔を近づけてそういう飛白は、月の光のせいかいつもと違って見えて…なんだか怖い。
「確かに僕は今まで君を誘うようなことをしてきたけれど、君に好意があるわけじゃない。
僕はね、愛してもいない人間と一夜をともに過ごすことなんてなんとも思わない。
そういう人間なんだ。もし君が僕からの好意だと勘違いさせてしまったのなら謝ろう。
君は利口な子だ。嫌な夢でも見たと思ってくれればいいよ」
それだけ言うと、アゴから手が離れた。
「それとも僕にペットのように扱われるのがお望みかい?
そんなのは耐えられないだろう? さ、わかったのならお帰り」
飛白の言葉一つ一つが胸に突き刺さるように痛い。でも、私の気持ちを伝えられていない。
ふるふると首を振って、帰らないと伝える。……次、があるかどうかもわからないんだ。
「・・・・・前言撤回。どうやら君は頭に藁クズの詰まった馬鹿なお人形のようだね」
ああ、飛白がすごく呆れた声をしている。自分でもバカだと思う…
馬鹿なお人形だなんてこんなにひどいこと言われたのにまだ好きだなんてほんとバカだ。
「どうして君は僕を選ぶ?これだけ言ってもまだ分からないのかい?何のためだい?
君にとって、それはどんな得があるんだい?」
詰問するような口調に変わった飛白に上手く答えられなくて、でも。
違う。違うの。損するとか得するとかそんな形のはっきりしてるものじゃない………の。
もっとあやふやで…不確かだけど…いつの間にか心に芽生えた、気持ち。
「ぃ、いっしょに…いたぃ……の。 飛白と…いっしょに…傍にいたい…」
うつむきながら自分の手をギュッり握り締めて、胸の中の言葉をこぼさないように伝える。
「いっしょに?…側にいたい?………僕と?…………一緒にいたいから…?
ははっははははっ」
わ、笑われた…何も笑わなくても……涙が出そうになるのをぐっと唇を噛んで我慢する。
「……なるほど 理屈じゃない、そう言いたいんだね。 君の言いたいことは理解したよ。
まったく、女の子っていうのは平気でめちゃくちゃなことを言ってのけるんだね」
私、そんなにめちゃくちゃなこと言ったのかな?…困らせちゃったかな?
「…………違うか、むしろ それが自然なのかもしれない………
そうやって自分の感情に素直に従うほうが、人間らしい。多分…そうなんだろうね……」
ふと沈んだ声になり、そうっと顔を上げる。
「……飛白は、違う、の?」
「違うね。僕の殆どは虚構や虚飾のハリボテで出来ているんだ。
偽り、嘘、そういうもので保っているのが僕という人間なんだよ」
そう、なのかな?私が見てきた飛白はウソっこなのかな?
「……………………………………過去の、後遺症とでも言おうか。
人を…信じられなくなってしまったんだ。そして……愛することを忘れた」
2百年………永い永い時間、飛白は生きてきた。
私が想像もつかないような長い生の時間…心が凍ってしまっても仕方ないのかもしれない。
「僕はそんな人間だ。 だから、君の気持ちは受け取れない……応えられない。
さっきは、失礼な事を言って…すまなかったね」
ゆっくり首を振る、飛白が悪いんじゃないよ。
そうやって、気持ちに鎧を纏わなくちゃいけないなにかが、あったんだよね。
でも……心が凍ったままなのは切ない……… 私じゃ、力不足かもしれないけれど…
「ぉ、もい…だそう? 信じる、こと 思い出そう、よ・・・」
私は何もしてあげられないけど、傍にいたい・・・側にいていっしょに笑って欲しい。
「……ぇ?……………そんなことが今更できるとは思わないけど…
…でも、ありがとう……
僕も君を…………君を愛することができれば そう思うよ……」
ううん、私の気持ちをちゃんと聞いてくれた。
受け取ってもらえなかったけど、応えてもらえなかってけど、心は痛いけど、我慢する。
私の時間が終わるまでに飛白の心が柔らかくなればいい。いつか、そんな日が来ればいい。
「……せっかく来てくれたのに、つまらない話ばかりしてしまったね。 すまない……
でも、まさか、こんなことを話せる人に出会えるとは思ってなかったよ。
僕自身が話す気になるなんて…考えもしなかった 」
まっすぐ私を見る飛白の目は静かで、ちゃんと心を見せてくれてるような気がする。
「ありがとう 香澄ちゃん‥‥ 今日は、僕にとって特別な日になったよ」
飛白のそのやわらかい笑顔をみてると、顔がすこし熱くなる。
「・・・随分話し込んでしまったから、怖いキョンシーさんが今頃怒ってるだろうね。
僕は先にもどるよ。準備が出来たら呼ぶから、そこのベンチに座っててくれるかい?」
「うん、待ってる」
少しおどけた調子でそういう飛白は、もうすっかりいつもどおりだ。
「さっきの話、ほかの人にはナイショだよ?君の胸の中にだけ仕舞っておいてくれるね」
扉を開く前に、振り返り片目をつむって笑いかける。・・・キザなんだから、もうっ!
星空を見上げながら、開店準備が終わるまで、いつもの私に戻るように何回も深呼吸した。
後書き
本体でも起こるイベントなので迷ったのですが、
セリフをいじって公開することにしました。
一応、なんというか、香澄ちゃんの恋物語なので・・・作者様どうかお許し下さい。
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